ゆっくりいじめ系2832 ツンデレ(後編)

「ゆうううぐぎぎぎぎぎいいいいいいい」
「いだいいいいい………いだいよおおおおお………ごんなのどがいばじゃないいい………」
「ゆっぐ、えっぐ…………ゆっぐりでぎないいいいいいい……………」

一晩中、身じろぎもできずにありすは泣き明かした。
体内のカスタードに突き刺さる剣山のために、激痛で眠ることもできなかった。

「ゆっ!ありす、ゆっくりおはよう!!」
「ゆっくりねむれたかしら?むきゅ」

扉が開き、別室で眠っていた四匹が入ってきた。
ありすは泣きじゃくって抗議する。

「ゆっぐりねむれるわげないでじょおおおおおおおおお………
どっで………おねがいだがらあんよどっでよおおおおおおお………」
「ゆゆぅ~、そんなにつんつんしてみせるなんてゆっくりできるつんでれだね!!」
「づんでれじゃないいいいいいいいい」

四匹は、ありすへの愛に満ち溢れた表情で喜んでいた。
その笑顔に、その愛に、ありすは心底震えあがった。
こいつらは異常だ。
ありすへの愛が高じてこんな異常な行動に至り、
ありすがどれだけ拒否しても「ツンデレ」と曲解し、自分たちの正しさを確信している。

自分のあまりの美しさが、まさかこんな事態を引き起こすとは。
いくら懐の広いありすでも、こんな低能どもにまで愛を分け与えていられない。

「もういや!!おうちかえるぅ!!」

ありすはついに叫んだ。

「ゆゆっ!!そんなこといって!そんなにここがきにいってくれたんだね!!」
「てれかくしするありすはかわいいんだぜぇ~~♪」
「いだあああぁぁ!!よるな!!ずーりずーりずるなああぁぁ!!
づんでれじゃないっでいっでるでじょおおおお!!いながものおお!!
ごんなどごろも!!あんだだぢも!!ゆっぐりでぎないっでいっでるのよおおお!!!」
「むきゅ、とかいはなつんでれだわ。ぱちゅりーもみならいたいものね」
「ゆぅがああああああああああ!!!」

いくら拒絶しても、ツンデレの一言で一蹴される。
しかし、聡明なありすはそこで打開策を閃いた。
拒絶しても本心の裏返しととられる。ならば、本心を伝えるためにはどうすればいいのか。
そう。嘘をつけば、裏返して本心を読み取ってくれるはずだ!

「ここはとってもゆっくりできるわ!!」

ありすは確信の笑顔で叫んだ。

「みんなゆっくりできる、すてきなこたちよ!!
このゆっくりぷれいすで、ずっとみんなをあいしてあげるわねぇ!!」
「ゆゆううぅぅ~~~~ん!!うれしいよおおぉぉありすううぅぅ!!」
「ゆえっ?」

四匹は嬉しさに飛び跳ねてはしゃいでいた。

「そこまでゆっくりしてくれてれいむはかんげきだよ!」
「ずっとずっとまりさたちをあいしてくれるのぜ!!ありがとうなのぜ!!」
「ゆゆゆゆゆゆゆううううう!!?」

恐ろしいことに、肯定を返された四匹はそのまま受け取っていた。
肯定は肯定として、否定はひっくり返されてこれも肯定として取られる。
何を言っても、ありすが拒絶することはできなかった。

「いや!!いやよ!!やっぱりこんなところいや!!おうちかえしてええぇ!!」
「ゆゆっ、またゆっくりできるつんでれだね!!ありすはかわいいね!!」
「ゆがああああああ!!もういやだああああああああ!!」

「きょうはありすをこーでぃねーとしてあげるよ!!」

まりさがそう言い、近づいてきた。

「あああああ!!いや!!いや!!こないでえええぇぇ!!」
「そんなにてれなくていいんだぜ!!ありすのためならがんばるのぜ!!」

言いながら、まりさはありすの髪に噛み付き、引っ張りはじめた。

「ゆーえす!ゆーえす!」
「ゆぁあああああああああ!!やべで!!やべでえ!!
ありずのがみのげびっばらだいでえええええーーーー!!」

ぶち、という音とともに、ひと房の髪が束になって床に落ちた。
ありすは恐慌をきたし、体内の痛みも忘れて必死に身をよじって舌を伸ばした。

「ああああああ!!がみが!!ありずのがみが!!
ありずのぎゅーでぃぐるなざらざらべあーがああああぁぁぁあ!!!」
「ゆゆゆぅぅ~~~☆そんなにうれしいんだぜ!!まりさもうれしいのぜ!!」
「ばりざあああああ!!ぐぞいながものおおおお!!!よぐもおおおお」
「ゆっ!そんなにさいそくしなくてもどんどんこーでぃねーとするのぜ!!
みんなでありすをもっととかいはにしてあげるのぜ!!」
「ゆっゆっおー!!」
「やべでええええ!!いながものがあでぃずのべあーをいじるんじゃないわよおおおおお!!!」

「ゆーえす!!ゆーえす!!」
「ゆーえす!!ゆーえす!!」
「あぎゃあああああああ!!!ゆがああああああああああああああ!!!」

ゆっくりにとっては広い、四角い部屋中にかけ声と絶叫がこだまする。
四方からよってたかって髪を引っ張られ、噛みちぎられ、
ついに、ありすの髪はすべて抜き去られて床に散らばった。

「あぎゅうううう………ゆばあああああああああ…………あでぃず………あでぃずの………ああああああ」

涙と涎をだらだらと垂れ流し、ありすは床に散乱する自分の髪とカチューシャを必死に舌で探る。
その舌がまりさに踏みつけられた。

「あぎゃっ!!」
「ゆっ!!いやがるふりもいいけど、すなおによろこんでくれてもいいんだぜ!!」
「ゆがああああぁあ!!べばあああああ!!」
「よろこんでるんだねー、わかるよー。がんばったかいがあったよー」
「あごおおぉぉ!!」

その時、ぱちゅりーが部屋の隅にあった板を引っ張り出してありすの前に置いた。

「むきゅ。ぱちゅりーたち、とかいはにこーでぃねーとできたかしら?」

そう言って板の裏側をありすに向ける。

「ゆぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

その板、鏡に映っているのは自分の姿だった。
涙と涎としーしーにまみれ、髪とカチューシャを失った丸禿の饅頭。
世界一ゆっくりできない無様なド饅頭、それが自分だった。

「ゆああああああああああああ!!!ばがああああああああああああああ!!!」

こんな姿では、もう誰もありすを愛してくれない。
絶望にありすは叫び続けた。

いや、誰にも愛されないほうがまだましだっただろう。

「ゆっ!!だいじょうぶだよ!!そんなすがたでもれいむたちはありすがだいすきだよ!!」
「これでもうありすはまりさたちだけのものなんだぜ!!うわきはゆるさないんだぜ!!」
「ちぇんたちとずっといっしょなんだねー、わかるよー」
「いやあああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

ありすにもはや逃げ場はない。
この異常な、ありすの魅力に狂った田舎者どもの慰みものになるしかないのだ。

「ゆっ!とかいはなかちゅーしゃだね!!」

れいむが床に落ちたカチューシャを拾い上げていた。
必死に舌を伸ばし、ありすは懇願する。

「ああああぁぁ……がえじで………あでぃずのがぢゅーじゃ………」
「とってもとかいはですてきなかちゅーしゃだよ!たべちゃいたいぐらいだよ!」
「ゆっ!まりさもたべたいのぜ!!
かちゅーしゃをたべればありすとずっとひとつになれるのぜ!!」
「ちぇんもたべたいんだよー、わかってねー」
「ぱちゅりーもごしょうばんさせていただけるかしら?」

恐ろしいことを言い出した四匹。ありすは身をよじって泣き叫んだ。

「やべでやべでやべでやべでええええええ!!おでがいいいいいぃぃぃ!!!」
「ゆゆっ!!ありすがつんでれでよろこんでるよ!!」
「ぱちゅりーたちのためにかみかざりをさしだしてくれるのね。
ありすのとかいはなあいがそこまでふかいなんておもわなかったわ!」
「ゆっ、せかさなくてもたべてあげるんだぜ!!よくみてるのぜ!!」
「づんでれじゃだいいいいいいいいいいいいいいいーーーーーーーーーーーー!!!
あぎゃあああああああああああああああああ!!!」

絶叫するありすの前で、カチューシャは四匹に引っ張られ、千切られ、咀嚼されて嚥下された。
ゆっくりにとって命より大事な髪飾り。
ありすのカチューシャはもはや消滅し、永遠に失われた。

「あぎゅううううううううううう」

ありすは突っ伏すこともできず、目をぎゅっとつぶって泣きむせぶ。

「つぎはありすのぺにぺにさんをつぶすからね!!」

ありすは目を見開いた。
かたかたと震えるありすにれいむは続ける。

「だいじょうぶだよ!!ぺにぺにさんがなくてもありすのあいはれいむたちにつたわるよ!!」
「ありすのとかいはなぺにぺにでほかのゆっくりがゆっくりしないようにするのぜ!!
ありすはまりさたちだけをゆっくりさせてほしいのぜ!!」
「ゆおぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!」

ありすの拒絶、懇願は、もはや言葉にならなかった。
四匹が四方から身をすり寄せ、ありすの体を揺さぶる。

「ゆがぎゃあああああいだあああああああああ!!!」

しかし、いくら揺さぶってもありすは泣き叫ぶばかりで発情する様子はなかった。
体内の剣山のために、揺さぶられるたびに激痛に襲われて発情するどころではないのだ。
何十分も試みた後、業を煮やしてまりさが叫んだ。

「ゆっ!いなかもののまりさたちじゃありすのぺにぺにをだせないのぜ!!」
「ありす、へたくそでごめんね!!」
「だっだらやべだざいよおおおおおおおおごのいながもどおおおおおお」
「だからまむまむのままつぶすね!!」

そう言い、れいむがお姉さんを呼んだ。
呼ばれたお姉さんは、扉を開いて部屋の中に入ってくるとれいむ達の前に用意したものを置いた。

「おねえさん、ありがとう!」
「これでゆっくりできるんだぜ!!」

新聞紙を敷いた皿の上に置かれたのは、真っ赤に焼けた鉄棒だった。
鉄棒についている木製の取っ手を慎重に咥え、まりさがありすの前ににじり寄る。

「やべで…………やべで…………おでがぃ……………やべでぇぇ…………」
「ありすはつんでれだね!
まむまむをつぶされるなんてゆっくりできないのに、
れいむたちのためにそんなによろこんでくれるなんてかんげきだよ!!」

「ゆびゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

まむまむの中に、鉄棒が差しいれられた。
じゅう、という音とともにまむまむが焼けただれ、黒ずんでいく。
体液を全身から滴らせながらありすは吠え狂った。

「おごぎょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおがびゃああああああああああああああああああああ」
「ゆっくりがんばってね!!もうすこしだよ!!」
「あぢゅいいいいいいいいいいあぢゅいいいいいいいいいいいいいいいいゆっぐりでぎだいいいいいいいいいいい」
「ゆゆっ!?こんなときでもつんでれなんてありすはとかいはなんだぜ!!
もうつぶしおわってるけどもっともっとつづけてあげるんだぜ!!」
「やべでえええええええええやべでええええええええええええええあぎゃああああああああああああ!!!!
ずっぎりでぎだいいいいいいいいいいいいあがぢゃんうべだいいいいいいいいいいいいいいいいいいいおおおおおおーーーー」

真っ黒に黒ずんだまむまむから、ようやくのことで冷めた鉄棒が引き抜かれる。
まむまむはだらしなく開いたまま炭化し、炭のクズをぱらぱらとこぼした。

「ゆ゛おっ………ゆ゛おっ…………ゆ゛おっ………………お゛っ…………」

びくびくと痙攣しながら、ありすは虚ろな目で呻く。

「やったね、ありす!これでもうあかちゃんがつくれないね!」
「だからすっきりしほうだいなんだぜ!!いまのありすはまえよりずっととかいはなんだぜ!!」

すっきりし放題、はあくまでする側の話である。
ぺにぺにを兼ねるまむまむを焼きつぶされているありすに、もはやすっきりは不可能だった。

「たまらないのぜええ!ありす!!とかいはなあいをわけるんだぜええ!!」
「ありすかわいいよありすうううう!!」
「わかるよー!!」
「むきゅっ!」

発情した四匹が、ありすに群がりより、身をこすりつけてすっきりを始めた。
その日も、日が暮れるまでありすは激痛と悲しみに絶叫しつづけた。




その晩も眠れなかった。
朝が訪れ、部屋の扉が開かれると、ありすの身体がびくんと硬直する。

「ゆっくりおはようだよ!」
「ありすはきょうもとかいはなんだぜ!!」

愛しいありすに駆け寄る四匹。
ありすはもはや返事する気力もなく、力なく呻くばかりだった。

愛が恐ろしかった。
愛されるということがこれほど苦しいことだとは。
屈託のない愛情を向けてくる四匹の笑顔が、しーしーを漏らすほど怖い。
次はいったい何をされるのか。

「ありす、ここじゃゆっくりできないよね!」
「ゆ゛っ……………」

出してくれるのか。
ここから出してくれるのか。

ありすは希望に表情を輝かせ、必死に頷いた。

「でぎないっ……でぎないわっ………ごごはゆっぐりでぎだいわ!」
「きょうはもっとゆっくりできるぷれいすにつれていってあげるね!」

四匹がありすに近づき、頬を押し当ててありすを押しはじめた。
ずりずりと地面を引きずられるたびに、体内の剣山が脳髄を抉るような痛みを生む。
激痛に泣きじゃくりながら、しかしありすはここから出してもらえることがうれしかった。

「ここだよ!」
「ゆっ…………?」

連れてこられたのは家の外にある小屋だった。
そこはひどい悪臭を放っており、近づくだけでゆっくりできなかった。

「おといれさんだよ!ここのなかはゆっくりできるんだよ!!」
「とかいはなありすにはこのゆっくりぷれいすがふさわしいとおもったのよ、むきゅ」

首をぶんぶんと振り、ありすは拒絶した。

「でぎだい!!でぎだい!!ごごはゆっぐりでぎだい!!どがいばじゃないいいい!!」
「やったよ!つんでれだよ!!ありすがよろこんでくれてるよ!!」
「ゆぎゃあああああああああああああ!!
おでがい!!おでがいだがら!!づんでれっでいわだいでえええええええ!!」

叫び散らすありすを抑えつけ、四匹は小屋の中に入った。
小屋の中の一段高くなった床の真ん中に白い便器があり、汲み取り式のその便所の底には糞便がうず高く積っていた。

「ゆっくりしていってね!!」

ありすは投げ込まれた。

「ゆぎょおおおおおおおおおおおおお!!ぐざい!!ぐじゃい!!ぐじゃああああああいいいい!!!
ゆるじで!!ゆるじで!!おでがい!!だずげでえええええええええええええええええ!!!」
「とってもとかいはなつんでれだね!!れいむあこがれちゃうよ!!」
「こんなによろこんでもらえてぱちゅりーもうれしいわ!」
「とかいはなんだねーわかるよー」
「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」




何日が過ぎたのか、もうわからなかった。

剣山の激痛のために動くこともできず、ありすは便器の底で黙然と座り込んでいた。
腹が減ると、積み重なっている糞便の中からなるべく新しいものを選んで口に運ぶ。
信じられないぐらい臭くて不味いゆっくりできない食べ物だったが、食欲には抗えなかった。
蛆が体を這いまわるたびに怖気をふるって舌で払う。
食事を除けば、それだけがありすの生活だった。

たすけて。たすけて。
便所の扉が開くたび、人間やゆっくりの顔が上に見えるたびにありすは何度も願ったが、
返ってくる返答はいつも同じだった。

「ありすはつんでれだね!!ゆっくりしてくれてうれしいよ!!」

ありすは今、自分の魅力を心底悔いていた。
ありすが美しいばかりに、とかいはなばかりに、こんな目に会っている。
こんなことなら、ゆっくりできない不細工ゆっくりに生まれていたほうが何百倍ましだったことか。
いや、美しくても、みだりにゆっくりの前に現れずにひっそり隠れていれば、こんな事態は避けられたのではないか。
便所の中で、ありすはそればかりを繰り返し思い、後悔し続けていた。




何日も経ってから、ありすは唐突に便所から引き上げられた。

手袋をしたお姉さんに、網を使ってありすは助けだされた。
声を出す気力はもはやなかったが、
久し振りの外気を吸い、ありすは生き返った心地がした。

「ゆ…………っぐい………して………いっ……………」
「ゆっくりしていってね!!」
「やっぱりありすはとかいはなんだぜ!!」
「ゆっくりできるねー、わかるよー」
「むきゅー、うんうんまみれでもありすはきれいだわ」

あの四匹の嬌声が、愛の言葉が耳に届く。
これからどんな目に会うのかわからないが、少なくともあの臭い穴倉よりはましなはずだ。
ありすは精いっぱい、いまの外気を吸いこんでいた。

汚れきったありすの体を、お姉さんが洗ってくれた。
ぬるま湯を全身に浴び、ごしごしとこすられ、こびりついた糞がこそげ落とされる。
こすられるたびに剣山の痛みに呻いたが、捨て鉢になっているありすはもはや暴れたりはしない。

「とってもとかいはよ、ありすちゃん」

ありすの美貌に見とれ、お姉さんが感嘆する。
ありすが返事をしないでいると、四匹のゆっくり達が駆け寄ってきて、
憧れの視線をありすに向けながら話しだした。

「ゆっ、ありす!まりさたちはまちがってたんだぜ!!
ありすのとかいはなあいをまりさたちだけでひとりじめするなんてゆっくりできなかったんだぜ!!」
「ごめんね、ありす!ありすはもっとみんなにとかいはなあいをわけてあげたいよね!!」
「とじこめてごめんねー、ありすにはもっとひろいせかいがふさわしいんだねー、わかるよー」
「ぱちゅりーははんせいしたわ、むきゅ。もっとたくさんのこたちをゆっくりさせてあげるのがとかいはよね」

こいつらは何を言っているのだろう。
黒焦げになっている自分のまむまむを見下ろしてありすは思った。
ぺにぺにが用をなさない以上、とかいはなあいももう誰にも与えてあげられないのに。

「だから、ありすをもっとみんなをゆっくりさせられるところへつれていってあげるね!」

お姉さんの手で、ありすは外へ連れ出された。

連れていかれたのは、家の前にある畑のそば、木製の高い台座の上だった。
人間の腰ほどある台座の上に置かれたありすは、ただきょとんとしていた。

「それじゃ、ゆっくりしていってね!!」

そう言い残し、四匹とお姉さんはありすを残して家のほうへ戻ってしまう。
家の庭先はすぐ目と鼻の先にあり、そこの縁側からゆっくり達がこちらを窺っているのが見えた。

次は何をされるのかと内心びくびくしていたありすだったが、
どうやら何もされないらしいとわかると、安心して息をついた。
ここは少しだけ寒いが、あの便所の中や、あの愛に狂った四匹に囲まれているよりはずっとゆっくりできる。

「ゆっくりしていってね………」

ありすは微笑し、自分につぶやいた。




「あびゃっ!!ゆぎぃ!!ぎゃっ!!ゆぎょぎょぎょ!!おげぇ!!!」

激痛。激痛。激痛。激痛。
痛みどころではない痛み。
ありすの全身が、ひっきりなしの激痛の連打を浴びている。

「やべ!!やびぇっ!!だじゅげっ!!あぎょっ!!どどどがいばじゃないいいいいいぃぃあべぇっ」

左の頬の皮がぼろぼろに切り刻まれてぶら下がり、ぱたぱたと風にあおられている。
何度もつつかれて外に漏れ出していた左の眼球が食いちぎられた。
後頭部に開いた大きな口から、少しずつ少しずつ、ひと突きごとに内部のカスタードがえぐられる。

台座の上に、何十匹もの雀が集まってありすを捕食していた。
雀の小さな嘴が少しずつありすの体をついばみ、長い長い激痛を紡いでいく。

「やべでえええ!!いっぞ、いっぞびどおぼいにごろじでええええええええええ!!!」

叫ぶありすの口を狙い、雀たちが内部の歯を、舌をつつく。
歯茎が崩れ、歯が欠け、舌がぼろぼろに割れていく。

「あ゛お゛っ、お゛っ、ゆぎょっ、あばぁあああああああああああ」

雀たちの食事が進むにつれ、眼球を両方とも失い、歯をほとんど失い、頭の大口からカスタードが漏れ出していく。
ありすの命の灯が、今まさに尽きようとしていた。

「ゆ゛っ………ゆ゛っ………………ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」

ついにありすが痙攣しはじめた。
致死量寸前にまで餡子を失ったゆっくりが示す、独特の断末魔。
この痙攣にまで至ったゆっくりは、ほどなくして死に至る。

死を前にして、ありすはどこかほっとしていた。
これで終わる。ようやく終わる。
ありすの美貌がこんな苦痛をもたらすことになるとは思わなかった。
次は、次に生まれるときは、もう少しだけ不細工なゆっくりとして生まれてこよう。




「ゆっくりおつかれさま!!」

ありすは家に運ばれ、手当を受けていた。
両の目を失った今、周囲の様子を見ることはできなかったが、
お姉さんの手で何やら液体が体内に流し込まれ、体中に新しい皮を貼り付けられていることがわかる。
ゆっくり達の声が聞こえていた。

「ありす、とってもとかいはだったよ!とりさんたちがゆっくりしてたよ!!」
「じぶんのからだをさしだしてとりさんをゆっくりさせるなんてとかいはなんだぜ!!」
「ちぇんはとってもかんどうしたんだよー、わかってねー」
「むきゅ、でも、でも、つらすぎるわ!」

ぱちゅりーがありすの体を撫でながら言った。

「いくらなんでもひどすぎるわ!こんなくるしいめにあってまでとりさんをゆっくりさせることはないわ!」
「ゆゆぅ~、れいむもそうおもうんだよ!」
「さすがにこれいじょうはやめたほうがいいのぜ!!ありす、いますぐやめるんだぜ!!」
「このままだとしんじゃうんだよー、わかってねー」

「びゃ………びぇふ…………やびぇ…………ぼう………いや…………」

ぼろぼろの口で、必死に中止の意思を伝えようとするありす。
しばらくの間沈黙が流れた後、まりさの声が響いた。

「ゆゆゆぅぅぅ!!こんなになってもまだつんでれなんだぜ!!」
「そこまでとりさんたちをゆっくりさせてあげたいんだね!!ありすはほんとにとかいはだね!!」
「あが!!あ!!…………あ……………あぁ……………!!!」

ありすは呻きながら、空洞の眼窩からぼたぼたと大量の涙をこぼしていた。




畑の台座の上で、ありすは鳥の群れに啄ばまれている。
目も見えず動けもしないありすは、毎日畑に運ばれ、鳥の餌食となる。
身体を啄ばまれ、半分以上のカスタードが漏れ出すか、中枢餡が傷つけられるかした頃に、ありすは例の痙攣を始める。

「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」

家の庭から監視しているゆっくりがその痙攣を認めると、
お姉さんを呼び、ありすを台座から運び出して家の中で治療をする。
一日かけてありすの体が回復した頃に、ありすは再び畑に運ばれていく。

歯を失った口で、ありすは何度も懇願した。
それは全て、あの言葉で突っぱねられた。
それでもありすはあまりの苦痛に懇願を繰り返すしかない。
そして今日も、ありすはあの言葉を聞かされることになる。

「…………お、ねが………………………………………………………
ほろひて………………………………………ひなひぇて…………………………」

殺して。
死なせて。

最後の懇願を絞り出したありすの耳元に口を寄せると、まりさは優しく囁いた。



「ありすはつんでれだね!」





END

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最終更新:2011年07月29日 18:01
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