ゆっくりいじめ系2865 俺と彼女とゆっくりと 04(前編)

※一部東方以外のパロディです
※独自の設定があります
※虐待成分がおまけに過ぎません
※ついに原作キャラを登場させてしまいましたが、詳しくないので色々と捏造です

※お兄さん強化キャンペーン実施中!





「わたしがみえるかしら…?」

声の主は蜘蛛の様に木々の枝上を縫う様に跳んで移動している。
奴の姿は殆ど目視出来ないので、僅かな気配を頼りに位置を探るしかない。
遭遇時に受けた矢の毒も相俟って、じわじわと追い詰められている気分だ…。
そう…、まるで蜘蛛が巣に掛かった獲物を捕らえる時の様な…。
しかし、その緊迫感も、奴の次の一言で崩されてしまう。

「お、おなかがへったわ…」

どう考えても場の空気に不釣合いな一言だ。
今、奴は俺と命の奪い合いをしている筈だが…!?

(そんなに腹が減ってるんなら、コレでも食ってろ!)

奴は戦いの最中にも拘らず、時々地面に降りて食事を行っている。
どうやら奴は腹が空いて仕方が無いらしい。 どれだけ燃費が悪いんだ…?
俺は、わざと奴の目の届く範囲に、俺が撒いたと気付かれない様に食料を放り投げた。
それは見るからに怪しい色をした物…、毒キノコと毒ガエルだ。

何故毒だと分かるのか?
俺自身が体験したのだから間違いない。
食後直ぐに、俺は綺麗な花畑の中に立っていて、澄んだ川が目前を流れていた。
川の対岸では見覚えのある虫饅頭が手(?)を振っているのも見えたな。
大きな鎌を持った赤髪の少女が面倒臭そうに舟を漕ぎ寄せて来たが、
何となく歴史を変えてはいけない様な気がしたので、渡るのは止めたのだが…。
恐らく、あのキノコや蛙には幻覚を見せる毒があるのだろう。

話が大きく逸れたようだ…。
とにかく、奴にこの毒物を食べさせれば大きなダメージを与える事が出来るだろう。
さっきはよくも毒矢なんて“しびれる”プレゼントをくれたな。
お礼にこっちからも贈り物だ。 必ず“いっぱい”喰わせてやるさ!



「ふぅ…」

俺は丁寧な装丁の施された本を閉じた。
やはり、何度読んでも面白い…。
俺は大量の本が収められている本棚に、読んでいた本を戻そうとした。

「それ、場所間違ってる」
「うわぁっ!?」

突然背後から声をかけられて、危うく本を落とすところだった。
俺の後ろに、いつの間にか病弱そうな少女が立っていた。

「あっ、ああ、すいません…」
「その本…、面白いわよね」
「………! ええ、特に主人公の行く手を遮る敵が魅力的ですよね!」
「あら、中々分かってるじゃない」

意外な所で意見の合う相手と出会えた。
俺達は、長い時間この物語について語り合った…。
だが、余り長居すると彼女に怒られてしまうな。
そろそろ日が沈む時間だし、名残惜しいが加工所に戻るとするか…。





【俺と彼女とゆっくりと】 ~ゆっくりいーたーさくせん編・濃口~



前回の話から数日…。
キメラ丸の窃盗事件(犯人は俺)により、実験が中断された彼女は苛立っていた。
事あるごとに俺に当り散らすが、被害が他人に及ばないのが救いか…。
そして先日、日々俺とゆっくりを虐めて過ごす彼女から、こんな指令(死令?)が下された。

「任務よ」
「何だぁ? また無茶を言うんじゃないだろうな?」
「そんな事言わないでよ。 私とあなたの仲でしょう?」
「はぁ…。 それで、何をすれば良いんだ?」
「紅魔館を知ってるかしら? そこへの配達の依頼が入ったわ」
「そんな所に配達に行って、生きて帰って来られる保障はあるんだろうな?」
「昼間に行けば大丈夫なんじゃない?」
「……………。 それは良いアイディアだな…」



紅魔館の門前に辿り着いた。
自分でも不思議だが、よく生きてここまで来れたと思う。
ゆっくりれみりあ用の製品(簡単に言えば餌)を運んでいる為、
もし今妖怪や野生動物に襲われればひとたまりも無い。
尤も、その妖怪の館に向かって進んでいるのだから、
自ら“さぁ、おたべなさい!”と言っている様なものなのだが…。

「さて、こいつをどうするべきか…」

緑の民族風の衣装を着た、赤髪の少女が寝ている。
こんな場所にいる以上、こいつも妖怪なんだろう。
問題は、こいつが門番であろう事と、全く起きる気配が無い事だ。

「矛盾だ、明らかに矛盾している!」

思わず右手の人差し指を突き付けて声高らかに叫びたくなる。
この門番は、門番としての役目を果たさずに門番の役目を全うしている。
もしも俺が空を飛べたならば、直ぐにでも門内に入れるだろう。
だが、俺には翼も無ければ箒も無い。
“全く起きない門番の少女”と、“門番が起きないので通れない門”、
この二つが示すロジックとは…!?



「ちわーっす! 加工所でーすっ!!」

裏口に回って声を掛ける。
直ぐに館内のメイドさんが来て扉を開けてくれた。

「あら、裏口から来て頂けるなんて、態々すみませんね」
「いやぁ、これも仕事ですから」
「またあの門番さんは居眠りしていたみたいですね。
後でメイド長からきつく叱ってもらいます」

なるほど、あの門番の居眠りは今に始まった事では無い様だ。
きっと侵入者も多く、メイド長の苦労も耐えないのだろう。

「それで、荷物はどこに運びましょうか?」
「倉庫の方にお願いします。 案内しますので迷わない様に付いて来て下さい」

驚いた事に、館の中は外観以上に複雑で広かった。
もし案内が無ければ、俺はいつまで経っても倉庫に辿り着けなかっただろう。



「ふぅ…、これで最後ですね」
「はい、確かに受け取りました。 ご苦労様です」
「どうも。 それでは自分はこれで…」

館まで運んでくるのも一苦労だったが、倉庫に運び込むのはそれ以上の重労働だった。
残念ながら台車では中に入れなかったので、何度も往復する事になったのだ。
その上、どうも商品の数が合わないと思ったら、一つ余計に持って来ていたらしい。
とりあえず、それは箱に残して、他を運び込んだ。
後は受け渡し表にサインを貰い、出来る限り早く立ち去るだけだったが…。

「少々お待ちを。 メイド長があなた様をお客様として御持て成ししたいそうです」
「いえ、自分は配達に来ただけですので、どうぞお構いなく…」
「そんな事を仰らずに、是非お受け下さいな」
「あっ、メイド長」

“完全で瀟洒なメイド”と称されるメイド長が直々に出迎えてくれた。
なるほど、確かにそう言われるだけの人物の様だ。

「これはどうも、わざわざ…」
「配達を頼んだのはこちらですし、このままお帰ししては紅魔館の名折れですわ」
「はぁ…、そこまで仰るのなら…」
「それではこちらへどうぞ。 レミリア様もお待ちしております」

待て、今何て言った…?
レミリア様…? ゆっくりれみりゃの事じゃないよな…?
まさか…、まさか例の吸血鬼の御前に立たされるんじゃないよな…?

「紅魔館の主人であるレミリア様が、一般人にお会いなさるなんて、
滅多に無い光栄な事ですよ。 失礼の無い様にお願いしますね」

残念! 俺の冒険はこれで終わってしまった!

「は、はは…。 それは何とも名誉な話ですね、身に余る思いです…」
「是非、外の世界の事をお話して差し上げて下さいね」

俺、加工所に戻ったら彼女に結婚を申し込むんだ…。



「くぁwせdrftgyふじこlp…」

その後暫く、俺は何をしていたのかはっきり思い出せない。
闇の中、目の前に紅き捕食者の眼だけが輝いていた…。
そして俺は、唯只管に生き残る事だけを考えていた気がする…。

「お疲れ様です。 レミリア様も大層お喜びでしたわ」
「は、はは…、それは良かった…」

何を話したのか全く覚えていない…。
とりあえず余計な事は言わなかった様だが…。

「そう言えば、お庭でゆっくりを飼っていらっしゃるようですね…」
「そうなんです! もう、どの“おぜうさま”も、それはそれは可愛らしくて…!」

OK…、今当に失敗をやらかした様だ。
その後、主人との会話以上に長い時間を掛けて、おぜうさまの魅力を叩き込まれた…。



「……………」

もう息をするのも面倒臭い位疲れた…。
おぜうさまがどうしたこうしたというお話に夢中になっていて、
俺がいなくなった事にも気付かないメイド長を置いて、一人屋敷の中を彷徨った挙句、
辿り着いた図書館で出会った少女に案内されて、何とか邸の脱出に成功した。
フラフラとした足取りで正門に向かうが、来た時より重い荷物を背負っている気がする…。

「うぁ~、いたいんだど~! やめるんだど~!」
「………?」

正門付近の庭の植え込みの影から悲鳴が聞こえる。
只ならぬ雰囲気を感じて思わず茂みに身を隠してしまったが、
ずっとこうしている訳にもいかないのでそっと覗いて見る。

「な…、何やってんだ…!?」

先程見た居眠り門番少女が胴付きゆっくりれみりゃを相手に格闘をしていた。

「まったく! 咲夜さんは厳し過ぎます!
ちょっとくらい“シェスタ”を楽しんだって良いじゃないですか!」

何となく事情は分かった。
どうやら門番の少女は居眠りをメイド長に厳重注意されて、
その腹いせにれみりゃを虐めてストレス解消しているようだ。

「勘違いしないでよ! 決して咲夜さんに怒られたから、
咲夜さんの大事にしているこいつ達を虐めて鬱憤を晴らしている訳じゃないからね!
こいつ達がうざったいから虐めているだけなんだからね!」

誰も近くにいなければ、誰に訊かれた訳でもないのに、一人で勝手に言い訳している。
余程後ろめたく思っているのだろう。 それだったらやらなければ良いのに…。

「ほら、いつまでも寝てないで立ちなさい!」

門番はれみりゃの手を持って無理矢理引きずり起こす。
かなり長身な門番に対し、子供位の体長のれみりゃである。
ほぼ宙吊りの様な格好で爪先立ちをして必死になって堪えている。

「さぁ、悔しかったら掛かってきなさいよ!
私に一度でも拳を当てる事が出来たら、約束の“ぷっでぃん”をあげるわよ!?」
「う~! はやくぷでぃ~んをよこすんだど~!」

れみりゃと視点を合わせる為に屈みながら挑発する門番。
対するれみりゃは涙で顔をグシャグシャにしており、とても見れたものではない。

「うあ~~~!」
「足元がお留守よ!」

泣きながら殴り掛かるれみりゃの足を払う門番。
勢いそのままに体制を崩して地面を転がるれみりゃ。
頭から藪の中に突っ込んでいく。

「うぎゃあ~! いたいんだどぉ~!!」
「馬鹿ねぇ、手で受身を取れば良いのに」

門番の言う通りだが、頭でっかちで反射神経の鈍いゆっくりには酷な話だろう。
れみりゃは暫く藪の中で痛みに泣き喚いていたが、やがて呻きながら這い出てきた。
よく見れば、手に折れた木の枝を持っている。

「もうおこったど~! この“ぐんぐにる”でつらぬいてやるど~!」
「あら、少しは本気になった様ね?」

(うわ、素手相手に武器を持ち出しやがった…)

…とは言っても所詮は細い木の枝。 しかも、れみりゃがぶつかって折れた物だ。
ゆっくりが持ったところで殺傷能力など皆無に等しいだろうが…。

「ゆっくりしないでしぬんだどぉ~!!」

れみりゃ渾身の一突き! まさに猪突猛進である!

「なんであたらないんだどぉ~!?」

この一撃に命を掛けている様だが、真っ直ぐにしか進まないので簡単に避けられている。
途中で向きを変えれば良いのだが、目を瞑っているので止まるまで気付かない。
段々疲れてスピードが落ちてきて、最後には木にぶつかってしまった…。

「うぁ~、せかいがまわってるんだどぉ~」

目を回したれみりゃが、フラフラとこちらに向かって来た。

「ばたんきゅ~、だどぉ…」

それはゲームが違うだろうと突っ込みたかったが、こっちもそれどころじゃなかった。
れみりゃの行く先を目で追っていた門番が茂みに隠れている俺を見つけたのだ。

「何者!?」
「ちょっ!? 待って…!」

慌てて茂みから出て説明をしようとするが、門番は一瞬で間を詰めて殴り掛かってきた。
何とか体を捻って攻撃をかわしたが、凄まじい気迫に反射的に拳が出ていた。

(しまった…!)

何とか拳を止めようとしたが、それよりも早く門番が俺の腕を掴んでいた。

「ふっ!」
「何っ!?」

門番は俺の右腕を引き込んで体制を崩し、俺の背中側に腕を捻った。

「ぐうっ!」

間接とは反対方向に捻られて、右腕が軋み出す。
思わず口から苦悶の声が漏れ、抵抗する力が弱まった。

(まずい! 離れないと…!)

振り解く為に左腕の肘を打ち込もうとするが、
踏ん張った脚の関節を蹴られて膝から崩れ落ちてしまった。

「うおっ!?」

俺はバランスを失って後ろに倒れこむ。
そのまま吸い込まれる様に門番の胸…、もとい腕に捕らえられる。

「くっ、放せ…!」
「だったら素直に話す事ね!」

気が付けば喉本にナイフを突き付けられている。
僅かでも抵抗すれば殺すという事だろう。

「言っておくけど、脅しじゃないわよ」
「くう…っ!」
「死にたくなければ喋りなさい! 一体何の目的でこの屋敷に侵入したの?」

前からは硬いナイフの刃、後ろからは柔らかい何かの感触という拷問の様な取調べ…。
俺は直ぐに屈服し、(隠す気も無いので)素直に白状する事にした。

「お…、俺は怪しい者じゃない!」
「見るからに怪しいわよ!」

まぁ、ここでは明らかに異質な加工所の制服着てるしな…。

「何も怪しまれる様な事して無いだろう!?」
「だったら何で隠れていたのよ!?」

いつもの癖でつい…、とか言わない方が良いな…。

「怪しい物なんて何一つ持って無いからさ!」
「じゃあ、この変な被り物は何なの!?」

擬装用の“ゆっくりキャップ”ですって言っても信じないだろうなぁ…。

「いい加減吐いたらどうなの!?」
「ラジオ…、149.39(EX)…」
「一体何の事!?」

取って置きの情報だったのだが、門番は気に入らなかったらしい。

「言えっ! 言えぃ言えぃ言えぃ!!」
「先週の木曜の事だった…。 私は車で家に帰る途中…」

門番が自棄になって聞いてくるので、俺も適当な事を話していると、
埒が明かないと判断したのか地面にうつ伏せに倒された。

「動くな! 持ち物を調べさせてもらうわよ!」
「止めてくれぇ…!」

何だか尻を振らなければいけない気がしたが、恥ずかしいので止めておいた。



「へぇ…。 加工所職員ねぇ…」

身分証明書として役職名の入ったカードを見せる。

「これで分かっただろう? 俺は配達でここまで来たんだ!」
「そう言えば配達があるって聞いていたわ」
「それが俺だ! 納得したんなら解放してくれ!」
「まだよ。 危険な物が無いかのチェックが終わってないわ」

そう言って、門番は俺の荷物を漁る。

「あら、これは手帳かしら?」
「そっ、それだけは止めろ! 見るんじゃない!」
「その態度、何か隠しているわね! 中を確認させてもらうわ!」
「読むな! させるかぁああああっ!!」

慌てて立ち上がって手帳を奪い返そうと門番に襲い掛かる。
あの手帳は大事な小説の構想が書かれているんだ!
絶対に他人に見せる訳にはいかない!

「手帳を返せぇえええええっ!!」
「はあっ!」

瞬間、後頭部を凄まじい衝撃が襲った。
俺は頭を強く地面に打ち付けて、そのまま気を失ったらしい…。



「う…ぅ…っ?」

誰かに体を揺すられている。
薄らと目を開くと、ぼんやりとした視界にメイド長が見えた。

「良かった、お気づきになられましたね」
「あれ…? 俺は何でこんな所で…?」
「家の馬鹿に気絶させられたんです。 本当に申し訳ございません…。
私が責任を持って始末しておきましたので…」

視線を追うと、その先に気に磔になっている門番がいた。
体の周りに無数のナイフが刺さっている。
どこかで見た事があるナイフだ。
確か…、門番に突き付けられたのと同じ物だ。
恐らく、以前にメイド長に厳しく叱られた時の物を流用していたのだろう。

「どうなさいますか? 宜しければ屋敷で暫く休んでいかれては…」
「いえ、余り遅くなると社から注意されますので…」
「そうですか…。 では、私はまだ仕事がありますのでこれで…」

気が付けば日が沈み始めている。
余り長居して、妖怪に襲われては敵わない。
それ以前に、今いる場所が妖怪の居城である。
すっかり遅くなってしまったが、出来る限り早く立ち去るべきだろう。
だが、その前に…。

「ちょ…っ!? 何する気よっ!!?」

俺はゆっくりと磔になった門番に近づいていく。

「や…、止めて! 来ないで!!」

門番に向かって手を伸ばす。

「いやぁあああああああっ!!!」








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最終更新:2011年07月28日 03:55
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