ゆっくりちるのは今日も行く。
どこって?どこだろ、野原かな?
違った、今日は森まで行くの。
根っこは飛び越えどんどん進む。
「あたいったらばおんそくねっ!」
ゆっくりちるのは満足げ。
歩くだけでも大満足。
「ゆゆゆゆ!?がむこうにいるよ!」
見つけた見つけたたくさん見つけた。
ゆっくりまりさの大家族。
森に住んでる大家族。
1、2、3、うん、いっぱい居るよ。
向うもちるのを見つけたよ。
ゆっくりまりさは何を言う?
「ゆっくりしていってね!」
ゆっくりまりさはそう言った。
ゆっくりだからそう言った。
それは習性?それとも文化?
細かいことはわからない。
「いわれなくてもゆっくりよ!」
言われてちるの無い胸張った。
ぺったん?違うよまるまる無いよ。
ゆっくりちるのは無い胸張った。
胸の変わりに顎見せ「えへん。」
そうしてちるのはこう言った。
「ちょっとあんたらあそびましょうよ!」
「いいよいっぱいゆっくりしようね!」
ちいさいまりさも続けていった。
「ゆっくりしようね!」
とってもゆっくり。
遊ぶのだってゆっくりだ。
頷くまりさの大家族。
「あたいったらゆうこうてきねっ!」
ちるのは知ってる友好的。
てきってつければいんてりじぇーん。
細かいことはわからない。
「ねえどこにいくの?」
「あたいがきめるわ!」
ゆっくりちるのが先頭きった。
まりさもそれについていく。
ちっさいまりさもついていく。
まりさがいっぱいついていく。
ゆっくりちるのの大行進。
みんなぴょこたら跳ねて行く。
ちょっと息切れちいさいまりさ。
ゆっくりちるのが振り向いた。
「たいりょくめんでもさいきょーね!」
ゆっくりちるの満足げ。
ちいさいまりさに大勝利。
やっぱりあたいはさいきょーね。
少し休んでまた行進。
いっぱいまりさがついてくる。
1、2、3、うん、いっぱいだ。
大きな数はわからない。
野原を横断ゆっくりちるの。
草の背どんどん高くなる。
ゆっくりまりさがふと口きいた。
「ちるのはどこまでいくきなの?」
細かいことはわからない。
ゆっくりまりさ不安顔。
後ろみなけりゃわかんない。
ゆっくりちるのはどんどん進む。
ゆっくりちるのは満足げ。
草の背どんどん高くなる。
折れ草先っちょ鼻に来た。
ゆっくりちるのが立ち止まる。
足は無いけど立ち止まる。
青草鼻を大行進。
ちるのはたまらずくしゃみした。
「へっくちっ!」
目の前氷がゴロン。
大きな氷がゴロンと出てきた。
ちるののくしゃみが凍らせた。
水も無いのに凍らせた。
細かいことは分からない。
まりさそれ見て驚いた。
まなこがまん丸驚いた。
熱かったからぺろぺろ舐めた。
氷を囲んでぺろぺろなめた。
「ぺ〜ろぺ〜ろひんやり〜♪」
「すいーつね!」
べろがひんやりきもちいい。
ぺろぺろ舐めたら氷が濡れた。
ぺろぺろぬるぬる滑りそう。
まりさためしに体当たり。
一ころ二ころで草原抜けて。
氷が地面を滑ってく。
石の地面を滑ってく。
「これってとってもゆっくりしてるよ!」
まりさ氷を追っかけた。
ちるのも後から追っかけた。
ちるのちょっぴり不満顔。
まりさ氷を追い越した。
まりさもいちど体当たり。
今度はちるのに向かってすべる。
「こんどはまりさにむかっておして!」
ちるの元気に体当たり。
ぽよんとはじける体当たり。
ゆっくりちるのは満足げ。
そうしてみんなで氷を押した。
ちるのがどすんと氷を押した。
氷が向うに滑ってく。
まりさたちから離れてく。
まりさぷくーで不平をもらす。
「のーこんさんとはゆっくりできないよ!」
ゆっくりちるの氷を追った。
まりさも後からついてくる。
ゆっくりちるのは満足げ。
氷はじゃぶんとお池に落ちた。
じゃぶんと水がはねてきた。
ちるのにばしゃんきもちいい。
まりさは氷を眺めてる。
まりさがぴきゅんと閃いた。
「これにのったらゆっくりできるよ!」
ちいさいまりさを凍りに乗せた。
お池の上をどんぶらこ。
氷に乗ってどんぶらこ。
「とってもゆっくりできるよ!」
「みんなでのってあそぼうね!」
ちいさいまりさはご満悦。
おおきいまりさも自慢顔。
ちるのは何故だか憮然としてる。
まりさがちるのにクエスチョン。
「どうしてちるのはそんなかお?」
「あながあるわよまりさのけーかく!」
「!?それはいったいどんなあな!?」
ゆっくりちるのは一拍置いた。
探偵みたいに一拍置いた。
ちるのはゆっくり指摘した。
「こおりはどこからもってくつもり!?」
まりさはちるのをベロ指した。
まりさに言われて氷を作る。
ちるのくしゃみで氷を作る。
ちょっと形にこだわった。
上はとんがり下平ら。
浮きやすくって乗りやすい。
「あたいったらあーちすと!」
ちるの意外と凝り性ね。
ゆっくりちるのは自慢顔。
みんなで氷に乗っかった。
ひんやりしててきもちいい。
みんなでぷかどんぷかぶらこっこ。
お池の上をぷかぷか進む。
お日様ギラギラ足ひやこんこん。
間に挟まれ気持ちいい。
ぷかぷかしてたらお昼寝タイム。
すやすやくーくーお昼寝タイム。
お目々冷めたらまりさが減った。
1、2、3の次がない。
まりさは慌てて見回した。
ゆっくりちるのは寝ぼけ顔。
「まりさのかわいいおちびちゃん!」
ゆっくりまりさはひたすら叫ぶ。
涙ぽろぽろわんわん叫ぶ。
「まってあわてることないわ!」
ゆっくりちるのが気付いて叫ぶ。
「どうして!?」
まりさが応えて叫ぶ。
「きえたのなんてきのせいよ!」
「だからどうして!?」
まりさがぷくー。
「だってきえかたわからない!」
消え方なんてわからない。
だって帰るのどうするの?
進むのなんて風まかせ。
氷の他に行く場所ない。
消えたのなんて気のせいさ。
ゆっくりちるのは自慢顔。
まりさがさらに慌てだす。
「どぼじでごん゛なごどなるのぉおぉおお!?」
まりさ三匹大慌て。
体を揺すって慌ててる。
慌てて岸を目指して揺する。
揺すったところで進まない。
だって氷は風まかせ。
ばしゃんちいさなまりさが消えた。
足を滑らせまりさがばしゃん。
氷の上からまりさがばしゃん。
「ばでぃざのがばい゛い゛おぢびぢゃん!」
「ごぼごぼだずげべお゛がばざぶっ!!」
ちいさいまりさ水面でぶくく。
あぶく残して沈んで溶けた。
ゆっくりまりさは1、2、2匹。
ゆっくりまりさが涙を流す。
叫びと一緒に涙を流す。
「どぼぢで?!がばいいおぢびぢゃん!!
あ゛ん゛な゛に゛い゛い゛ごだっだどにぃ!!」
ゆっくりちるのは思わず叫ぶ。
「せまい!」
ほんとだ氷が溶ける。
ゆっくりまりさまた大慌て。
「ぢんぢゃう!」
「い゛や゛だ!お゛み゛ずは゛ごぶぁ゛い゛!」
まりさは二匹で泣き喚く。
「せまい!」
ちるのがまた叫ぶ。
「お゛ばえ゛のぜいだなんどがぢでね゛!」
ゆっくりまりさがちるのに叫ぶ。
足場が無くておしりが濡れる。
ひんやり背筋が凍りつく。
ゆっくりまりさは震えて泣いた。
「まかせて!」
ちるのがウィンク返す。
ゆっくりまりさが泣きやんだ。
お目々まん丸ちるのを見てる。
ゆっくりちるのは満足げ。
細かいことはわからない。
ちるのはまりさに笑顔を返す。
ゆっくりまりさはてな顔。
細かいことはわからない。
まりさが叫ぶ。
「ばやぐぢで!」
氷がドンドン解けて来た。
まりさの口から唾が跳ぶ。
ちるのの鼻に一滴とんだ。
ちるのはたまらずくしゃみした。
カチン氷がまた凍る。
足ごと氷が固まった。
まりさの氷が固まった。
「ありがとちるの!」
まりさが泣いた。
ちいさなまりさといっしょに泣いた。
ちるのの氷は溶け切った。
ぶくぶくちるのが沈んでく。
まりさが必死にべろ伸ばす。
ゆっくりちるのに届かない。
ゆっくりまりさが泣き叫ぶ。
ゆっくりちるのは満足げ。
細かいことはわからない。
お日様沈んで辺りが冷える。
氷は溶けないもう大丈夫。
ゆっくりまりさは岸まで待った。
風に任せて岸まで待った。
ゆっくりちるのは水の下。
まりさはしくしく涙を零す。
氷の上に涙を零す。
岸までついたまりさとおちび。
「ありがとちるの」と最後に言った。
ぴょこんと跳ねて陸の上。
ぐるりと回り水の下。
日常トラブル安全危険。
幸せ不幸天国地獄。
一寸先は闇だった。
おかしい足が動かない。
足が凍ってはがれない。
氷の上で跳ねたらぐるり。
バランス崩してひっくり返る。
氷は足からはがれない。
ぶくぶくまりさはあぶくを吐いた。
水の下からあがれない。
氷が張り付きあがれない。
岸まで来たのにあがれない。
ぶくぶくまりさ悲鳴をあげた。
(とけちゃう!)
まりさ叫んで呑んだ。
水ががぼごぼ流れ込む。
おちびを見ると真っ黒氷。
おちびが水に溶けていた。
まりさはますます悲鳴をあげた。
(いやだ!)
まりさが悲鳴をあげる。
水の中では届かない。
助けを求めてあたりを見回す。
向うの水底何か居た。
ゆっくりちるのがそこに居た。
平気な顔してゆっくりちるの。
お池の底で魚と遊ぶ。
かえる倒してご満悦。
ゆっくりちるのは満足げ。
まりさ最後の力で叫ぶ。
(たすけて!)
ちるのはべろ振り笑う。
ゆっくりちるのは満足げ。
お水に落ちたまりさたち。
お水の下でどうなった?
きっとさっきのお魚たちと
ゆっくりお話ゆっくり遊ぶ。
細かいことはわからない。
陸にあがったゆっくりちるの。
今日の一日思い出す。
歩いた、まりさ、遊んだ、楽しい。
ゆっくりちるのは満足げ。
細かいことはわすれてる。
ゆっくりちるのは野原で眠る。
お日様出るまで眠ってる。
ゆっくりちるのは明日も行く。
細かいことはわからない。
きっと明日も満足げ。
ゆっくりちるのはいつまで行くの?
細かいことはわからない。
きっとちるのは満足げ。
死んでもきっと満足げ。
最終更新:2011年07月29日 02:57