ゆっくりいじめ系759 嘘


(プロローグ やがて始まる崩壊の序章)
ある人里から離れた大きな森。そこに、ありす、まりさ、れいむ、ぱちゅりーの四匹のゆっくりが住んでいた。
同じ年の春に産まれた四匹は、小さい時から大の仲良し。どこへ行くのも一緒。何をするのも一緒。
元々住んでいたゆっくりの群れから飛び出した時も、やはり四匹は一緒だった。

若さゆえの好奇心からか。それとも近くに住む人間に怯え、ゆっくり出来ない毎日に嫌気がさしたのか。
冬を越え体も大きくなった二年目の春。まりさは群れを離れる決意をし、三匹もそれに続いた。
森を出、川を渡り、野を横切り、山を越え。遂に巨大な木々が生い茂る大きな森にたどり着いた。

人里から遠く離れたその森には、ゆっくりを餌とする野生動物は棲んでいない。
近くの草原にはゆっくりが好む草花がたくさん生え、森では木の実をいくらでも採る事ができた。
まさにゆっくりにとっての理想郷。しかし、この森にはゆっくりが住んでいなかった。
その理由をありすは後に知る事になる・・・

「ゆーーー!ここにしよう!きょうからここがまりさたちのゆっくりぷれいすだよ!!!」

「むきゅー。そうね。ここならにんげんにおそわれるしんぱいもないわ。」

「でもここにはゆっくりがいないわね。とかいはのありすにはすこしさみしいわ。」

「ゆ!だいじょうぶ!れいむたちがあかちゃんをうんでむれをおおきくすればいいよ!」

「「「「みんなでゆっくりしようね!!!」」」」

早速ゆっくり達は自分達が暮らす新しい家を探し始めた。
ほどなく、まりさが手頃な大きさの洞窟を見つけ、ここに皆で住もうと提案する。
しかし、三匹はお互いの顔を見合わせながら返事をしない。しばらくしてれいむがこう切り出す。

「れいむたちもずいぶんおおきくなったよ。そろそろひとりぐらしをするべきだとおもうよ。」

まりさはまだ気づいていなかったが、ありす達はもう生殖が可能なほどに成長していた。
そして、幼かった頃には無かった、四匹で無邪気に遊んでいた頃には無かった感情が芽生えていた。
「まりさがすき!」「まりさのあかちゃんがほしい!!」「ほかのふたりにはわたしたくない!!!」
旅の間、いや、それよりもっと前。まりさと会えない冬籠りの間中ずっと考えていた疑問。

「まりさ!あなたはいったいだれがすきなの!!!」

しかし、そんな事聞けるはずも無い。もし聞いてしまったら・・・まりさの答えを聞いてしまったら・・・
もう、私達の仲は元には戻れない。
まりさは好きだ。でもれいむもぱちゅりーも私にとって大切な友達だ。
ありすの悩み。そしてそれはれいむとぱちゅりーにとっても同じ。
三匹の間には微妙な距離ができ始めていた。とてもとても小さな亀裂。しかしそれはすべてを壊す入口。

結局四匹はそれぞれ別々の住処で暮らすことにした。まりさは自分が見つけた洞窟。ぱちゅりーは巨大な古木の洞。
れいむは川の近くに自分で掘った穴。ありすはまりさと違う小さな洞窟を見つけそこに住むことにした。


(はじまり それは小さな嘘だった)
森での四匹の新しい生活が始まった。朝起きると皆まりさの家に集まり一緒に出かける。
森で木の実を探し、川辺で水浴び。虫を追いかけて遊び、疲れたら日当たりの良い草原でゆっくり昼寝。
草木を揺らす風の音に耳を傾け、何時までも終わらぬ楽しいお喋り。
日が落ちるとそれぞれ自分の家に戻り、とてもゆっくりとした一日が終わる。
ゆっくり達は常に笑っていた。皆と一緒だから。まりさと一緒だから。

そんな幸せな日々に変化が起きる。まりさが怪我をしてしまったのだ。
その日、ゆっくり達はどれだけ高く飛べるか競い合い遊んでいた。

「ゆっふっふ!やっぱりみんなれいむにはかなわないね!」

「むっきゅーーーー!」

「ゆゆっ!べ、べつにくやしくなんかないんだからねっ!」

「おーいれいむ!かちほこるのもそこまでだよ!まりさがここからとんだらまりさがいちばんだよ!!!」

「ゆゆっ!そんなたかいところからとんだらあぶないよ!!!」

「ゆふふ!そんなこといってまりさにかとうとしてもだめだよ!それっ!!!」

「「「ゆーーーーーーーー!!!」」」

「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛!!!い゛た゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」

岩の上から飛び降りたまりさは、運悪く地面に落ちていた尖った小石の上に着地してしまう。
幸い命に別状は無かったが、体の底面に石が刺さり餡子が漏れ出している。
餡子が漏れぬ様、近くにあった葉っぱを傷にあてすぐに家まで運ばれた。

「あああ・・・いだいよおお・・・あしが、まりさのあしがああああ・・・」

「どうしよう。これじゃしばらくうごけないよ。」

「だいじょうぶ!いえでゆっくりしてればなおるわ!」

「そうね!まりさはしんぱいしないで!ありすたちがまいにちごはんもってくるからね!」

「ゆぅぅ・・・みんなありがとう・・・」

三匹はまりさに早く良くなってもらおうと必死になって餌を集める。普段食べられない様な御馳走を。
ぱちゅりーはこの辺りではめずらしいイチゴを、れいむは蜂に刺されながら蜂蜜を集めてきた。
ありすは焦っていた。自分が一番美味しい物を見つけたい。
そしてまりさに「ありすのごはんがいちばんだね」と言って貰いたい。

ありすは普段なら入らない様な森の奥まで足を踏み入れる。しばらくすると目の前に古びた洋館が現れた。

「(ゆ。なんだろう?ここにはにんげんはいないはずなのに・・・)」

ありすは不思議に思い、窓から中の様子を覗こうとする。

「あら、ゆっくりじゃないの。珍しいわね。ゆっくりがこの森に来るなんて。何しに来たの?」

「!!!!!」

突然の後ろからの声にありすはびっくりして振り返る。そこにいたのは金髪の女性。
いつもなら警戒するかすぐに逃げ出すはずなのだが、その女性の美貌にありすは思わず見とれていた。

「(とてもきれいなひと・・・)」

「あら?あなた喋れないのかしら?それとも警戒しているの?
 大丈夫よ。私はあなたを虐めたりはしないから。」

「ゆ!ごめんなさい!そうじゃない!そうじゃないのよ!」

ありすは「虐めない」との彼女の言葉に安心して今までの経緯を話し始めた。
最近この森に越してきた事、仲間たちの事、そしてここへ来た理由。

「そう・・・友達が怪我を。ごめんなさいね。私では力になってあげられないわ。
 その代わりと言っては何だけど、お菓子を上げるわ。お友達に持って行ってあげなさい。」

「ゆ!ありがとうおねえさん!!!」

「ただし、一つ条件があるのよ。」

「じょうけん?」

「そう。見ての通り私はこの森に一人で住んでいるの。お茶の相手が欲しいのよ。」

「それならおやすいごようだわ。とかいはのありすがおねえさんのおちゃともだちになってあげる!」

「ありがとう。嬉しいわ。じゃあ、ちょっと待っててね。」

一人と一匹の奇妙なティータイムが始まった。
ありすはテーブルの上のお菓子を、むーしゃむーしゃと食べながら話続ける。
お姉さんは紅茶を飲み、ニコニコしながら話を聞いているだけ。
やがて話がまりさの事になった時、お姉さんが静かに話しだした。

「そうなの・・・あなたはまりさの事が好きなのね。」

「うん。でもまりさは・・・まりさのきもちはわからないの。まだ、あいてをきめていないのかもしれない。」

「やさしくておもいやりのあるれいむ。あたまがよくてなんでもしってるぱちゅりー。」

「でも、ありすは・・・ありすにはなにもないの。まりさにはありすだけをみてほしいのに・・・」

「・・・あのねありす。あなたがどれだけまりさの事が好きか解ったわ。
 それに、れいむやぱちゅりーの事をどれだけ大事に思っているのかも。
 でもね。それじゃ駄目なのよ。誰かを好きになったら周りの事なんか考えてちゃだめよ。
 自分の事、自分がその子と幸せになる事だけを考えないと。他の子に取られちゃうわ。」

「・・・・・」

「あなたは考えた事があるの?まりさがれいむかぱちゅりーと幸せになった時の事。
 あなたは諦められるの?まりさの事を諦めて、それでゆっくりできるの?」

「それは・・・」

「あなたはゆっくりなんだから。ゆっくりは自分がゆっくりする事だけを考えるものなのよ。
 れいむやぱちゅりーだってそうに違いないわ。
 あなた、このままだとれいむかぱちゅりーに出し抜かれるわよ。それでいいの?」

「それはいや!!!」

「そう。それなら私が知恵を貸してあげるわ。だからあなた時々ここへいらっしゃい。いつでも待ってるわ。」

「・・・うん。」

ありすはまりさの家に戻った。貰ったお菓子と、お姉さんに教えてもらった知恵を持って。
まりさにお菓子を渡し巣から出ると、れいむとぱちゅりーが外で待っていた。

「まりさのようすはどうだった?」

「うん。だいじょうぶ。ありすがもってきたたべものをたべたらだいぶげんきになったよ。」

「そう。それはよかったわ。」

「・・・まりさはね、ありすがもってきたごはんがいちばんおいしいっていってくれたよ・・・」

「そ、そうなんだ・・・」

「・・・それでね・・・とてもおいしかったから、げんきになったらふたりきりでまたとりにいこうって!!」

「「!!!!!」」

二匹は一瞬言葉に詰まると「そう・・・そうなんだ・・・」と呟きとぼとぼと家路についた。

「(おねえさん・・・いわれたとおりにやったよ・・・でも・・・でも・・・)」

「(いたいよ・・・とてもいたい・・・)」

「(ごめんねれいむ。ごめんねぱちゅりー。こうしないと・・・こうしないとありすがゆっくりできないの・・・)」


(塗り重ねられる嘘 もう後戻りはできない)
こんな日々が何日も続く。三匹は毎日まりさに餌を運ぶ。
れいむとぱちゅりーは森を駆け回って探してきた御馳走を。ありすはお姉さんに貰ったおいしいお菓子を。
何も知らないまりさはありすの持ってきたお菓子を一番美味しそうに食べる。
それを複雑な表情で黙って見つめるれいむとぱちゅりー。

まりさが食べ終わると三匹はそろって外に出る。しかし三匹が一緒に遊ぶ事はもう無かった。
めいめい自分の家で一人で過ごす事が増えていた。
ありすだけが家に戻らず、それぞれの家に遊びに行きお喋りをする。
れいむの家で。ぱちゅりーの家で。まりさの家で。おねえさんに教わった話を。

「まりさがね、おおきないえにひとりですむのはさみしいっていってるの。あかちゃんがほしいんだって。」
「でもぱちゅりーはだめだって。あかちゃんをうんだらからだがたえられなくてしんじゃうから。」
「れいむはどうなのってきいたら、くびをふってだまってしまったわ。」

「ぱちゅりー。まりさはあなたのもってきたいちごがすっぱくておいしくないっていってたわ。」
「まりさは『ぱちゅりーはじぶんだけおいしいものをたべてる』ってごかいしてるわ。」
「れいむもそうおもってる。ぱちゅりーとはゆっくりできないって。」

「まりさ。さいきんあのふたりはここへあそびにこないわね。まいにちごはんをもってくるだけ。」
「まりさはみた?まりさがごはんをたべてるときのふたりのかおを。」
「ふたりはまいにちごはんをもってくるのがめんどうになったのよ。でも、ありすはそんなことないからね!」


「れいむ。まりさがありすといっしょにくらしたいって。」
「そしてげんきになったらありすといっしょにあかちゃんをつくりたいって。」
「あしたからはありすがまりさのせわをするから、れいむはゆっくりしてていいよ。」

「まりさがね・・・れいむがもってきてくれたごはんもおいしくないっていってるの。」
「ありすのごはんじゃないとやだって。それに、あなたがかえったあといちごをはきだしてたわ。」
「あしたからはぱちゅりーもれいむも、もうごはんをもってこなくていいって。」

「れいむとぱちゅりーがね。もうまりさにごはんをもってくのはいやだっていってるの。」
「れいむははちにさされながら、ぱちゅりーはかわをわたってとりにいくんだもの。しかたないわ。」
「でもあんしんして。まりさにはまいにちありすがごはんをもってくるからね。」


「あら、いらっしゃい。どう?教えた通りにちゃんとやってる?」

「うん・・・でも・・・」

「でも?」

「もうれいむやぱちゅりーとはゆっくりできないよ。」

「それでいいのよ。あなたにはまりさだけがいればいいんでしょう?」

「うん・・・」

「れいむやぱちゅりーとも仲良くしたければまりさの事は諦めなければならないわ。
 それはいやなんでしょう?大丈夫。あなたは自分がゆっくりする事だけを考えていればいいのよ。
 その為にどうすればいいかは私が教えてあげる。」

「ありがとうおねえさん。そうだよね。ありすがゆっくりできればそれでいいんだよね。」

「(それに、もうもどれないよ。もうみんないっしょにはゆっくりできない・・・)」


(発覚 嘘はいずればれる、しかしゆっくりにはそれが解らない)
いつの日からか。ゆっくり達の顔から笑みが消えていた。
「ゆっくりー!」と叫ぶ事もなく「しあわせ~♪」と言う事も無い。
ただ森の中で綺麗なお姉さんだけが毎日ニコニコと笑っていた。

そんなある日、ありすはれいむがひとりでまりさの家に入って行くのを見た。
不審に思い入口から中の様子を窺う。

「ゆ!まりさはそんなこといってないよ!」

「じゃああれはありすのうそだったのね!」

「うん。まりさは・・・まりさはだれとくらすかまだきめてないよ。」

「じゃあいまきめて!いまきめてよ!れいむがいいの?それともうそつきありすがいいの?」

「そ、それは・・・」


ありすは走り出した。
ばれた!ばれてしまった!このままではまりさはれいむのものに・・・
助けて!助けてお姉さん!このままじゃありすは・・・ありすは・・・

「あら?どうしたの?そんなに慌てて。」

ありすはお姉さんにすべてを話した。
嘘がばれてしまった。れいむがまりさに決断を迫っている。このままではまりさはれいむのものに・・・

「そう、仕方ないわね。でも大丈夫。一つだけ方法があるわ。」

「どうするの?」

「れいむが居なくなってしまえばいいのよ。まりさには『れいむはうそをついていた』と言えばいいわ。
 残っているのはあなたとぱちゅりー。だれもれいむの擁護などしないわ。」

「でも、どうやって・・・」

「そうねぇ・・・そうだ。そういえば今夜大雨が降るのよ。れいむの巣は水没してしまうでしょうね。
 その前にれいむは逃げ出すわね。それができるから川のそばに巣を掘ったんでしょう。
 でも、今夜はそれができない。ぐっすり眠ってしまうのだから。この睡眠薬入りの餌のせいで。」

「!!!!!」

「大丈夫。何も心配いらないわ。あなたは嘘をついたお詫びだといってこの餌を食べさせたらいいだけ。」

「でも・・・」

「でも?何を言ってるの。しょうがないでしょう?ここまで来たら後戻りはできないのよ。」


れいむの巣。中ではれいむがありすに向かって、怒りをぶつけていた。

「どうしてあんなこといったの!ありすがこんなうそつきだったなんてしらなかったよ!!!」

「ごめんなさい。ごめんなさいれいむ。ありすがどうかしてたわ。」

「ごめんなさいじゃすまないよ!もうありすとはゆっくりできないよ!」

「そうね・・・そのとおりだわ・・・でもね、これだけはわかってほしいの。」

「なに?」

「ありすはね、まりさのことがすきなの。れいむもしってるでしょ・・・」

「まりさはね、れいむのことがすきだっていったの。だから・・・れいむのことが・・・ゆるせなくて・・・」

「もういいよ!そんなこといまさらいわれても!」

「わかってるわ。あしたまりさとぱちゅりーにあやまったらこのもりをでていくわ。」

「・・・・・」

「そのまえにひとつだけおねがいがあるの。」

「なに?」

「このたべもの、たべてみて。とてもおいしいでしょう?まりさはこれがだいすきだったの。」

「あした、これがあるばしょをおしえるわ。まりさにもおしえてあげて。ありすにはもうできないから・・・」

「わかったよ。むーしゃむーしゃむー・・・・すぅすぅ・・・・」

れいむの家を出るありす。そして呟く。

「ごめんね・・・れいむ・・・せめててんごくでゆっくりしていってね・・・」

「あなた!れいむになにをしたの!!!」

「!!!!!」


(おわり 罪を犯した者の末路は・・・)
見られた!見られた!見られた!見られた!ぱちゅりーに見られてしまった!!!

「まりさにきいたのよ!あなたのうそを!それできになってれいむをみにきたら、あなたれいむをころしたの?!」

「ち、ちがう・・・ありすは・・・」

「こっちにこないで!ありすはうそつきのゆっくりごろしだよ!ゆっくりしんでね!!!」

「まって!!!」

ぱちゅりーを追いかけるありす。ぱちゅりーは巣に逃げ込み中から蓋をしてしまう。
どうしよう。このままじゃ。ぱちゅりーをどうにかしないと。

「あらあら、お困りの様ね。」

「おねえさん!!!どうしてここに・・・」

「さぁて。どうしてかしらねぇ?」

ありすの後ろにいつの間にかお姉さんが立っていた。満面の笑みを浮かべて。
その手にはなぜか火の点いた蝋燭を持っていた。

「大丈夫。私はあなたの味方よ。それより、困っているんでしょう?これを使いなさい。
 この木は枯れてからもう随分時間が経ってる。火を点けたらすぐ燃えるでしょう。
 心配ないわ。雷が落ちた事にすればいい。豪雨の日にはよくある事・・・」

ありすはもう迷わなかった。巣から出られぬ様石で蓋をし、木に火を掛ける。

「ゆぎゃああああ!あじゅい!あじゅいよお!たすげでまりざああああああ!!!」

「おめでとう。これであなたとまりさは二人きり。早く行きなさい。まりさが待ってるわ。」


まりさの巣に入って行くありす。まりさは入って来たのがありすだと解ると表情を曇らせた。

「ありす・・・れいむとぱちゅりーからきいたよ!どうしてあんなうそをついたの!」

「ちがうのよ!ごかいよ!うそをついていたのはれいむとぱちゅりーのほうよ!」

「だまされないよ!」

「れいむはまりさのあかちゃんがほしかったのよ!だかられいむは
 『まりさはありすといっしょにあかちゃんをつくりたいの?ありすがそういっていたよ。』
 なんていってまりさをだましたのよ!まりさが『ありすはうそつきだ』ってごかいするように!」

「なにをいってるの?れいむは『あかちゃん』なんてひとこともいわなかったよ。
 れいむは『まりさはありすといっしょにくらしたがっている、ってきいたけどほんとなの?』
 ときいたんだよ!だから『まりさはそんなこといってないよ!』ってこたえたんだよ!」

「!!!!!」

「やっぱりありすがうそをついていたんだね・・・ざんねんだよ・・・」

「まって!ちが・・・」

「ちがわないよ!ありすはうそつきだよ!うそつきのありすはきらいだよ!!!」

嫌い!嫌い!嫌い!嫌われた!まりさに嫌われた!
れいむに嘘を吐き、ぱちゅりーに嘘を吐き、友達を失い、それでもまりささえいればいいと思っていた。
自分がゆっくりできれば、まりさとゆっくりできれば、他のすべてを失ってもいいと思っていた。
それなのに!それなのに!これでまりさまで失ったら!

「ところでれいむとぱちゅりーはどうしたの?」

「れいむとぱちゅりーは死んだわ(れいむはまだだけど)。ありすが殺したの。まりさと一緒になる為に。
 私が見ていたわ。酷い子よねぇ。友達を殺すだなんて。」

「!!!!!おねえさん!どうしてっ!!!」

「あ゛り゛す゛う゛う゛う゛!!!どうじでふだりをごろじだのおおおおおお!!!!!」

「私が唆したからよ。ありすから聞いたの。ありすはまりさの事が好きだって。
 だから助けてあげたのよ。ありすとまりさが二人きりになれる様に。
 ゆっくりにとって同族殺しは禁忌なんでしょ。だから追い詰めてあげたのよ。殺さなければならない程に。」

「嘘を吐き、仲間の信用を失い、もうこの森には居られなくなる。
 そんな状況になったら、もう殺すしかない。死人に口なし。死んだものにすべての罪を被せる。
 殺したのはありすだけど、お膳立てしたのはすべて私。良かったわねありす。まりさと二人きりになれて。」

「おねえさん・・・」

「よ゛く゛もれいむを゛!よ゛く゛もぱちゅりーを゛!
 よ゛く゛も゛ありすにそ゛ん゛な゛こ゛と゛さ゛せ゛て゛く゛れ゛た゛な゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」

お姉さんに襲いかかるまりさ。しかし彼女はそれを軽く蹴り飛ばす。
壁に叩きつけられたまりさは大量の餡子を吐き出す。

「まりさああああああ!!!!!」

「ゆぅ・・・もう・・・まりさはだめだよ・・・ありす・・・さいごにはなしをきいてね・・・
 ありすはみんなにうそをついた・・・そのうえ・・・ともだちをころしたなんて・・・
 まりさも、れいむも、ぱちゅりーも、ありすのことをゆるせないよ・・・
 ありすは・・・じぶんがゆっくりできればそれでいいと・・・おもっているかもしれないけど・・・
 それはちがうよ・・・じぶんがゆっくりするだけじゃ・・・それはほんとうのゆっくりじゃない・・・」

「なかまのことをおもいやって・・・みんなでゆっくりできるようにたすけあう・・・
 それがほんとうのゆっくりだよ・・・まりさがけがをして・・・うごけなくなって・・・
 みんなたすけてくれたね・・・うれしかったよ・・・ほんとうにうれしかった・・・
 それこそほんとうのゆっくりだよ・・・たすけあい・・・ゆっくりはひとりではゆっくりできないの・・・」

「さっきはごめんね・・・あんなひどいこといって・・・でもゆるせなかったんだよ・・・
 ありすはそんなゆっくりじゃなかったから・・・まりさがだいすきなありすは・・・
 ごめんね・・・もっとはやくいえばよかったね・・・そうすればこんなことには・・・」

「もういくよ・・・れいむと・・・ぱちゅりーがまってる・・・ありすもゆっくりきてね・・・
 そしてうまれかわったら・・・こんどこそ・・・みんなでいっしょにゆっくりしようね・・・」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!ま゛り゛さ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」


(エピローグ 大粒の雨がすべてを流す)
「あらあら。泣いているの?そんな処にいたら溶けてしまうわよ。」

「いいの・・・もう・・・」

「あらそう。まぁ私には関係ないわね。私はもう十分楽しんだし。」

「おねえさん・・・」

「ん~?」

「どうして・・・どうしてこんなことしたの・・・」

「どうしてって、そんなの決まってるでしょう。あなた達ゆっくりが嫌いだからよ。
 あなた達の言葉を借りて言うとね、ゆっくりできないのよ。あなた達がいると。だから死んでもらうの。
 あなたなら解るでしょう?自分がゆっくりする為に、友を裏切ったあなたなら。」

「それにね。私はこの森が好きなの。もう随分長いこと一人でここに住んでる。
 それを邪魔されたら、許せないでしょう?あなたなら解るわよね。
 誰にも邪魔されず二人きりでゆっくりしたいと願ったあなたなら。」

「私がここに来る前。ここにはたくさんのゆっくりが住んでいたのよ。
 暫くは一緒に生活していたわ。でも駄目なの。あなた達は私の幸せを壊してしまう。
 私の大好きな森を。あの人との思い出が詰まったこの森を・・・」

「だから消えてもらったのよ。残らず。すべて。
 私は私の幸せが一番大事なの。邪魔する者は許さない・・・」

「あら?あなたもう喋れなくなってしまったの?それとも警戒しているの?
 大丈夫よ。私はもうあなたを虐めたりはしないから。」


体も半分溶け、薄れゆく意識。ありすはなぜか、その女性の美貌に見とれていた。

「(とてもきれいなひと・・・なのに、どうして・・・)」

end




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最終更新:2008年09月14日 08:33
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