ゆっくりCUBE外伝(後)
※昔から好きだった映画見てたら思いついたよ、やっと




「ゆぐぐぐぐぐぐぐ」
生き残ったうちの一匹の霊夢は狂いそうになる自分を必死で堪えていた。
今考えるのをやめてしまえば完全にゆっくりできなくなる、そんな気がしたからだ。
全部で7匹となったゆっくり達は、細切れになった仲間達を見ながら奥へ進んだ。
「ゆぅ、またへんなところだよ」
新しい部屋に入り、れいむは疲れ果てたように言う。
数々の罠を乗り越えてきたが、体も限界を超えていた。
「みんな、がんばろうね」
部屋は開けた場所で、出口が一つと入り口が一つ、そしてその中心には一本の小型のナイフが置かれていた。
丁度、ゆっくりが口で持って振り回せるサイズである。
7匹はそれを無視して出口へ向かうが、扉は開かなかった。
「ど、どぼじで……」
いくら体当たりしても、扉は開かない。
すると、部屋のどこからか女性の声がした。
「はーい、皆ゆっくりしてるかしら?」
突然聞こえた声にゆっくり達は仰天して飛び跳ねた。
しかし、声が聞こえると分かった一匹のありすが助けを求めた。
「おねーさん! こんなところじゃゆっくりできないわ! はやくたすけてね!」
「ええ、いいわよ。じゃあこの部屋の出方を教えてあげる」
その言葉にありすは安堵した。どうやら敵じゃないと判断したらしい。
女性の声は続ける。
「扉に器があるでしょう? その器の底にたくさんの餡子を詰めれば自動的に扉は開くわ」
安堵していたありすとその仲間たちは一斉に青ざめた。
器は、砂時計のような形をしていて、底には秤らしき銀板が置かれていた。
れいむ達は自分達を構成している物は分かっている、だからこそ恐怖した。
「あ、ちなみにそれ一匹分のゆっくりの餡子かカスタードが必要だから」
「ぐぎぎぎ! どうじでぞんなごどいうの!?」
「どうしてって……私は単にそこを出る方法を教えただけじゃない」
女性の呆れた声に、れいむは苛立った。
疲れと怒りに満ちたゆっくり達の頭には、餡子を分け合うという考えすら浮かばない。
「ゆがああああああああああああああああ!!! ゆっぐり! ゆっぐりぃ!」
一匹のまりさが狂ったように叫び、部屋の中心にあったナイフを口にくわえた。
その目は血走り、歯は剥き出しになり、生き残るという本能しか残っていない。
「ま、まりさ! どうしたの? ゆっくりしてよ!」
まりさの親友だったありすが落ち着かせるように言うが、まりさは聞く耳をもたない。
ナイフを振りかざし、襲い掛かってきた。
「いぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! いだい! やべっでべぇ! いだいよぉ!」
ありすの体に突進し、ナイフが突き刺さる。それを何度も繰り返した。
他のゆっくり達は恐怖でその場を動けない。
「あぎっ! ぐっ……! …………」
ありすの悲鳴は段々と小さくなり、やがて消えた。
まりさはナイフを突き刺した時に出てきたカスタードを舌で運び、器の中に流し込む。
だが、大雑把にカスタードを入れたためか扉は開かない。
「ぎゅふー、ぎゅふー」
ナイフを咥えた口の端から涎を漏らし、次なる獲物を探すまりさ。
武器や対抗手段の無いほかのゆっくり達はただ逃げる事しかできなかった。
「やべでえええええええええ!! ごっぢごないでええええええええええ!!!」
「まりざのためにゆっぐりじでね!! れいむ!」
再びれいむの体にナイフをつきたて、体中の餡子をかきだす。
二匹の犠牲を払ってようやく扉は開いた。
「ゆっくり! これでゆっくりできるよ! ゆへっへへへへええへへへへ」
まりさは歓喜しながら開いた扉の奥へと吸い込まれていった。
4匹の残されたゆっくり達は、ただ呆然としていた。

「ゆげへへえへへへ! ゆっくりできるよ!」
狂ったまりさは暗い廊下の中を突き進んでいた。
その部屋がもう次の部屋だとは知らずに。
「ゆへへへへへ ―――ゆっ!?」
突然訪れた浮遊感にまりさは驚く。
次の瞬間、戸惑いは激痛に変わった。
「いぎぇえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!! ゆごがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
全身を貫く痛み。辺りを見れば、底には大量の針があった。
まりさは廊下を渡っている途中、開いていた床に飛び込んでしまったのだ。
痛みから逃れようとジャンプするが、着地した場所も針の山。再び激痛が走る。
「ぎゃお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!?!?! だじげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」
この悲鳴は、まりさが死ぬまで続いた。

一方取り残された4匹のゆっくり達は、その声に怯えながらも廊下を進んでいた。
途中、穴があってそこから悲鳴が聞こえたが、見たくなかったので無視した。
ちなみに、生き残っているのはれいむ二匹、まりさ一匹、ありす一匹である。
「ゆゆ? いきどまりだよ?」
「ど、どうじで……」
「ゆぅ、ここがだめならべつのばしょをさがしましょ!」
ありすが先程の場所に戻ろうとした途端、何かに引っかかった。
「ゆっ!?」
それはゆっくりの体をつぶさんとばかりに挟む。
慌てて三匹はありすの髪を噛んで引っ張った。
「ゆごおおおおおおおお!!」
引っ張られる痛みにありすは悲鳴を上げるが、三匹は助けるために必死だった。
その時、地面が少しばかり揺れた。
「ゆぐっ?」
引っ張りながらもれいむは周囲に警戒を払った。
「いだい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!! だずげ…………」
先程まで叫んでいたありすも黙った。
罠が発動した事を感じ、急いで三匹は引っ張る。その時はなぜかありすの体が軽かった。
「ゆ、やったよ! あり……ずう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!?!!?」
助け出したことを喜んだのも束の間、ありすの顔半分がなくなっていた。
頭のカチューシャから前半分は、どこへ行ってしまったのだろうか。
「どぼじでええええええええええ!!?!?!」
実は、ゆっくり達が行き止まりだと思っていた場所はエレベーターで、丁度扉が閉まるときにありすが挟まってしまったのだ。
動きだしたエレベーターと、止まっている壁に引っかかり、ありすが千切れたというわけだ。
「ゆっゆっ……」
ついに三匹となったゆっくり達、もう生気の無い虚ろな目だった。
次に来た部屋は天井が高く、周りにはたくさんの段差があった。
そしてその天井には、太陽の光が差し込んでいた。
「ゆぅ! でぐちだよ!」
「まりさ! ここからでられるよ!」
「そうだね! やっとでられるよ!」
ゆっくり達は互いに励ましあい、段差を登り始めた。
少し来たところで、まりさはれいむに言う。
「れいむ……ここからでたら、いっしょにゆっくりしようね」
「ゆっ!?」
れいむは驚いた。一緒にゆっくりしようというのは人間で言う結婚しようの意でもある。
場合によっては意味も異なるが、少なくとも今はその意味で言っているのは確かだ。
「……うん! いっしょにゆっくりしようね!」
れいむの返事にまりさの表情はぱっと明るくなった。
ここから出て、一緒にゆっくりしよう。
いなくなってしまった皆の分も、ゆっくりしよう。
そう思っていた時、最後のトラップが発動した。
「おみずだああああああああああ!!」
もう一匹のれいむが悲鳴を上げた。
下を見れば、茶色く濁ったような液体が、徐々に床をに広がっていく。
さらに、つーんとした匂いがれいむの無い鼻をついた。
「ゆっくりできないよ! はやくのぼろうね!」
「ゆううううううう!!」
いそいで段差をジャンプして登っていく。
しかし、段差は段々とゆっくりが上るのにも辛い高さになっていった。
「ゆっ……ぐぅ!」
髪を使って仲間を引き上げ、歯を使って段差に食らいつく。
それを仲間が支えて段差を上る。
繰り返しているうちに、ついにゆっくりたちは半分までたどり着いた。
液体は未だに下のほうに溜まっている。
「ゆ! このままならでられるよ!」
「れいむ! ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
三匹は唱和して互いに勇気付けた。
その時、れいむは空から何か落ちてくるものを見た。
「ゆべぇっ!?」
それがもう一匹のれいむに当たった。
「れいむぅ!? だいじょうぶ!?」
「ゆっ……だいじょう……ぶじゃないよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」
れいむは悲鳴を上げて転げまわった。
その髪には、マッチ棒と火がついていた。
ものすごい勢いで火達磨なったれいむは、転げまわっているうちに段差から落ちてしまった。
「れいむううううううううううううううううううう!!」
「どおじでえええええええええええええ!!」
その悲鳴が爆発音に変わった時、二匹は恐怖した。
床が燃えている。そしてその炎が上に向かってやってくるではないか。
れいむが水だと思っていたのは実は油で、火達磨になったれいむが落ちたために引火したのだ。
まるで自我を持ったように炎は段差を上がってくる。
段差にも、うっすらと油が塗られていたのだ。
「れいむ! いそいでうえにいこうね!」
「ゆっくりできないよおおおおおおお!!」
二匹は再び協力して上に上がる。
しかし炎の勢いはすさまじく、すぐに二匹の背後にやってきた。
「あづううううううう!! あづい!! もべる!!」
「……!!」
れいむの体に引火して、髪が燃え始めた。
まりさは段差を見る。最初に登ってきた時のように段差は低くなっていた。
一瞬、れいむを置いていくという考えがよぎったが、助ける事にした。
「れいむ! このかみにつかまってね!」
「! ありがとうまりさ!」
れいむが髪を咥え、引っ張りあげられる。
その時、れいむの体の炎が少しまりさを舐めた。
「あぢゅっ!!」
「ゆっ!?」
逃げ出そうとして、思わずれいむを突き飛ばしてしまった。
一個下の段差に落ちたれいむは瞬く間に炎の洗礼を受ける。
「ゆぎゅあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「ゆ……ゆ……ゆっくりしていってね!」
涙を流しながらまりさは段差を上がっていく。
仕方なかった、そう思い込もうとした。
何度も何度も心の中で謝りながら、まりさはついに天井の窓に達した。
『あら、ゴールできたのね? 偉いわ』
前の部屋で聞こえた女性の声がした。
女性は窓の上からしゃがんでまりさを見下ろしている。
「だじで! ごごがらだじでぇ!!」
『ええ、いいわよ』
女性が窓の蓋を開け、手をさし伸ばす。
その手に乗ろうとした瞬間、まりさは勢いよく引っ張られた。
「ゆ゛ぐ!?」
『あら?』
振り返ってみれば、火達磨になったれいむが狂気の目でまりさの髪を噛んでいた。
「じぬどぎも、いっじょだよ」
そのまま力尽きて落ちたれいむに引っ張られ、まりさも炎の中に落ちていった。
「どおじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」
長い長い悲鳴が続き、炎に焼かれながらもまりさは必死で叫び、助けを求めた。
だが女性は何もせず、くすりと笑うと窓の蓋を閉じた。

■■■

「ってなわけで、正解は全滅ってことで」
「どうかしら? 当たった? はずれた? ゆっくりってゴキブリ以上に生命力あるから逆にこうすると楽しいのよねぇ」
「どう? これほど大掛かりではないけれど、河童に頼めば似たようなのは作ってくれるけど」
「そう……じゃあ期待しているわ、売上の20%は私のところにちょうだいな、じゃ、よろしく」

ゆっくりCUBEに続く……

■■■

あとがき
最後のまりさは紫様のパンツ見えてたんじゃないだろうか、そう思うとうらやましい
ゆっくりCUBEは元々紫様が作ったんですよ、スキマ使っていろんなもの取り入れて
そこにゆっくりをぶち込んだらどうなるかなぁってのを見せ付けたわけですよ、彼女に
んで、彼女がそれは面白いと思って河童に頼んでできたのがCUBEシリーズってわけです

元ネタ映画
発狂したゆっくりが仲間を殺していく→シャイニング(光ってなかったけど)
砂時計型の器がある扉→オリジナル
針→SAW2(なんで3・4作ったの)
エレベーターに首ボーン→デッドコースター&バイオハザード(実はヤングスーパーマンって説も)
下が大火事→インビジブル(だったかな、透明人間の奴のラスト)
炎が登ってくる→なんとかインフェルノ(? 炎が生きてるみたいな奴)
最後のれいむのセリフ→バックドラフト(死ぬ時は、一緒だ)

そういえばバックドラフトのサントラの中にあるはずの無い声が入ってるとか何とか
興味のある方は聞いてみて、ただソースがUSOだったから怪しいけど

もっと生き残らせ解けばよかったなぁ、ゴーストシップのワイヤーやりたかったよ

こいつが書いた作品
このアフォが書いた作品。
霊夢の怒らせ方
ゆっくりデッドライジング1~3
霊夢のバイト
慧音先生とゆっくり
ゆっくりCUBE1~2
ゆっくりと男
虐待おねーさん
紫饅頭にクイズ出せば自滅してくれる
昔の遊び
ゆっくり戦争
ドスまりさの真実
妹紅と
雨の日
白線でたら死ぬよな普通
ゆっくりCUBE外伝

USJ行ってきました:神社バイト

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最終更新:2022年05月04日 22:52