※善良で罪のない加工場がちょっと酷い目に遭います
※拙作「ゆっくりいじめ系1742 あるてぃめっとれいぱーありす2」の続きです
 一応読んでなくてもわかるように書いているつもりです
※すっきり描写がむやみやたらにあります
※独自設定がマッハ
※ありすのスペックがチート


あるてぃめっとれいぱーありす3 前編


「へぇ……加工場の新製品が大セール、か」
 昨日、山道で偶然拾った文々。新聞のトップ記事。拾えるだけでも珍しいのに、そのう
え加工場の記事とは嬉しい。わくわくしながら読み進め……しかし、俺はすぐに後悔す
る。
「なんだよ。新製品ってゆっくりありすのカスタード製かよ……」
 今まで何匹ものゆっくりを飼ってきた。
 ゆっくりは、気に入れば可愛がり気に入らなければ虐待した。
 気まぐれに、適当に。もう何匹のゆっくりと出逢い、別れて来ただろう。
 ゆっくりにちなんで三匹目から先は数えていない。
 そんな俺だったが、今はゆっくりを飼う気にはなれなかった。とくにありすは、だ。

 それは、今まで飼っていたれいぱーありすのせいだった。

 常時発情していたれいぱーありす。飼うのも一興と思ったが、発情はうざい。そこで俺
は毎朝すっきりーさせることで、まともなありすにしていた。
 いや、正確に言うなら……「していたつもり」、だった。
 確かにありすは見た目、まともなゆっくりになった。だが俺の手ですっきりーテクを鍛
えられたありすは、何というかこう……逸脱した。もはや妖怪の領域、「あるてぃめっと
れいぱー」とでも呼ぶべき存在と化してしまった。
 どのくらい規格外かと言えば、襲ってきたドスの群れを単体で全滅に追い込んでしまっ
たほどだ。あの凄まじいれいぷっぷりは、ゆっくりの虐待に慣れている俺でも怖気立つお
ぞましいものだった。カスタードという単語を見るだけで、あの夕陽に照らされ粘液にま
みれ、ありすに犯されつくされるドスの最後の姿が思い浮かんでしまう。未だに夢に見て
うなされることがあるくらいだ。ゆっくり如きにトラウマ作らされるなんて、情けなくっ
て泣けもしない。
 だから、加工場の製品は質が高くて大好きなのに、そのうえセールだというのに、俺に
は嬉しく思えないのだ。
 ――いや、気にしすぎだ。あのありすは俺の手を離れた。野生には捕食種を始めとした
危険が幾らでもある。もう生きちゃいまい。だから、二度と出会うことはないはずだ。
 大丈夫だ。ゆっくりごときのことで気を病んだりする必要なんて無い。ほら、こんな冗
談だって言える。
「意外とこの加工場の新製品って、あのありすで作られたりしてな」




 おにいさんが文々。新聞を拾う、一ヶ月程前。
 あるてぃめっとれいぱーありすは馬車に乗せられ加工場に運ばれていた。
「ゆうぅぅ~」
「がごうじょいぎだぐない~……!」
「ゆっぐじでぎないよぉぉぉぉ~!」
 密着するゆっくりたちの嘆きの声。何匹ものゆっくりとまとめて袋詰めにされた圧迫
感。伝わってくるガタガタという振動は、ゆっくりたちの震えばかりではなく乗り心地最
悪の馬車の荷台の揺れだ。
 ありすは不愉快だった。しかし、それはこの環境の悪さが最大の原因ではない。

 自分のれいぷを邪魔されたこと。それが一番不満だったのだ。

 あれからありすはいくつものゆっくりの群れに「とかいはのあい」を振りまきながら旅
をしてきた。愛を振りまく……すなわち、れいぷしてゆっくりを殲滅することだ。
 ありすのれいぷは入念だった。かつて、野良だった頃、「あるてぃめっとれいぱー」に
なる前のような、見つけたそばから襲っていく闇雲なものではない。まずは性欲のないあ
りすを装い群れに入り込み生活する。そしてゆっくりの数と巣の位置をしっかり確認し、
機会を窺った上でことに及ぶのである。残さず余さず、群れのゆっくりをれいぷし尽くす
ためである。れいぷのためなら性欲だって抑える。矛盾しているようにも思えるが、適度
なガマンはより大きな快感を味わうためのスパイスになる。ありすにとって、これは実に
「とかいは」なやり方なのだ。
 そして、つい先ほど。集会に群れすべてのゆっくりが集まり、これこそ好機とれいぷを
始めようとしたとき、加工場の職員達が乱入してきて捕らえられたというわけである。群
れが一つに集まるのを待っていたのはありすだけではなかったのだ。
 ありすにとっては何日も前から群れに入り込んだ苦労も、すっきりーをあえてガマンし
て盛り上げてきた気分も台無しにされたのである。
「ぜんぜんとかいてきじゃないわっ……!」
 今のありすには、カスタードに刻まれた加工場の恐怖より、れいぷを邪魔された不快感
の方が勝っていた。
 加工場はあらゆるゆっくりがゆっくりできない場所。
 とかいはと言う言葉からかけ離れた場所。
 どんなゆっくりも知っている絶望。
 しかし、ありすのこれまでのれいぷ歴とゆっくり特有の無根拠な前向き思考が、異常な
決意を導き出す。
「じゃあ、かこうじょうをありすが”とかいは”にこーでぃねーとしてあげないとねっ…
…!」
 ありすは、その足りないカスタード脳の中に、あまりにも分不相応な野望を抱いた。


「おら、お前ら! お待ちかねの加工場についたぞー」
 ありすは袋の中から乱暴に投げ出された。
 十メートル四方ほどの大きな檻の中だった。
 下は地面。四方は人間の背丈ほどの、ゆっくりには飛び越えることが不可能な高さの柵
に囲まれている。上方は開けていた。
 ここは加工場の選別場。まずここに捕まえた野良ゆっくりを袋からぶちまける。柵の高
さはゆっくりの逃走防止に十分で、かつ荷台からゆっくりを放り込むにはちょうどいい。

 選別場に放されたゆっくりは、あとで専門の職員が質のいいものを抜き取る。残りはま
とめて低価格帯の商品として加工・出荷されるのである。
 しかし、ありすは加工されるつもりなどない。ありすの考えることはいつだってれい
ぷ。それは運ばれる最中も例外はなかった。
「げっ、なんだこりゃ……?」
 職員の驚きの声にありすはニヤリと笑む。
 ゆっくりを見慣れた職員が驚くのも無理はない。ありすが入っていた袋にはれいむにま
りさ、みょんにちぇんと、各ゆっくり種がいた。
 しかし今、ありすと共に袋から出てきたのは、いずれもありす種。それも、あるてぃめ
っとれいぱーありすを除けば全て子ゆっくりなのだ。地面を覆い尽くす金髪の群れは、上
から見る職員にとってさぞや異常なモノだろう。
 その光景に圧倒されて気がつかない。ありすたちのあんよのしたにある、中身を失い潰
れたれいむやまりさのなれの果てに。

 これは、ありすの新必殺技によるものだった。

 ありすが元々もっていた必殺技は”十六夜”。これは時間を止めたかのような瞬間十六
連すっきりーを放つ絶技である。普通のゆっくりが受ければ一瞬で枯死。ドス相手に使っ
た場合は十六体のれいぱーありすを生み出し群れを殲滅する、文字通りの必殺技だ。
 しかし、威力は絶大ながらこの技は汎用性に欠ける。ドスのいない群れではあまり意味
がないのだ。
 そこで、ありすは気まぐれれいぷ紀行の中で、より使い勝手のよい新たな必殺技を身に
つけていた。

 その名は”さくや”。

 その実体は、”十六夜”の威力抑制・精度向上版である。
 ”さくや”が炸裂すると、対象のゆっくりはにんっしんっする。それも、かならず「胎
生型」かつ「双子」で、しかも例外なく「ありす種」が、だ。
 そして赤ゆっくりは”十六夜”と同様に急速に成長、親の餡子を一瞬にして吸い尽く
す。そして子ゆっくりサイズまで成長した時点で出産される。と言うより、母体の都合な
どまったく省みず勝手に生まれ出るのだ。
 双子の子ゆっくりは、生まれた時点で並の成体れいぱーに匹敵する身体能力と、卓越し
た「すっきりーテク」を持つ。
 即ち、成体ゆっくり一体をれいぷすれば二体のれいぱーが生まれるのだ。
 ”十六夜”は全精力をかけるが、この技ではその情熱を抑え、夜に咲く花を愛でる想い
ですっきりーすることで放つ。そこから”さくや”と名付けた。実に「とかいは」なセン
スである。……このありすはそろそろ自分が誰にケンカを売ってるのか自覚した方がい
い。
「さあ、おちびちゃんたち! またせたわね!」
 ぐるりと見回す。あたりには、先に選別場に離された何匹ものゆっくりたちがいる。
「すっきりしていってね!」
「「「んほぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
 ありすの呼びかけに、子ゆっくり……「あるてぃめっとの子ゆっくり」たちは欲情し、
一斉にゆっくりたちに襲いかかった。
「れいぱーだああああああ!」
「れいぱーはゆっくりできないよぉぉぉぉぉ!」
「やべでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! こっちこないでぇぇぇぇぇ!」
 ただでさえ加工場にいるという不安の中、そのうえれいぱー集団の突然の襲撃。ゆっく
りたちはすっかり混乱して逃げまどう。しかし柵で囲まれた檻の中、逃げ場はない。その
上「あるてぃめっとの子ゆっくり」たちは、ゆっくりにあるまじき連携のとれた動きで無
駄なく巧みに追いつめていく。
 通常のれいぱーは、自分の欲望を満たすためだけに行動する。結果群れを形成すること
もあるが、個を犠牲にしてまで連携を取ることはない。だが、あるてぃめっとれいぱーの
生みだしたゆっくりは違う。常に個ではなく全を優先した行動をとる。ときには自分を犠
牲とし、別のれいぱーに道を譲ることさえある。すべてはれいぷの為。一匹残さず犯し尽
くしたいという強烈な願望にして本能。それが「あるてぃめっとの子ゆっくり」たちをひ
とつの生き物のように完璧な連携で動かせるのだ。
 しかし、この子ゆっくりたつの恐るべき点はそれだけに留まらなかった。
「んほぉぉぉぉ! すっききりーーっ!」
 次々とれいぷされるゆっくりたち。選別場内で起きているという点では異常な事態では
あったが、ありすのれいぷそのものは加工場の職員には見慣れたものだ。
 その職員にして驚愕に震えた。
 れいぷされたゆっくりは、一瞬にして胎生型にんっしんした。のみならず、すぐに出産
した。というより、親の体内からむりやり出てきた。
 出てきたのは、双子のありす。それもその大きさは、子ゆっくりのそれだった。残され
た親ゆっくりはと言えば、この成長に急激に餡子を奪われ皮だけになり、まるで空気の抜
けた風船のように潰れていた。
 「あるてぃめっとの子ゆっくり」の真に恐怖すべきこと。それは、いずれもが”さくや
”を使いこなすことである。すなわちこのれいぱーは、れいぷするたびに仲間を増やして
いくのだ。
 ”十六夜”が対ドスの群れ用の殲滅技とするならば、”さくや”は通常のゆっくりの群
れ用の殲滅技と言えた。
 瞬く間に増えていくありす。その異常な有様に、選別場の周りには何人かの職員がいた
というのに、その誰もが目を奪われてしまった。
 ゆえに、見逃した。気がついた時には遅すぎた。
「お、おい! 選別場の扉が開いてるぞっ!」
 「あるてぃめっとの子ゆっくり」は選別場から逃げ出すことに成功した。
 柵の高さは通常のゆっくりでは飛び越えることの出来ないものだ。それはれいぱーあり
すの身体能力をもってしても同様だ。
 しかし「あるてぃめっとの子ゆっくり」たちは、自らの身体を積み重ね階段を作ること
で解決した。本来、自分勝手なゆっくりには出来ない連携。加工場の職員たちにとっても
想定外だった。
 選別場には、あとで選別員が入れるように扉がついている。この扉が簡単なかんぬきで
封じられていたのもありすたちに幸いした。外に出た数匹の「あるてぃめっとの子ゆっく
り」たちが扉を開けることに成功してしまったのである。れいぱーはれいぷのためならゆ
っくりらしからぬ賢さを発揮するのだ。
 そして、れいぱーありすの群れは解き放たれた。
「さあ、いくわよおちびちゃんたち……!」
 あるてぃめっとれいぱーありすの抱いた分不相応な野望。それは、加工場を「とかいは
のあい」で満たすこと。
 すなわち、加工場をれいぷすることだった。


 最悪のれいぱー、「あるてぃめっとの子ゆっくり」が解き放たれ、加工場は混乱に包ま
れた。
 なにしろ加工場と言うくらいだ。そこかしこにゆっくりはいる。だから「あるてぃめっ
との子ゆっくり」は簡単に増えることが出来る。
 「あるてぃめっとの子ゆっくり」たちはれいぷした。普通のゆっくりはもとより、赤ゆ
っくり子ゆっくりの区別なく犯した。虐待死寸前のもの、廃棄予定のもの、パッケージ済
みの加工品さえも、生きてさえいれば区別無くれいぷし、着実に数を増やした。ありす種
だけは襲わなかった。しかしそれは犠牲が減ったのではない。れいぱーが増えただけの話
だ。このれいぷの暴風の中、その本来持つ性欲を抑えられるありす種など存在しなかっ
た。
 ゆっくり用の飼料があるのもその勢いを後押しした。ほとんどが量産用の生ゴミレベル
の飼料だが、量だけはたくさんある。どんなにまずかろうと食べた。れいぷするためには
体力が必要なのだ。異常な成長を遂げて生まれた子ゆっくり達は、十分な栄養を得て瞬く
間に成体サイズまで成長し、その力を増した。
 加工場は「外から攻められること」と「内からの脱走」を阻むことについての対策は万
全だ。前者はときおりとち狂ったゆっくりの群れがドスを伴い襲いかかってくる時の為で
あり、後者は安定した生産のためだ。本来はそれで十分であり、仮に予想外の事態が起き
ようが所詮はゆっくり相手、なんとでもなった。
 しかし、この脱走の域をはるかに越えた大量のれいぱーの乱舞にはさすがに対応しきれ
なかった。
 本来ならゆっくりには破れない柵や扉も、数の圧力で押しきられた。
 加工場には当然優秀な職員が何人も務めている。ゆっくりの処理ならお手の物だ。しか
し、一匹を潰す間に二匹現れ、二匹を相手する間に四匹が脇をすり抜けていくようなこの
異常な状況に収拾をつけるには至らない。


 終わりの見えない混沌のれいぷ地獄。その喧噪をよそに、あるてぃめっとれいぱーあり
すは一匹、ある場所にたどり着いてた。
 れいぱーの勘が導いたその場所は、この加工場の要と言える施設の一つ。
 「ドス倉」だった。
 巨大な倉。その中央には一匹のドスがいた。
 いや、ちょっと見ただけではドスとはわからないかも知れない。
 大きい。そして、丸い。印象はそれだけだ。帽子もなければ髪もない。目と口だけは残
されていたが、それがなかったらゆっくりかどうかすら判別できないかもしれない。
 直径10メートルもの大きさのそれは、もとは普通のドスだった。それが、餡子の生産
に必要な機能以外すべて削られた。もう自分では動くことも出来ないし、下手をすれば倒
れてしまうだろう。ドスは木の枠で囲まれていたが、これは逃走の防止ではなく転倒させ
ないためのものだった。目と口が残っているのは恐怖を見せたり辛いものを食べさせたり
と、苦痛を与え味を調整するためだけに過ぎない。
 絶え間なく恐怖と苦痛を与えられ、そして時折餡子を採取される。良質かつ大量の餡子
を安定生産する。ドスはただそれだけの存在になっていた。もはやゆっくりではなく、餡
子製造器と言えた。
 今、この「ドス倉」に職員はいない。「あるてぃめっとの子ゆっくり」の対応に追われ
ているのだ。
「ぶざまね。まったくもってとかいはじゃないわ」
「……ゆ……?」
 ありすの声にドスがわずかに反応する。その目はここ数ヶ月、感情を宿したことがな
い。もはやあらゆる苦痛と恐怖を与えられたこのドスは、ゆっくりと摩耗していた。遠か
らず廃棄される予定になっていた。
 だが、
「ありすがとかいはのあい、そそいであげる!」
 ドスは目を見開いた。その目は驚きという感情を宿していた。
 長いこと使っておらず退化したはずのまむまむに入り込むモノがあったからだ。
 ありすだ。れいぱー特有の粘液と「れいぱーばいぶれーしょん」の振動でもって、もう
機能しないはずのまむまむを活性化、強引に身体をねじこんでいくのだ。
「ゆっ……ゆっ……!」
 ありえない。もはや遠い昔に失ったはずの感覚。ドスは欲情していた。快楽に身を焦が
していた。
 それは苦しみの時ばかり過ごしてきたドスにとって、久しぶりにもたらされたしあわせ
と言えるかも知れない。
 しかし、ゆっくりのしあわせなど破られるためにあるようなものだ。それはこのドスも
例外ではない。
 なぜなら、ありすが手加減無く放ったのだから。

「すっききききききききききききききききりーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」


 必殺技”十六夜”。
 瞬間的に十六発分の「せいしカスタード」をはなつ絶技。
 かつてこの技が炸裂したとき、群れを率いた野生のドスは十六本の茎と十六匹の成体れ
いぱーありすを生みだすハメになった。
 しかしそれは、旅立つ前のこと。野生で技を磨く前の、まだ未熟なときのことだ。その
時より数段実力を増したれいぱーありすは、今、全力全開手加減無しで”十六夜”を放っ
た。
 たちまち伸びる十六本の茎。そのどれもが、以前のものより太く長い。
 そして何より驚くべきは、生ったゆっくりの数。
 十六匹。一つの茎につき、十六匹もの成体ありすがなっていた。
 即ち十六×十六、実に二百五十六体もの成体ゆっくりありすが生まれたのだ。
 これにはさすがの加工場製ドスもたまらない。餡子製造器だけあって栄養状態は実に良
好で、直径十メートルもの巨体でもある。それでも一瞬にして二百五十六体ものゆっくり
に餡子を吸われるなど、耐えられるはずもなかった。
 快感から一転、かつてない絶望的な喪失感に苛まれる。ひとときの幸福では割に合わな
い圧倒的な不幸を味わうハメになる。
 ぱんぱんに膨れていた巨大な球があっという間にしぼんでいく。中の餡子をごっそりと
奪われ、通常のれいぷのように黒ずみ死ぬことも出来ず、皮だけは色つやを失わず、しか
し潰れる。その最中、二百五十六体の成体ゆっくりは最後とばかりに茎すらも吸い尽く
し、見事に生まれ落ちた。
「すっきりしていってね!」
「「「んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」
 あるてぃめっとれいぱーに答える声。その多重な音量はもはや軍の大部隊の鬨の声に等
しい。その印象をまったく裏切らず、新たな「あるてぃめっとの子ゆっくり」達は加工場
へと陣形を揃え攻め入っていった。
「がんばってね、ちびちゃんたち……」
 満足げに呟くありす。
「ゆぐぅ……」
 その声に応えたというわけでもないが、ドスは苦鳴を漏らした。
 驚くべき事にドスは生きていた。ぺしゃんこになりながら、辛うじて中枢餡と生存に必
要最低限な餡子は残っていたらしい。何という品質の良さ。この加工場の技術の水準は紛
れもなく一級であり、職人達の巧みの技は本物だった。
 ありすはすっきりした顔でドスに語りかける。
「とかいはなあいにつつまれて、よかったわね?」
「………」
 ドスは答えない。答える余力もなければ答えられるような質問でもなかった。
 それでもありすは満足なのか、上機嫌で潰れたドスの上にのっかると安らかに目を閉じ
た。
 新たに二百五十六体もの、いずれもあるてぃめっとれいぱーに匹敵する実力をもつ成体
ゆっくりありすが加わった。もはや趨勢は決まったと言えた。
 ありすも満足して一休みするつもりなのだろうか?
 いや、違った。
 体表は粘液でぬめり、身体は小刻みに震えている。口の端からはだらしなく涎が漏れ、
ぺにぺにはそそり立っている。
 ありすは発情していた。
 ゆっくりは、外見上は鼻も耳もない。
 その感覚をどう補っているかは諸説様々だが、このあるてぃめっとれいぱーに限っては
決まっていた。
 全身の、モチモチれいぱー肌である。
 この肌が空気の振動を音として捉え、空気中の微粒子を匂いとして感じ取るのだ。数多
のれいぷで鍛えられたその感度は極めて高く、れいぷ最高潮な今はその精度も極限まで高
まっていた。
 「あるてぃめっとの子ゆっくり」達とは親子の繋がりとれいぱーとしての本能の共振に
よりある程度感覚を伝えることも出来た。
 それらにより、ありすにはこの加工場の様子が手に取るように感じ取ることができるの
だ。

「やべでぇぇぇぇ! れいぶにはまりざがいるのにぃぃぃぃ!」
「ちょっとのうわきするぐらいが、とかいはでいいのよぉぉぉ!」
「いやだぁぁぁぁ! ずっぎりじだぐなぃぃぃぃぃ!」
「つんでれなまりさぁぁぁ! かわいいわぁぁぁぁぁ! でもそろそろでれてもいいのよ
ぉぉぉぉ!」
「むきゅぅぅ! こんなのいけないことよぉぉぉぉ!」
「どんなごほんにものってない、とかいはな”ひみつのえーびーしー”、ありすがおしえ
てあげるわぁぁぁぁ!」
「わからないぃ! わからないよぉぉぉぉ!」
「いいわぁぁぁぁ! とかいはのあい、たっぷりとわからせてあげるわぁぁぁぁぁ!」
「ちーんぽ、まらまらまらまらちーんぽぉぉぉ!」
「わかるわぁぁぁぁ! ありすのぺにぺにがほしいのねぇぇぇ! いくらでもあげるわぁ
ぁぁ!」



 加工場の各所で発生するれいぷ。
 それをありすはこの場で動かずにして感じ取っていた。
 感覚を共有し連携を取りながられいぷする「あるてぃめっとの子ゆっくり」はもはや一
つの生き物であり、あるてぃめっとれいぱーありすはその頭脳と言えた。
 いわば、ありすは動かずして加工場をれいぷしているのだ。まさに究極のれいぷだっ
た。ありすにとって至高のゆっくりなひとときであった。
 そんなありすの眉が、不意にひそめられる。
 「痛み」を感じたからだ。
 時折、「あるてぃめっとの子ゆっくり」は人間に殺される。だから、「痛み」が伝わっ
てくること自体は珍しくはない。
 だが、尋常ではない強さ「痛み」があり得ない速度で広がってきたのだ。
 しかも、その痛みは迫ってくる。
 ありすはその目を開く。
 「痛み」が目前までやってきたのだ。

 そしてドスの間の扉が乱暴に開け放たれた。



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最終更新:2022年05月19日 11:24