anko4505 続・邪悪なる者達・転




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『続・邪悪なる者達・転』 20KB
群れ ゲス ドスまりさ 希少種 独自設定 26作品目、その3です。


……数日後。

「……とうとうもどってきましたね」
「うぉー……、なんだか、きんちょうするぞー」

あれからせーがとよしかは、再び山を越え谷を越え、かつて自分が頂点に立っていた山へと戻った。
途中でよしかがれみりゃにさらわれかけたり、あんよを滑らせて坂から転げ落ちたり、谷から落下しかけたりしたが、なんとか無事だった。

「さて……。いまこのしゅんかんから、せーがたちのぎゃくしゅうがはじまるわけです」
「おー!」
「ですが、むこうはどすまりさと、たくさんのまりさたち。こっちはせーがとよしかのみ。……このままでははなしになりません」
「うあ、あ……」
「まずは、じょうほうからあつめましょう。むれのばしょや、てきのかずなど……、しらなくてはいけないことがたくさんあります」
「お、おぉ……」
「だいじょうぶですよ。かずをかぞえたりするのは、せーががやりますから」
「おー!」
「さぁ……、どすまりさのむれをさがしましょう。たぶん、やまのあちこちにまりさたちがいるはずですから、みつからないようにいきましょう」
「おー!!」
「こえをちいさくしましょうね」
「わかったー!!」
「ちいさくなってない!!」

……少々の不安要素を残しながらも、せーがとよしかは、目立たないようにドスまりさの群れを探し始めた。



……欲深い敗北者の、復讐劇の幕が開ける。





続・邪悪なる者達・転

作:ぺけぽん





……数時間後。

「ふむ……、あれがどすまりさのむれですか……」
「まりさたちがたくさんいるぞー」

身を隠しながら山のあちこちを探したせーがとよしかは、ドスまりさの群れ……、しっこくのけものを見つける事が出来た。
二匹は今、茂みの奥から群れの様子を伺っていたのだ。

「おまえら!きょうこそはけっせんのひなのぜ!!あいつらにめにものをみせてやるのぜ!!」
「「「「ゆっゆっおー!!」」」」
「てきぜんとうぼうはゆるさないのぜ!!にげるやつは、このどすのむれにひつようはないのぜ!!」
「「「「ゆっゆっおー!!」」」」

二匹の視線の先には、あのドスまりさと、ドスまりさの群れのまりさ達がいた。
どうやら、二匹の存在には気付いていないようだった。
ドスまりさは今、自分の前にいる群れのまりさ達に、何やら激を飛ばしていた。

「どすまりさ……」

せーがは数日前の出来事を思い出していた。
自分の築き上げたものが、このドスまりさによって全て崩壊してしまった。

「どすまりさ……。……こんどは、せーがのばんですよ……」

せーがのその呟きには、揺るぎない決意が込められていた。

「さぁ、いくのぜ、おまえたち!!どすについてくるのぜっ!!」
「「「「ゆっゆっおー!!」」」」

ドスまりさはそう言って、どこかへと出かけ始めた。
ドスまりさの後ろを、数十匹のまりさ達が付いて行く。

「ごしゅじーん、あのどすまりさ、どこへいくんだろう?」
「ふむ……、きになりますね。こっそりあとをつけましょう」
「わかったぞー」

二匹はドスまりさ達に見つからないように、こっそり後をつける事にした。

「しかし……」
「おぉ?どうしたんだ?ごしゅじん」
「このまえみたときよりも、むれのまりさのかずがふえていますね……」

せーがの言う通り、群れのまりさ達の数は数日前と比べ、倍以上は増えていた。
先程、ドスまりさ達に付いて行ったまりさ達以外にも、群れで留守番をしているまりさ達がいた。
留守番をしているまりさ達の数を数えても、十分な位の数だった。
恐らく、これから先も増え続けるだろう。

「どすまりさもやっかいですが、あのかずのまりさたちもおなじようにやっかいですね……」
「ごしゅじーん、あいつら、そんなにふえたのかー?」
「あなたは、さんいじょうのかずはかぞえられないですからねぇ。あなたにしてみれば、どっちもおなじですか」
「うへへー、てれるぞー」
「ほめてません。……まぁ、どうするかはあとでかんがえましょう。いまはどすまりさたちのあとをおいかけるだけです」
「おー」

そんなこんなで、二匹がドスまりさ達の追跡を始めてから、数分後……。

「おい!!そこのれいぱーども!!どすまりささまのおでましなのぜ!!」

ドスまりさ達は、ある場所へと辿り着いた。

「んほぉっ!?まりさっ!?」
「んほわぁっ!!でっかいまりさ!!」
「うしろにも、たくさんのまりさたちがいるわぁっ!!」

……ドスまりさ達が目指していた場所とは、れいぱーありす達の群れだった。
ドスまりさはこのれいぱーありす達が、群れのまりさ達に悪影響を及ぼすと考え、近々排除しようと考えていた。
そして、今日決行に至ったのである。

「んほおぉぉぉぉっ!!まりさあぁぁぁぁっ!!ありすのとかいはなあいにこたえてくれたのねえぇぇぇぇっ!?」

ドスまりさ達の来訪に、れいぱーありす達の長、くいーんありすは興奮を隠さなかった。

「じょうだんいうんじゃないのぜっ!!きょうはどすまりささまみずから、おまえらをぶちころしにやってきたのぜっ!!」
「ひどいっ……!!ひどいわあぁぁぁぁっ!?ありすたちが、なにをしたのおぉぉぉぉっ!?」
「むれのまりさたちをれいぽぅしておいて、なにをいうのぜっ!!おまえら!!あのれいぱーどもをぶっころすのぜっ!!」
「う……」
「ど、どす……、どうしても、いかなくちゃいけないのぜ?」

群れのまりさ達は、目の前のれいぱーありすの前に怖気づいていた。
まりさ達にとって、れいぱーありすはトラウマものなのだろう。

「なきごとをいうんじゃないのぜっ!!おまえら、このままずっとこいつらにれいぽぅされつづけるのかぜ!?」
「そ、それは……」
「ここであいつらをころさなければ、あいつらはおまえらをれいぽぅしつづけるのぜ!!」
「そ、それはいやなのぜ……」
「だったらころすのぜ!!ふもとのかわのれんちゅうをころしたように、あいつらもころすのぜ!!」
「う……、や、やってやるのぜっ!!」
「れ、れいぱーども!かくごするのぜ!」

ドスまりさの言葉により、群れのまりさ達の戦意は少しだが湧いた。
……ここで逃げれば、後でドスまりさに殺されてしまうという事もあるのだが。

「みんなあぁぁぁぁっ!!えんりょはいらないわあぁぁぁぁっ!!このまりさたちに、とかいはあいをおしえてあげなさあぁぁぁぁいっ!!」
「「「「んほおぉぉぉぉっ!!」」」」
「「「「まりさあぁぁぁぁっ!!」」」」
「「「「すっきりいぃぃぃぃっ!!」」」」

くいーんありすの号令により、れいぱーありす達はヨダレやら何やら分からない液体を口やぺにぺにから流しながら突っ込んで来た。

「おまえらっ!!いまこそれいぱーどもをつぶしてやるのぜっ!!」
「「「「ゆ……、ゆわあぁぁぁぁっ!!」」」」
「「「「い、いくのぜえっ!!」」」」
「「「「おらあぁぁぁぁっ!!」」」」

……こうして、ドスまりさ達とれいぱーありす達の戦いが始まった。

「んほわあぁぁぁぁっ!!すっきりいぃぃぃぃっ!!」
「やべでえぇぇぇぇっ!!にんっしんっしたくないぃぃぃぃっ!!」
「しねえぇぇぇぇっ!!」
「んぎょわあぁぁぁぁっ!?ありすのぺにぺにがあぁぁぁぁっ!?」

あるゆっくりは犯し、あるゆっくりは殺し、色々な意味で餡子やクリームが飛び交っていた。

「おー!いいぞ!れいぱー!やっちまえー!」
「よしか、こえがおおきいです!」

……せーがとよしかは、近くの木の陰から、その戦いの様子を伺っていた。

「ふふ……、これはつごうがいいですね……」
「これはきっと、れいぱーたちのかちだな!なんか、いろんないみですげぇもん!」
「いいえ。これはれいぱーありすたちのまけです。どすまりさたちのほうががずがおおいですし、なによりどすまりさがいますから」
「あー……、そうなのかー……」
「ですが、これはなかなかおいしいですね。さいさきのいいはじまりですよ」
「え?なにかおいしいたべものがあるの?」
「……」

二匹がそんな会話を交わしている間に、戦いの決着はすぐ目前まで来ていた。

「ん……、ほぉ……」
「もっど……、すっき、り……」

まりさ達の必死の攻撃を前に、れいぱーありす達のほとんどは潰され、永遠にゆっくりしていた。

「み、みんなあぁぁぁぁっ!?」
「れいぱーのおやだま!のこるはおまえだけなのぜっ!!」
「ん、んほおぉぉぉぉっ!!まりさあぁぁぁぁっ!!」
「どすすぱーくっ!!」
「んぎょほわあぁぁぁぁっ!?」

残ったくいーんありすも、ドスまりさのどすすぱーくにより顔の半分を撃ち抜かれ、れいぱーありす達の後を追う事となった。
結果的にドスまりさの方にも数匹被害が出たが、ドスまりさ達の大勝だった。

「ゆっへっへ!!さぁ、おまえたち!かえるのぜ!!」
「「「「ゆっゆっおー……」」」」

疲れ果てたまりさ達を従え、邪魔者をまた一つ潰したドスまりさは意気揚々と群れへと引き返して行った。
……ドスまりさ達の姿が完全に見えなくなり、せーがとよしかは木の陰から出て来た。

「ふふふ……。さっそくゆんしーのざいりょうがてにはいりましたよ、よしか」
「おぉ!なかまがふえるぞ!やったね!ごしゅじん!」
「おい、やめなさい」

苦労せずにゆんしーの材料を手に入れる事となり、二匹はれいぱーありす達の死骸を見て喜んでいた。

「あ、ごしゅじん、このでけぇありすはどうするんだー?」

よしかの言う通り、死骸はれいぱーありすだけでなく、くいーんありすのものもあった。
体格はドスまりさ並みの為、ゆんしーに出来れば役に立つだろう。
……だが。

「……かおのはんぶんがふっとんでいますね。なおすには、このれいぱーありすたちのからだをつかわなければ……」

くいーんありすの顔の損傷が激しく、ゆんしーにするなら他のれいぱーありす達の皮やクリームを使う必要があった。
しかもサイズがサイズなだけに、れいぱーありす達の半分はゆんしーにする事を諦めなければいけない。

「うーん……、しかたがありません。このくいーんありすをなおしましょう。こっちのほうがやくにたちますし」

せーがはくいーんありすの体を修復し、ゆんしーにする事にした。

「ですが、これだけではまだまだたりません。もっとゆんしーがひつようです。なにか、いいほうほうはないでしょうか……」
「あ、ごしゅじんごしゅじん、さっきどすまりさが、こぶんのまりさたちに、ふもとのかわがなんとかっていってたぞー」
「あぁ、そうですね。どすまりさのはなしだと、ふもとのかわで、ゆっくりたちをころしたようですが……」
「いってみよう!ごしゅじん!」
「そうですね、そうしましょう。そこにしたいがあるのなら、いまはそこにいくだけです」

二匹はその情報を頼りに、麓の川へ行くべく山を降りるのだった……。



……数十分後。

「ふもとについたぞ!」
「……ここにくるのも、ひさびさですね」

二匹は山の麓に辿り着いた。

「よしか、おぼえていますか?むかし、やまのふもとにある、にんげんたちのむらをのっとろうとしたことがありますよね?」
「おぉ、そうだったな!でも、たしか、あきらめたんだよな?」
「えぇ……。いまは、あのむらはどうなっていますかね……」

せーがはそう言って、かつて自分が人間達から奪おうとした村のある方角を懐かしい眼差しで眺めていた。

「だったらごしゅじん、こんどにんげんのむらにあそびにいけばいいとおもうぞ!」
「できるわけないでしょう?せーがはさんざん、あのむらでぼうがいかつどうをおこなったのですから、めのかたきにされています」
「おぉ!そういえばそうだった!あのむらでは、きっとごしゅじんはゆうめいになっているぞ!」
「えぇ、えぇ。そうでしょう、そうでしょう」
「きっと、ずるがしこくて、あくどくて、いがいとうたれよわくて、ほんとうはやさしいゆっくりとして、かたりつがれているぞ!」
「……ん?なんかひっかかりますが、まぁ、いいでしょう。よしか、かわのほうへいきますよ」
「おー!」

二匹は川の方へと向かい、ゆんしーに出来そうなゆっくりの死骸を探し始めた。
その最中、せーがはある事に気付いた。

「あら……?このかわ、こんなによごれていましたっけ?」
「おぉ、ほんとうだ!まえはけっこうきれいだったのに!」

川が以前見た時と比べ、茶色く汚れていたのだ。
数ヶ月前までは、川の底が見える位に透き通っていて綺麗な川だったのだが、今ではその面影すら感じられない位に汚かった。

「もしかして、ゆっくりのしがいのあんこでよごれてしまったのでしょうか?」
「うおぉ、もしかしたら、とけてなくなっちゃったのかも!」
「うーん……、そうかもしれませんね。もうすこしさがしてみましょう」

この川の付近には、死骸はもうないのではないかという不安を抱えながら、二匹は死骸探しを続けた。
……すると。

「……ぁ。……ぱぁ……」

どこからか、ゆっくりの声が聞こえてきたのだ。
その声色から、どうやら泣いているようだ。

「むこうのほうからきこえますね。よしか、いってみましょう」
「おー!」

二匹は声の聞こえる方へと急いだ。

「かっぱっぱぁ……。かっぱっぱぁ……。どこにあるのぉ……?」

……そこには、一匹のゆっくりが河原で泣きながら何かを探していた。

「あのゆっくりは……。もしかして、ゆっくりにとりでしょうか?」
「しっているのか?ごしゅじん」
「はい。みずべにすんでいるゆっくりです。よくげんきにかっぱかっぱいっているんですが……。ここににとりはいないはずですが」

せーがの記憶が正しければ、この川の付近には、ゆっくりにとりは住んでいなかった。

「さいきんここにやってきたのかな?」
「とりあえず、はなしかけてみましょうか」

とりあえず、二匹はにとりに話しかけてみる事にした。

「あの、どうなされました?」
「こんにちはー!」
「ひゅいっ!?な、なに!?なんなの!?」

二匹の存在に全く気付いていなかったにとりは驚きの表情を隠さなかった。
……いや、驚き以外に、必要以上の恐怖が現れていた。

「あぁ、ごめんなさい。えーと、せーがたちは……」
「よしかたちは、このやまにひっこしてきたんだぞ!よろしく!」
「え?あぁ、はい。ひっこしのあいさつにきたんですよ。はじめまして」

よしかの嘘に合わせながら、せーがはにとりを落ち着かせる事にした。

「……あのどすまりさのなかまじゃないの?」
「はい。そうですよ。……あの、つかぬことをおききしますが……」
「このかわで、ゆっくりがころされなかったかー?」
「ちょ、よしか……、たんとうちょくにゅうすぎますよ」
「み、みんなは……、みんなは……。かっぱっぱあぁぁぁぁ……!」

にとりはわんわん泣き出してしまった。

(これは……。どんぴしゃですね)

せーがは内心そう感じていた。
恐らく、このにとりはドスまりさに殺されたゆっくり達の生き残りなのだろう。
でなければ、こんな反応は見せない。

(こうもなかれては、はなしをきけませんね。すこしおちつかせましょう)

せーがはさらに話を聞くべく、にとりを落ち着かせるのだった。
……数分後、ようやくにとりはある程度落ち着いた。
そして、ここ数日で何があったのかポツリ、ポツリと話し始めた。

「……にとりたちは、さいきんこのかわにひっこしてきたんだよ……」

にとりの話だと、このにとり以外にも、二、三十匹程のゆっくりにとりがいたらしい。
にとり達は自分達に合った水辺の住処を探しており、長い旅の末、ようやくこの川を見つけたそうだ。

「このかわで、おもいおもいにゆっくりしていたんだよ。……でも、なんにちかまえに、あのどすまりさが……」

……せーが達がこの山から離れていた時に、ドスまりさの群れのまりさがこの川にやって来た。
そして、『この川はまりさ達の物にするから、お前達は出て行け』と言ったのだ。
にとり達は、せっかく見つけたゆっくりぷれいすなのだから、出て行くのは嫌だと返した。
すると、使いのまりさはにとり達を川を一人占めにするゲスと罵った。
にとり達は別に川を一人占めにしている訳でなく、ただこの川に住んでいるだった。
だから、この川を使いたいならそれを止める権利は無いし、一緒にゆっくりした方が良いとも言ったが、使いのまりさは全く聞く耳持たずだった。
……結局、一方的な交渉は決裂し、つい二、三日前にドスまりさと群れのまりさ達がやって来て、にとり達を虐殺し始めたのだ。

「にとりはなんとかにげたけど……、ほかのみんなは……。う、うぅ……」
「そうですか……」
「あのどすまりさ、このかわにどすすぱーくをうちこんで、かわをめちゃくちゃにして……」
「……」
「こんなよごれたかわは、もう、いらないっていって……、かえっちゃったよ……」
「……」
「そりゃあ、こっちもやりかえしたよ。むこうもなんびきかしんじゃったよ。……でも、こんなの、ひどいよぉ……」
「うおぉ……。ごしゅじん、なける、なけるぞぉ……」
「……」

よしかはにとりにすっかり同情し、一緒に涙を流していた。

「それで……、あなたはここでなにをしているんですか?」
「……おねえちゃんのぼうしをさがしているんだよ。おねえちゃんのしたいはみつからないけど、せめて、ぼうしだけは……」
「そのぼうしって、いったいどんなんだー?」
「……にとりがかぶっているぼうしとおなじだよ」
「おぉ!それはそうか!」
「……そういえば、ここにくるとちゅうのみちで、みどりいろのなにかをみかけました」
「えっ!?どこ!?あんないして!おねがい!」

にとりに懇願されたせーがは、その緑色の何かのある場所へと案内した。

「あ……、あぁ……。これ、これだよ……。おねえちゃんのぼうしだよ……」

それは、にとりの姉の帽子だったようだ。

「にとりさん。おなかまのしがいは、どうなりましたか?」
「にとりがあつめられるだけあつめて、さっきのばしょに、うめたよ。いしをつみあげて、おはかをつくったよ……」
「そうですか。……それで、あなたはこれからどうなされるのです?」
「……もう、あそこにはすめないよ。……にとりは、しずかにくらせるばしょをさがすよ。……ありがとう。ぼうしをみつけてくれて……」

にとりはそう言って、フラフラと去って行った。

「……さて。よしか、いきますよ」
「お、おぅ……」

にとりの後ろ姿を見送ったせーがとよしかは、先程にとりがいた場所へと戻った。

「ここですね。にとりさんがいっていたおはかとは……」

二匹の目の前には、土が盛り上がっていて、石が何個か置かれている、出来合いの墓らしきものがあった。

「さぁ、ほりますよ、よしか」
「おぅ……」

二匹は顔を土まみれにしながら、土を掘り返し始めた。
……十分程は経っただろうか。
土の中から、にとりの仲間達と思われる死骸が出た。

「……ふふ……」
「……ごしゅじん?」

せーがはどこか乾いているような笑みを浮かべた。

「せーがたちは、ほんとうにゆるされないことをやっていますね……」
「……」
「このすがた、あのにとりさんにみられたら、ぜったいにころされていますね……」
「……そうだな」
「せーがも、あのどすまりさも、ほかのゆっくりからみれば、どうしようもないくずなのでしょうね」
「ごしゅじん……」
「ですが、せーがは、せーがのいきかたをこうかいしません。それが、せーがののぞむみち。それが、せーがのいきるみちなのですから」
「……」
「……しかし、これだけではまだたりません。もっときょうりょくなゆんしーがほしいですね」
「……ごしゅじん。だったら、あそこにいってみないかー?」
「あそこ?」

せーがはよしかが何を言っているのか、分からなかった。

「ほら、あそこだよ。……つよいゆっくりが、しんじゃったばしょだよ。どすまりさにころされた、ゆっくりたちの……」



……一時間後。

「なるほど。……ここのことを、すっかりわすれていましたよ。よくおぼえていましたね」
「ここのみんなには、まえにいろいろとあったからだぞー」

二匹は山の中へ戻り、ある場所へと赴いていた。
そこには、無数のゆっくり達の死骸が転がっていた。
……それは、どれも捕食種ゆっくりの……、ゆっくりふらんのものだった。
他にもまりさ種の死骸もいくつか転がっていたが、大半がふらんの死骸だった。
よしかは覚えていたのだ。
せーがとドスまりさが対峙した時、ドスまりさが言っていた事を。

『ゆっくりふらんのむれをつぶした』……という事を。

「このふらんたちは、よしかがかりにでかけたときに、たまにあっていたんだぞー」
「そうだったのですか……」
「よしかにかぶりついてあそんでくれたり、ほうりなげてたかいたかいしてくれたり、おそらをとんでふらんたちのすみかにしょうたいしてくれたり……」
(それは、あそんでくれたというんでしょうか?……よく、いきてかえってこれましたね。いちどしんでいて、まずくてたべられないからですかね?)
よしかの話に色々と疑問を感じたせーがだったが、敢えて聞かない事にした。
「まさか、こんなふうにしんじゃうとはおもわなかったぞー……」
ふらん達の死骸を眺め、よしかは寂しそうに言った。
「そういうものですよ、よしか。……ちからをもっていても、それいじょうのちからをもつゆっくりがあらわれる……。このまえのときのように……」
「……」
「ですが、このようにしがいがのこっていたのはよかったです。さっそくゆんしーにしましょう」
「……おぅ!」
気持ちを切り替え、ふらん達の死骸をゆんしーにしようとした、その時。

「うー……、……そこにいるのは、だれだ?」
「「!」」

突然、近くの木の方から声が聞こえて来た。
見ると、一匹の胴付きのゆっくりふらんが、息絶え絶えに木にもたれかかっていた。
……そのふらんの両足は千切れかかっており、羽も片方は完全に折れていた。

「あなたは……。このふらんたちのいきのこりですか?」
「ごしゅじん!このふらん、ふらんたちのおさだぞ!ふらん!よしかだぞ!おぼえているか!」
「う……、おまえは……。……そういえば、なんかいか、ここにつれてこられたな……」
「そのせつはどうも。うちのよしかと、いろいろあそんでくれたそうで……。……だいじょうぶですか?」

せーがは長ふらんにそんな言葉をかけたが、明らかに大丈夫そうではなかった。

「うー……。……なにしにきた」
「どすまりさにやられたんでしょう?……どすまりさからききました」
「……わらいにきたのか?」
「いいえ。ちからをかりに。……ふらんさん。ほかのふらんさんたちのしがいを、ゆずってください」
「……」
「あなたのこころのなかには、どすまりさにたいするにくしみであふれているのでしょう?……それは、せーがもおなじです」
「……みんなをどうするきだ」
「もういちどよみがえらせて、どすまりさとたたかうせんりょくにします」
「……おまえ、みんなをりようするきか……!」

長ふらんは憎悪の眼差しで、せーがを睨みつけた。

「はい。せーががいちばんきらうのは、つかえるものをつかわないことです」
「……」
「あなたのおなかまがもっているきばも、つめも、はねも、せーがにはないものです。せーがのもっていないちからです」
「……だから、じぶんのものにすると……?」
「はい。そのきばで、すべてをかみちぎるために。そのつめで、すべてをえぐるために。そのはねで、すべてをおいつめるために」
「……あのどすまりさを……、ころすきなんだな?」
「はい。せーがはあきらめのわるさだけがとりえなので」
「……ふ……、あはは……。……いいよ、それで。……むれのみんなも、きっと、ふくしゅうしたいだろうから……」
「ありがとうございます。……みたところ、あなたも、ながくないようで」
「……ころしたまりさのしがいをたべて、いきながらえていたけど……。……もう、だめだな……」

そう言った長ふらんの口元から、デロリと餡子が流れ出す。

「……ふらんがしんだら、ふらんも、おまえのどうぐになるのか?」
「はい。いったでしょう?つかえるものをつかわないことは、いちばんきらいなことなので」
「あ……、あはは……。げぶぅっ……!!……ぐ……、ほ……ほんとうに、おまえは……、げ……、す、だ……な…………」

そう言い残し、ふらんは口から大量の餡子を吐き出して、事切れた。
……その表情は、安らかなものだった。

「よしか」
「……ほいよ」
「これで、じゅんびはととのいました」
「……みじかいようで、ながかったなー」
「えぇ。……そして、これからが、ほんとうのはじまりです。……あしたのそうちょう、どすまりさのむれにせんせんふこくをします」


せーがは誓う。
己の欲望に忠実に従う事に。
今はただ、憎きドスまりさを倒す為に。
その復讐の、欲望の為に。
全てを賭す事に。


「まっていなさい。どすまりさ」









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最終更新:2024年01月05日 04:25