「ふふっ、ようやく見つけましたよ。」
 人里から少し離れた森林の奥。阿求はドスまりさが率いる群れを前に普段の彼女からは想像も出来ない様な邪悪な笑みを浮かべていた。
 息は荒く、瞳孔も開き、目の光は消えているのに爛々と輝いている様に見える。
 兎に角尋常じゃないご様子である。
 昼下がりの森はあらゆる生命が活発化している。
 目の前のドスの群れもそんな生命の中の一つなのだろう。
 …もっとも自然界からしてみれば歪な存在のそれらが森の生命の一個に入れていいかは各々の考える所なのだろうが。
 しかし今はそんな彼らの存在定義等はどうでもいい事だ。
 阿求はその小さな体格を生かして群れの近くの茂みで全身から溢れそうになる異様なオーラを抑えつつ隠れていた。
 以前神社へ行く道中に偶然見つけたドスの群れ。
 通常ドス種はその大きさからそれなりの攻撃力と耐久力、それに長生きしている分ある程度知能を持ち合わせ、流石に丸腰の人間に対処出来る存在ではない。
 退治は専門のハンター鬼意山が手がけていた。
 しかし里の虐待鬼意山も畏怖する程のゆっくりへの加虐癖を持ち合わせた彼女には、そんな楽しそうな仕事を他人に任せるなんて考えられない。
 とは言え相手はドス。
 タダでさえ身体の弱い阿求が愛用の玄翁一つで挑むには無謀が過ぎる。
 だからこの為に河童にその道具を特注し、完成品が届き次第ここにすっ飛んできた。
 今茂みから見えるドスの群れはドスを中心に大小様々なゆっくりがゆっくりしている。
 彼らは里に近づかず、天敵となる妖怪や人間、大型の鳥獣が少ないこの森で集団を作り、生き延びてきた。
 しかしそれも今日まで。
 阿求はスマイルゼロ円の笑顔を被ると、茂みから出て群れに近づいた。
 寺小屋の同世代の子供が見れば十中八九彼女の虜になるであろう笑顔は人間を避けてきたゆっくり達の警戒心も解き、
『ゆっくりしていってね!』
と言わせるのに十分な物だった。
「お姉さんはゆっくり出来る人?」
群れの中の小さい固体たちがそんな阿求に向かって一応歓迎の姿勢であるテンプレを言った。
 「ええ、ゆっくり出来ますよ。
 私とゆっくり遊んでくれますか?」
「いいよ!
一緒にゆっくり遊ぼうね!」
 そんなやり取りをする間にリーダーのドスや大小様々なゆっくり達が阿求を取り囲んでいた。
 こちらにはドスがいる事だし万が一悪い人間でも相手は一人の少女。
 長い間ゆっくりしてきた自分たちの敵では無いと踏んでの判断だった。
『お姉さんゆっくり子供達と遊んであげてね!』
「ええ、ゆっくり遊びましょうね。」
 少なくとも彼女自身は嘘をついていない。
 何たってこれは彼女にとっては遊び以外の何物でもない。
 少なくとも自身の認識の範囲では里で同世代の子供達がままごとや鬼ごっこをしているのと変わらない遊び。
 ゆっくりを虐め倒して遊ぶ子供もいるのだからその延長線上というだけ。

AQN「アーマード・クォータース・マシン」

 懐から一枚のスペルカードを取り出し、天にかざして宣言した。
 するとカードの中からホログラムの様に彼女の倍はある巨大な人型が写し出される。
 阿求自身をモーチーフに、桜着物の様な装甲を纏ったそれは実体化し、胸部から発射された光は阿求を包み込むと光の粒子へと変えて中に吸い込んだ。
「ゆっお姉さんがいなくなっちゃったぜ!」
「かっこいい~!」
「とかいはなデザインね!
ありすにぴったりだわ。」
 口々に感想を述べる子供達だがドスは違った。
 今までの経験が警告をしている。
 これは強力で危険な物だと。
 自分達にとんでもない脅威をもたらすと。
「みんなゆっくりはなれてぇ!!」
 叫んだがもう遅い。
 これこそ阿求が河童に特注したゆっくり虐待用強化マシンスーツ。
「アーマード・クォータース・マシン」
略称AQN。
 全長二メートル強、巨大人型兵器というわけでは無いが、近いジャンルのそれは里有数資産を持つ稗田家の財力に物を言わせて河童の技術の粋を結集して作らせた。
 そこらの妖怪等束になっても相手にならない、幻想郷の実力者級の戦闘力を持ち、スペルカード形式で封印された武装を使いこなす。
 ちなみに動力は最近地底で見つかったという新エネルギーだ。
 動力部は色々洩れない様に結界で保護されているので人体への安全は保障されている。
 どう考えても十歳前後の少女には過ぎた代物だった。
 しかもその少女はゆっくりに対して異様なまでの加虐癖を持ち合わせている。
「ゆっくり遊びましょうね。」
 情報化されてAQNと一体化しているので表情等見えないが、その顔は間違いなくさっきの邪悪な笑みだったんだろう。
「ゆっお姉さんそれに乗っているの?」
 足元の赤まりさへの答えの代わりにその足を赤まりさの上に乗せていた。
 ぶぎゅる!
 という音と共に足元で餡子をぶちまけて潰れ、一瞬にしてその生涯を終えた赤まりさ。
 周りのゆっくりは何が起きたか理解できず呆然としていた。
「虐待ツール、ガトリング螺旋回し。」
 興奮を隠し切れない声でスペルカード宣言。
 腰に取り付けられたカートリッジから出したスペルカードをかざした左手にカードから写し出された情報が実体化。
 左腕部に尖端に四本の爪と、その中央に銃口の様な穴の開いたツールが装着され、それを群れの一角に向けた。
「インパクト!」
 銃口からインパクトドライバーとしてレールガン形式でガトリングの様に高速連射される長さ5寸の無数木螺子の様な弾丸の嵐が回転しながらその一角の集団をズタズタに引き裂く。
「やめでえええ!!!」
「ゆっぐりざぜでええ!!」
 ようやく考えの追いついた生き残りのゆっくり達が逃げ惑う。
 それでも大きな個体たちは懸命に飛び掛り、体当たりを仕掛け、足に食らい付いて戦おうとした。
「ゆっくりしねえ!」
「健気で微笑ましいですね、勝てると思っているのでしょうか?」
 飛び掛ってきた大きめのゆっくりれいむをガトリング螺旋回しの爪で捕らえて持ち上げる。
 ゆっくりとしてはかなり大きな個体のれいむの身体を軽々と持ち上げて尖端の爪のギミックを操作してホールド。
 そのまま空中で高速回転させた。
「ぎゅゆゆゆゆゆゆ…!!」
 遠心力で皮を引き裂きながら中から餡子をぶちまけるまりさを鈍器にして足元のゆっくり達を殴りつけ、散らす。
「ゆぐぎゅえ!」
「むきゅが!」
 各々に悲鳴を上げて散る大ゆっくり達。
 それでも残ったれいむを蹴り飛ばし、逃げようとする赤ゆにぶつけ、潰す。
「ああああああ…ごべんねえええ!!」
 たまたま潰したそれらが自分の子供だったのか、口から餡子を垂れ流しながら泣き喚くそれに銃口を向けた。
「自分より子供の心配が出来るなんて優秀な個体ですね。
きっとあの世ではゆっくり出来ますよ。」
 何とか潰れずに生き残った赤ゆもろ共五寸木螺子弾で蜂の巣にした。
「あ、確か閻魔さまはゆっくりがお嫌いでしたね。
あの世でも貴方達はゆっくり出来ません♪」
 続けて爪で手当たり次第に薙ぎ払っていると妙な光景を見つけた。
 普通サイズのまりさがありすを潰している。
「お姉さん、まりさはお姉さんの味方なんだぜ!」
「まりざやべでええ!!
 なんでごんなごどずるのおお!!」
「うるさいんだぜ!
 お前を殺せばまりさは助かるんだぜ!
 お姉さんまりさはこの通りお姉さんの味方だから助けでほしいんだぜ!」
「へえ~…」
「ゆっ?」
 冷めた声を漏らすとツールの爪を意味が分かっていないまりさの上に置いた。
「何で貴方達が閻魔様に嫌われたり人里に出れば殺されるか知っています?」
「わからないんだぜ!
 まりさ達はゆっくりしたいだけなんだz…ゆででででで…!!!
 お姉さんまりさは味方だって言っているんだぜ!
 ゆっくり理解できないの?馬鹿なの?
 さっさとまりさを放すんだぜ!」
 ゲスっぷりに苛立ちを覚えて爪に更に体重をかける。
「平気で人家に上がりこんで荒らし、農家の皆さんが育てた畑を荒らし、人語を話すくせに罪の意識も無い。
 あげくが自分の為なら平気でこうして仲間を裏切り的外れな交渉を持ちかけるゴミ以下の個体が多くを占める。
 そんな歪な生き物に存在価値があると思いますか?」
 地面にまりさを押さえつけたまま爪を回転させる。
「ゆぐげええあああ!!!
 なんでなんだぜえええええ!!!!」
 まりさは最後まで理解出来ないまま地面の上で磨り潰されてボロボロの皮に姿を変えた。
「ん、ドスからエネルギー反応?」
 そういえばこの惨状にも関わらずドスはあまり動いていない。
 気になってふとドスの方に視界を向けた。
「ゆっくりしねええええええ!!!!!!」
 丁度ドスが口から膨大なエネルギー波を吐いた所だった。
 ドススパーク。
 ドスまりさだけが撃てるマスタースパークに似た光線は長く生きたまりさ種の切り札。
 今まで仲間が殺されても群れの存続だけを考えてじっとこの為のエネルギーを溜めていたのだ。
 その渾身の一撃はAQNを飲み込み消し去る…筈だった。
 光線が消え去った後AQNは無傷で健在している。
「まさかとは思いましたけどやっぱり。
 保護結界(プロテクトシェード)を張っていなかったらタダじゃすみませんでしたね。」
 今までどんな大型の獣に襲われてもこれで撃退してきた切り札を破られたドスにはもう手段は無い。
 連発できない上に体力はもう無いに等しいのだからただのデカイだけの的だ。
「ああああ…」
「さてデザートは最後にとっておくとして、残った数もそんなにいない事ですし(作者が)飽きたから貴方達には死んで貰いますね。」
 残ったゆっくりの殆どは撃ちもらしの瀕死の者達や妊娠しているなどで元々動けない者達だ。
 阿求は手ごろな木を引っこ抜いて来るとドスの口につっかえ棒にして口を開けさせると
「ゆう…ゆう…」とか細い息をしているそれらを蹴り飛ばす等して口の中に放り込んでいった。
「最後の食事をゆっくり味わって下さいね。」
といって木を口から取り外してあごを蹴り上げる。
「ぐゆうっ!!」
 生き残りのそれらはその一撃でドスの中で完全に息絶えた。
 これで実質群れは全滅。
 AQNのレーダーにも反応は無いので逃げられた個体もいないだろう。
 いや、足元に一匹小さいのがいる。
 殺し損ねた赤ゆかと思ったが様子がおかしい。
 拾い上げてよく見てみるとそれは早産した赤ゆだった。
「ふぅん…
 貴方身ごもっているんですね?」
 多分さっき蹴った衝撃で産道から出てきたんだろう。
 それはドスまりさの最後の希望だった。
 もし群れが全滅して自分も死んでもお腹の中の赤ゆは自分の身体に残った栄養で何とか生き延びて彼女が退散した後に生まれると踏んでいた。
「じゃあ念入りに殺さないといけませんね。」
「やべでええ!!」
「赤ちゃんは、赤ちゃんはだずげでええ!!!」
「却下♪」
 カートリッジからスペルカードを右手でかざす。
「ゴルディオン玄翁!!」
 スペルカードから巨大な玄翁と、それを扱うための右椀部の手袋の様な強化ーパーツ、左手にはぶっとい凶悪な返しが付いた杭が実体化。
「玄翁コネクト!」
 ガキンッという金属音で強化パーツが腕に装着、AQNの右手には巨大な玄翁が握られる
「えい!」
 釘を左手でどすの身体、産道近くに付き立てる。
「ゆぐうえええ!!」
 ドスのぶっとい悲鳴は心地良いが何も一本で終わりじゃない。
 続けて何本も実体化させて産道に付き立てて行く。
 最初は派手な悲鳴をあげていたが、その体力も無くなったのか黒ひげ危機一髪状態になる事には
「ゆぐっ…!!」
と短い悲鳴に変わっていた。
「玄翁ヘル!」
 さらに突き立てた釘を今度はゴルディオン玄翁で打ち込む作業がある。
「玄翁ヘル!玄翁ヘル!玄翁ヘル!玄翁ヘル!玄翁ヘル!玄翁ヘル!玄翁ヘル!玄翁ヘル!」
「や、やべでえ…あがじゃんじんじゃう…」
「大丈夫ですよ、まだ間の子は生きていますから。
…生きていますから仕上げですね。」
「ゆ…?」
「アンドヘブン!」
「ゆぐぎゃあああああ!!!!
 ゆっゆっぐりやべでえええ!!」
 最後にガトリング螺旋回しの爪で釘を掴んで一本づつ回転させながら引き抜いていくAQN。
 一本抜くたんびに釘の返しに引っかかってボロボロと中の赤ゆが外に溢れてくる。
「あは、あはははははは…!!!
 これです!
 やっぱりこれがなくっちゃ!!
 最後の希望も経たれてのた打ち回る体力も無く息絶えていく。
 最高のショーじゃないですか?!」
 それを踏み潰し、噴出す餡子に塗れながらわけの分からない感想を笑いながら叫ぶ頭がアドレナリン出まくりヘブン状態の阿求は多分AQNの中でヤンデレフェイスをしているだろう。
 そんなんで全部抜き終えた頃にはドスも死にかけ、今度こそ悲鳴を上げる体力も残っていない。
「ゆっくりよ、土に還れえええええええ!!!!!」
 最後にAQNが最大出力で振り下ろした巨大玄翁によって群れは絶滅した。


 数時間後。
 里の人間の通報でドスの群れを処理しにきたハンター鬼意山は絶句していた。
 ドスが潜んでいるという森の一角は餡子の海となり、その中心で自慰行為に耽る少女がいたから。




言い訳

THE大量虐殺ってのに挑戦してみましたがどうにも虐殺のバリエーションが乏しかったですね。
AQNの名称は無理矢理です。
ギミックは某勇者王にちなんで工具で統一してみましたが正直その縛りがきつかったかも?
あと阿求は絶叫させるキャラじゃないからかなり無理しちゃった感が…
「ゴルディオン玄翁」
正直このネタがやりたかっただけという気もします。

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最終更新:2022年05月18日 22:23