ゆっくりの逃避行 丙
- 比較的ゲスなゆっくり
- 比較的善良なゆっくり
- 微ぺにまむ注意
- 原作キャラ一部登場
- 賢いゆっくりは漢字を使います
- そしておそらく俺設定
どこまで広がるとも知れない広大な森があった。
その広大な森に棲むゆっくりの数は数知れないが、とある群れは森の中でも飛びぬけて規模が大きかった。
規模は大きすぎて正確な数字は分からない、だが少なく見積もっても千近くはいるだろう。
れいむやまりさといった一般種から肉食種や雑食種、被迫害対象とされる種を除くあらゆるゆっくりが所属していた。
この群れも元々は二つの家族から始まった。
一つの家族はれいむとありすのつがい、そしてもう一つはまりさとぱちゅりーのつがいであった。
片方は多くの子供を産み比較的大きな家族であったが、もう片方は体の弱いぱちゅりーを気遣ったまりさの計らいで子供は一匹しか産まなかった。
二つの家族は巣が近かったこともあり、家族ぐるみの付き合いであった。
やがて周辺のゆっくり達もその家族のまわりに集まり始めて、小さな群れを形成していた。
群れを形成した時点でまず問題になるのが、誰がリーダーとなるかである。
一部の自己主張の強い者は我こそはと名乗りを上げたが、群れの大半は二つの家族のどちらかと決めていた。
当の家族たちは互いに遠慮して譲り合う、群れのゆっくり達は是非リーダーにと推す。
仕方なく二つの家族のそれぞれ二匹ずつがリーダーとなる、四匹による共同統治体制を確立した。
リーダーが決まり群れが再び安定すると再び群れの規模は大きくなって遂に今の規模となった。
森には食料が豊富にあったが、森の近くには人間の暮らす村があった。
群れのゆっくり達の多くの者は森で採れる草や木の実、キノコや虫を食べて満足していたが、中には人間の育てた野菜の味を覚えてしまった者もいる。
そういう者達は森の食べ物に飽きると徒党を組んで夜の内にこっそりと盗んで来ることもしばしばあった。
初めはうまく行った。人間もゆっくりのことなどよく知らず、被害も恐らく獣のせいだろうと踏んで、ゆっくりには合わない大きさの罠を仕掛けていたからだ。
だが、次第にエスカレートしたゆっくり達は人間の家に上がり込み、「おうち宣言」をする者が現れた。
こうなると人間もただでは帰してくれない。仲間が死んだり、己も五体満足では帰ってくることのできない者が続出していたのだ。
だが舌の肥えたゆっくりたちは人間の食べ物が忘れられず、また里に降りて人間と衝突する。
帰ってきた者はまたその味を群れに広めてしまう。この悪循環は遂に人間が森に入ってくるという事態を招いた。
元々森に入る人間はいたが、炭や薪のために木を切る者、キノコや山菜を採る者等がいた。
だがその関係は極めて良好だった。ゆっくりが好奇心で近づいても、人間は傷つけたりせず、一緒に遊んでやったり餌をやったりする者も少なくなかった。
しかし、今回のそれは今までとは勝手が違った。まず人間が武器や松明を持っていたこと。
明らかな敵意が窺える。そしてゆっくりが「ゆっくりしていってね!!」とあいさつしても、返すことなくそれを嬲り殺した。
「ゆっぐ・・?」
「ゆゆっ!?おじさん、れいむたちにひどいことゆぎゃあ!!!」
「しね!ゆっくりをいぢめるわるいにんげんはさっsゆぎぃぇ!!」
「ゆっくりにげるよ!」
「も゛っどゆっぐりじだがっだよお゛お゛お゛・・・!」
多くのゆっくり達の悲鳴が森中に響いた。
そして多くのゆっくりが殺された。
だがまた多くのゆっくりが生き延びた。人間が殺すにはあまりにも数が多すぎたのだ。
ゆっくり達は人間を恐れるようになった。
以前と比べれば人間の里に入る者も数が減ったが、それでも人間の食べ物を求めるゆっくりは後を絶たなかった。
そのゆっくりがまた人間の山狩りを招いた。
こんなことが何回も続いた森のゆっくり達の群れが今回の舞台である。
「にんげんはぜんぜんゆっくりしてないよ!!」
「そうよ!こんなにかわいいわたしたちをへいきでころすなんていなかものすぎるわ!!」
れいむとありすのつがいは憤る。
「むきゅ、それは違うわ・・・きっとこうなったことにも原因があるはずよ!」
ぱちゅりーは反論する。人間が襲ってくることには何か理由があると考えたからだ。
「ゆ!そんなことしらないよ!れいむたちはなんにもわるいことしてないんだよ!!」
「きっととかいはなわたしたちにしっとしてるのよ!!」
自分たちに非はないと主張するれいむ・ありすのつがい。
この二匹に限ったことではないが、人間の畑を荒らすことを悪いことだと認識しているゆっくりはごく少数だった。
その少数というのも一度畑を荒らしてたが、辛くも逃げのび、これに懲りたゆっくりだ。
種にもよるが、ここまでゆっくりが学習するというのは自然界では相当珍しい。恐らく相当のトラウマが伴ったのだろう。
それでも懲りずに何度も畑を荒らしたり人家に侵入することをやめないゆっくりがいるあたり個体差の大きさを物語っている。
「むきゅ・・・」
ぱちゅりーは言い返せなかった。ぱちゅりー自身も畑を荒らしたことがないため、この行為の善悪が分からないのだ。
「まぁまぁ、ふたりともゆっくりおちつくんだぜ!」
ぱちゅりーのつがいであるまりさが二匹をなだめる。
このまりさは体の弱いぱちゅりーを思いやる優しいゆっくりであり、狩りも上手く群れでも中心的な存在だったが、如何せん頭がイマイチだった。
そのため、頭を使うことに関してはぱちゅりーに依存していることは否めなかった。
だが、この温厚な性格と頭の弱さは、まりさ種には多いと呼ばれる悪知恵によって増長したゲス種と呼ばれる物とは、このまりさを疎遠なものにしていた。
「まりさはどうおもってるの?」
「そうよ!ゆっくりしてるひまなんてないのよ!?」
「ゆゆっ・・・まりさはぱちゅりーのいうとおりだとおもうんだぜ・・・」
カカア天下でも恐妻家というわけでもないが、その意思もぱちゅりーと同じだった。
ぱちゅりーの意見が絶対であると信じて疑わなかっただけである。
今までも自分の考えと違えても、結果としてぱちゅりーの意見が正しいことが殆どだった。
そのためまりさは自分の意見もぱちゅりーに委ねるようになった。
「「まりさのいけんなんてあてにならないんだよ!!」」
結局解決の糸口が掴めぬまま、紛糾してしまった。
元々この家族は仲はよかった。
だが、群れが大きくなるにつれて、群れの方針に関して衝突することが起き始めた。
例えば、すっきりすることを制限すべきか、あるいは餌の配給制の導入等、ぱちゅりーが提案したものが多い。
しかし、押しの強いれいむとありすは自分達の気に入らないものは改定させることが多かった。
ましてやすっきりの制限などはありすにとって認められる筈もなく、実現しなかった。
そのために今の大きさまで群れが拡大した原因といってもいい。
餌の配給に関しても本来は越冬のために提案したものが、一部のゆっくりが独占するものに形を変えてしまった。
やがて群れのためによかれと思って提案してきた案が都合よく改定されることにぱちゅりーは不満を抱いた。
それを指摘すると二匹に糾弾され、結局群れのリーダーは二派に分裂してしまった。
分裂したといっても、群れの多くはれいむとありすのつがいを支持した。
多くのゆっくりにとってぱちゅりーの考えは堅苦しくてゆっくりできないものだという認識を持っていた。
確かに群れの知恵袋として信頼もされていたが、直接自分たちの利害が絡むとれいむやありすの方が共感が持てた。
まりさは確かに信頼されているゆっくりだが、リーダーとしては引っ込み思案で、陰が薄い。
そのため群れの大勢はれいむとありすの考えに同調していた。
勿論、一部のゆっくりはぱちゅりーの考えを支持する者もいた。
少しばかりの思慮分別のあるゆっくりや、人里に降りて畑荒らしに懲りたゆっくり達がこれに当たる。
といっても基本的にゆっくりは自分たちと相容れない者を排斥する傾向があるので、
これらのゆっくり達の群れの中での地位は比較的低い者が多かった。
ある時、ぱちゅりーは人里へ降りることを決意した。
解決しない問題の答えは人里にあるのではと考えたのだ。
畑を荒らしたはいいが人間にこっぴどい目に遭わされたゆっくりの話を聞き、人間の話を聞いてみたいと考えたのだ。
やがてぱちゅりーはまりさと数匹のゆっくりを伴って人里へ降りて行った。
人里が見えてきて、ぱちゅりー達は木の陰から村の様子を窺った。
見たところは危ない人間はいなさそうであると判断し、近くで畑を耕していた初老の男性に声をかけた。
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
ここでゆっくり達のお馴染みの挨拶である。
もしこの男が虐待趣味があれば間違いなく一行は餡子の塊になっていただろう。
だが幸いにもこの男に虐待趣味はなかったようで、
「なんだ、ゆっくりか・・・」と顔をしかめて返しただけであった。
男の畑は森に近く、ゆっくりによく畑を荒らされていたためか、よい感情は抱いていないようだったが、ぱちゅりーはなんとか会話を試みた。
「むきゅ、おじさん、ちょっとお時間頂いてもいいかしら。」
「なんだってんだ、餌を寄越せってんならまた叩き潰すぞ?」
非常に不機嫌そうだ、嗜虐嗜好がないにしてもやはりゆっくりは嫌っているのか。
「そんなことは言わないわ。一つだけ村の人に尋ねたいことがあるの。」
「俺だって暇じゃねぇんだ。手短に済ませよ。」
「むきゅ、どうして人間は今まではゆっくりを殺さなかったのに、殺すようになったの?」
ぱちゅりーは思い切って尋ねた。後ろに並ぶ数匹のゆっくり達も緊張した面持ちだ。
「どうしてって・・・畑や家の食い物荒らされて黙ってるわけにゃいかねーだろうが・・・
こさえた野菜が食われちまったら俺たち農家は飢え死にするしかないんだよ。」
この発言にゆっくり達は首を傾げる。そして後ろにいたある一匹が、
「ゆ?でもおやさいさんはかってにはえてくる・・・」
言うや否や男は待ってましたとばかりにこう返した。
「勝手に生えてくるようにお前らには見えるんだろうなァ、でも勝手に生えてくるんなら畑なんて必要ないだろう。
俺たちは食ってくために畑に水やって雑草抜いて野菜を育ててるんだ。それを横から掠め取られたら誰だって腹が立つだろう?」
男の言うことに理解が追い付かない者もいたが、ぱちゅりーには十分理解できた。
「むきゅ、人間さんは私たちがお野菜を盗らなかったら、森に入って私たちを殺すことをやめてくれるのかしら?」
「ああ?少なくとも村総出で山狩りなんてのはしないさ。一部の若い衆はどうか知らんが・・・」
ぱちゅりーは男の言葉に一縷の望みを見出した。
そうか、人間の畑を荒らさなければいいのか!
この時点ではまだぱちゅりーも楽観視していた。その場にいたゆっくりは比較的温厚かつ、利口な部類に入るゆっくり達で、
人間の畑を荒らした者も少なかったのだ。
「分かったわ!群れのみんなに人間さんの畑からお野菜を盗むのをやめさせるわ。」
「そうしてくれるとありがたいんだがな。だが次に畑を荒らすようなことがあればまた山狩りだ。よーく覚えておけよ?」
そう言うと男は去って行った。
早速、ぱちゅりー達は群れに帰り、れいむとありすに人間の畑で野菜を盗むことを群れで禁止することを提案をした。
しかし、二匹は野菜は勝手に生えてくるだの、悪い人間がひとりじめしているだのと旧来の主張を変えない。
仕方なく群れのゆっくり達に賛否を問うことにした。
説得すれば分かってもらえると信じていたのだ。
だが、群れの1000匹近い全てのゆっくりを集め、この提案の賛否を問うと、
「おいしいおやさいはみんなでたべないとだめだよ!」
「にんげんがおやさいをひとりじめしてるんだぜ!!」
「わからないよー!おやさいはかってにはえてくるんだよー!」
「とかいはじゃないぱちゅりーはゆっくりできないわ!」
と二匹と全く変わらない答えが返ってきた。
ぱちゅりーの期待は脆くも崩れ去った。
群れのゆっくりは予想以上の数が畑荒らしで野菜の味を覚えてしまっていたのだ。
だが、人間ともう畑荒らしをしないと約束してしまった。
このままではまた人間がゆっくりを殺しに来てしまう。
しばらく説得を続けた。このままでは人間がまた森に来る、きっと後悔する・・・
だが群れの大多数の意見は変わりそうにない。
ならばどうする?
ぱちゅりーは躊躇いながらも最終手段に出た。
「むきゅ!私の意見に賛成のゆっくりはこっち(左)に集まって!
そして、私の意見に反対のゆっくりはあっち(右)に集まってね!!」
多くのゆっくりはぞろぞろと右側に集まった。
だが大凡70匹程度のゆっくりは左に移動した。
ぱちゅりーは左側に集まったゆっくり達にこう言った。
「あなた達はこの群れを離れて私についてきてくれるかしら?
もしついてくるならそこにいて、群れを離れたくなかったらあっちに行ってちょうだい。」
一部のゆっくりは流石に群れを出る気はないのか右側に移動した。
結局左側に残ったゆっくりは大凡60匹ほどだった。
数百匹という巨大な群れから見れば60〜70匹など大した数ではないが、通常ならば十分群れを営んでいける数である。
ぱちゅりーは自分を支持するゆっくりと群れを離れ独立することを決めたのだ。
「早々に群れを離れるけどいいわね?」
ぱちゅりーは左側に集まったゆっくり達に尋ねた。
「あぶないならいそいだほうがいいよー!!」
「にんげんさんがくるまえにはやくはなれるんだぜ!!」
異論はないようだった。
「それじゃあれいむ、ありす、今まで世話になったわ、本当に今までありがとう・・・」
れいむとありすに別れの挨拶をした。
「ゆっ!いくならさっさとどっかいってね!!とろいやつはきらわれるよ!!」
「ふん!べつにさみしくなんかないからね!!」
そもそも煙たく思っていたためさっさと出て行くように急かした。
「そ、それじゃ二人ともこれでおわかれなんだぜ・・・」
まりさも二匹に別れを告げる。
「むきゅ、最後にもう一度だけ忠告してくけど、人間さんにはくれぐれも気をつけてね。」
そういうと60匹のゆっくり達を伴ってぱちゅりーは群れを離れて行った。
逃亡開始一日目
勢いよく飛び出してきたはいいが、やはり60匹という数は多かった。
小規模な群れが移動しているのと同じである。通常ゆっくりは定住する場所を決めたら群れでそこを離れることはない。
移動を考える事態に陥ってしまうと、食べ物が尽き、移動する前に群れが餓えてしまうからだ。
多少の食べ物を持ってきたとはいえ、長くは持つまい、早く新しいゆっくりぷれいすを見つけなければとぱちゅりーは焦った。
とにかく夜になる前に洞穴を見つけ、そこに宿をとることにした。
運がよかったのだろう、逃亡開始一日目は誰一人欠けることなく夜を明かすことができた。
逃亡開始二日目
太陽が昇ってまだ間もない時間帯にゆっくり達は目覚めた。
ぱちゅりーはできるだけ早く遠くまで移動したかったため、朝食も早々に済ませ移動を開始した。
「まだねむいよー・・・」
「じぇんじぇんゆっくちちてにゃいよ・・・」
ゆっくり達も不満そうだがしぶしぶ付いてくる。
天気はやや曇り気味で湿気もやや高い。天候と疲れがゆっくり達の士気を容赦なく下げる。
だがゆっくりが二日歩いた程度では人間の行動範囲内から逃れることは叶わない。
ぱちゅりーはゆっくり達を必死に励ましながら強行軍を続ける。
「みんながんばるんだぜ!いまがんばったらあとでもっとゆっくりできるんだぜ!!」
つがいのまりさも必死に励ましてくれる。
その日は結局いい寝床が見つからず野宿だった。
だがまだ誰も欠けていない、このまま上手くいくようにとぱちゅりーは願った。
逃亡開始三日目
その日はやや小雨の降るゆっくりにとっては好ましくない天気であった。
体が溶けるほどではないが、早く雨を凌げる場所に移動しなければ危ない。
ぱちゅりーは目覚めるとすぐに離れるよう指示をした。ゆっくり達は慌ただしく雨を凌げる場所を求めて移動を始めた。
しばらくすると大きな木が見えてみてそこの木陰で休息を取ることにした。
雨脚は幸いにも先程より弱まっていたが、しばらくはここに留まり休息することにした。
「ゆぅ・・・ぱちゅりー、なにかわるいよかんがするよ・・・」
つがいのまりさがぱちゅりーに弱々しく呟いた。
悪い予感、群れの狩人の代表格であったゆっくりの感である。れみりゃかふらんが近付いているのだろうか?
「むきゅ・・・悪い予感ってなに?それはもう近付いているのかしら?」
とにかく尋ねることにしたぱちゅりーであったが、そこまでは分からないとしか返ってこない。
早くここを離れるべきだろうか、考えている内に雨が上がっていた。
危機が迫っているなら早く離れた方が得策だと判断したぱちゅりーは、群れを先導し移動を開始した。
移動を開始してしばらくして、後ろから悲鳴が聞こえてきた。
「・・いぱー・りすだ・・ぁぁぁあああ・・あ・・・!!」
「んっほお・・・ぉぉ・!・か・いぃ・・・ぁぁぁ!!」
60匹の大行列である。最前列から最後尾までは結構な距離があった。そのため後ろの様子はよく分からなかった。
だがただ事でないことだけは分かる。
とにかく何事か確かめるために数匹のゆっくりとまりさを伴って最後尾へ向かった。
「んっほおおおおおお!!!すっきりいいいいいいいいいいい!!!」
「だずげでえええええええええええ!!ぼうずっぎりじだぐないいいいいいいい!?」
「つんでれなれいむもかわいいいわあああああああああ!!!」
「・・ぼっどゆっぐじ・・・じだがったよ・・・」
そこはまさしく地獄のような光景が広がっていた。
数匹のレイパーありすとそれに襲われ黒ずんだゆっくり達、そしてそれから逃れようと将棋倒しになり動けなくなったゆっくり達。
既に数匹のゆっくりが消し炭のようになっており、間もなく更に多くのゆっくりが同じ運命を辿ることになるだろう。
だがレイパーありす達はぱちゅりーとまりさ達を見ると、
「れいむとありすがいってたとってもすっきりさせてくれるぱちゅりーとまりさだわ!!」
「あのまりさはわたしのものよおおおおおおおお!!!」
と襲っていたゆっくりを放り出してぱちゅりー達のいる方へ向かってきた。
れいむとありす、つまりともに群れを治めていたあのつがいである。
何を思ったか二匹はぱちゅりーとまりさが群れを離れた後に、禍の種は絶っておこうと刺客を送り込んできたのだ。
それがレイパーありすだということはついてきたゆっくり諸共、消すつもりなのだろう。
これだけのことを頭のクリームで処理している内に、レイパーありす達は今にも飛び掛からんという所まで近づいていた。
レイパーありす達が飛び掛かろうとした瞬間、まりさがありす達に体当たりを仕掛けた。
ありす達は跳ね飛ばされたが、何匹かは体勢を崩すに留まった。
「まりさったらおませさんねええええええ!!」
「はげしいあいもきらいじゃないわよおおおおおお!!!」
まりさは体を膨らませて威嚇しているが全く効果がない。
そうしてる間にありす達はまりさを取り囲みぺにぺにを突き立てはじめた。
「ま、まりさはここでありすをくいとめるよ!ぱちゅりーはみんなをつれてはやくにげてね!!」
つまりは囮になるということである。勿論ぱちゅりーにそんなことができるわけがない。
「むきゅ!?そんなことできるわけないわ!!」
「いいからはやくにげてねっ!!!このままじゃみんなゆっくりできなくなるよ!!」
まりさは語気を強めるが、ぱちゅりーは動こうとしない。
だが、ぱちゅりーについて来てこの惨劇に立ち会ったれいむ(当然群れリーダーとは別)とちぇんがぱちゅりーを連れてその場を逃げ出した。
「むきゅ!?二人とも放してね!!??このままじゃまりさがありすに殺されちゃうわ!!!」
だが二匹は放さず、一層足を速めた。まりさの意を汲んでの行動でもあったが、自己保身であったことも否めない。
「あそこはまりさにまかせないとみんなゆっくりできないんだよ!!」
「つらいのはわかるよー!でもいまふたりがしんじゃったらそれこそみんなおしまいだよー!!」
「ばりざあああああああああああああああああああ!!!・・・ゴホっ、エレエレ・・・」
やがて叫びすぎたぱちゅりーは中身を吐いて気を失った。
ぱちゅりー達が離れていくのを見届けると、まりさは体を大きく膨らませてぱちゅりー達が逃げた反対方向にいたありすに体当たりを仕掛け、包囲を脱した。
そしてまむまむをありすたちに見せ、ありす達を完全に自分に釘付けにした。
「ゆっ!いなかもののありすたちはさっさとしんでね!くやしかったらまりさをつかまえてね!!」
まりさはありす達を挑発するとぱちゅりー達と反対方向に走り出した。
「ありずはいながものなんかじゃないわああああああああああ!!!」
「いなかもののまりさはありすのとかいはのてくにっくですっきりさせてあげるわあああああ!!!」
「ゆっくりしてないでさっさとつかまりなさいね!!!」
しばらく間追いかけっこが続いたが、やがてまりさが力尽きありす達に追い付かれてしまった。
「・・・・・・・・・・・・!!!」
「「「・・っき・いぃーー・・・ー!・・・・」」」
れいむとちぇんはぱちゅりーを抱えながら遥か後方から聞こえてくる断末魔とレイパー達の雄たけびを聞くしかなかった。
結局この騒動でありすに襲われたり、群れからはぐれたゆっくりが20匹近く、
そしてぱちゅりーの最愛のパートナーであるまりさを失った。
その晩、気がついたぱちゅりーはただ泣くことしかできず、他のゆっくり達もありすの襲撃を恐れて満足に眠ることもできなかった。
人里の集会所
その晩、人間達は集会所でゆっくり対策について意見を出し合っていた。
「・・・それでは、明日の早朝実行ということでよろしいかな?」
「異議なし、やはりゆっくりの約束など空約束でしたね、向こうから言っておいて次の日畑を荒らすとは呆れて物も言えませんな。」
「同感です。今度こそ徹底的に成敗してやりましょう!」
どうやら山狩りの打ち合わせのようだ。そこにはぱちゅりーが交渉した例の男もいた。
「やはりゆっくりはゆっくりと言うことか・・・期待した俺が馬鹿だった。」
「何、アンタが気を落とすことでもないさ、どうせ明日になりゃ全て片付くんだからな。」
「しかしなァ・・・上白沢様に御意見も伺わずに決めてよかったのかね・・・」
一人の男がある人物の名前を出して躊躇った。
「仕方ないさ、上白沢様は今里を留守にしてらっしゃる、帰ってこられるまで待ってたらそれこそ畑を食い尽されちまうかもしれん!」
「いや、だがしかし・・・」
その後も喧々諤々と話し合いは続いたが、結局は当初の計画の通りまとまった。
「それでは皆さん、明日はお願いします、解散!」
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最終更新:2022年05月18日 22:28