感染拡大
  • 直接の虐待描写は皆無
  • 恐らく俺設定あり





とある男が風邪をひき、町の医者に診てもらおうと道を歩いていた。
「・・・あー、今年もひいちまったなぁ・・・ゴホンゴホン・・・」
男は咳が止まらないようだった。
何度も咳をしていると、その時食べていた煎餅に痰が掛かってしまった。
「あー、汚ねぇなぁ、これはもう捨てるか・・・」
と捨てようと思っていた時にゆっくりの親子が目の前に現れた。
大きいのが1匹と小さいのが3匹、全てれいむ種だろうがそんなことはどうでもいい。
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
お馴染みの台詞を吐くが男は風邪で喋るのがめんどくさかったので、
「はいはい、ゆっくりゆっくりっと・・・」
と適当に流していた。
「ゆ?おじさんゆっくりできるひと?ゆっくりできるなられいむたちにごはんちょーだいね!」
「「ちょーらいにぇ!!」」
親子揃って初対面の相手に傍若無人なことを言う。
「生憎食える物は持ってないよ、帰った帰った。」
と男が追い払おうとすると、ゆっくりは男の持っていた煎餅に目をつけ
「ゆっ?おじさんおせんべいさんもってるよ!どうしてうそつくの?ばかなの?しぬの?」
と実に腹立たしいことを平然と抜かすが、男は相手にしたくなかったので、
「あー、これか?こんなもんでいいんならやるからさっさとかえってくれ。」
と痰を拭き取ってゆっくりに食わせてやった。
親と思われるれいむはそれに齧り付き子供もそれに倣った。
「「「むーしゃむーしゃむーしゃ、しあわせー!!」」」
男はゆっくりが煎餅にご執心の間にそそくさとその場を立ち去った。
「ちょっとからいけどゆっくりあまくておいしいよ!おじさん、もっとちょうだいね!!」
甘辛な砂糖醤油はゆっくりの口に合ったようで予想通りおかわりを要求してくるが男は既にその場にいなかった。
「ゆぅー?おじさんどこいったの?やくたたずなじじいはさっさとしんでね!!」
だが男はいない。早足なのでもうゆっくりの視界から離れていたのだ。
しばらく男を罵倒し続けたゆっくりもやがて無駄を悟ると森へ帰って行った。
巣に帰った親子はいつもどおりゆっくりとし、日が暮れると昼に狩った虫を食べて眠りに就いた。

次の日、親子はいつもどおり目覚めた。
「ゆぅーん、たいようさん、きょうもゆっくりしてるね!!」
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
家族で挨拶しあうと今日の朝食のためにゆっくり巣を出た。
狩りの途中、出会うゆっくり達に親愛の情を示すすりすりをし、やがて狩りを終え、ゆっくり朝食を終えた。
これは全ていつもどおりである。
昼になると森の開けた場所で他のゆっくり達と一緒にゆっくりし、日が沈むと互いに巣に帰りまた眠りに就いた。

また次の日、親のれいむが目覚め、
「ゆっくりしていってね!!」
と言い、子供達を起こしたが、子供たちの異変に気づいた。
「ゆぅー・・・おかーしゃん、れいみゅなんでゃかしゃむいよ・・・」
「ゆっくりできにゃいよ・・・ゆっくりすーりすーり♪してにぇ・・・」
皆元気がないのである。
「ゆ?おちびちゃんたち、どうしたの?ちゃんとゆっくりしないとだめだよ?」
だが親のれいむにはわけがわからず子供たちにゆっくりするように言う。
だが子供たちは相変わらず体を震わせてゆっくりできていない。
困り果てたれいむは朝食を早く済ますと、群れで一番の物知りであるぱちゅりーを訪ねることにした。
「むきゅーん・・・これはきっと“かぜ”だわ・・・!」
物知りのぱちゅりーは言う。
だがれいむには“かぜ”が何の事だか分らない。
「ゆ?ぱちゅりー、“かぜ”ってなぁに?それってゆっくりできないの?」
「“かぜ”っていうのはにんげんがよくひくびょうきよ、ひいたらしばらくはゆっくりできないけど、
なおったらいままでどおりゆっくりできるからあんしんしてもいいわよ、むきゅん!」
「ゆっくりあんしんしたよ!よかったね、おちびちゃん!!」
「ゆぅー・・・かぜしゃんゆっくりにゃおってにぇ・・・」
子供たちは少し安心したようだ。
「でもしばらくはあったかくしてはやくねたほうがゆっくりはやくなおるわよ」
とぱちゅりーが助言を言うので、れいむは子供たちの家に帰り寝かしつけてやった。

次の日、れいむが目覚めると子れいむ達はきのうよりも苦しそうだった。
しかもれいむ自身も疲れているのか少しだるい。
「ゆー・・・なんだかだるいよ・・・つかれてるのかな、ゆゆっ!?おちびちゃんたち、ゆっくりだいじょうぶ?」
「ゆふ、ゆふ・・・おかーしゃん、しぇきしゃんがとまりゃにゃいよ・・・」
「どぼじでゆ゛っぐりなおっでぐれないのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!???」
まだ一日しか経っていないのに、親れいむは子供がよくなっていないことを嘆いた。
仕方なく朝食を取るために1匹で狩りに出たが、何か様子がおかしいことに気づいた。
いつもならばもっと多くのゆっくり達が狩りをしていたり、ゆっくりしているはずなのに、今日は殆ど見かけないのだ。
何とか餌を見つけ巣に帰ってみると子供達はますます苦しそうだった。
「れいむのおちびちゃんたち!ゆっくりたべてはやくげんきになってね!!」
何とか餌を食べさせようとするが子供たちはすぐに吐き出してしまう。
ついに咳をする度に餡子を吐きはじめた。
「ゆふ、ゆふ、ゆびぇえええ・・・!」
「ゆ゛!?おちびちゃん!あんこはかないでね!ゆっぐりできなぐなるよ゛!!!」
だが子供たちの咳は止まらず餡子も止まらない。
その間にれいむ自身も咳が出始めたのだが、子供をすりすりしていたので気づいていなかった。
「ゆほん、ゆほん・・、おぢびぢゃん・・・ゆっぐりよぐなっでね゛・・・すーりすーり♪・・・」
「ゆふ、もっど・・・ゆふ、ゆっぐ・・ゆっぐぢちだがっだよ゛・・・」
遂に1匹が息絶えると親れいむは絶叫した。
「ゆほん・・・、おぢび、おぢびぢゃぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!!!」
1匹が息絶え、親れいむがすりすりをやめその子れいむに駆け寄ると他の子れいむ達も相次いで息絶えて逝った。
「ぐるじいよおおおお・・・」
「もっどゆっぐ・・・ゆぎゅい・・・!」
「どぼじで・・・ゆ゛ほん、どぼじでごお゛な゛るのお゛お゛お゛お゛お゛!!??」
そのうち親れいむも餡子を吐きはじめて衰弱していった。
「ゆ・・・もっどゆっぐりじだがっだよ゛・・・」

その頃この森の周辺に棲む他のゆっくり達の巣でも同じような光景が広がっていた。
どの巣でも体の小さいゆっくりから症状が出始め、やがて死に至るという具合である。
症状は程度の差こそあれ、恐らく全て風邪であろう。
男の風邪の原因である、ウイルスや細菌のこびり付いた煎餅を食べたゆっくり親子が感染源であり、
それが潜伏期間のうちに、他の個体にすりすりしたため、それが広がりまたそれが感染源となって広がっていく。
更に、人間では重篤状態に陥ることは稀な風邪だが、ゆっくりでは体の構造が単純かつ、脆弱であるため、
感染すると治る前に咳をした拍子に餡子を吐きだして死んでしまうのだ。
一部の体の大きい個体や感染を免れた個体を除いて、この流行によって全滅してしまったといっても過言ではないだろう。










fin
ゆっくりが風邪をひいたらどうなるかというレスを見て書いてみました。
熱はないけど、咳が辛い・・・皆さんも風邪には気をつけて下さい。



過去作品

男と一家
きめぇ丸の恩返し 丙・丁
ゆっくりハザード 永遠亭の怪
楽園の崩壊




by同志ゆっくり小町
次があればこの名前で書きますんで
その時はよろしくお願いします。
いずれはゆっくりこまちで書いてみたいっすねw

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最終更新:2022年05月19日 13:39