仕事からの帰り道。寒さが襲いかかる夜。
俺は我が家へと帰宅すると、玄関前に5つの影があった。
そのうち2つは最近家に住み始めたまりさとれいむ。残りの見慣れないゆっくりは・・・ふらんかな?
家族連れの胴体無しとは珍しい。ここら辺では見ない種類だ。
「うー! うー!」
激しい形相でまりさとじゃれ合ってる。まりさの頭に噛みつきブルンブルンと振りまわすその姿は実に楽しそうだ。
まりさの方も涙目で
「いぎゃああああああああああ!!!! はなじでふらんんんんんん!!!!」
れいむの方は子供たちにガシガシ噛みつかれている。
「あぎゃああああ!!!! でいぶのぽんぽんがああああああああ!!!!」
俺はそのフレンドリーな光景が羨ましかった。

「お前ら楽しそうだな・・・こっちは残業で疲れてるのに。」
「このじょうきょうでばがじゃないのおおおおおおお!!!! ばや゛ぐでいぶだぢをだづけでえええええ!!!!!」
「ぼうじがどれるうううううううう!!!!」
夜中に騒ぐとは感心しませんな。最近のゆっくりはやんちゃで困る。
とりあえず親っぽいふらんの方を全力で蹴り飛ばす。流石のふらんも蹴りには耐えられないのか、
ドアに叩きつけられた。牙が刺さったままのまりさと一緒に。
「ゆべえ・・・もうどうでもいいからはやくたすけて・・・」
OKOK。まずはれいむに噛みついてる子ゆっくりを蹴り飛ばしつつ、まりさの頭から牙を抜いた。

このまま帰るのならば見逃すのだが、ふらん達はこちらに向けて「うううう・・・」
と明らかに殺意を抱きながら唸っている。まあ殺さない程度にやろうか。
「うーーーー!」
飛びかかってきた親ふらんを右の振り下ろしで叩きつける。そのまま持っていた傘で貫いた。
「ううう!!!!」
苦しんでいるふらんに追い打ちをかける。刺さって身動きの取れないふらんの顔面に蹴りをいれた。
「ううっ!」
思いっきり顔が凹んだふらん。歯を折れたのか口からボロボロと落ちた。
そしてそのまま動かなくなった。・・・大丈夫。まだ息してるから。傘を外せば帰るだろう。
れてるし。早く寝よう。
さて家へ・・・まだ子供が残って
「ほらとっとと家に入るぞ。ていうかなんでお前ら外に出てるんだ?」
「おにーさんがひるごはんはじぶんでとってこいっていうからでしょ! おうちにはいれなくてこまってたんだよ!」
「ゆっくりあやまってね! しゃざいとばいしょうをせいきゅうするよ!」
あーもういいや。今日は疲れたから。後は子ふらんの始末をどうするかだな。
可哀想だがれいむの口の中に入れてあげた。まあ美味しく頂いてねれいむ。
「あがあああああああ!!! でいぶのおくちのなかがむしゃむしゃされてるううううううう!!!!」
「でいぶうううううううう!!!」



俺が風呂から上がり、居間に行くと二人がテレビを見ていた。珍しく真剣な目である。
「んー? ゆっくり虐待ドラマでも見てるのか?」
「そんなひどいことするのはおにーさんだけだよ! ほかのひとたちはきっとやさしいよ!」
「ならばこのネットで見つけた秘蔵の虐待ムービーを・・・」
「それよりおにーさん! ゆっくりこれをみてね!」
どれどれ。ってニュースか。えー何々ゆっくりの群れが権利を訴えてデモ行進・・・な、なんだってー!

「このぱちゅりーはすごくゆっくりしたゆっくりなんだよ!」
確かに・・・テレビに映っているゆっくり達は皆凛々しそうだ。特にリーダーっぽいぱちゅりーの答弁は
一応ちゃんとしてるような気がする。
「ひととおなじようにかんがえ、しゃべれるゆっくりにもけんりがあたえられるはずだわ!」
「そうだよ! じぶんよりよわいものをいじめるなんてさいていだよ!」
「ゆっくりだってるーるやほうりつがりかいできるんだぜ!」
「ぎむをはたさせてすらあげないなんて、とかいはのすることじゃないわよ!」
「チーンポ!」
「でもかつどうなんだねーわかるよー」
「ゆっくりたちにゆっくりぷれいすを! ぱちゅりーたちはたたかいつづけるわ!」

なるほど、ゆっくりにもデモクラシーの時代が来たか。まあここまで頭がいいのは
おそらく捨てられた元飼いゆっくりだからだろう。
「ゆっくりのみらいについてかんがえるなんてすてきだよ!」
「ぱちゅりーたちがいればゆっくりのみらいはあんたいだね!」
こいつらも気がつけば語彙が増えてきたな・・・・
「まあいいや。じゃがりこ食べる?」
「ゆ~♪ たべるたべる!」
「ゆっくりたべるよ! むーしゃ!むーしゃ!しあわげぇ!」
むしゃむしゃしていたれいむの頭に踵を乗せて、俺は仰向けになった。
「あーそういや。明後日からあの地域に出張なんだが、なんなら会いに行く?あのぱちゅりーに。」
「ゆゆ! ゆっくりあいにいくよ! だからはやくれいむからどけてね!」
「ゆゆゆゆ・・・・ゆっくりじだいよお・・・・」


そんな訳で到着いたしました。
とりあえず二人をホテルに預けて仕事をこなし、時間が取れた最終日にぱちゅりーたちに会いに行くことにした。

とある公園の一角。なにやらマスコミと警察と加工所の職員らしき人達でごった返していた。
人ごみに近づいてみると、なんとぱちゅりー達は空き缶拾いをしていた。
「ゆーしょ! ゆーしょ! あるみはこっちだね!」
「ゆっくりなげるよ!」
数匹がかりで缶を運び、どこから持ってきたのかゴミ袋に入れているようだ。
「ゆゆ! ゆっくりはたらいてるね!」
「でもれいむたちははたらかなくていいよね! かわいいからいいよねおにーさん!」
「今日の夕飯は饅頭かな・・・」
「「ゆっぐじお゛でづだいじまずがらゆるじでえ゛え゛え゛!!!!!」」

「むきゅん! どなたかしら!」
三人で騒いでいると、どこからか例のぱちゅりーがやってきた。
「「ゆっくりしていってね!!!」」
「ゆっくりしていってね!!!」
「だが断る。」
「おにさーんはだまっててね!」
はいはい黙ってますよ。ゆっくりはゆっくり同士。俺は人間と話すさ。

「ぱちゅりーはすごいゆっくりだね! ゆっくりのみらいのためにこうどうするなんて!」
「れいむたちもゆっくりおうえんしてるよ!」
「むきゅん! ぱちゅりーたちのうったえがとおれば! ふとうにいじめられるゆっくりはいなくなるわ!」
「すうこうなもくてきのためにがんばるんだねー。わかるよー」
「ゆっくりにもせんきょけんを! ゆっくりにもじんけんを!」
「ゆっくりのゆっくりによるゆっくりのためのとかいはなせいじがひつようだわ!」

中々盛り上がってるじゃないか。俺は近くの暇そうな加工所の職員を捕まえて疑問に思ってた事を聞いてみた。
「てっきり駆除とかされてると思ったんですが、やらないんですか?」
「って言いましてもねえ~。マスコミが大々的に放送してますし。強制的な手段に訴えるのはちょっとねえ・・・
それに捕まえる口実がないんですわ。あいつら元飼いゆっくりなんで上手く生きてるみたいで・・・」
成程成程。確かに口実が無ければ流石にゆっくりと言えど捕まえるのは難しいだろう。


「むきゅん! あなたがあのまりさとれいむのおにーさんね!」
なんか血縁関係みたいな言い方だな。まあ突っ込むのはメンドイからいいや。
「うんそうだよ。どうしたの?」
「まりさとれいむにひどいことしないでもらいたいわ! しょうがいざいよ!」
チクられたか。遠くであの二人がニヤニヤしながらこちらを見ている。
「「おお、ぶざまぶざま」」

「いやあれはどうかんがえてもスキンシップだね。」
「うそつきは、うさぎのはじまりだわ!」
「あーあーキコエナイキコエナイ!」
「ゆっくりもにんげんとおなじようにあつかうべきだわ!」
う~ん。全く真実なのでこちらが不利。しかし口喧嘩で負けるのは誰相手でも悔しい。
何か会心の一手は・・・・ん?

「なあぱちゅりー? 人間と同じく扱えって事は、当然刑罰も受けるんだよな?」
「むきゅん! わるいことをしたならばしかたないわね! でもぱちゅりーたちはわるいことなんてなにもしてないわ。」
「あいよ。んじゃ許可取った?」
「む?」
「いや『む?』ではなくてですね。デモ活動には許可が必要なのではないかと思うのですが。しかも公共の場所だし。」
「む・・・むきゅん! な・・・なにいってるのおにーさん! きょかなんてそんな・・・」
「ついでに逮捕されるんじゃないか?無許可だと。」




1分ほど公園は静寂で包まれた。そして誰かの声で静寂は破られた。
「青島・・・確保ォオオオオオオ!!!!!」
加工所の職員は一斉に動き出した。
ジャージの軍団は馴れた手つきでゆっくり達を次々と袋の中に入れていく。
「ぐらいよおおおおおおおおお!!!! ごごがらだぢじでええええええええ!!!!」
「でいぶぼういやああああああああ!!!! おうぢがえるうううううううううう!!!」
「ゆるじでぐだざいおねえざあああああああん!!! ありずははんぜいじでばずうううううう!!!!」
一部トラウマのスイッチが入ったゆっくりも居るようだ。可哀想に。
ついでにぱちゅりーはと言うと。
「主犯のぱちゅりー容疑者緊急逮捕いたしました! 今から連行します!」
「むきゅん! これはふとうたいほよ! べんごしをようきゅうするわ!」
「どうなってるんだぜぱちゅりー! どうしてまりさたちがつかまってるんだぜ!」
「ひもでしばるなんて・・・そんなとかいはなぷれい・・・もえあがるわ!」
こうしてぱちゅりー他幹部たちはパトカーで連行されていった。
他のゆっくりは加工所に連れていかれるようだ。
「だまじだなぱぢゅりいいいいいいいいいいいいい!!!!」
「ゆっぐじじね! ゆっぐじじね! ゆっぐじじねえええ!!!!」
「がごうじょはいやですうううううううううう!!!! ゆるじでぐだざいいいいいいいいい!!!!」


こうして一つの活動家たちの熱き戦いは終わった。政府という大きすぎる壁に挑んだ彼らは皆散っていった。
しかし彼らの意思は受け継がれていくだろう・・・私はそう願いたい。
「おにーさんのせいだよ! ゆっくりはんせいしてね!」
「ゆっくりはんせいしてね!」
なんか怒られてる俺。仕方がないので今日の夕飯はしゃぶしゃぶにしてあげよう。


久しぶりの我が家に戻った俺はニュースを見ていた。
「今日未明、無許可のデモ活動で逮捕されたぱちゅりー容疑者は、調べに対し、『にんげんによるじんけんしんがいだわ!
かっこくに、このひどうなこういがしれわたるのをねがってるわ!』などと答えており、容疑に関しては全面否認しております。
なお他のゆっくりに関しては全匹加工所に送られたとのことです。」
大変だね。ホント。

俺は肉を箸で掴むと、鍋の中にすうっと通した。あまりお湯につけないのが俺の好みだった。
「あぎゃいよ! そしておにくをゆっくりたべさせてねおにーさあづいッ!」
鍋の中にすっぽりと入っているれいむが何か言っているが気にしない。しかし鍋を風呂代わりとは失礼な奴だ。
「まりさ。このお肉美味いか?」
隣でキチンと座っているまりさに肉を食べさせてあげた。
「むーしゃ♪ むーしゃ♪! しあわせー♪ ありがとうおにーさん!」
「いいがらだづけでよねばりざ! でいぶおごあづぃ!」
だから喋ると口の中にお湯が入るとあれほど言ってないねそうえば。
「このまえみすてたれいむは、ゆっくりおゆにつかってね!!!」
「だっであればおにーざんがついッ!」
「あーそろそろまりさの番かな」
「ゆ! なにいってるのおにーさん! ゆっくりやめてね! おててをちかづけないでね!」



【あとがき】
まあ虐スレだし。こんなオチになりますね。

by バスケの人






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最終更新:2022年04月17日 01:28