~~社応援SS 恋心?~~
●その1
「にゃー!」
「その程度か!ふんっ!」
なぜここの方々は味方同士で戦闘を繰り広げているのでしょうかね。
シャム・メルルーサさんと天刹院晶真(てんさついん しょうま)さんでしたか。
強い奴を見つけて我慢できなくなったシャムさんが天刹院さんに飛び掛って――とか、
どうしてこうなったか、言語化しても無意味なくらい勢いのみでこの状況になりましたよね。
さすが戦闘破壊学園の異名を持つ場所、で片付けて良いのでしょうか。
「わあー!あの猫さん凄い速い身のこなし!」
ご主人様、あまり近付いてはいけませんよ。巻き込まれてしまいます。
「おおー!あんな斧を軽々と扱ってる!」
魔人同士の、それもどちらも攻撃的な魔人の格闘ですから見応えがあるのは分かりますが、
あんな風に無闇に格闘をしている方々をそんなきらきらとした目で見ているのもどうかと。
「凄いなー!」
……
「格好良いなー!」
ご主人様。私だってやろうと思えば結構なことができるのですよ。
私の能力の数々、応用技、それに複合技、ご覧に入れましょうか。
「わあ!社も凄いこと見せてくれるの?わーい!」
……はて、どうしてこんな流れに。
●その2
「そちらにはいませんでしたか?」
「は、はい。見つけられませんでした。お役に立てず申し訳ありません……」
いえ手伝ってもらって助かります、とにこやかに返すお嬢様。
今度は別の場所を探してみます、と若干気弱な風に応えるお嬢さん。
少し休憩しましょうか、と近くのベンチに腰をおろすお嬢様。
そうですね、と少し微笑みを浮かべてお嬢様の隣に坐るお嬢さん。
「ところで……本当にすぐに私の家に来なくてもいいんですか」
「……はい。私は
番長グループのみなさんに良くしてもらっています。
……こんな私でも番長グループの一員ですから。
その、確かに無くした記憶も気になりますけれど……ここを離れる訳にはいかないです!」
番長グループの逆砧(さかきぬた)れたいたぷたさんでしたね。
おどおどしているところもありますが、心根の優しい方のようで、人探しに協力的です。
話を聞いてみればなんでも記憶喪失で以前の自分のことをさっぱり覚えていないとか。
それを聞いたお嬢様がいたく心配しまして、沢山の魔人能力があり、
治療の可能性がある場所、つまり屋敷への転送を申し出たりと親身になっている訳ですが……
「それにしても呪い、ですか」
「はい……その、『お前は危険』だとか……」
「あ!もしかしてキスで呪いが解けるとか!」
「えぅっ!?あ、え、き、キス……ですか」
「そ……そんなに恥ずかしがられますと……お、思わず言ってしまった私も……」
「あ、あぅ……す、すみません」
何やら随分と微笑ましい光景を見せてくれるじゃないですか。
なんでしょうね。その肩の触れ合いそうな距離での会話といい、内容といい……
「あ、あと『鍵は名前にかけておいた』とも……」
「名前ですか……えーと、さかきぬた……漢字はこれで?」
「はい。たれいたぷたは全てひらがなです」
「逆さ……砧……たれいたぷた……んん?」
「何か……分かりましたか?」
「えーっと、れ・い……えーっと……」
「どうか……しました?あの、大丈夫ですか?お顔が少し赤く……」
「だ、大丈夫です!……いえ、その、名前ですか!何なんでしょうね!」
「本当に何なのでしょう……」
本当に何なのでしょう。笑いあったり、顔を赤らめあったり、見ているこちらとしては……
すごく、もどかしいです。
全く、何なのでしょうね。この気持ちは……。
- 初心な夢追と逆砧が可愛いです。何気に社はやきもち焼きなんだろうか
- ヤキモチ焼く社かわいいw 夢追&逆砧は微笑ましくてほんといいなあ。
~~社応援SS 直心?~~
●その1
結局、お嬢様をこちらにも転送するにあたってお目付け役に詳しく調べてもらいましたが……
「ゆとり粒子」は魔人能力の産物だったわけですね。しかも能力者は死亡済み、と。
最近まで平和だった希望崎学園もその人物の死後に治安が悪化、ハルマゲドンに至る、と。
粒子の密度も日を追って低下しているそうで、集めても役には立たないのでしょうかね。
まあ、折角ここまで来て、抗争にも巻き込まれた訳ですし、
それにどうやら問題の能力者の残留思念も漂っていますから、そこに呼びかけて、
出来る限り集めてみましょうかね。
「社?どうしたの?」
ああ、ご主人様。少々、当初の目的が果たせそうにない状況になりまして……。
「私を護るための能力探し、だったっけ?」
しかしご安心ください。例え今回は目的の物が見つからずとも、
ご主人様の身を護るという私の最大の目的は常に完遂致しますので。
「うん、ありがとう。頼りにしてるよ」
私はご主人様のために、いつでも己が使命を100%果たして見せます。
それにご主人様がご自身の目的を果たされるとき――
当然、ご主人様ならお一人で全て目的を果たされるでしょうが――
私はそこにもう1%助力して、完璧のさらに1歩先まで、ご主人様を運んでみせます。
「100%のその先かぁ。ね!
それじゃあ、オウワシもいつも一緒だから、私はいつでも100%の二歩先が見られるね」
む……まあ、確かにあの鳥も……オウワシも私に欠けるものを補っておりますからね。
そうですね。私と、オウワシと、いつでもご主人様をお助け致しますよ。
「ありがとう!
あ!今回はそれに一ちゃんと、もう一人の女の子も護ってね!」
そうですね、そちらも出来る限り善処致しましょう。
――ご主人様のお体だけでなく、その笑顔も護れてこその私ですからね。
●その2
「うーん、じゃあこうしましょう。代わりに、あなたの能力を見せてください!」
「えっ。でも私の能力は、人に対して使わないとあんまり意味が……」
ご主人様……人型の私が近くにいなくとも根付の私はちゃんと待機しているのですから、
そんなに危ないことはさせられませんよ。お帰りいただきますからね。
「(そんな!お願い!危なくないって逆砧さんも言ってますし!)」
ご主人様が生徒会室の面々に混じって行動しているところは、
恐らく番長グループの方々に知られているでしょうし、危険度が高いです。
「(でも!まだ見ぬ魔人能力が!目の前にあるのに!)」
逆砧さんとは抗争が決着した後にでもゆっくりと能力を見せてもらえばいいじゃないですか。
「(私には……待つこと……なんて)」
……
ご主人様の笑顔を曇らせる訳には……参りました。
例え危険な目に遭われても、フォローはしっかりとさせていただきます。
「(……ありがとう)」
いえいえ。
―――
「す、すごい! 私いま、ドラゴンですよ! 宇宙からやって来たんです!
むむむ胸はその、あんまりないですけど機械で出来ていて、相撲も得意なんです!
斧さえあれば無敵のニンジャでもあるんですから実際強い!
ああ……お姉ちゃん、かわいいっ! か、勝手に手が、ヒャッハァー!
ご主人様! 金ならいくらでも出すからちょっと襲わせやがれー、うわわわわ!」
止めれば良かった!全力で止めれば良かった!
ぐ……しかしお嬢様が活き活きしているのもまた事実!危険も確かにないようですし……
ぐぐ……止めたいですが……しかし……お嬢様の笑顔のために……
ぐぐぐ……ああ、そんなにもつれ合ってしまわれては……そろそろ我慢の限界が……
「ちょおおおっとまったあああぁぁぁーーー!!!」
ああ!そこの鳥!オウワシ!私がお嬢様の気持ちを汲んで耐えていたところに!
何を颯爽と駆けつけて、というか急降下して乱入しているんですか!
その行動見過ごせませんよ!
お嬢様の窮地を一番に助けるのはこの私です!
―――
すったもんだとはこのことですね。
なんとか先程の場は治まりましたが……。
まったく……私の心はとても収まりそうにありませんね。
- おお、今までの発動率にはこんな意味が……!そして百合展開!あざとい!
- 発動率102%の起源はここだったのかあ。そして番長応援とのナイスなコラボ! このパーティはほんと楽しいなあww
『Jack of Heart』
※時系列は適当な感じで
生徒会陣営が集まる生徒会室。
ハルマゲドンの際には戦場となる校内を見回っていた川端一人がそこに入ってきた。
「うーっす。戻ったぜー」
「おかえりー」
「誰もいない校舎ってなんか怖くなるよなぁ――って、ん?」
部屋の中を見渡す一人の視線がある一点で止まる。その先にいるのは気弱そうなポニーテールを垂らした人物だった。
高校生にしては背が低い上に顔立ちも幼い。小学生か中学生といったところだろうか。
……あー、いや。この学園において見た目なんてあてにならねぇんだけどさ。
目の前の人物の実年齢は置いておくとして、一人は真っ先に浮かんだ疑問をそのまま口に出す。
「えーと、誰?」
記憶が確かならば、一人が見回りにいく前にはいなかった人物である。
何故か学園外部の人間が参戦していたりするが、それでもこのような人物が生徒会陣営で参加するという話は聞いていない。
不審がられているのが分かったのだろう。ポニーテールの人物はあたふたと慌てながら頭を下げて自己紹介をした。
「え、えっと、僕は一一(にのまえ・はじめ)といいます!」
「にのまえェ? おいおい、どういうことだよ九十。なんでこんな日におと――」
なんでこんな日に弟を連れてきたんだ――そう抗議しようとした一人が最後まで言い切るより先に、九十が手で口を抑える。
「しーっ! それ以上は禁則事項だゾ☆」
「――ぷはっ、何がだよ!?」
九十は誰にも聞かれないようにと一人の耳元に口を寄せるとそっと小声で囁く。
……ここまで近づいても胸の感触を感じねぇとは、なんて残念なんだ。
「な、何か言った!?」
「言ってねーですから、さっさと理由を話せよ」
「えっとね、はーきゅんは女の子ってことで通してるから、空気を読んでほしいなって☆」
「……はぁ?」
言われて、一人は改めて目の前に立つ一を上から下までじっと見る。
そして出した結論は、
「いや、どっからどう見ても男じゃ……」
「カズ君のそういう嗅覚わりとキモいよねー☆」
「うっわぁ、わりとムカツク……!」
九十の指す一人の嗅覚とは、男女を区別する能力のことだ。
どんな逞しい女性が男装していようと、どんな可愛らしい男性が女装していようと、一目見ただけで無自覚のうちに本来の性別を理解してしまう。
魔人能力による性別偽装の場合限界はあるとはいえ、その恐るべき力はさすがホストの血を引いてるだけあるといえるだろう。
――尤も、ホストの血を引いてることは本人含めて殆どの人物が知らないので、女に飢えている故の力と誤解されやすいのだが。
「あぁもう。男か女かなんて大した問題じゃねぇからこの際置いておくぞ」
「えっ、いや、僕としてはもうちょっと大きく扱ってほしい問題というか……」
一の要求は聞こえなかったのか、聞いた上でなのか。一人はスルーして言葉を続ける。
「俺達のハルマゲドンに部外者を……しかもこんな子供巻き込んでいいわけねぇだろ」
「にゃー、俺はー?」
「話がややこしくなるから、ねこはこれでも食ってろ!」
首を突っ込んできた褐色猫耳に対しては鰹節を投げつけることでとりあえず黙らせる。
一人は手を一の頭の上に乗せると、軽く力を込めることで少年を一歩前に歩かせる。
――そうすることで、手の中の少年は守られるべきか弱い子供である事をアピールするように。
それに異を唱えた最初の人物は、生徒会陣営の誰でもなく……手の下の少年だった。
「僕は……僕も、戦う力があります! 守られるだけじゃない……!」
手を跳ね除けて、一は真正面から向き合って一人へと己の言葉をぶつける。
一人は一瞬驚いた様子を見せたものの、しかし首を振って否定する。一に戦う力があることぐらいは分かっている、と。
「お前はあの一家の人間……魔人だからな。そりゃ戦力としては申し分ないだろうさ。だけど、ダメだ」
「どうしてですか……!?」
「部外者のお前が戦う理由が無いからだ」
一人が問うているのは、意志だ。
戦場に立ち命のやり取りをする覚悟――それを支える理由があるのか、と。
その問いに、一は逡巡することなく即答した。
「あります! 僕は、このハルマゲドンに巻き込まれるかもしれない女の子を助けたい……!」
ここに来る前に見かけ、会話した1人の少女。
ハルマゲドンが起きることを知らなかったのか、彼女はそのまま校内に入ってしまった。
このままでは戦いに巻き込まれるかもしれない彼女を救いたい……それが一の参戦理由だ。
「あの子が犠牲になる前に戦いを終わらせる事ができるんだったら……僕が戦うには十分です!」
「命を賭しても、か?」
「はい――!」
一人の問いに、視線に、真っ直ぐぶつかることで一は己の意志を伝える。
ここに来て初めて九十達に説明した時とは違い、詰まったりすることはない。……無意識のうちに男として大事なことだと理解していたからかもしれない。
そんな男の矜持を見せようとしている少年に、一人は最も重要な質問を投げかけた。
「その少女は……お前の何だ?」
「えっ――」
改めて問われ、一は不覚にも動揺する。
そう、少女とは今日初めて出会ったばかりで、お互いに名前も知らない。まったくの赤の他人と呼んでも差し支えない。
だというのに……一は少女の泣き顔を見たくないと思っていた。長い付き合いがある家族の九十よりも、だ。
これは一体どういうことなんだろう。言語化して伝えなくてはいけないのに、意志を伝えなくてはいけないのに。自分で自分の事が分からず、一はえぇとと言葉にならない言葉を繰り返すだけだ。
「……成る程な」
「あ――」
しまった。
答えられないと判断されてしまった。これじゃあ――
「ん、いいんじゃねーかな。男が戦う理由としては」
「え?」
厳しく咎められることを覚悟した直後、しかしそれに反して一人は態度を軟化させていた。むしろ評価しているようにすら見える。
何故こうなったのか、一には何が何だか分からず頭に疑問符を浮かべるばかりだ。
そんな少年の困惑を気に留めることなく、一人は懐から取り出したトランプのデックからカードを1枚抜き取り表にする。
「一一……あぁ、成る程なー。ん、その名に相応しい騎士として、クイーンを守れるよう頑張れよ」
「えっ、あ、はぁ……が、頑張ります!」
「――俺のようにクイーンを失う騎士なんてのは無様だからな」
表にされたカードはJack――騎士を意味する絵札であった。
「しっかしさー。戦う理由が無いやつとか結構いそうじゃね?」
「お、おまっ! 人がかっこつけてんのにぶち壊すんじゃねぇよ!? いやいや、他のやつも参戦理由ちゃんとあるって!」
「……ジャックもクイーンもいないキングは寂しいメカー」
「――あるって!!」
- この一君はかっこいいけどなんか可愛いな。……これがショタ萌えか
- 勇ましいはずなのに、一きゅんにあざとさを感じてしまうのは何故だろうw オチのエンペラーもかわいいw
『生徒会陣営男性メンバー応援SS』
「危ないからお嬢ちゃんはあっちの部屋に行ってな」
「えー!どうしても駄目ですかー?」
ハルマゲドンを控え、静まり返った希望崎学園校舎内の空気を二色の声音が震わせる。
見れば、生徒会室前の廊下でふたつの影が問答を繰り広げている。
「立ち入り禁止」――そう物々しく書かれた立て看板を片手に、
生徒会室の入口に立ちはだかるのは、御厨一族が誇る超天才操心術士(自称)御厨槍太。
残念至極――そうはっきりと書かれているかのような表情で御厨を見上げるのは、
部外者ながらなんだかんだと今回のハルマゲドンに首を突っ込んでいる夢追中。
「今は男共で真剣勝負の最中だからな。
ほら、お嬢ちゃんはあっちで女子共に構ってもらいな」
「うう……残念です」
御厨の言葉に肩を落とし、生徒会室前を後にする夢追。
そんな夢追の背中を見送り、その姿が見えなくなったことを確認すると、
御厨はくるりと振り向き生徒会室の扉を見つめ、溜息と共にひとりごちた。
「あーあ、中はどうなってんのかなー……」
―――
事の始まりは川端一人の何気ない発言であった。
「そんなことよりババ抜きしようぜ。魔人能力有りで」
―――
魔人能力の巻き添えにならないよう女子の面々は別の部屋に移動してもらい、
早速カードの準備に取り掛かる川端。
トランプは川端の所持品であるため、イカサマ防止のために川端自身はディーラー役である。
「いや、でも流石にババ抜きやるのに10人は多すぎじゃないか?」
そこへ突っ込みを入れたのは着流しを伊達に着こなす生徒会一の色男、揉岡乳左衛門。
女子だけだと心配だから俺はあっちに行ってるわ、と一声残して颯爽と退場。
あいつ絶対男だけのむさい部屋が嫌だっただけだろうと皆思ったがそれは口にしないお約束。
なお、余談であるがこの時に部屋の見張り役として白羽の矢が立ったのが御厨であった。
だってお前の能力ぴったりじゃん、との周囲の言葉に、御厨は一言も返す言葉がなかった。
さらに余談であるが一一は女子達と一緒に別室へ移動済みである。誰も異論は挟まなかった。
こうして最終的に決戦の場に残った戦士達は全部で6人。
太古の封印から甦りし伝説の魔人――揶魔吐追打彦。
立てばジェントル座れば紳士、紳士部部長――
Mr.ディレクション。
歪みを断ち切る歪曲剣士――井上志郎。
豪壮にして美麗なるその姿、正に斧の如し――天刹院晶真。
オレはハスカールだああああ!!!!――
いいいい。
不死身の園芸部が誇るファーマー――菜園場果樹丸。
かくして相手に危害を加えない限り魔人能力使用も有りの、
死力を尽くした男共の真剣勝負――その決戦の火蓋が切って落とされた。
―――
精神を削る緊張の連続。
次々に山へ捨てられるペアのカード達。
今、生徒会室はさながら決闘の行われる古代ローマのコロッセオを彷彿とさせる。
互いが互いに真剣な表情を向け合い、いつ仕掛けるか、その時を窺っていた。
張り詰めた空気の中、カードをめくり、合わせ、捨てる音だけがやけに大きく聞こえる。
そして――全員の持ち札から、あと2順もすれば決着かと、そう思わせる状況に至りると、
俄かにカードを握る魔人達の目が輝きだした。
勝負の時である。
揶魔吐 → Mr.ディレクション
「我が神力を見せてくれよう!」
「はっはっは、まだまだ勝負はこれからですよ。ゆっくりいこうじゃあないですか」
まず能力を発動したのは揶魔吐。
己の所持枚数がMr.ディレクションよりも優位にあると見るや、
神力によって追い打ちの風を呼び起こし、望みのカードを呼び寄せた。
揶魔吐あがり。そして石化。残り5人。
Mr.ディレクション → 井上
「ひとつ、お手柔らかにお願いしますよ」
「悪いけど俺は本気で勝ちに行かせてもらうぜ」
井上 → 天刹院
「よし……」
「どうした?早く引かないのか?」
「これだっ!」
「ぬうっ」
事此処に来て、井上も仕掛ける。
井上は相手の歪みを見ることで動作を予測することのできる魔人。
その力を使い天刹院の持ち札から己が必要とするカードを引き当てた。
井上あがり。残り4人。
天刹院 → いいいい
「こうなっては仕方ない。俺も能力を使わせてもらうぞ」
「うおおおお!!!いつでもかかってきやがれええええ!!!」
「なるほど、これか」
「うおおおお!!!」
天刹院は自身の中二力によっていいいいの頭上に水晶玉を顕現。
水晶玉に反射したカードの絵柄を確認してペアカードを奪取。
いいいい以外は勿論この事実に気付いたが誰も文句を言うことはない。
これは真剣勝負なのだから。
天刹院あがり。残り3人。
いいいい → 菜園場
「うおおおお!!!俺は溜めた力を解放するぜええええ!!!」
「もう少し静かにカードを引けないものですかねぇ」
「ぐああああ!!!ばかなああああ!!!」
己の能力を存分にふるい、全力でカードを引くいいいい。
しかし力を溜めてももちろんカードを引くのには役に立たない。
菜園場 → Mr.ディレクション
「先日は色々とありがとうございました。なかなか改めて御礼を言う機会もなくて」
「いやいや。こちらこそせっかく招待状を渡しておきながらパーティーを開催できず、
心苦しく思っておりました」
「ですが、今は真剣勝負の時、勝たせてもらいますよ」
「はっはっは。遠慮はいりませんよ」
「では……追い打ちの風!」
「なんと!」
勝負も最終局面、ここで菜園場が使ったのはあろうことか揶魔吐の能力、追い打ちの風!
見れば傍らで石化している揶魔吐の頭にいつのまにやら花が咲いているではないか。
既に種は仕込んであった!菜園場の能力、燎原寄生!
この追い風によってババを避けた菜園場。あがりである。残り2人。
タイマンとなったババ抜き勝負。
これが最後の攻防である。
Mr.ディレクション → いいいい
「これは参りましたな」
「うおおおお!!!さっさとこおおおおい!!!」
「まあここはどうしようもありませんからな」
「うおおおお!!!」
既にお分かりと思うがMr.ディレクションの手にはババが握られている。
対するいいいいの手札は残り1枚。
状況はMr.ディレクションに不利だ。
「これは……仕方ありませんな。私も覚悟を決めて能力を使うとしましょう」
「うおおおお!!!やってみやがれええええ!!!」
札を引こうと身構えるいいいい。
ちょっとみなさんそちらへ移動してくださいと頼むMr.ディレクション。
Mr.ディレクションの背面側へ移動する他の面々。
今こそ決着の時。
おもむろに己の燕尾服へとカードを持たぬ手をかけたMr.ディレクションは……
「私……実は女なんです!!!」
「うおおおお!!!???」
なにやらいいいいに見せたらしい。
何かを見て固まるいいいい。あっけに取られて固まる他の面々。元から固まっている揶魔吐。
「おほん。さて、いいいいさん。どうぞカードを引いてください」
気付けばMr.ディレクションの手には1枚のカード。
いいいいはババを含む2枚のカードが握られている。
壮大なすり替えである。
が、衝撃から立ち直らぬいいいいがそのような些事に気付くはずもなく、
油の切れたロボットのようにぎこちない動きでカードを引くいいいい。
Mr.ディレクションの手札は0だ。
Mr.ディレクションあがり。
―――
こうして突如行われた生徒会男子勢ババ抜き大会は幕を降ろした。
勝者は言うまでもない。
「うおおおお!!!俺はいいものを見たああああ!!!」
いいいいである。
<終>
- いいいいはおいしいポジションだなぁw魔人能力の使い方も面白い
- こういう、能力を用いた戦闘以外のバトルが僕あ好きだなあw
~~社応援SS 下心?~~
●その1
「くっはー!さみー!にゃー!」
「それでしたらもう少し厚着をしては……」
「なにをー!馬鹿言ってんじゃねーよ!そんなことしたら動きにくいだろーが!」
「ああ……お気持ちはわかります」
シャムさん、猫なのにこの寒い時期に薄着でずいぶんと元気ですね。
まあお嬢様も和装でなければ動きやすさ重視の服装でいることが多いですけれど……
しかし流石にシャムさんの服装はもう少し……こう……節操といいますか……
「おっ!話がわかるじゃねーか!そんならお前もそんなひらひらしたもの脱いじまえよ!」
「あ、いえ、これは防御力重視といいますか、実用的理由がありまして……」
ご主人様。駄目ですよ。衣服の私を纏っていただいたのは危険を少しでも減らすためです。
それは駆けっこや跳ね回るのには不便な服装かもしれませんが、我慢してくださいね。
「あー?その服着てなきゃなんねーの?」
「はい。この服が私を護ってくれているんです」
「ならよ!裾とか袖とか切っちまえよ!まあ大体残ってりゃ問題ねーだろ?」
「うーん……言われてみればたしかに……」
ご主人様!駄目!絶対!そもそも丈の短い和装はご主人様だって好みじゃないでしょう?
それにそんな格好になっては節操がないです!動きやすさも大事でしょうが見目も大事です!
「なんなら俺が爪で切ってやろーか?」
「あ、いえ、やっぱり服装はこのままでいいですので。お気持ちだけいただいておきます」
……思い止まっていただけてなによりです。
まったく、裾や袖を切るだなどと……
そんなことをされては私がお嬢様の肌に触れられる箇所が減ってしまうではないですか。
●その2
ガリガリガガガガリガリギャギャギャ……
甲高い掘削音と舞い散る火花。
お嬢様が愛用の鋼鉄製メモになにやら走り書きをしていますね。
ガリガリガガガガリガリギャギャギャ……
よしと一声、作業を終えて、火花から目を保護するために掛けている伊達眼鏡を外し、
これまた火花から鼻や口を保護するために深々と巻いていたマフラーを外し、
人型の私に向かってこれをお願いと、先程まで削っていたメモ板を差し出すお嬢様。
「これ……逆砧さんのところに届けてくれる?」
おや、また逆砧さんですか。
もちろんお引き受けしますが、これは……なるほど、名前の謎解きのヒントですか。
ご主人様……ご自分で直接伝えるのが恥ずかしいのですね。
「う……」
何某かの呪いを掛けられるということは、解呪したら危険が及ぶかもしれませんし、
それにそこまで義理立てするほどの間柄というわけでもないでしょう。
呪いを解く術は幾通りもあるでしょうし、これを伝えて呪いが解ける保障もありません。
伝えるのが恥ずかしいのなら尚更考え物です。それでも、これを届けて宜しいのでしょうか。
「うん……解けなかったらまた何か考えればいいし……
今のところ名前にヒントがあるっていうなら、『それ』がまず試すことだろうし……」
ご主人様はお優しい。
……それでは行ってまいりますね。
―――
「えっ、ええと、これを……私に?ド、ドーモ」
私から差し出された鉄板を前に困惑する逆砧さん。
受け取った板を見てこれは何かと困っていますね。
まあ、一目でそれがメモだと分かる人も少ないでしょう。
「あ……星座が掘り込まれてる……綺麗」
お嬢様の趣味でメモには一枚一枚星座の意匠が施されていますからね。
……まあ、それ、裏面なのですが。
「おーい、鍋が出来たぞ。逆砧、一緒に食べようではないか」
そこにやってきたのは巫女装束のお嬢さん。番長グループの方でしょうね。
「お、なんじゃ?鍋敷きとは用意が良いのう。机に置いてくれ」
「えっ?あ、はい!ちょっと待ってください三五さん!
……あ、あの、夢追さんに綺麗なコースターをありがとうって伝えてください!」
……まあ、うっかり藪を突いて蛇を出すような真似も控えたほうが良いですね。はい。
食事が終わればメモの裏面にも気付くでしょうし、私はこれで退散といたしましょう。
最終更新:2012年01月12日 21:48