「なンなンだよ……」
白い髪を目立たせる細身の男は呟く。
辺りを見渡すが目ぼしい物はなく、人がいる気配も感じない。
男はイスに腰を下ろし目の前に広がるモニターに視線を送る。
「……」
目の前のモニターには『アクセス可能』が大きく出されているだけであり背景黒く染まっている。
他の参加者同様に首輪が付けられている。
この首輪が爆発すれば先ほど司会者に刃向った男同様に死を辿るだろう。
だがその首輪も枯れの首輪だけ謎のスイッチが付いていた。
「こいつがチョーカーの代わりか……」
学園都市最強のレベル5。その中でも頂点に立つ第一位。
それが彼、一方通行。
彼の能力はベクトル変換を主とする反射。第一位の頭脳を全開に活用し演算を行い反射する能力。
しかし彼はある事件から能力の使用の際に時間制限がつけられてしまう。
そしてチョーカーの代わりに首輪がその枷を成す物となっている。
「……」
黙っていてもしかたがないためキーボードに手を伸ばしエンターを押す。
電子音が軽く響きモニターに変化が起きる。
『パスワードを入力してください』
どうやらここ、研究所には何か秘密があるようだ。
考えなければいけないことは沢山あるし、彼は思考を放棄する気はない。
主催者の事、会場の事、参加者に共通すること、何故死んだ垣根がいる事、そして潜む裏の闇の事など考えるべきことは無数にある。
だがまずは目先にある格好の獲物から情報を聞き出すことに他は無い。
学園都市最強のレベル5第一位
その肩書は決して強さだけを表す記号じゃない
それに見合う頭脳を表すものでもあった。
カタカタと高速でキーボードを打ちつける一方通行
モニターには新たなウィンドウが何個も何個も現れ外部の侵入を遮断しようと試みる。
しかしそれに対しても一方通行のハッキングは止まることを知らず侵入し続ける。
そこで一つ新しいページが現れる
『参加者詳細』
文字を確認すると一方通行は中身を見ずにさらにハッキングを続ける。
出た情報は決して要らないものではないが、今欲しいのはもっと核心に迫る物である。
『施設紹介』
『料理人紹介』
『ランク表(仮)』
『会場崩壊時危険対策マニュアル』
段々と深い情報が出てくるがまだ足りない。これじゃ闇を暴けない。
参加者の情報を確認していないため知っている名前は少ないし、全員が能力者がどうかもわからない。
それに彼の知人が別の所で関わっている可能性も否定はできない。
だから今は少しでも情報がほしい――――
(俺も甘くなったかァ……?)
電子の海に潜りこんでどれくらいの時が経っただろうか。
少なくても暗かった外は若干の明るみを帯びてきている。
途中轟音と共に一瞬緑色に輝く時が数回あったりモニターで確認した所の武道会会場が崩壊したことなどの出来事はあった。そして―――
「ったく……意味解んねェぞ……」
外に見える巨大な黒い何か。
その辺りでも光が輝いたり動いたりしているため、おそらく戦闘の一種と思われる何かが起きているだろう。
つまりそこには参加者が複数いること。
他の参加者にコンタクトを取ることは危険を伴う可能性があるが、逆に情報を得る可能性もある。
一方通行は今モニターに出ている情報を確認した後外に向かおうと考える。
先ほどは殺風景だったモニターも今では新しいページが沢山でている。
ここまでくるのに苦戦するようなプロテクトは掛かっていなく寧ろ簡単な位に情報を得ることが出来た。
それは情報の価値なのかどうかは分からないが数は仕入れることに成功した。
自分を攫うような、先ほどのパーティーでの戦いを行う者たちを攫うような敵だ。
己の強さや技術に誇りを持ち、自信があり、慢心を抱いているのだろうか。
気に食わねえ。その一言に尽きていた。
そしてモニターに再び視線を移す。
新たに増えた項目へと。
『超能力に関する記載』
『悪魔の実に関する記載』
『魔術に関する記載』
『グルメ界に関わる特記事項』
『ドラゴンボールに関わる特記事項』
『王玉に関する特記事項』
『デビルガンダムに関わる特記事項』
『プロジェクト案』
『ゲストユーザーに読み取れるページは以上になります』
「……ッチ!」
一方通行の舌撃ちは人がいる空間に静かに響く。
最期に表示されたゲストユーザーという文字に対して感情を抱いていた。
その兆候はあった。明らかに軽いプロテクト、部屋に来るまでに鍵は掛かっていない。
遊ばれたという事は腹立たしいが一方通行は迷わず一番下の項目を開く。
プロジェクト案
そこにあった記載事項の中にさらに項目があった。
「まだあンのか……ン?」
そこにはさらに聞きなれない――いや、明らかに会場とは違う空気があった。
そこに目を通すも確信は得られないが、何か違う、とだけは言い切れることが出来るだろう。
『全開バトルロワイアルに関する事項』
『ここから先は最初に仮案だったものが表示されます』
――――選択
『スタンドに関する事項』
『ゲッター線に関わる事項』
『螺旋力に関わる事項』
『アルターに関する事項』
『次のページへ進みますか?』
「本当に意味解んねェなァ……」
そう言葉を吐き捨てるともう一度ページを戻し参加者の情報を見ることにする。
画面が一種の暗みを帯びる。まるで誰かの影のような、立体的な――――
「誰だッ!?」
「いきなり情報集めすぎなんだよおおおおおおおお!!」
突然後方から殴られ気絶する一方通行。その感覚はたしかに記憶がある。
反射を無視して物理を打ち込んでくる相手――――それは一人。
「いくら他がドンパチ騒いでいるからってテメーが静かにする理由があるか?まぁ五月蠅くする道理もないってか?」
軽く笑いながら喋る男の名は木原数多。
かつて一方通行の、第一位の親とも呼べる関係にいた科学者。だがその素性は深い闇に繋がっている。
「あ、そうだ。今んとこお前のとこのチビすけはいないから安心しな。って意識ないかい?もやしくぅん?」
一方通行の頭を持ち上げ唾を吐くと顔を蹴り飛ばす。
「だが殺しはしねぇわ。お前貴重な頭脳持ちだし」
そしてページの履歴を消し何等かの物体をポケットから取り出す。
スイッチを押すと木原の足から体が消え始めた。
「おーおー、科学の力ってすげぇなオイ。
あ、そうそう。一方通行お前ん所にある虹の実プリンはくれてやるよ?うめぇぞ?
後お前が最後に見たページ。ありゃあお前らがドンパチし過ぎて早く終わりそうなら干渉して連れてくる可能性もあるぜ?
って気を失ってるか」
木原の笑い声だけが響き部屋には一方通行しか残る物は無かったー―――
【F―7研究所/1日目・黎明】
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
【状態】 健康 、気絶中
【装備】
【持ち物】ランダム
支給品1-3、基本支給品一式
【思考】
基本: ???
1:???
【備考】
※木原の姿は確認できました
※垣根について疑問を抱いています
※アルターなどの記載は今の所は何変なこと書いてんだろ。って感じで流してください。
最終更新:2014年08月04日 20:19