足を進める杏子とさやかの二人の少女に会話は無い。
年頃の少女である彼女達が口を動かさず黙々と足を進める。
まだ子供である彼女達に殺し合いは苦汁なのか。それも原因の一つだろう。
だがしかし要因は他にある。そもそも会話と言う事柄が成立しないからだ。



だから杏子とさやか魔法少女と魔女は足を進める。



杏子の肩にはデイバックが二つ掛けられている。いや先ほどの女の分を合わせると三つ。
手違いとは言えさやかが殺してしまった女の死体からバックだけを盗ってきた。
死体には水を掛け血を流しておいたが。


さやかのためにも、そして自分のためにもまずは情報収集が大事となる。
そのため地図上で言うc-3の集落を目指している所だ。
集落の名がある以上人が暮らしているはず。
最悪人が住んでいなくても接触を求める参加者ならいるかもしれない。
そんな希望を抱き集落へと足を進めていたが――――


「うおっ!?何だ……」



後ろから響く爆音に次ぐ爆音。そして辺りを照らす緑の閃光。



(こんな芸当が出来んのは……!)


同じ魔法少女だけ



「ヴォォォォオオォ」


爆音そして光を感じた魔女は大きく吼える。
それは威嚇なのか、恐怖を感じているのか。それは誰にも分からない。
魔女の雄たけびは周りの木々を撓らせ、地面を抉る。



「落ち着けよさやか!」


これは自分にも向けた言葉であった。
杏子は日常からかけ離れた力を使う存在は魔女が魔法少女しか知らない。
自分が知らない魔法少女がいる事に驚いたが主催の謎の力と考えれば納得が出来る。
だが皆が皆味方とは限らない。暁美ほむらと巴マミはあんな輝く技は使わない。
むしろ魔女となったさやかと共に行動している時点で警戒されるのは間違いない。
ここは集落に進むべきか、それとも敢えて激戦の最中へ飛び込むか。大きな選択を強いられる。



「そこの嬢ちゃん。ちょっといいかい?」



悩む杏子に話しかけたのは帽子を被った一人の男だった。



「あん?何だお前」


刺々しい言葉で返すが他の人に会えた事で若干安堵した。
ただ首輪が付いていると言うことは同じ参加者なのだろう。
まずは情報交換と行きたい所だが先に説明しなくてはならない事がある。



「まずはこっちについて話すか」



無論魔女さやかの事である




★★★



「契約、魔女、ソウルジェム……それにお前杏子が魔法少女……ねぇ」





「大海賊時代、悪魔の実、それに白ひげ海賊団二番隊隊長エース……聞いたことがないな」




両者の情報交換は理解極まりない状況となっている。
同じ人間なのに会話の中身はまったく一致する事がない。
正直杏子は自分の話を信じてももらえる前提で話をしていない。むしろ魔法なんて。
だが対する男エースは理解どころか更に大きい内容を被せてきた。
海賊なんて教科書に出てくるだけの存在。ましてや現代は大海賊時代ではない。



ただ悪魔の実の能力者。能力という観点は一致する。
がそれに伴う対価は泳げなくなるだけ。自分の知っている魔法とは違う。




「それで後ろの怪物……魔女?がお前の友達のさやかでいいのか?」




後方に見える異形の存在、魔女と呼ばれ杏子の友達だと言う。
たしかに名簿上にさやかと言う文字はあるが実際にはあまり信じられない。
動物系の能力者の線もあるが杏子が悪魔の実を知らない以上可能性はないだろう。
そして名簿の名にルフィあ含まれていて彼の心に焦りが見え始めた。
尚、杏子は知り合いについて説明をしていない。死んだ巴マミについて情報が少なすぎるため。
無論エースもまだ名簿上の知り合いの説明はしていない。




「信じれるか?」



杏子の問いにエースは答える。




「世の中何があるかわからねぇ。一応はな。」



何よりもこの瞳からは嘘が感じられない。





「ヴォオオオオオオオオ」



会場に新たな閃光が起こり魔女は二度の咆哮を上げる。


錯乱し始めた魔女は突如の自分の周りに大きな車輪を召喚する。
車輪は螺旋を描きエースに向かい飛んでいく。杏子が止めようと声をかけるがとき既に遅し。

車輪はエース一直線に吸い込まれていく。



まただ。また関係ない人を死なせてしまうのか。
脳裏を過ぎるのは先ほど殺してしまった女性の姿。直接ではないと言え殺人行為。
その影響は少なからず出ており現にさやかを元に戻したいが今ひとつ踏み出せない自分がいる。
だがこうして死人を出した以上後には引けない。



(へ……あいつらは何て言うのかな……)








「ふー危ねぇ危ねぇ」





豪快な火柱の中心に男エースはいた。
圧倒的火力によって魔女の放った車輪は塵と化し中を舞う。




白ひげ海賊団二番隊隊長―――その肩書きは伊達じゃない






「お前……!」



仕掛けたのはさやかであったがエースが死んでいないことに安堵している。
半信半疑だったがこれが先ほどの悪魔の実の能力か。信じがたい話だが今は現実から目は背けない。


エースの瞳は先ほどとは打って変わり真剣そのもの。
殺されかけたならそれは当然の証でありこれからの展開も予想できる。



「杏子悪いがそいつは倒させてもらう」


「……」


「放っておいたら他の人の命を奪いかねないからな」


「……」


「友達……辛いかもしれな「嫌だ」」



会話が途切れ辺りに一瞬の静寂が訪れる。
両者互いに目を合わしエースは手を、杏子は槍を構える。




「どうしても……か?」



「ああ、さやかを殺すってんならあたしが相手になってやる」



幼い少女を相手にするのは気分が良くないが仕方がない。
まずは怪物と距離を取り説得最悪の場合気絶させ引き剥がす。
見た所杏子はさやかを止められる可能性がある。
運がよければ誰にも危害を加える事なく怪物を対処出来るかもしれない。


だから止める。少女を怪物を。






大切な人を失うのは辛いから――――


【B―3/1日目・黎明】

【佐倉杏子@魔法少女まどかマギカ】
【状態】 健康
【装備】 マジカル多節棍、魔法少女服
【持ち物】ランダム支給品2~9、基本支給品一式
【思考】
基本: さやかを人間に戻す方法を探す
1:その為には優勝も視野に入れる
2:マミとほむらを捜す
3:エースと戦いさやかを守る
【備考】
※殺人に対し少なからず罪悪感を感じています
※ワンピースの世界観及び海賊、悪魔の実の話を聞きました

【美樹さやか@魔法少女まどかマギカ】
【状態】 魔女化(オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフ)、幻惑
【装備】
【持ち物】
【思考】
基本: バイオリンの演奏が聞きたい
1:邪魔するものは許さない
2:周りの力に対し錯乱
【備考】
※9話で無理心中した直後から参戦です。
※さやかの支給品は杏子が持っています。


※B-3にレインの死体とライジングガンダムの残骸があります


【ポートガス・D・エース@ワンピース】
【状態】
【装備】
【持ち物】 支給品一式、ランダム1~3
【思考】
基本: 主催を倒し帰る
1:目の前の問題を対処する
2:出来ることならルフィに会いたい
【備考】
※マリンフォードにルフィ到着時より参戦
※今の状況に疑問を持っています
※魔法少女まどか★マギカの世界観及び魔法について聞きました
交友関係は聞いておりません

怪物攻略戦 時系列順 アクセス
地上最強の魔法少女 投下順 幕間は終わり
紅騎士と蒼髪姫 佐倉杏子 人魚姫は泡になって
紅騎士と蒼髪姫 美樹さやか 人魚姫は泡になって
GAME START ポートガス・D・エース 人魚姫は泡になって

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2014年08月04日 20:16