「さてどこまでいけるかな?」
「真田幸村――――参る!!」
◆ ◆ ◆
―――さて、それから数分が経過していた。
範馬勇次郎と完全体セル。現在、闘技場には二人の男が対峙している。
セルは正直先ほど真っ先に息の根を止めた真田幸村との戦いの時よりも更に力を強めていた。
だが状況はどうだろうか。圧倒する筈が現に勇次郎は彼と対等に張り合っている。
その力は人間とは考えられない。もしや彼も――――
「貴様、本当に只の人間か!?」
「だから、さっきから言ってるじゃねえかよ。」
ハンドポケットに手を入れながら中年の男はニヤニヤと笑う。
対するこちらは度重なる連戦と理解できない現象に流石に疲労の色を見せていた。
(これ以上長引くのは不利だな……そろそろ決着をつけるとしようか。)
「貴様ずいぶん余裕なようだが、遊びはこの辺にしておこうか。」
「くっくっくっ。水癖ぇ野郎だぜ。まだとっておきがあったのかよ?」
「まあな、この技を見て度肝を抜かれるがいい。―――はぁっ!」
「何っ!?」
突然、セルの尻尾の先端がウツボカズラのように拡張し、中から何かが飛び出した。
その数、三つ。
「「「けけけけっっっ。」」」
「さあ、セルジュニア達よ、あのおじさんと遊んできなさい。」
「「「しゃーーーーー!!!」」」
「集団リンチかよ。怖いねぇ。」
産み出された三匹のセルジュニアが三方向から勇次郎に襲いかかる。
子供とはいえその戦闘力は強力無比。
一匹一匹が当時のべジータやトランクスと互角に渡り合える程だ。
倒せはしないだろうが時間稼ぎには十分。
手こずっている間に気を溜めて最大威力のかめはめ波で細胞ごと焼き払ってくれよう。
セルはそういう戦法を画作していた。
……だが。
「阿呆が。」
「何っ!?」
勇次郎は両手を高く上げ、上半身に力をこめる。
膨張した筋肉が服をやぶったその瞬間、目に見えぬ衝撃波が発生した。
◆ ◆ ◆
―――その時の様子を、セルは後にこう語る―――
光が、見えたんです。気の概念を知らない筈の人間から。
光は巨大な鬼の容貌をしていました。
自分より強い存在を認めない、あの男の意志力が見ている人に光を感じさせたのでしょう。
上半身裸で、両腕を高くあげるポーズ。
あの男、範馬勇次郎が本気を出した構えなのでしょう。
三匹のセルジュニア達は目の前にしながら茫然と立ち尽くしているだけでした。
「どうした?まだやるかい?」
そう勇次郎が口にした時、目の前に信じられない光景が広がりました。
突然、セルジュニアの一匹が自分で自分を殴り始めたのです。
残りの二匹も互いに殴り合い出しました。
「お前たちの選択は正しい。ここから逃げ出せば俺の怒りを買い死は免れん。
かといって立ち向かっても結果は同じこと。ならばとる方法は一つ。
己を傷つける、互いに殺傷しあう。それでいい。それがいい。」
「この役立たずどもがぁぁぁぁぁ!!!!」
怒りに身を任せた私はそのまま溜めた気をエネルギーに変え放出しました。
悟空と同等かそれ以上の最大威力のかめはめ波。
セルジュニア達は巻き込まれて瞬時に消滅しました。
当然、勇次郎も直撃ですよ。
勝った、と、そう思ったかですって?
……ははっ。
本当の地獄はその直後からでした。
◆ ◆ ◆
「はぁ……はぁ……。」
息を切らしながらセルはモクモクと立ち込める煙を見る。
勇次郎は肉片一つ残らず完全消滅している筈。
「なに!?」
だが、勇次郎は立っていた。
その顔はまるで皮膚が裏返ったように血管が浮き上がっている。
かめはめ波が直撃した瞬間、
勇次郎は全身の筋肉に力を入れることで痛みを生みだした。
右手を叩いた痛みが、左手を叩くことで軽減するように、
動かぬまま五体全ての筋繊維を一気に駆動。
全身運動の苦痛により皮膚の苦痛(いた)みを分散し、
かろうじて肉体の原型を保持(キープ)した。
だが、セルが驚いたのはそのことではない。
「……貴様ぁ!なんだその姿は!」
上半身裸だった筈の男が、いつの間にか全身にフリルのついた
白とピンクを基調にしたロリータ風の衣装を身に着けていたのだ。
血管だらけの顔との相乗効果で壮絶な不気味さを醸し出し、セルは一歩後退した。
「―――野郎、俺を変身に追い込みやがった。」
「ははは。気分はどうだい、勇次郎。」
勇次郎の足元に白い生き物が出現した。
美琴と契約しそびれた直後、現れた勇次郎に駄目もとで持ち掛けたら
あっさり契約に成功したきゅうべいである。
この場では魔法少女に制限は無い。
つまり武神や拳王も魔法少女に成れる素質があるのだ。
「魔法少女。考えてみれば初めての体験。だがなかなか悪くない。」
そして勇次郎は足元のディバッグから何かを取り出す。
「……石炭?」
「そう、石炭。俺のディバッグに入っていた
支給品。無用の長物。
所詮はハズレ支給品といったところか……だが俺にかかれば。」
大量の石炭を一気に握りつぶした。熱が発生しているのか白い湯気が立ち込める。
やがてそれが治まり、手を離したら石炭は無く、代わりに何か七色に輝く半透明の石が転がり落ちた。
「……ダイヤモンド?」
「生憎人工ダイヤだがな。」
「はははっ、いいものだろう魔法少女というのは。」
「それがどうした!青二才がぁ!」
セルは飛び出し、勇次郎にラッシュをかける。
……ビキッ!
……ビキビキッッ!!
だが、それらの連撃はすべて苦痛を全身に分散することで受け流されてしまう。
セルの顔には悲壮感すら浮かんでいた。
「そろそろこっちから行くぜ。」
◆ ◆ ◆
―――その時の様子を、上空から観ていた高町なのはは後にこう語る―――
私は、恋人のフェイトちゃんや知り合いのはやてちゃんを捜して会場を飛び回っていたんです。
するととんでもなく禍々しい気配を感じて闘技場の方を見ました。
そこで繰り広げられていたのは一方的な暴力でした。
いやぁ、酷かったですね。なにせ緑色の顔色の全身に斑点のついた人が
ゴスロリ衣装のおじさんに殴られるたびに肉片が飛び散って血が噴き出していましたから。
ガードしていて筋肉ごと抉られたらもうどうしようもないですね。
人体ですよ?カステラじゃあるまいし。
殺されると思った?
まあ確かにそう思いましたけど。
「くそぉぉぉぉ!!!俺が、俺が負ける筈ないんだぁ!!!」
とうとう倒れた斑点の人の横に、とことこと白い動物が歩いて行ったんですよ。
「やぁ、お困りのようだね?」
「貴様……?奴の味方じゃなかったのか?」
「え?何を言ってるんだい?ボクはいつだって中立だよ?」
流石の彼も追い詰められていたんでしょうね。
決断は早かったですよ。
「……お……っ。」
「俺を魔法少女にしろっっっっ!!!!」
その直後でしたね、彼が光に包まれて対峙するおじさんみたいな
青と白を基調にしたフリフリ衣装を着て元気になったのは。
「うおぉぉぉぉっっっ!!!なんだこの体中から漲ってくるパワーはっっっ!!!!」
「やれやれ、まるで魔法少女のバーゲンセールだぜ。」
いやぁ、ほんとうに禍々しい光景でした。
だからね、思わず撃っちゃいましたよ。
闘技場に向けて、全力全開でディバインバスターを。
◆ ◆ ◆
「はぁ……はぁ……やったの?」
空中に浮遊する高町なのははモクモクと煙が立ち込める闘技場を凝視する。
普通の人間なら塵一つ残らない威力。果して結果は?
「―――いけないなぁお譲ちゃん、戦いの邪魔をしては。」
「!!」
なのはは咄嗟に後ろを向き、跳んできた光線をシールドで防ぐ。
「あなた!いつの間に!?」
そこには先ほど戦っていた男の一人、セルが舞空術で浮遊していた。
格好はロリータ衣装のままであり、首をコキャコキャと鳴らす。
「うむ。なかなかいいものだな。これが魔法少女というものか。」
「魔法少女?」
その単語を聞いたなのはは言いようのない不快感をあらわにする。
「何をいっているのかなおじさん。魔法少女はそんなにキモくないよ。」
「ほう。」
なのははレイジングハートをセルに向ける。
「かかってきなよ。私が本当の魔法少女というものを教えてあげる。」
「はははっ、いいだろう!」
かくして、新たな戦いの火蓋は切って落とされる―――!
【C―4武道会会場上空/1日目・早朝】
【セル@ドラゴンボール】
【状態】
【装備】
【持ち物】
【思考】
基本: 全てを殺し主催も殺す
1: 目の前の人間達を殺す
2: 悟空達に借りを返す
【備考】
※参戦時期は死亡後
※戦闘力に制限有り
※怪我は完治しました
※セルの願いでドラゴンボールの地球が破壊されました
【高町なのは@リリカルなのはシリーズ】
【状態】
【装備】 レイジングハート・エクセリオン
【持ち物】 ランダム支給品1~2、基本支給品一式
【思考】
基本: フェイトちゃんを捜す
1: とりあえず目の前の気持ち悪い人を倒す
【備考】
※A,sの時期から参戦です
「……ちっ、興が醒めちまったな。」
一方闘技場。ディバインバスターを廻し受けで受け流した勇次郎は
興奮状態を切らして一人白けていた。
「邪魔が入っちゃったね。まあ、ゲームはまだ始まったばかりだしまた戦えるよ。」
「……止めだ。」
「え?」
「魔法少女。興味本位で成ってみたもののやはり俺の性には合わないらしい。
闘争とは力の解放。力みなくして解放のカタルシスはあり得ねぇ。」
「いや、いまさらそんなこと言われてもねぇ。そうだ、武器を使ってみなよ。
ほら、キミの為にデザインしたマジカルハンマー『鬼の貌』だよ。
ゲージマックスで殴れば鬼の貌を模した紋章が浮かび上がるんだ。……え?」
勇次郎は、胸元のソウルジェムを乱暴に取り外し、力を込める。
「迷ったか勇次郎!!!!?そんなことをしたらキミは死んでしまうぞ!!!!」
「知っているか、きゅうべいとやら。」
パリーン。
「勇次郎ぉぉぉぉ!!!!……あれ?」
男は、何事もなかったかのように、その場に立ち尽くし、きゅうべいに振り向いた。
「魂というのは常に人の形をした者に宿るものなんだぜ。」
「ば……馬鹿な!?戻ったというのか!?人間に!?あり得ない!?
それは因果律に対する反逆だ!?……まさか!ボクの力にも制限が!?」
「さあどうだろうな。その目で確かめてみろよ。」
「くっ!?」
そう言われたきゅうばいは再確認した。
悠史に渡る人類とインキュベーターの歴史を。
―――その時の様子を、きゅうべいは後にこう語る―――
最初に見たのはクレオパトラ。
かなり最初の方に魔法少女になったエジプトの女王様ですね。
まったく、どんな偉人も結局最後は悲劇的な末路を辿るんだから本当に救えないですよね。
でもそんなことはどうでもよくて、問題は彼女の後ろのピラミッドに描かれた壁画なんですよね。
(あ……あれは……!?)
それは、背中に鬼面をもった人間の姿でしたよ。
背中だけが悪魔の貌になった壁画。
範馬のルーツはエジプトにあったんですよね。
そのあとも、アフリカ、ヨーロッパ、中国、日本、どんな歴代の魔法少女の背景をみても。
居るんですよ、背中に鬼面をもった人間が。
太平洋戦争末期に日本へ原爆が二回も落とされた時も、居ましたね範馬が。
(範馬勇一郎……!?)
そこでようやく気付いたんですね。
(そ、そうか……!インキュベーターが人類史に影から影響を与えてきたように!
「範馬」も……!創世期から人類に影響を与え続けていたのか!
ならば納得できる!この馬鹿げた現象も納得できる!)
膝をついたボクは勇次郎の背中を見送ることしかでませんでした。
ただの一個人でありながら宇宙の法則を凌駕する戦闘力。
感情のないボクが言うのもなんだけど、憧れちゃいますよね、男として。
【真田幸村@戦国BASARA 死亡】
【C―4武道会会場/1日目・早朝】
【範馬勇次郎@グラップラー刃牙】
【状態】
【装備】魔法少女服
【持ち物】ダイヤモンド、 ランダム支給品1~2、基本支給品一式
【思考】
基本: 不明
1: 強き者と戦う
【備考】
※参戦時期は書き手さんに任せます
※戦闘力に制限はありません
※魔法少女から人間に戻りましたが魔法少女服は気にいったのでそのまま着ています
※勇次郎が何を願ったかは不明です
【キュゥべぇ@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】
【装備】
【持ち物】
【思考】
基本: 契約♪
1: 美琴と契約したい
2: まぁ誰とでも出来るんだけどね♪
【備考】
※参加者ではありません。主催側です。が、殺す事は出来ます。
最終更新:2014年08月04日 20:21