「おい、見つかったか!?」
「いや、どこにもいねぇや。やれやれ、おぃらが目を離したせいだな。」
気絶したベジータと御琴を診療所に置いてきた独歩は回復したピッコロを連れて
半乱狂で飛び出してパーティーから離脱した来海えりかの行方を追っていた。
あれからかなり時間が経っている。誰かに襲われてなければいいのだが。
そう言ってるうちに二人はなにかの研究所のような施設を発見した。
「なんだこの建物は?」
「わからん。しかし、何か嫌な予感が……?」
「ブルオォォォォォォ!!?」
甲高い獣の悲鳴を聞き、二人は振り向いた。
独歩が乗ってきた黒王号が、突然全身から血を噴き出して倒れ込んだのだ。
「……血液の逆流。久々に使ってみたがカンは鈍ってねぇなぁ。」
倒れた黒王号の後ろから虹の実プリンを立ち食いしている一方通行が出現した。
「おお!こいつはウメェ!味が順番にやってきやがる!味のオンパレードだぜ!」
「……貴様、何故黒王号を殺した?」
一方通行は首輪をコンコンと叩き踏ん反り返る。
制限を掛けるためのチョーカー付きの首輪が、普通の首輪になっていた。
その代り、何やら頭に包帯が巻かれている。
まるで何かを埋め込まれたような―――。
「はぁ!?俺が最強を超えて神になる為の生贄だよぉ!?なんか悪ぃかぁ?」
「こいつ……狂っているのか?」
涎を垂らしながらこちらに近づいてくる明らかに正気の貌ではない一方通行を見て構えをとるピッコロ。
「下がっているんだ独歩さん!こいつなにかヤバい!俺が一瞬でカタをつける!」
そう言ったピッコロは二本の指を一方通行に向けて突き立て光をそこに集中させる。
「喰らえ!!魔貫光殺砲!!」
紫色の光線が螺旋を描きながら一方通行の方へ一直線で襲い掛かる。
「うぅ……何やってんのよ私。寝てる場合じゃないのに。」
思ったより早く回復し、診療所から飛び出してきた御坂美琴は
独歩達が向かったであろう方向に歩いていた。何やら研究所の施設のようなものが見えてくる。
「あ!いた!独歩さん!……え!?」
独歩を発見した美琴は恐ろしい光景を目撃する。
一方通行が反射した魔貫光殺法がピッコロの胴体を貫いていたのだ。
彼の姿を目撃して身震いする美琴。それもその筈。
御坂美琴と一方通行。そう遠くない将来共闘することになる二人であったが、
今の―――シスターズ事件からそう時間が経っていない時期から連れてこられた
御琴にとって、彼は唯の憎悪と恐怖の対象でしかないのである。
「がはぁっっ!!?」
「おいおい、デザートの邪魔すんなよ。」
虹の実プリンを食べ終えた一方通行は涼しい顔でせせら笑っている。
腹を抑えてうずくまるピッコロ。
「大丈夫か!?ピッコロ!!」
「……ぐぬぅ!!な、なんだ今の技は!?」
「わからねぇ。攻撃を跳ね返す……か。渋川先生の合気のような技かもな。」
「ふん!ならば!これならどうだ!!」
貫通して穴の開いた腹部を再生しながらピッコロは自分の周囲に無数の光弾を発生させる。
「すべて跳ね返せるものなら返してみろ!魔空包囲弾!」
大量のエネルギー弾が一方通行を包囲し、逃げ場をなくした彼にその全てを同時にぶつけようとした。
「だ……駄目ぇぇぇぇぇ!!!!」
御坂は手を伸ばして駆け寄るが時すでに遅く。
無数の光弾がひとつ残らずピッコロに向かって跳ね返された。
「え……ご……悟はぁぁぁぁぁぁーーーーん!!!」
超威力の無数の光弾がピッコロの全身を焼き尽くし、愛弟子の名前を叫びながらピッコロは跡形もなく消滅した。
「あ……あぁ……だから駄目だって言ったのに……。」
失意の美琴はその場に膝をつく。
一方通行が参加してるということはいずれこうなるということもなんとなく判っていた。
一体どうやって奴を倒せというのか?……助けてくれるヒーローは、あいつはもういないのに。
彼女の目の前には研究所の建物が。
「そうだ、もう上条当麻はいない。……でも、あいつは倒した。あの一方通行を。」
全身がスパークに包まれた美琴はゆっくりと立ち上がった。
「―――誰が、倒せないって決めたのよ!?」
◆ ◆ ◆
「おいおい!サイヤ人の次に強いナメック星人があのザマかよ!?
はっはっは。流石全盛期の第一位様だなぁ!」
モニターの前で椅子に座って踏ん反り返っている垣根提督はせせら笑う。
「悟空が宇宙へ飛び出たあたりで主催者側の方針が変わったからね。
『30分制限なんか掛けてる場合じゃない!一刻も早く一方通行を全力で
治療して最強の状態に戻せ!』って大慌て気絶してた彼を改造してたよ。
ま、その甲斐はあったんじゃないかな?なんか後遺症で記憶が妹達を虐殺してた頃に戻ってるぽいけど。
で、勝てそうかい提督?」
「ははっ心配してくれてんのかキュウべぇ?なあに俺の能力はとうの昔に奴を超えてるぜ!
……そういえば、今の奴にあの黒い翼は出せるのか?」
「さぁ?メカニズムがよく分からないし科学者には未知の領域なんじゃないかな?」
「想定はしてないってか。下手すりゃ俺と闘ってる時より弱くなってんじゃねぇの?
ま、しばらくは高みの見物といこうや。……ん?」
画面の向こうで愚地独歩が構えをとっている。
「なんだあのおっさん?なんか仕掛ける気か?無駄なことを。」
「さあどうかな?君の未現物質と同じでグラップラーには常識が通じないからね。」
「何か言ったか?」
「いやぁ、別にぃ。」
◆ ◆ ◆
「ナ・ル・ホ・ド。その技、合気道だな。」
「―――は?」
愚地独歩はキョトンとする一方通行を尻目に語り始める。
「おぃらは以前貴様と同じ技を使う男と遣り合ったことがある。渋川剛気って男だ。
力の流れを利用することにより、相手の力に自分の力を加えそのまま返すカウンター技。
攻撃を仕掛ければ同じ力で跳ね返される。勝つことはできねぇ。勝てる道理がねぇ。
だが知ってるか?こう見えても俺は勝ちかけたんだぜ?だからあんたの攻略法も大して変わらねぇ。」
そう言った独歩は全身の力を抜いて脱力し、直立不動のまま動かなくなった。
「どうする?なにもしねぇぜ?」
「なるほどねぇ。相手が攻撃してこなければそもそも争いはおきねぇ。
誰も傷つかない。理想の世界だな。……だからなんだよぉ!?」
一方通行は両手を合わせて空気を圧縮しプラズマを形成する。
「消し飛べやぁ!!!」
一方通行が飛ばしたプラズマ弾を独歩は両手を素早く動かして掻き消した。
「なんだと!?」
「回し受けだよ。矢でも鉄砲でももってこいやぁ。」
「は!そんなに直接消されてぇのかよ禿のおっさん!」
一方通行は両手を広げて独歩に向かって走りだした。
彼の手に触れるだけで血液が逆流し生体電流が乱れ無残な死を迎えるであろう。
愚地独歩は見えない角度で右手に菩薩の拳を作りだす。
この男も殺気を完全に消した状態での一撃は対応できまい。
「―――あばよ、兄ちゃん。」
「……いや、多分おっさんが考えてる攻略法、間違ってるわよ。」
いつの間にか後ろに立っていた御坂美琴は掌から発したスタンガンを独歩のうなじに当て気絶させた。
倒れ込んだことで一方通行の攻撃がスカされる。
「あぁ?てめぇは……御坂美琴ぉ?」
今の御坂はなにやら様子がおかしい。何やら全身にスパークが走っている。
唐突に彼女の後ろにあるさっきまで自分がいた研究所の電気がすべて消えた。
よく見ると御坂の全身にコードのようなものが巻き付いている。
研究所の―――会場中の電力をハッキングを仕掛けて奪っているのだろう。
「けっ。今更てめぇごときに用はねぇんだよ。そうやってパワーを上げて何になる?」
「あぁ!?そんなこと決まってるじゃない。」
御坂の全身のスパークが彼女の背中に六対の電磁波の翼を発生させる。
「研究施設の襲撃。樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)の破壊。何回りくどいことやってたんだろ。
―――馬鹿な実験を潰したければ、私があんたを直接ぶっ殺しちゃえばそれで済む話だったのに。」
「……実……験……!?」
その単語を聞き、一方通行は頭を押さえ始める。記憶の片隅に、無数の同じ顔をした少女の死体と
なにやらアホ毛を生やして親しげに自分の元へ駆けてくる幼女の姿が―――。
「妹達(シスターズ)を殺した罪、今ここで償いなさい!一方通行(アクセラレーター)!」
「……なに……言ってやがる……そもそもてめぇがDNAを提供しなければ……あんなことには……!」
制限を外すための脳改造の影響で失っていた正気から徐々に回復しつつあった一方通行は
純粋な殺意を美琴に向ける。……そうだ、こいつが悪いんだ……全部、この女が。
「そうね、私も加害者だ。だから無傷で帰れるなんて思ってない。」
「う・・・・・・・・うおおおおお!!!」
御坂は彼女に向けて両腕を振り上げた一方通行の―――足下に向けてレールガンを発射した。
「なにぃ!?」
地面が崩れ、バランスを崩した一方通行は重力に引かれて空いた穴に自由落下する。
―――ところが、彼は殆ど落下しなかった。
光速で動いた御琴が地面に空けた穴に既に回り込んでいたのだ。
彼は地面に仰向けに寝そべった状態で右腕を伸ばした美琴の手の平の上に着地していたのである。
御琴は勝利を確信したかのようにニヤリと笑っている。
「……あぁ?とうとう狂っちまったのか御琴?
確かに意表を突かれたがそんなところから仕掛けたって一緒――。」
一方通行がすべてを反射するというのは正確ではない。
音を反射すれば何も聞こえない。
物体を反射すれば何も掴めない。
重力を反射すれば地面に立つことも出来ない。
彼は無意識のうちに有害と無害のフィルタを組み上げ、
必要のないものだけを選んで反射しているのだ。
「―――あっ。」
そのことに気付くのがあとコンマ数秒早ければ、反射の方向をずらす等
対抗策が取れたのかもしれない。しかし全ては遅すぎた。
「宇宙の果てまでっっっっっっ!!!!!!吹き飛べぇぇぇぇぇぇっっっっっ!!!!!!!」
御坂美琴は最大出力の超電磁砲を真上に居る一方通行に向けて垂直に解き放った。
当然全て反射されるが、反射される方向は真下。そこににあるのは地球の地表。
会場の電力の流用による想像を絶する高威力の電磁砲にベクトル操作のカウンター効果が加わり、
一方通行は直立状態のまま音速の6倍を遥かに超えた速度で天空に向かって発射された。
「う…………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?????」
尋常ならざる大気の圧力に押しつけられ表情筋を大きく歪ませる一方通行。
通常の人間なら音の壁を超えた衝撃によってとっくに空中で爆発四散しているであろうが
ベクトル操作による防護効果が大気圧と音の壁をほぼ完壁に防ぎ切り、遂に大気圏を突破。
「……ほ……星ぃ……!?」
一方通行はコンマ十数秒の間に地球の重力を振り切ってとうとう生身で宇宙空間へ到達したのであった。
「ははっ……やった……!」
一瞬で空高く飛び立ち姿を消した一方通行を見送った美琴は息を切らしながら笑う。
元気に宇宙遊泳中のあの男は何をどれだけ反射しようがもう地球へは帰ってこれないだろう。
「一方通行にっっっっっっ!!!!!!勝ったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
美琴は左の拳を天に掲げて叫んだ。
だが、当然無傷ではない。反射が効いてなかったわけではないのだ。
彼女の右腕は付け根から跡形もなく粉砕され完全に消えてなくなっていた。
「……が……は……っ……。」
衝撃で心肺機能に異常をきたした美琴は血を吐きだして痙攣する。
「馬鹿ヤロゥ。無茶しやがって。」
気絶から復活した愚地独歩は美琴の手を掴んだ。
「何よ……助けてあげたんだから、感謝しなさいよね。」
「あぁ……そうだな。」
「ねぇ、独歩さん。一つ頼みがあるんだけど、いいかな?」
「なんだい?」
「あの男、一方通行を私が殺したって、学園都市に報告してくれないかな。
多分、このゲームの主催者は学園都市の関係者だと思うから。」
「……そういうことは、自分でやりな、お嬢ちゃん。」
独歩はジュエルミートを御坂の口に入れようとする。
「―――ははっ。」
「嬢ちゃん?」
「―――なんだ、そんなとこに居たんだ。少しは褒めてほしいな、結構、頑張ったんだから―――。」
「………ちっ……。」
時すでに遅く、幸せそうな顔をした御坂美琴はゆっくり目を閉じ息絶えた。
◆ ◆ ◆
「はいはい、報告しなくっていいよ。全部見てたからねー。」
「いやぁ、この結果は想定外だったんじゃないかな提督?」
「はっ!第三位ごときにやられるようじゃな。奴も所詮はその程度の器だったってことさ。
……んん?これで学園都市代表で残ってるのは俺一人か?」
「まぁ、そうなるね。」
「けっ、もう関係ないな。今の俺はサイヤ人でも倒せねぇ。」
垣根提督は高らかに笑った。
◆ ◆ ◆
(……あー星が綺麗だなぁー……。)
宇宙空間をプカプカと漂う一方通行は朦朧とする意識で既に大分遠くなった地球を眺めていた。
よく見ると地球が真っ二つに割れているように見える。
(ったく、どんな戦闘が繰り広げられてんだよ。まぁ、もう俺には関係ねぇけどな。)
灼熱の太陽光も絶対零度の空間も反射で防いでいるが、肝心の空気がない。
彼も人間に過ぎないため、もう長くはないだろう。
(俺の負け、か。まぁ俺がやらかしたことを考えればしょうがねぇんだけどな。)
既に正気を取り戻している彼の脳裏に打ち止め(ラストオーダー)の笑顔が浮かんでいる。
(……出来れば、死ぬ以外の方法で、あいつらに罪滅ぼししたかったなぁ……。)
酸欠で心肺機能が停止し意識を失った一方通行はゆっくり目を閉じた。
漂う彼も元に月面から発射された高威力の気功弾が降り注ぎ、学園都市最強の男は宇宙の塵と化した。
「やぁ、何悲しそうな顔をしてるんダイ?」
「なんだあんた?……んん?」
御坂美琴の死体を地面に埋めた愚地独歩は近づいてきた怪しい男、涅マユリの様子を見て驚愕する。
「おめぇさん、首輪はどうしたんだ?」
「ああ、コレのことカイ?」
首についていた筈の爆弾つきの首輪を指で回しながらマユリは喋りつづける。
「ナンか体を液状化したら外れちゃったからついでに解析しといたヨ。
あんたの首についてるヤツでちゃんと外せるか実験したいんだけどどうスル?」
彼らのそばには、おそらく主催者の本拠地につながっていると思われる研究施設が。
「……詳しく、聞かせてもらおうか。」
【ピッコロ@ドラゴンボール 死亡】
【御坂美琴@とある魔術の禁書目録 死亡】
【一方通行@とある魔術の禁書目録 死亡】
【F-7研究所前/1日目・昼】
【愚地独歩@グラップラー刃牙】
【状態】
【装備】 スーツ
【持ち物】 ランダム
支給品0~2、基本支給品一式
【思考】
基本:涅マユリと協力して主催をぶっ潰す
1: 守れるものは守り通す
2: 花山から任された……任せとけ
3: 勇次郎……
4: ピッコロ……
5: 美琴……
6: 学園都市に御坂美琴が一方通行を倒したことを報告する
【備考】
※学園都市についての情報を得ました
※キュゥべぇに対して警戒
※花山に任された少女を守り抜こうと考えています
※勇次郎が人間を辞めた事を悟りました
【涅マユリ@BLEACH】
【状態】健康、液状体から固形体に戻っている途中、首輪解除
【装備】
【持ち物】 首輪、ランダム支給品1~3、基本支給品一式
【思考】
基本: このゲームの研究成果をソウルソサエティに持ち帰る
1:ここには貴重な研究素材が多いようだネ
2:キュゥべぇを解剖する
3: もう主催戦行っちゃおうか?
【B-6診療所/1日目・昼】
【ベジータ@ドラゴンボール】
【状態】気絶中、 疲労(大)、全身に打撲、気の低下、全身骨折、※現在ジュエルミートにより回復中
【装備】 普段着
【持ち物】 ランダム支給品1~3、基本支給品一式
【思考】 基本: 主催を倒し生還する
1: カカロットは絶対に倒す
2: ドラゴンボール……
3: ブロリーだと?
4:できれば首輪も外したい
5:自分だけでも他の者を守りたい
【備考】
※原作終了後(GT前)より参戦
※気を探るのは範囲各1マス。舞空術は若干の体力消費
戦闘力は会場そのものを壊す事以下に制限がかけられてる
※天津飯が参加している事に気付きました。
※悟空が殺し合いに積極的なのを知りました
※現在ジュエルミートにより回復中です。
※瀕死の状態から復活するので起きたら戦闘力が上昇します
最終更新:2014年12月31日 20:24