誕生日おめでとう!
その先に続く言葉には、一体どんなのが当てはまるだろうか。それが何にせよ、その人の誕生を祝うのだから、きっと笑顔になれる素敵な台詞に違いない。だけど当の
八神はやてには、どうにも最悪の形のものしか想像できなかった。
「やっぱり死ねゆうことなんかなぁ」
車椅子に座った八神はやては夜空を見上げながら、か細い声を口から漏らした。明日は九歳になる誕生日。一日早いとはいえ、そのプレゼントに殺し合いへの招待とは、随分と心を込めてくれたものだ。相手の気持ちが、痛いほど伝わってくる。
だけど、それは当然のことなのかもしれない、と八神はやては自らの境遇を省みて、そう思った。下半身は動かず、それを世話してくれる両親も親戚も友達も、どこにもいない。一応グレアムという人が生活費の面倒をみてくれているが、本当にお金のことだけだ。そこに愛情など感じられない。否応にも、それは一つの結論に辿り着かざるを得ない。つまり自分は誰にも必要とされていないということ。
「あかんなぁ、何か泣けてきたわ」
涙で滲む目を両手で覆い隠す。誰が見ているわけでもない。だけど、それでもその事実を否定したかった。涙なんかを流したら、何だか本当に自分がいらない人間だと周りに示しているように思えてくるから。
「……とりあえず、バッグの中身を確認しとかこか。こんな可愛い子やもん。きっとあのおじいさんもサービスしてくれるやろ」
首を持ち上げて、何とか笑顔を作ってみる。だけど、バッグの中身を見て、すぐにまた力なく首が下がってしまった。中に入っていたのは基本的な支給品に本が二冊。どう考えても、悪意が透けて見えてしまうものである。
「えと、この鎖で閉じられたのは家にあったやつやんなぁ。あとは……アバンの書か。ホンマどないしたらええんやろ」
戦える武器も身体もない。周りを見渡せば、見知らぬ町並み。助けを呼ぼうにも人っ子一人見えない。せめてもの救いは車椅子が取り上げられなかったことだろうか。無論、そんなことでは事態の打開などできないが。
「夜も更けてきたし、寝るところ探そか。あとはそこで本でも読も。他にすることあらへんし……というか、できひんし」
誰もいない夜の街中を、八神はやては一人頑張って車椅子を動かしていった。
【一日目 深夜】
【現在地 D-3 市街地】
【八神はやて@魔法少女リリカルなのは A's】
【状態】下半身麻痺、寂しい
【装備】車椅子、闇の書@魔法少女リリカルなのは A's、アバンの書@DRAGON QUEST-ダイの大冒険
【道具】支給品一式
【思考】
基本 なるようにしか、なれへんやろ
1. 寝るところを探す
2. アバンの書を読む
3. 素敵な誕生日プレゼントをありがとう♪
街路樹の枝の上で飛影は、静かに溜息をもらした。殺し合いというのだから、さぞかし強者を集めたものだろうと期待してみれば、実際にいたのは子ども一人。それもろくに身動きすらできない人間ときている。バーンはこんな奴と戦えとでもいうのか。とんだ茶番だ。
早速舐めた真似をしてくれたバーンを殺してやろう。そう思った飛影だったが、すぐにそれは頓挫した。邪眼でバーンを探そうにも、その姿は一向に見えなかったのだ。試しにバカ二人と蔵馬の姿を探してみるが、そちらは問題ない。つまり邪眼が封じられたという線はなくなる。
となると、バーンは探知を妨害する何かしらの結界を張っているのだろう。それに気がついた途端、飛影は全てのことが面倒くさくなって、腰を下ろした。どこにいるとも知れないバーンを探して回るのは、とても生半可な労力でできることではない。最後の一人になれば、バーンを殺す機会も巡ってくるだろうが、その為にわざわざ島中駆け回るのも飛影の気が向くところではない。それに人間を殺したら、バカ二人が耳元で騒ぐのが容易に想像できる。それもごめんだ。
故に飛影に残された選択肢など、一つしかない。
八神はやての背中を見送ると、飛影は早速不貞寝を開始した。
【一日目 深夜】
【現在地 D-3 市街地 街路樹】
【飛影@幽遊白書】
【状態】健康、睡眠
【装備】なし
【道具】武器支給品、ランダム支給品、支給品一式
【思考】
基本 強者と出会ったら戦う
1. ZZZzzz
2. バーンは殺す
【支給品説明】
魔法を蒐集することのできる魔導書。666ページを全て埋めると、持ち主を取り込んで暴走する。転生機能を持っているため、破壊や封印しようとすると、持ち主を呑み込んで、どこかへ逃げ出す。また自身とその主を守るために、守護騎士と呼ばれる4人の魔法生命体を生み出すことができる。
アバンが自ら編み出したアバン流の武術や呪法の知識、後世への教えなどを記した、この世に1冊しかない貴重な手書きの本。武術の「地の章」、呪文などの知識「海の章」、心の「空の章」の三章構成。
最終更新:2012年02月27日 01:20