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その男たちに出会いは必然であった。
一人が男を求め、もう一人も男を求める。
その邂逅の先にあったのは、やはり男同士の熱い抱擁――闘いだった。


「これから君には、おれと果し合いをしていただきたい」


月光に映し出されるのは、均整の取れた身体をした壮年の男だった。顔は精悍で、自信に満ち溢れている。その中で取り分け目を引くのは、男の口髭と顎鬚だろうか。特に顎鬚は髑髏の形をあしらっており、何よりもその男を特徴づけている。


「果し合い? 面白いじゃないの」


奇特にも果し合いに応じた男もまた精悍な顔をしていた。そして男性に相応しいしっかりとした体格に無駄のない筋肉を、その下に飾っていた。だけど、何よりも印象付けるのは彼の服装だろう。彼は青いツナギを身に纏い、胸元を悠然と開襟してみせていたのだ。


「自己紹介させていただく。おれの名はリンゴォ・ロードアゲイン。君はスタンドを知っているか? いわゆる超能力の一つだ。おれはそれを持っている。ほんの6秒。それ以上長くもなく、短くもなく、キッカリ6秒だけ時間を巻き戻すことができる。それがおれの能力だ」


リンゴォは髑髏の顎鬚を指先でいじりながら、説明を加えていく。その内容は随分と突拍子もないものだったが、相手を見据えて話す姿勢から、そこに嘘の臭いは感じ取れない。そのことを面白く思いながら、リンゴォと相対する男も自らを語る。


「おれの名前は阿部高和。しがない自動車整備工さ。生憎、超能力なんざ持ってはいないが、自慢できる飛び切りの能力は持っている。ほんの6回だ。それ以上長くもなく、短くもなく、キッカリ6回だけで相手をイかせることができる。それがおれの能力だ」


リンゴォと同様、阿部の話す内容も頓珍漢なものだったが、そこには不思議と真実の響きがあった。それを鋭く感じ取ったリンゴォに押し寄せる感情は、喜び。殺意を向けても、揺るがず自分の姿勢を貫く目の前の男は、やはり果し合いに相応しい相手だったのだ。


「面白い! 面白いぞ、アベ・タカズ! 残念ながら、君に漆黒の意志による殺意があるかは分からない。だが、おれに向けられるそのドブ川のようなドス黒い害意は、目に見えて分かる。こんなことは初めてだ!」


リンゴォの喜色を含んだ声に、阿部も思わず笑みをこぼす。ヤる前から相手がここまで喜んでくれたのは、さすがの阿部にも経験のないことだったのだ。しかも、それは一目見て分かるイイ男である。阿部のドス黒い感情は更に波打ち、ついに言葉なってリンゴォに放たれた。


「やらないか?」


熱烈ともいえる阿部の誘い。それの意味するところは、彼の表情、息遣いを見れば、十二分に分かることだ。そしてその誘いにリンゴォは阿部にも劣らない熱情でもって、真摯に応えた。


「よろしくお願い申し上げます」


まず動いたのは阿部だった。銃を向けられる。生まれて初めて直面する危機的状況に、恐怖が湧かないわけがない。だけどそういった気持ちよりも、リンゴォの放つ魅力に抗えない感情が自分にはある。我ながら、どうしようもないものだ。阿部はそんな自分自身に内心苦笑を覚えながらも、リンゴォに向かって勢いよく走り出した。


それに呼応して、リンゴォはすぐさま銃声を鳴らす。だけど、それは阿部にとっても、十分に予見できたことだった。リンゴォが銃口を向けて構えた瞬間を見計らって、阿部は瞬時に横に飛ぶ。銃弾が自分の横を通り過ぎていったことを確認する時間すら惜しいと、阿部は自らの内に溢れる激情を存分に足に注ぎ込み、更に加速。スプリンターも目を疑うようなスピードで阿部はリンゴォに押し迫った。


「捕まえたぜ、リンゴォ!」


二発目の銃声が鳴る直前に、阿部はリンゴォへのタックルに成功。すかさず銃を持つリンゴォの手を掴み、地面に組み敷く。さあ、これから魅惑の宴の始まりだ。阿部は鼻息荒く、リンゴォの股間にすり寄る。だが、その次の瞬間――





        時は巻き戻った。





リンゴォは銃を阿部に向け、阿部はその場を駆け出さんと足に力を込めていた。先ほどまで肌を重ねるほどの距離だったのに、今は阿部が走り出す前と同じ位置にお互い立っている。


「ウッ……」


時が戻るという異様な事態に、阿部は堪らずうめき声を漏らした。時間の逆行に感覚がついていかないのだ。確かにリンゴォから時を巻き戻せることは聞いていたが、一体誰がそんなことを信じられようか。リンゴォの言葉にどれほど真実が含まれていたとしても、それを受け入れることは、やはり難しいことなのだ。もしそれを受け入れられる人間がいるとしたら、それはリンゴォと同様に超常の力を持った者。それは例えば寺に生まれ、霊能力を駆使し、常世の理に叛くモノを平定する存在。


「破ぁ!!」


リンゴォの銃が音を上げる直前に、空気を震わすかのような咆哮が聞こえた。それと同時に青白く輝く釣竿の糸が、閃光のように闇の中を迸り、阿部の前に飛んできた銃弾を叩き落す。


「大丈夫だったかい、お兄さん?」


遠く暗がりの中から出てきたのは、気のよい感じの青年だった。殺し合いの舞台だというのに、その足取りはまるで散歩のように軽い。豪胆だな、と阿部は思わず賞賛の口笛を鳴らす。キモとナニの太さを自負する阿部でさえ、青年のように日常を保てることはできない。その青年の様子に阿部は早速いい男の気配を感じ取ったが、まずは命を救ってくれた礼を言うべきだろう、と立ち上がる。だけど、近づいてくる青年の顔を眺めた瞬間、阿部の身体に凄まじいまでの電流が走り、頭の中から全ての考えがキレイさっぱりに吹き飛んだ。


心臓が早鐘のように高鳴り、筋肉の一つ一つが命を持ったかのように脈動する。阿部は我も忘れて、青年に見入った。短く刈り上げられた黒い髪に、屈託のない無邪気な笑顔。そこに現れるのは、男としての自信と優しさ。鍛え上げられた身体にあるのは、寄りかかってしまいたくなるような厚い胸板に、引き締まっていながらも、ぷりぷりとした柔らかさ想像させる丸い尻。阿部はそれらを目にした瞬間、不覚にもときめいてしまったのである。


「まったく……久しぶりに夜釣りに出かけたら、これだ。どうしてこうも俺はつまらないものばっかり竿に引っ掛けちまうかね」


そう言って青年は、阿部とリンゴォの間に立つ。そこには全く気後れする姿勢は見られない。
寧ろ、それを誇るかのように背筋を伸ばし、毅然とリンゴォを見つめる。その男らしい様に、阿部の心臓は再び踊りだした。


「おいおい、おれの竿は随分といいものを釣り上げちまったようだぜ」


背後から聞こえる阿部の呟きに、青年は笑って返す。


「ま、こっからは俺にまかせな! なんせ、こちとら寺生まれなもんでね! オカルトには慣れているんだよ!」


気炎を揚げる青年の背中は、阿部が今まで見たものの中で一番大きく、光り輝いていた。



【一日目 深夜】
【現在地 D-5 総合公園】
寺生まれのTさん@2ch】
【状態】健康
【装備】釣竿@寺生まれの先輩Tさんのまとめ
【道具】ランダム支給品、支給品一式
【思考】
 基本 殺し合いの打破
 1. リンゴォを懲らしめる


【阿部高和@くそみそテクニック】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】武器支給品、ランダム支給品、支給品一式
【思考】
 基本 いい男として振舞う
 1. ドキドキ
 2. うほっ
【備考】
※寺生まれのTさんに一目惚れしました


【リンゴォ・ロードアゲイン@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】健康
【装備】リンゴォの銃@ジョジョの奇妙な冒険(残弾 5/6)
【道具】ランダム支給品、支給品一式
【思考】
 基本 公正なる闘いを経て成長する
 1. 青年に漆黒の意志による殺意はあるのか見極める
 2. 阿部と果し合いをする



【支給品説明】
  • 釣竿
ただの釣竿。

  • リンゴォの銃
おそらくはコルト社のピースメーカー。正式名称はコルト・シングルアクション・アーミー。西部開拓時代に使用されていた回転式拳銃。装弾数は6発。.45LC(ロングコルト)弾を使用する。



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阿部 33:Just Take My Heart
リンゴォ 33:Just Take My Heart
寺生まれのTさん 33:Just Take My Heart



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最終更新:2012年02月27日 01:31