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それは一つの確信を得るのに十分なものだった。いきなり殺し合いという状況に放り込まれても、平然としている。しかもその参加者と相対しているというに、恐怖のおくび一つ見せない。常人であれば、どれほど身体を鍛えていても、例え銃を持っていたとしても、突拍子のない事態に巻き込まれたなら、恐怖や混乱を見せるはず。それがないというのは、強靭な精神力とそれを裏打ちする何かしらの強大な力を持っているということだ。即ち、目の前にいる短い金髪を逆立て、真紅に染まったコートを羽織る男――ヴァッシュ・ザ・スタンピードはスタンド使い。それがDIOの得た確信だった。


「ヴァッシュ、君は何か普通の人とは違う能力を持っていないかい? 良かったら、一つ、それを私に見せてくると、嬉しいのだが……」

「嫌だなー、DIO。僕は何てことのない只のガンマンだよ」


ヴァッシュは笑顔を作って、さらりとDIOの考えを否定した。古いレンガの灯台に背に、海風吹き荒む崖に優雅に腰掛けているDIOの物腰は優しく、目も引きつけられる。闇に浮かぶほどの艶やかな金髪や服の上からでも分かる隆々とした筋肉は、余計に彼の魅力を引き立てている。それは自分の弱さをさらけ出して、思わず縋り付きたくなってしまうほどのものだ。だけど、ヴァッシュはプラントという種族してでなく、人として人に寄り添いたいのだ。忌避されるほどの圧倒的なプラントの力を、気軽に人前で肯定などできない。無論、人の命を救うためと言うのならば、その力を行使するのに何の躊躇いもないが、今がその時でないことは明らかなことだ。


「そうかい? それは残念だよ、ヴァッシュ。ひょっとしたら、君とは良き友人になれるかもしれないと思ったのだが」


見え透いた嘘ではあったが、DIOは殊更その事を追求しなかった。自分のスタンド能力を隠すというのは、スタンド使いにとっては極自然のこと。それを無視して深く入り込めば、心象は悪くなるばかりだ。勿論、敵対したとしても、負けるつもりなど微塵もなかったが、無闇に敵意を植えつけるつもりもない。DIOはただ残念そうに呟いただけだった。


「ハハッ、何を言っているんだい、DIO。人類皆友達。従って、僕らも友達。ラブアンドピースさ」


ヴァッシュは満面な笑顔を浮かべ、ピースサインをDIOに送る。そこに返されるのは、DIOの眉一つ動かさない冷徹な視線だ。そこに含まれる余りよろしくない感情に気がつきはしたけれど、今更そんなことで挫けるほどヴァッシュは柔ではない。それにそんなことよりも、ヴァッシュは気になることがあった。


「ねえDIO、一つ聞きたいんだけど、僕のこと知らないの? ヴァッシュ・ザ・スタンピード、人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)」


ヴァッシュ・ザ・スタンピード。その名前は災害の代名詞としてつとに知られ、600億$$の賞金首になったほどだ。はっきり言って、ヴァッシュが住むノーマンズ・ランドにおいて知らぬものなどはいない。それほどの有名人のはずなのだが、その名で鐘を打っても、一向に響かないのだ。


「……ヴァッシュ……君は只のガンマンじゃなかったのかい?」

「いや~~、そうだった、そうだった!! 僕は只のガンマン! 今のは忘れてくれていいよ、DIO」


いまだに疑問は残るが、それは世界を揺るがすかのような重大な問題ではない。今はそんな瑣末なことより、字義通り世界を揺るがしたこの殺し合いに目を向けるべきなのだろう。アハハハ、と気の抜けた笑みをヴァッシュを浮かべて、先の問題のごまかしに図った。その意図を察したDIOは、優しくヴァッシュに語りかける。


「君がそう言うのなら、忘れよう」


大方スタンド能力に関係したことなのだろう。そう当たりをつけて、DIOは一人納得した。能力の仔細はいまだ不明だが、ヴァッシュの言うように巷に噂が広がるものだとしたら、それは目に見えるほど強力で広範囲に渡るものだ。そういったスタンド使いは、野放しにしおくのはあまりに惜しい。DIOは笑みを深めて、自らのスタンド――ザ・ワールドの能力を使用した。



      ――

   ――――

     ――――――――




「それではジョースター一行を探しに行ってきます、DIO様」


さっきの気さくな振る舞いとは打って変わって、ヴァッシュは丁寧な言葉で紳士のようにDIOに告げた。ヴァッシュの見た目に変わりはない。相変わらず人当たりの良い笑顔を浮かべ、温和な雰囲気を放っている。だけど、見れば気がつく人もいただろう。ヴァッシュの額には、以前にはなかったDIOの肉の芽が埋め込まれていたことに。


ヴァッシュの背中を見送ると、DIOは溢れ出す激情を我慢出来ずに強く歯軋りした。ヴァッシュのことは上手くいった。それはいい。だが、自らをこの場所に連れ去ったバーンに我慢がならないのだ。


「チクショウ、このDIOをコケにしやがって……ッ!!」


ジョセフを血を吸って、心身ともに絶頂を迎えた。そしてその余勢を以って宿敵承太郎にチェックメイトをかけた。それが次の瞬間には、夢の如く儚く消え去ってしまったのだ。その突然のことにDIOは呆然とバーンの告げる開幕を過ごしてしまった。しかし、状況を一度理解すれば、湧き出るのはいまだかつてない怒り。あまりの激情により、DIOの血は文字通り逆流してしまったほどだ。感情的になり過ぎるのは、自分の欠点だ。それを理解している故に、DIOは滾る血を抑えるために努めて冷静にヴァッシュに接触してみたが、一向に苛立ちが消える気配がない。


「クソがッ!! いいだろう、バーン! 貴様はこのDIOの運命の前に転がる犬のクソにも劣る下劣な存在でしかないことを教えてやる! 支配するのは貴様ではない! このDIOだッ!!」


DIOは腹立ち紛れ灯台を叩き壊すと、その足で大地を踏みつけるかのように歩き出していった。



【一日目 深夜】
【現在地 C-2 灯台】
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】健康、怒りMAX
【装備】なし
【道具】武器支給品、ランダム支給品、支給品一式
【思考】
 基本 バーンを殺す 
 1. ジョースター一行を殺す
 2. 有能なスタンド使いがいれば、部下にする
【備考】
※ヴァッシュはスタンド使いだと思っています


【一日目 深夜】
【現在地 C-2】
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】
【状態】健康、肉の芽による洗脳
【装備】ヴァッシュの銃@トライガン・マキシマム
【道具】ランダム支給品、支給品一式
【思考】
 基本 殺し合いの打破、DIOに忠誠を示す
 1. ジョースター一行とDIOの部下を探す
 2. ナイブズを探す
【備考】
※ジョースター一行とDIOの部下の情報を得ました
※肉の芽はDIOへの忠誠を高めるだけのものです



【支給品説明】
  • ヴァッシュの銃
ヴァッシュ・ザ・スタンピードが愛用する白銀の銃身が特徴的な中折れ式の.45口径6発入リボルバーマグナム。人外の戦闘力を持つGUNG-HO-GUNSの打撃や斬撃を防ぐことが可能な堅牢さを誇る。



24:It's My Life <BACK  NEXT> 26:Right Here Waiting for You
DIO 51:Time After Time
ヴァッシュ 47:Dreamin'



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最終更新:2012年05月12日 00:17