アットウィキロゴ
DIOは、ホッと一安心した。空が白み始めた頃、ようやくDIOは市街地に辿り着き、腰を落ち着けることができたのだ。日光を大敵とするDIOにとって、それを阻む拠点の確保は大事なこと。それがなくては、DIOはろくに行動すらできない。徹底的に自らのプライドを打ちのめしたバーンを早く殺したいという焦燥は依然としてあるが、急いては事を仕損じる。ここで感情的になって、無策に振舞えば、過去の失敗を再現しかねない。そのことを深く胸に刻んだDIOは、湧き上がる苛立ちを押さえるように息を整え、ゆっくりと、鷹揚に、後ろを振り返った。


「やあ……私の名はDIO。君の名前は何ていうんだい? 良かったら、私に教えてくれないだろうか?」

「ああ? いきなり何を言ってんだ、てめーは?」


DIOに声を掛けられ、文句を垂れたのは、黒く染まった総髪を後ろに流した少年――浦飯幽助だった。彼は仲間を探し求めて、人がいるであろう市街地にやってきたのだ。リヴィオが注意していたように、当初は拡声器の使用を自重していたが、自らの目と勘だけで人を探すには、どうにも限界がある。そう思った浦飯は、自分に嵌めた枷を取り外すことを、実にあっさりと決断した。そうして声高に市街地で叫びまわっていたら、道の真ん中でDIOが待ち構えていたというわけだ。


「何、そう恐がることはない。私は君を傷つけるつもりはない。私は君と友達になりたいんだ」


幽助の態度に眉をひそめることなく、DIOは優しく語り掛けた。その声は透き通る岩清水のように、人の身体に何ら抵抗なく染み渡る、妖しく、魅力的な声だ。輝くような黄金の髪に、白皙の美男という当人の面貌と相まって、伝え届く音ばかりではなく、目も引き付けて止まない。相対する人間に僅かでも心に空白があるのなら、きっとDIOはそこをたちどころに埋めて、自らの虜にしてしまうのであろう。だけど今、目の前にいる人間は、残念なことに自他共にバカと認める浦飯幽助である。彼にそんなことを感じ取れるだけの感性は微塵もない。だから、彼の口から出てくるのは、こんな言葉ばかりである。


「ああ!? 誰が恐がっているって? ケンカ売ってんのか、てめーは?」

「フフフ……すまない。別にそういうわけではないんだ。名を訊いただけで、随分と警戒されてしまったものでね……もしかしたら、君もこの殺し合いに不安を感じているのではないか。ただそう思っただけだよ」


やたらと尖がってくる浦飯を、DIOは物腰も柔らかに受け止め、丁寧に返答した。DIOのその姿勢に浦飯はフンッと鼻を鳴らし、先の質問に答えることで、謝意を示す。


「……幽助だ。浦飯幽助」

「そうか。幽助……いい名前だ。では、幽助、先ほどの繰り返しになるが、もう一度言おう。どうだろう、私と友達にならないか?」

「友達ねえ……。で、その友達っつーのになって、一体どうしようってんだ、DIOさんよ?」


浦飯は小指で耳をほじりながら、興味なさげに訊ねた。


「何、ほんの少し手伝ってほしいだけだよ、幽助……あのバーンを倒すのに。君もバーンの所業は許せないだろう。当然、私だって許せない。つまり、私たちには共通の目的あるということだ。人と人を繋ぎ合わせるのは、信頼もある。だけど何より大切なのは、共に目指す目標だ。何故なら、そこに至る道のりで、お互いの手を取り合うことができるのだからね」


DIOは、依然とつっけんどんとした態度を取る浦飯を包み込むように、甘く、優しく、静かに語りかけた。その言葉の内容には、浦飯も頷く部分はあった。またこの殺し合いとやら主催するバーンに反抗するにも、やはり誰かとの協力は必要なのだろう。浦飯とて、そのことは理解できたが、意外というか、やはりというか、彼の口から出てきたのは、DIOの考えを否定するものだった。


「気に入らねーな」

「フム……何か気に触ったことをしてしまったかな、幽助?」


相手に自分を警戒するような情報を与えてしまっただろうか。DIOは自分の言動を思い返しながら、慎重に浦飯に問いかけた。


「ああ、気に入らねーんだよ。てめーは、何でそんな人のことを見下したツラをしてんだ?」


浦飯の声にDIOは失笑した。自分が何か重大なミスしたのかと思えば、相手の答えは単に顔が気に入らないだけとのこと。そんなもので他人の考えにケチをつけるなど、論外というより他はない。無論、人間に対する蔑視が表に出ていたということは、反省するべき点ではあるが、それくらいなら十分に挽回できるものだ。DIOは浦飯が抱いたのは単なる誤解であることを告げようと、再びその紅く、しっとりと濡れた唇を動かした。


「…………そんなつもりはなかったんだ。もしそんな風に見られてしまったのなら、すまない、謝るよ、幽助……」


その言葉と共にDIOはスタンド――ザ・ワールドで浦飯を殴り飛ばした。浦飯の態度が、いけ好かない。そういった所感を抱いていたことは確かだが、DIOが浦飯を殴ったのは、それが理由だからではない。浦飯がいきなり攻撃を仕掛けてきたのだ。故にDIOは身を守るために、スタンドを発現したに他ならなかった。


「どうしたよ、DIOさん。てめーは友達になりたいって奴を、ぶん殴るのか?」

「フム……今のは仕方なかった、と私は思うのだがね」


DIOは腕を組みながら、余裕を見せて答える。自分に非はないということを、その態度にて明確に伝えるためにだ。しかしその一方でDIOは、絶対に伝わらない、と心の中で思っていた。浦飯の行動には何ら目的が見えてこず、その行動を起こす理由が、全て感情によっている。その先見を持たない短慮な様は、否応なしに一つの結論に辿り着かざるを得ない。こいつはバカだ。初対面ながら、DIOは完璧に近い形で、浦飯のことを理解しつつあった。


「そういやよー」


DIOが嘆息を吐いていると、浦飯が口から出た血を手で拭いながら、声を発してきた。


「さっき、気のいい兄ちゃんに会って話をしたんだけど、そいつが言っていたぜ。金髪の何とかって奴には、気をつけろってな。そいつは人を人とも思わないクソ野郎。平気で人を殺すだそうだ」


まさかジョースター一行と既に出会っていたのか。それなら初めから抱かれていた警戒にも、先の攻撃も理解できるものだ。DIOは心中で舌を鳴らした。


「そのツラは、どうやら図星みてーだな」


DIOの変化に呼応するように、浦飯がしたり顔でDIOを指差してきた。それを受けて、DIOは誤解を解くための言葉を霧散させた。DIOという名前ではなく、容姿に反応する。それならまだこの段階では、その件(くだん)の人物との同一性に、確証は得られないはずなのだが、浦飯は既に迷いなく信じきっている様子。多少知恵がある相手なら、言葉を弄する余地もあるのだろうが、目の前の腐ったミカンよりも役に立たない脳味噌の持ち主では、詮の無いことのようだ。DIOは浦飯の勧誘を素直に諦めることにした。


「フン……まあ、いい。スタンド使いでもない貴様のようなマヌケでは、どうせ役に立たないだろうからな」

「ああ? スタン……何だって?」

「スタンドだ。さっきの攻撃で確信したよ。私は貴様の目の前に、ザ・ワールドの拳を、ほんの軽く、羽のように軽く置いただけだ。貴様にスタンドが見えていたなら、容易くかわせただろう。だが、貴様は愚直にも真っ直ぐぶつかっていった。これは実に明快な答えだよ」

「……さっきから何を言ってんだ、てめーは?」

「何、ちょっとした予告だよ、幽助。貴様はこのDIOに指一本触れることなく、無様に敗れ去るだろう」 


自信満々に告げるDIOの様子に、浦飯の血管が浮き立った。ここまで盛大にケンカを売られたなら、浦飯は全力で買う。そういう主義だ。だから、浦飯は瞬時にDIOの背後に移動し、これでもかと思いっきり霊力を込めた拳を、無防備なDIOの顔目掛けて放った。


「フンッ、無駄無駄ァ!!」


DIOのスタンド――ザ・ワールドは向かってきた浦飯の拳を平然と受け止めると、間髪入れずに反撃の突きを浦飯の胴体に叩き込んだ。


「中々のスピードとパワーだ。だが、断言しよう! 我がザ・ワールドは、更にその上をいくとなぁ!」


地面を転がる浦飯を悠々と見つめながら、DIOは自身の余裕の程を示した。その様は世界を支配すると豪語した王に相応しいものだ。しかしそれとは裏腹に、DIOは内心冷や汗をダラリ、と流していた。浦飯の移動、攻撃、その全てが人間を超越した吸血鬼の五感で以っても、全く捉えられなかったのだ。反撃に成功したのは、ひとえに音速を超える弾丸を、指先で掴みとることの出来るザ・ワールドがあったからにならない。加えて、浦飯のタフさもある。胴に風穴をぶち開けてやる勢いで殴ったのに、ダメージはないとばかりにケロリとしているのだ。かつて闘った波紋の戦士をも遥かに超えた身体能力。生半可なスタンド使いでは、ろくに相手すら務められないだろう。その事実に行き当たると、DIOは敵意で満たした表情を緩め、再び誘い込むような、妖艶で、色気に満ちた笑みを浦飯に送った。


「フフ、気が変わったぞ、幽助。 貴様は、やはりこのDIOの配下に迎えてやろう。ミジンコよりも低劣な脳味噌の持ち主ではあるが、その身体能力は賞賛に値する。喜ぶがいい。貴様はこれからこのDIOのために、馬車馬のように働く機会を得られるのだからな」

「誰がてめーの言いなりになるってんだ!? ああ!?」」


地面から飛び起きた浦飯は、眼光鋭くDIOを睨みつけた。


「気に入らないか、幽助? ならば、かかってくるがいい。貴様の幼稚な反抗は、ザ・ワールドの真の能力の前では全て無駄であるということを教えてやる」

「上等だ、コラッ!!」


そう叫ぶ否や、浦飯は一足飛びに向かっていった。対するDIOはスタンドを発現させ、、腕を組みながら悠然と浦飯を迎え入れた。



      ――


   ――――


     ――――――――




「んじゃあ、行ってくるぜ、DIO様ァ!!」


拡声器を手に浦飯は、再度その足を前に駆け出していった。さっきまであった浦飯の反抗的な態度は打って変わって、そこにはDIOに対する嫌悪の情はない。寧ろ、敬意すら抱いていると言っても過言ではない。が、それも当然のことだろう。何故なら浦飯の額には、DIOの肉の芽が埋め込まれたのだから。


「フム……あとはこの街で、幽助とヴァッシュが人を連れてくるのを待てばいい。幽助の身体なら、この島にいる参加者全員に声を届けるのにも、そう時間はかからないだろう。残る問題は、このDIOの胸に刻み込まれた禁呪とやら。心臓がどうなろうと、死ぬことはないが、何らかのスタンド能力の可能性がある。万が一のことを考えれば、色々と発動条件を調べなければならん。それにはやはり……実験が必要だ」


そこまで言って、DIOは憂慮の念を露にした。バーンが催した殺し合い。もしそれに異を唱えない者がいるとしたなら、既に命を無駄に消費していることもあるのだ。禁呪を調べるに当たって、それはあまりに勿体無いと言える。


「人間共よ、まだ勝手に殺しあったりするなよ。貴様らの命は、このDIOの糧となるべきものなのだ。だから、今は勝手に死ぬな……」



【一日目 早朝】
【現在地 D-3 市街地】
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】武器支給品、ランダム支給品、支給品一式
【思考】
 基本 バーンを殺す 
 1. 禁呪の解呪
 2. ジョースター一行を殺す
 3. 有能なスタンド使いがいれば、部下にする
【備考】
※ヴァッシュはスタンド使いだと思っています
※禁呪は何かしらのスタンド能力だと思っています


【浦飯幽助@幽遊白書】
【状態】健康 、肉の芽による洗脳
【装備】拡声器@オリジナル
【道具】武器支給品、支給品一式
【思考】
 基本 バーンをぶっ倒す、DIOに忠誠を示す
 1. 皆をDIOの所へ呼び込む
 1. 仲間と合流
 2. 戸愚呂と対決
【備考】
※名簿は引き千切られて捨てられました
※リヴィオの仲間と敵の情報を得ました
※ジョースター一行とDIOの部下の情報を得ました
※肉の芽はDIOへの忠誠を高めるだけのものです


050:Desperado <BACK  NEXT> 052:In too Deep
041:Safe And Sound 浦飯 082:Stop and Stare
025:Pride DIO 061:Against All Odds



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2014年02月07日 20:32