白井/侍鬼(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)

登録日:2022/07/31 Sun 00:00:02
更新日:2024/04/15 Mon 11:40:11
所要時間:約 9 分で読めるというお話





※推奨BGM:「Don't Boo!ドンブラザーズ」


じか~い、次回。

先代サルブラザーが現れた!


猿原真一(さるはらしんいち)(みち)()く。


答えを求める彼、道を究めた男達……。

彼らは何を欲するか……ここは空想の力の出番かな?


ドン21 ごくラーメンどう


…という、お話。






俺は、兄さんと縁がありましてね……

兄さんの先輩……先代の、サルブラザーだったもんで。


「白井」とは、スーパー戦隊シリーズ第46作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の登場人物である。

演:山崎裕太


【概要】

ドン21話「ごくラーメンどう」に登場したゲストキャラクターで、フルネームは不明。

青いアロハシャツを着た屈強かつ大柄な見た目の男性で、上記の台詞の通り現サルブラザーこと猿原真一よりも前にドンブラザーズの一員に選ばれた人物。

元々は「松井組」の一員であり、組長・松井の側近的存在だったが、サルブラザーに選ばれて以降、今までの自分の役割を放棄して私利私欲に走ったことでその怒りを買い、組を追放された。
しかし、白井はそんな松井を逆恨みすると報復と言わんばかりに彼の「宝物」を奪い、今に至るまで組から身を隠しながら生活してきた。

ドン21話の物語は、猿原がサルブラザー(大猿)に変身したことで組員に白井と間違われ、拉致されてしまうところから始まる……















































【真実】

上記の経歴はではない……むしろ事実である。
だが、その内容は色々と斜め上のものばかりである。

まず、白井が所属していた松井組とは反社会的な存在などではなく、ただのラーメン屋「極ラーメン道 松井組」のことである。
組長というのも、単に店長の意味合いでしかない。その割に振る舞いは完全なソッチ方面の人な上、やたらと様になっているのだが。

そして、白井の言う私利私欲も犯罪行為などではなく、個人的かつ自堕落なものを指している。
具体的には、
  • 脳人レイヤーで女性を夜景が見える場所まで案内し、モテる
  • サルブラザーに変身してスポーツ大会に参加し、ぶっちぎりの優勝を果たす*1誰もその恰好をおかしいと思わなかったのだろうか……?
  • アイドルの握手会にて脳人レイヤーで行列を飛ばし、横入りする
……という最後を除いて悪行とは言えないものの、決して褒められたものではないことばかりだった。
事実、真相を聞いた猿原からも「くだらない」と内心で呆れられていた。

極めつけに、松井の宝物とは彼がファンの映画俳優・宇都宮テツのサイン色紙
松井曰く「テツは滅多にサインをしないが、自分達のラーメンの味に感動し、書いてくれた」のだという。

このように、あまりにも予測不能な方向にこじれにこじれまくった人物関係に猿原は巻き込まれてしまったのである。
とはいえ、半ば乗りかかった船ということもあって猿原なりに彼らの仲を取り持つことになるのだが……


【人物像】


力を得たからと言って、なぜわざわざ危険を冒してまで、モンスターと戦う必要があるんですか?

それよりも力を楽しんだ方がずっといい。


その真相からも分かる通り、自分勝手で怠惰な性格。
サルブラザーになったはいいが、結局最後までヒトツ鬼と戦うことなく、みみっちく自分の為だけに力を使ったことでサングラスやドンブラスターに不適合とみなされ、その力を失った。

少なくとも劇中の描写だけを見るとほぼ白井が悪いのだが、本人に反省の色はないどころか自分をクビにした松井を心底嫌い、袂を別った今でも悪態をついているという、救いようのない状態になっていた。
現在の状況は不明だが、いつか自分でラーメン屋を開いて再起しようと考えている。
だが、その為に松井組秘伝のタレを狙っており、自分で一から考えて行動を起こす事すらも面倒臭がっている上に、サイン色紙と交換で秘伝のタレを手にしようとするも、
偽物を渡して本物の色紙は金欠になった際に既に売り飛ばした後であったり*2サイコパスとまではいかないものの、人格的には相応の問題を抱えており、ハッキリと言って性根は完全に腐りきっている

このように、変人ながらも確かな正義感や奉仕精神のあった猿原と比べても、お世辞にもヒーローになれるような人物ではない。
……のだが、白井の根底の感性や考え方自体は一般的なものであり、彼が猿原に発した上記の発言も、事前説明もなく唐突かつ一方的に力を押し付けられたのなら、よほど寛大な人物でもない限り抱いて無理のない感情である。

加えて内心では力を持て余し、ヒトツ鬼と戦っていれば今と違う人生を歩めていたかもしれない可能性を捨ててしまったことを後悔しており、今の落ちぶれ続けた状態にはどこか思う所がある模様。
その為、見返りもなしに人の為に戦うことができる猿原の心境に興味を持つようになる。

なお、ドンブラザーズに選ばれると大抵その代償として何らかの不運や不幸に見舞われるのだが、彼の場合はそれが一切描かれていない。
強引に解釈するならば、結果論とはいえサルブラザーの力で増長した末に信頼と職場を失い、努力することも忘れてしまった辺り、選ばれたことそのものが不幸だったと言えるかもしれない。


【侍鬼】



教えてくれ……! 何故戦えるんだ?怖くないのか……!?

何故答えを求める?何故答えは必要なのか? その答えは何か……?

訳が分からねえ……。そうか、答えは……


俺が…兄さんと戦えば、自ずと分かるはず……!


萓肴姶髫(侍戦隊)


身長:190cm
体重:239kg
スキン:文字武者
ベース:ベニツ鬼
ドロップ:シンケンジャーギア
むかしむかし:白井は「極ラーメン道 松井組」で真剣に働いていたそうな…。

先代サルブラザーにして元「極ラーメン道 松井組」従業員・白井の「真一が戦う答えを知りたい」という欲望から生まれた侍モデルのヒトツ鬼。
激走鬼に続く、ドンブラザーズ関係者から生まれたヒトツ鬼でもある。

大太刀装備し、甲冑を着込んだ鎧武者のようなスキン「文字武者」を纏っている(恐らく「落ち」武者と「文字」がかかっていると思われる)。
甲冑部分は黒灰色と落ち葉や銅を思わせる茶色の年季の入った印象が強いが、よく見ると
  • 兜部分に「惡」
  • 首元に「罪」
  • 胸部に「邪」
  • 兜の角はそれそのものが大きく「死」の字を象った造形
と、とにかく不吉な印象を与える邪悪なモヂカラばかりが刻まれている。
また、角の奥にある顔部分は骸骨のようになっており、その全身像は妖怪のような異界の化け物、または肉体が滅びてなおも戦おうとする落ち武者の亡霊のようにも見える。

人を超えた私利私欲の鬼となり、手にしたサルブラザーの力をヒトツ鬼と戦うためでなく自分のためにどんどん使っていた。
モンスター化すると、大太刀から烈火を放って相手を大斬する秘伝チャンバラ技」勝負する。
これまでのヒトツ鬼と比べると、大太刀から紫のを放つ以外の特殊な能力こそないものの、宿主である白井がかつてサルブラザーとして力を振るってきたこともあって、
猿原の変身するサルブラザーと互角に渡り合い、ドンブラザーズの5人にも食らいつけるなど、総合的な実力は高め。
しかし、流石に5体合体のドンオニタイジンには分が悪く、ドンばいから放たれた竜巻で吹き飛ばされて天空サル連撃を喰らい、力比べでも敵わなかった挙句、最期はキジンソードの乱れ斬りで爆散した。
倒されると「シンケンジャーギア」をドロップする。


モチーフは『侍戦隊シンケンジャー』。
鎧武者……即ち侍を思わせる姿はもちろん、体の各所に刻まれた漢字もシンケンジャー全員の頭にそれぞれの司る力を表す漢字が書かれていることや、
当戦隊が漢字に宿る力「モヂカラ」を使うべく、何度もショドウフォンで漢字をその場に描いてきたことに由来すると思われる。
また鎧武者と植物という2つの要素が組み合わさっているためアヤカシらしさが強く、頭部の甲冑のフォルムはシンケンオーを彷彿とさせる。

その主人公である志葉丈瑠が、本来手にするはずのなかった力を手にしたことで重責を負わされて周囲を欺くことになり、苦悩しながらも責務を果たした後に自ら戦士の立場を辞して姿を消すが、仲間達の揺るがぬ信頼により正道へと戻り、最後には本当の意味で戦士となったのに対し、
侍鬼となった白井が突然力を手にしたことで我欲に溺れ、使命も責任も放棄して勝手気ままに振る舞い、周囲からの信頼を失って孤立した上に戦士の資格も剥奪され、挙句の果てに自分が倒すはずだった異形の怪物に成り下がるというのは、今までのヒトツ鬼の例に漏れず非常に悪趣味な皮肉と言える。
他にも影武者として利用されていた丈瑠に対し、偽者を利用した点も対比になっていることや、「快楽や目先の欲望に囚われて人としての道理を捨て、人外と化した」ことは、むしろ丈瑠のライバル的存在である腑破十臓と似通っているとも言える。
さらに言うと、丈瑠の幼馴染みそっくりさん同様に使命も責任も放棄して私利私欲の為に力を振るう点も合致している。
ちなみに武器の大太刀はシンケンジャーの宿敵・血祭ドウコクの愛刀「降竜蓋世刀」に非常に似ている。


【最終的には】

白井と松井組の騒動から数日後の夜。夜道を歩いていた猿原は、路肩にひっそりと構える小さなラーメンの屋台に入った。
そこでラーメンを作っていたのは店長の白井。
その厨房には独自に開発したであろうタレが入った壺が置かれていた。
どうやらヒトツ鬼から解放されたことで本人なりに答えを見つけ、心を入れ替えられたようだ。

お品書きの「空想のラーメン 時価」を見た猿原はそれを注文。
彼一人にしか見えないメンマ多めのそれを、猿原は満足げにすするのだった。


【余談】

  • 白井が横入りした握手会のアイドルは、ドン12話に登場した「炭酸アイドル コーラちゃん」。
    この演出は同じく山口恭平監督担当回繋がりに加え、「誰かを繋げたい」という山口監督自身の考えに基づいたものとのこと。

  • 白井が奪ったサインを書いた映画俳優・宇都宮テツを演じたのは、同じく東映特撮作品『超人機メタルダー』にて主人公・剣流星を演じた妹尾青洸氏

  • 「反社会勢力じみた雰囲気の飲食店」「主要人物と何らかの共通点を持つゲストキャラクターその主要人物の交流エピソード」という要素から、かつて井上敏樹氏が脚本を担当した『仮面ライダー剣』第29話及び第30話を想起させ、実際東映公式サイトでもその点に触れられていたが、井上氏もそのエピソードを覚えており、なおかつ参考にした事が明言された(なお、若干忘れているのかたこ焼きしか話題には出なかった模様)。
    流石に、白井がラーメン名人アルティメットフォームになったり、そのままスペシャルターボで5秒で10杯のラーメンを一気に作ったりはしなかったが。

  • ドン21話は元々同時期に上映されていた映画『暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE 新・初恋ヒーロー』に関連した話にする予定だったのだが、猿原役の別府由来氏が「これまで自身の主役回がない」と嘆いていたと聞いた井上氏の手により、予定を変更して猿原主役回に仕上げたという経緯がある。
    なお、井上氏は話を聞いた段階では「猿原は今の段階でも男連中で一番出番多いんだから主役回はやらない」と断っていたのだが、『教授』設定が形骸化してきている事情もあり、白倉伸一郎P「猿原が持っている武器はなんなのか、改めて探る必要があるのでは」と説得した事で執筆する事にしたらしい。

  • 白井やドン10話に登場した前田真利菜と合わせて一部ファンの考察通り、現在のメンバーに行きつくまでに他の人物がドンブラザーズに選ばれていたことが明らかとなった。しかもその数5000人
    だが今回の白井同様、その大半が戦士としての使命に従うことなく行動し、力を取り上げられている為、五色田介人も白井とは面識がないとのこと。
    ちなみに、その事実を知った桃井タロウ「知らなかった。凄いんだな、お供達」と素直に現在のメンバー(何も知らず、誰からも知られてない1名根本的に事情が異なる1名を除く)を褒めていた。

  • 猿原と戦う事で答えを見出そうとした白井だが、実は危ないジロウもドンムラサメとの交戦時にほぼ同じ考えに至っている。
    「戦えばわかる……お前がどんな奴か!」

  • 白井との交流は良くも悪くも猿原の印象に残ったようで、後の総集編でも彼の事を振り返る姿が見られた。



追記・修正は、ラーメン屋で再出発してからお願いします。

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最終更新:2024年04月15日 11:40

*1 劇中で描写されただけでも、砲丸投げと徒競走に出場している。なお、砲丸投げでは勢い余ってスタジアムの電灯を投球で破壊している。

*2 とはいえ、松井の方も偽物のタレを渡しており、この場面だけに限ればどっちもどっちである。