表記を構成する各数字を、ついついこのような巨大数にしたくなる気持ちは解ります。しかしこれは、指数タワーにおいて例えば1兆の1兆の…1兆の1兆乗乗…乗乗という風に1兆を重ねるのが10の指数タワーと比べてあまり意味が無いのと同様の事です。
G→G→Gは確かに、グラハム数より遥かに大きい数になることは間違いありません。しかし巨大数の数字を用いない3→3→3→3よりも、遥かに小さいのです。3つ組チェーンの構成数字を巨大数にするよりも、4つ組に伸ばしたほうが、基本的には大きいという話になりますし、同様にG→G→G→G≪3→3→3→3→3なのです。
3つ組チェーンの定義はタワー表記なので、これはグラハム数とグラハム数の間にグラハム数の数だけ矢印が重なった数となります。
ここで、Gとはにおけるである事を思い出します。つまり、なので、
という事になります。
これを用いてG→G→Gをタワー表記で展開すると、
となります。
とても複雑な式に見えますが、ここで着目して欲しいのは、という事実です。つまり、上の式における演算子は、と比べるとあまりにも演算のレベルが小さいということになります。
多角形表記の動画において、という近似が成り立ち、同様にという近似も成り立つ事は既に示しました。
つまりこの論理で行くと、
と近似できてしまうことになります。
一方演算子の左側とは違い、演算子の右側は数のオーダーを決める2番目に重要な数ですから、無視できる存在ではありません。
さて、は、十分すぎるほど大きい数です。何せグラハム数ですから。1を足したりした程度で微動だにする数ではありません。
何を自明の事を言ってるんだと言われそうですが、それじゃあ上記式の演算子の↑の数を一本だけ増やして、3と3の間に重ねてみましょう。
如何でしょうか。↑を一本増やしただけでこれです。グラハム数は既に矢印の厳密な本数などどうでも良くなるぐらい大きな数ですから、もうこういう近似を成り立たせても良いよね、となるわけです。
以上より、という近似が成り立つことになります。3番目の数字こそグラハム数を維持していますが、最初の2つの数は3に変えてもあまり変わらないという結果になってしまいました。
さらにこの数は、なので、という事になります。これをチェーン表記と比較すると、3→3→65→2よりは大きいですが、3→3→66→2よりも小さい、という事になります。
結局、
3→3→64→2 < G < 3→3→65→2
3→3→65→2 < G→G→G < 3→3→66→2
となり、グラハム数と比べて、チェーン表記の“物差し”のレベルが1上がったに過ぎないという事になります。もちろん3→3→66→2は、3→3→3→3と比べるとあまりにも小さな数です。
∴巨大数を用いてチェーンを表記するよりも、より単純な数字で、そのオーダーを表すことができる。
ということなんです。