最も基本的な定義は、タワー表記を元にした3つ組チェーンである。
しかし、チェーンの世界は3つ組チェーンだけではない。
例えばグラハム数などのオーダーでは、4つ組チェーンが使われている。
4つ組やそれ以上のチェーンについては、その実体を詳述する解説は与えられていない。
しかし代わりに、その実体を知るヒントとして、以下の規則が与えられている。
(1)チェーンの最後が1であるとき、これを落とせる。
(2)チェーンの最後から2番目の数が1であるとき、これと最後の数をまとめて落とせる。
(3)末尾の2つを以下の様に変形できる。
基本的にこの変形を繰り返していくのが、計算の基本手筋となる。
でも、同様に変形していけばわかると思うけど、
= a→b→…→x→(a→b→…→x→(a→b→…→x→(y-2)→z)→(z-1))→(z-1)
= a→b→…→x→(a→b→…→x→(a→b→…→x→(a→b→…→x→(y-3)→z)→(z-1))→(z-1))→(z-1)
=…
こんな感じでどんどん括弧の階層が重なって、すこぶる見辛い。だから下記のような記法を採用してみたい。
こうすると、構造が整理されてわかりやすい。
ここまで変形したところで、最下段の→1→zは、規則(1b)により省略される。すると、式から「z」が消え、(z-1)だけになったことがわかる。このような変形を延々繰り返していけば、zに相当する部分の値をさらに減らすことができ、やがて→1となって消えるので、チェーンは一つ縮まる。
チェーンが一つ縮まれば、また同じようにしてチェーンを一つ縮めて行く、という事を繰り返せば、やがては3つ組みチェーンとなるので、タワー表記と一致し、一つの自然数値に定まる。
規則(1)を逆に辿れば、 と見なせるので、、つまりとなる。
上記変形を見てもらえば分かる通り、チェーンが縮まない限り、変形によって影響を受けるのは末尾の2つの数字のみである。
さらにチェーンは、延々と縮めていくことが可能であるので、このプロセスを追っていくと、
a→b→・・・→m→1→n→・・・→x→y→z
=a→b→・・・→m→1→n→・・・→x→Y
=a→b→・・・→m→1→n→・・・→X
=・・・=
=a→b→・・・→m→1→N となる。つまり、規則(2)が適応できるので、
=a→b→・・・→m と省略できてしまう。
逆に辿れば、あるチェーンは、その後ろに→1→・・・が省略されたものと見なす事もできる。これは頭に入れておいても良いかも知れない。
a→b→・・・→m
=a→b→・・・→m→1→n→o→p→・・・
計算してみればわかります。興味がある人は是非やってみてタワー表記と照合してみましょう。
つまり、チェーンの変形規則は、タワー表記の計算における性質を言い換えたものとも言える。ただし、2つ組みチェーンでは成り立たないことに注意。
この性質はチェーン表記を理解する上で、一種のヒントとなる。つまり、タワー表記と同じような数の拡大法が、4つ組み以上のチェーンにおいても行われているのではないか、ということである。
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