仮面ライダータイクーン


「人が幸せになろうとする権利を奪う資格なんて、誰にもない!」

特撮『仮面ライダーギーツ』に登場する仮面ライダー。
シリーズで初となるタヌキをモチーフにしたライダーでもある。
名前の由来は日本語では江戸時代に征夷大将軍の外交称号として用いられた呼称「大君(たいくん)」で、
この大君が実力者や大物を意味する言葉として英語に輸入された「tycoon」とタヌキを意味する「raccoon dog」。タイクーン王国とは無関係。
登場は仮面ライダーバッファよりも遅いが、公式では2号ライダーとして扱われている

変身者は桜井景和(さくらい けいわ)(演:佐藤瑠雅)。主人公や10年前の戦隊のレッドら共々「どっちが役名だっけ」とか言われる
本編開始時点で両親は他界しており、姉の沙羅と暮らしている一般人であったが、
1話で鞍馬祢音共々デザイアグランプリに巻き込まれ、浮世英寿こと仮面ライダーギーツに助けられる。
その後、英寿の優勝に伴い記憶を失っていたが、ツムリからデザイアドライバーとライダーコアIDを渡されると完全に記憶が戻り、
2話以降は仮面ライダータイクーンとしてデザイアグランプリに参加する事になった。

本編前からデザグラに参加しておりその身の上に謎を秘めた英寿に変わり、
視聴者の目線と同じくデザイアグランプリについての知識を持っていない状態からスタートした景和は、
序盤では作中の狂言回しを担う立ち位置におり、英寿に次ぐ準主人公格として扱われている。

+ 変身者「桜井景和」詳細

「世界中の皆が幸せなら、俺も幸せなんで」

趣味はボランティアで、夢は世界平和と公言する、絵に描いたようなお人好しの青年。
序盤は「命を懸けて戦う覚悟を持つ事」や「叶えたい願いのために他者を犠牲にする事」に抵抗を見せていたが
強い願いへの想いを持ちながら報われないまま消滅する参加者を間近で見るなどの出来事を通して徐々に覚悟を決めていった。
ただし、唯一の肉親である姉・沙羅の身に危険が及ぶ事態となると、途端に周りが見えなくなる言動を見せる。
当初は良くも悪くも常識人的な価値観といかにもお人好しな人物像からカモとして見られていたが、
頭の回転自体は早く、序盤の缶蹴りゲームで姉が危機に瀕した際は他の参加者への協力を頼み、
それが拒否されると即座に頭を切り替えて自身を囮にして他の誰かをクリアさせて姉を救うという、
冷静さを失いつつも、行動自体は極めて合理的な選択を取っている。
このように序盤では軽んじられる場面が目立ったが、これは本人の意志とは無関係にエントリーされて流されるまま戦っていた事が大きく
「その気」になれば実力を発揮できるタイプである。

+ ネタバレ注意
実は、主要ライダー4人と同じくデザイアグランプリにより人生を狂わされた者の1人。
というのも、両親は事故で死んだものと思っていたが、実際にはかつて行われたデザイアグランプリのミッション失敗によって、
エリア消滅に巻き込まれた事が死因であった。
紗羅はその場に居合わせたものの消滅には巻き込まれず、世界のリセットと共に記憶を失い、
当時景和は盲腸を患い同行していなかったため、長らくこの事実を知らなかった。

そしてこの事実を知ると同時に、デザグラの願望器である創世の女神が願いの実現に参加者の不幸をリソースにしている事が発覚し、
家族を含む大勢の人を不幸にしてきた創世の女神に罪を償わせる事を誓い、
デザイアグランプリ運営を打倒し創世の女神=母のミツメを救い出そうとする英寿とも対立するようになっていく。
しかし、ジャマ神となった吾妻道長/仮面ライダーバッファのライダー狩りや、グランドエンドを決行しようとする運営の活動などに振り回され続け、
その末に五十鈴大智の策略でジャマトと化した紗羅がバッファに殺害される場面を目撃してしまう。
これにより、景和は彼の境遇に同情したツムリが目覚めた創世の力でブジンソードを手に入れると同時に、
それまでのお人好しな性格からかけ離れた、力任せに物事を叶えようとする暴君へと変貌した。

+ 化け狸の素顔とその後
「何も変わってないよ。俺は俺だ」

端的に言えば、景和が見せていたお人好しな人格は沙羅の理想の弟に沿った表面的なもので、
彼の本質は「唯一の肉親である姉の沙羅のために行動する事」が全て。
模範的なお人好しの弟になったのも沙羅のため。世界平和を願う動機も沙羅の幸せを守るため。
しかも意識して演じていたのではなく、自分でも完全にお人好しが自前の性格と思い込みながら暮らしていた
即ち自分自身すら騙し切っていた詐称者であり、仮面ライダーになる前からとっくに仮面を被っていたのだった。
それが沙羅が死んだ事で枷と建前が無くなり、家族の復讐と蘇生のためなら形振り構わないエゴイストの側面が剥き出しになったのである。
ただし、早期に家族を亡くして決して恵まれていたわけではない生活を送ってきた彼がそのようになるのは想像に難くなく、
さらにオーディエンスのケケラが背後で暗躍していたのに加えて、自分が殺害したジャマトが沙羅と知った時の道長の態度も火に油を注ぐもので、
景和自身だけでなくそれを取り巻く環境にも大いに問題があったのだが。

やがて自分の願いを叶えるために形振り構わずツムリを女神にしようとするが、
その姿勢は自身を不幸にしたデザイアグランプリ運営と何ら変わっておらず、
説得を試みる英寿と鞍馬祢音/仮面ライダーナーゴも無視して「デザイアグランプリの犠牲者が全て蘇った世界」を実現する。
……が、犠牲者を見境なく復活させた結果、デザグラ運営のジットをして「度し難い悪人」と評される参加者まで蘇ってしまった上に、
それらが反社会集団「ギャングライダーズ」を結成。各地でテロまがいの暴動を引き起こして多数の死傷者を出し、
蘇ったばかりの沙羅や両親すらもそれに巻き込まれて死亡するという大惨事になってしまう。
さらにジットから「新たに願いを叶えたければギーツを倒せ」と持ち掛けられ、家族を取り戻したい願いを利用される形で駒にされかけるが、
ギーツⅨとの一騎打ちの際に、英寿やツムリの決死の説得を受けた事、
祢音や憎しみの対象だったはずの道長まで沙羅を救おうと奮戦する姿を見た事、
そして、世紀末となる前の状態へと世界を作り替えた代償から、かつて女神の石像があった創世の間にて創世の呪縛で拘束され、
さらには手が石化し始めるなど徐々に創世の神へ変貌しながらもなお自分を救おうとする英寿を見た事で、
再度作り替えられた現実世界でケケラに止めを刺されそうになった道長を救うと同時に、ついに運営やケケラと決別。
再び仲間のライダー達と共に戦う道を選んだ。
かくして景和は「善人の仮面を被った詐称者」から、挫折を経て真に「正義のために立ち向かう者」になったのである。

+ 余談
実は当初の構想ではラスボス候補だったが(『MOVIEバトルロワイヤル』で「景和の悪魔」の存在が明かされるなど片鱗が見られる)、
脚本家が佐藤氏の演技を見て方針転換した経緯がある。

劇中では波乱万丈な軌跡を辿った景和なのだが、実際の所は所々滑舌が微妙だったり濁り気味な所から、
オンドゥル語を連想したファンは数多く、本作のタイトルとを絡めて「ギードゥル語」というネタを生み出した原因とも言える。
ただし、演者の佐藤氏は本作以前の演技経験はモブキャラくらいなもので、役者としての経験が乏しかった所もあったのだが、
それ故に上記の闇堕ち展開では同氏の演技力の成長ぶりを感じる所でもあった。
なお、佐藤氏の好きな仮面ライダーは『仮面ライダー剣』との事。

他にもタヌキがモチーフという事もあって、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の主人公スレッタ・マーキュリーとは、
放送時期が近い上に毎週日曜日に放送される事や彼女の雰囲気から、双方合わせて「日曜日のたぬき」と呼ばれている。
また、放送中開始したNHKの大河ドラマも、俗にタヌキによく例えられる徳川家康が主役の『どうする家康』であり、
そちらも含めて呼ばれることも。ただしこちらは劇中では「白兎」呼ばわりされた。例によってというべきか終盤見事狸に化けたが
更には同期のスーパー戦隊で『ドンブラザーズ』の後番組である『王様戦隊キングオージャー』でも、
同戦隊のブルーが「スカポンタヌキなる罵倒語を使う為、それも含めてネタにされたり


形態

  • エントリーフォーム
デザイアドライバーと仮面ライダータイクーンコアIDで変身する形態で、デザイアライダー共通の基本素体。
固有装備は右脚に備えられたプレイヤーの運気を上げるパーソナルアクセサリー「タイクーンバンデージ」。
使用したライダーが次々と退場し、視聴者から呪いの装備と言われているアローバックルを所持してても大丈夫だったのはこれのおかげともっぱらの噂

  • アームド/フォーム
ジャマトがドロップするハテナミッションボックス002から入手する事ができるアイテム「レイズバックル」を用いた形態
(詳細はギーツの項目の解説参照)。
なお、タイクーンと相性が最も良いのは分離可能な剣「ニンジャデュアラー」を武器とする「ニンジャフォーム」。

  • ブーストフォーム
ブーストバックルを装填して変身した形態。
タイクーンはとある事情からレアアイテムであるブーストバックルを入手する機会が多かったが、
序盤では自分で使わず人に渡してばかりだったため、自分がこの形態になったのは7話と遅め。

+ その他の強化形態
  • フィーバーフォーム
想定外のエネミー「ジャマトライダー」の出現により運営から救済措置として支給された「フィーバースロットレイズバックル」で変身する。
劇中でタイクーンがフィーバーを所持していたのは謀略編のみなため、出番は少なめ。

  • レイジングフォーム/コマンドフォーム
変身方法や基本性能はギーツのそれと同じ。
第16話でギーツとコマンドフォーム同士で戦った際は経験の差から次第に押され(とはいえ景和としても織り込み済みであったが)、
乖離編では第18話にて入手したが、デザグラで制限時間が設定されてレイジングでチャージを溜めるのが時間ロスになってしまうなどの理由から、
強力な装備だがタイクーンが使いこなせる機会に乏しかった。

  • シノビフォーム
スピンオフ『ギーツエクストラ』で登場した、シノビレイズバックルを用いて変身した形態。

  • 仮面ライダータイクーンブジンソード

「この力で叶えてやるよ… 俺の理想の世界を…」

タイクーンの最強形態。
デザイアドライバーにツムリの(不完全な)創世の力で生まれた「ブジンソードバックル」を装填して変身する。
パンチ力63.3t、キック力130.0tと平成以降の2号ライダーの中でもトップクラスのスペックを誇る上に、
拡張武装「武刃」の刀身「リヅキ」は直接的な切断力が普通に強力なだけでなく、
グリップ「ブジンヘルブ」を介してドライバーから供給されるエネルギーを超圧縮して纏う事で物質の結合を切り離す事が可能。
これにより物質分解に近い形で文字通りあらゆる物体を両断する事ができる。
あまりにも強力なため、鍔の「ディフェンシブバイザー」が限定的な防御シールドを展開して自滅を未然に防いでいる。
膝や肩にある「ブジンアーマー」は防御姿勢を取る必要すらない鉄壁の防御力を秘める重装甲を多重化させ、
衝撃を吸収して常時ハイパーアーマーに近い状態で戦闘継続性を高めている。

攻撃力だけならギーツの最強形態であるギーツIXにも迫り、ラスボスのリガドΩとの戦いでも直接戦闘で負けたのではなく、
時間加速で翻弄されたり時間逆行で変身能力を強制的に喪失させられた末の敗北であり、
本編において真っ向勝負でブジンソードを敗北させたのは神殺しの力を持つクロスギーツ程度である。


MUGENにおける仮面ライダータイクーン

MUGENライダーキャラでおなじみのqzak氏より作られたキャラが、仮面ライダー製作Wikiにて公開中。
『ギーツ』に登場するデザイアライダーが「仮面のみを個性として素体は全て同じ、装備は共用で誰もが使える」という設定に準じ、
同氏製作の仮面ライダーギーツと多くの技は共通しているが、飛び道具はマグナム系が無くアローのみで、
超必殺技は「ニンジャブーストグランドビクトリー」という差異がある。

2024年3月にななび氏により、性能、モーション、判定などが調整され、
試作版のAIが搭載された更新版が公開された。

出場大会

  • 「[大会] [仮面ライダータイクーン]」をタグに含むページは1つもありません。


最終更新:2024年03月27日 15:19