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作品





不在の家



244 名前:不在の家 [] 投稿日:04/01/06(火) 18:30 ID:iLWrdha8
俺が幼かったころのかかりつけだった医院が今は無人で道路に面した庭も
草ぼうぼう軒には蜘蛛の巣も厚くぶらさがり一面ガラスのドアには遮光カ
 ーテンがかけられて覗くことはかなわず俺はかつてその家にいた一家を記
憶の底から呼び起こそうとするすぐ尻ぺたに注射を打つ四角い顔の中年男
髪をふくらまし眼鏡をかけて薬品を軽量していた彼の妻俺よりいくつか年
上でピアノを弾いていた彼の娘を

白く錆をふく鍵穴らしい形の鍵穴は差し込んだピアノの鍵で軋みながらも
開錠される外よりも厳しく冷え込む玄関を通りかつて火鉢のあった待合室
にゆく積み上げられた木箱段ボール箱視力検査表は黄変してそりかえり押
さえた俺の指の下で木片のように砕けるなかなか滑らぬ引き戸をがたつか
せ俺は診察室へ入るガラス製の劇薬庫に並ぶ七つの褐色の小瓶そのうち一
つを盗んでやろうと思うが扉は開かずあきらめた俺は居間へむかう

あのころ限りなく広く思われたせせこましい空間はそれでも吹き抜けの壁
高く窓からの光に階段とピアノの表面に積もった埃が輝いているついに俺
は思い出すことに成功する注射の前の医者のひょうきんな冗談ビーズ刺繍
のカーディガンを着た奥さんが紙にくるんで渡してくれた菓子うるさいガ
キと延々と神経衰弱をしてくれた娘の高かった上背もう朽ち倒れているが
庭に鉄棒があったこと

俺は俺に思い出された背の高い娘と共に二階へ上る無人の家の一階はしん
しんと冷えているが階段の途中あたりから室温が急に上がる藤製の夏の枕
ホンコンフラワーと呼ばれていた造花の鉢埃除けの布が下げられたままの
鏡台めくりあげれば腐食した水銀の奥に映る中年の俺と背の高い娘俺たち
は赤いスチールの回転椅子に座ってくるくる回るくすねたばかりの褐色の
小瓶も上着のポケットの中で俺たちと一緒にくるくる回る

250 名前:244 [] 投稿日:04/01/08(木) 18:29 ID:+z1BFaKj
>>244の訂正 第一連五行目 「軽量」→「計量」
気づくの遅くてすみません。



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終わりますればはじめに還れ



245 名前:終わりますればはじめに還れ [] 投稿日:04/01/07(水) 15:15 ID:/ZifjkNR

ビルとビルを高空で直結した裏返しの下水管を徘徊する鶯をガーゼで包み燻したような
涙流れたからといって今以上のことはまったくなんにもすべからくいかようにもすべし
と言えど私たち回るつもりでここまで来ましたからには要開独という立看板の文字あつ
らえの服毒本改行と改頁の順番を揃えましょう時に人は相変わらず惑うのだからかつて



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あかし



246 名前:あかし [] 投稿日:04/01/07(水) 23:43 ID:BMGmxd6v
生きている証 僕の生きている証 生きている証 僕にも血が流れてるんだ 生きている証 生きている証
生きている証 空が好きだ 海が好きだ 山が好きだ 何もかもが大好きだ 君がいとしい いとしい 君と
生きる 生きている証 生きている証 生きている証 血が流れている 僕の体の中 君の体の中 直接見
ることはしないけど 太陽に透かせば 見える気がする 生きている証 生きている証 生きている証 生き
ている証 きらめく言葉を生み出しても ネットの流れに流されたり 命の証 生きている証 今ここで生きて
いる 君と 生きている証 生きている証 生きている証 生きている 血が流れてる 君をいとおしいと思う
  生きている証 生きている証 生きている証 生きる 生きる 生きる いきる いきる 生きる 生きる 病
院のベッドに寝たきり 四角く切り取られた空ばっかり見てる たまに来る 君にいとおしく感じる 君は黙って
りんご剥き 僕の口に運ぶ 生きている 生きている証 生きている証 生きている証 生きる証 生きる証
生きたいと思う証 僕の体を流れる血は 生きていたいと願う このまま君と居たいと願う このまま このま
ま このまま君と居たいと願う 生きている証 生きている証………………そばにいる君の姿は前に較べて
ぼやけてきている 頭もぼけてきている 君といたい 君といたい 君といたい 君といたい 君といたい 君
といたい どんなに痛い言動放つ僕を やさしく包んでくれる君といたい 君といたい そう願う気持ちが 生
きている証 生きている証 生きている 生きる 生きている証………………………………………………



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Be alive



247 名前:Be alive [] 投稿日:04/01/08(木) 03:21 ID:cgyjcZhJ
今日も家に帰ってくる最近太り気味の私は少しばかりの運動として
12階まで階段であがることに決め一段一段やはり心に決めてはみ
たものの灰色のコンクリートばかりを見ているとさすがに嫌気がさ
してきて明日からは朝早く起きて普通に景色を見ながらウォーキン
グする事にしようと早くも心変わりしながらもどうせのことだから
今日はやりきらなければ結局そのどちらも三日坊主に過ぎぬと自分
を鼓舞しつつ142段目の階段をのぼりきり今まさに8階と9階の
中間まできて折り返したところそこに殺風景なコンクリートに似つ
かぬ花がそえてあったのでふと立ち止まり決してそれが綺麗だから
立ち止まったわけではない
それはもしかするといや確実にこの冬ここで起きた飛び降り自殺の
死者に向けられた花束であろうと思いつつ塀から下を覗けば高所恐
怖症の私はその高さに震えたのではなくそんな馬鹿なことをしたそ
の男の死者に鞭打ってはいけないが実際そんなことも無くむしろど
のような動物においても自らの身を破壊することはないのに軽々し
くも否軽々しくは無いのかもしれないが他に逃げ道はあるにもかか
わらず袋小路に突っ込んでいき窮鼠猫を噛むことも無く逝ったその
負け犬否犬ではなくまた鼠でもないがそれ以下の人間に震えた
こんな男のために花はその生涯を閉ざすことを余儀なくされまたそ
の妻子も行くあてのない道の真ん中に放り出されそうして楽になっ
たのはその男だけでもしかしたら輪廻というものは本当にあって今
ごろ何不自由ない家庭におぎゃと生まれその顔はもしや笑っている
のかもしれなくて残された者は自らの行く末を案じなければならな
い上にそんな男にも定期的に花をそえなければならない不条理さと
さらにそんな理由の為にむしろどうせならば華やかな場面例えば結
婚式とか誕生日とか新装開店とかそういった類で登場したいであろ
う生きる努力を蝕まれた花の不条理さを思うとかたやリストラされ
家のローンも随分残っていることなど何の逃げ口実にもならないと
気付いた男は無表情でそこを折り返し198段の階段をのぼりきっ
た我が家に作り笑顔で「ただいま」と言えば妻は心からの笑顔で「
お帰りなさい」と言った



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虹をもう一度



248 名前:虹をもう一度 [] 投稿日:04/01/08(木) 03:31 ID:fKONWaIi
君は今、雨に打たれているんだろう。だけどその雨はやがて君の心をきれいに洗い流してくれる。君の悲しみは君だけの〝モノ〟 誰にもそれはわかってもらえない。だからといって、君は一人ではない。

君は忘れたわけじゃないだろう。君にもかつては虹が見えていた事。君は忘れたわけじゃないだろう。昔も確かに長い雨が降っていた事。物事に永遠なんてないのさ。

この世の全ては始まりから終わりまで、巡り 巡り 廻り 廻る。君の悲しみだって巡り 巡り 廻り 廻る。そうさ、そして雨が上がればきっと見えるはず。
あの日の虹をもう一度

今は無くても必ずまた、訪れる。どんなに抗おうと絶望は幾度となく襲いくるように、希望もまた、訪れる。だから今は疑わずに信じよう。
あの日の虹をもう一度



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労働



249 名前:労働 [] 投稿日:04/01/08(木) 12:32 ID:C21X5yy8
ぴんぴらぽん ぽんぽらぴん ぴこぴこ ぽろぽろ ちちきちき
機械は動く ラインは動く 機械のように僕らは動く たとえ壊れてしまっても いくらだって代わりはいるさ
動く 動く 機械は動く ラインは動く 僕らは動く
ぴんぴらぽん ぽんぽらぴん ぴこぴこ ぽろぽろ ちちきちき ぴこぴこ ぽろぽろ ちちきちき



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俺は時/トキ



251 名前:俺は時/トキ [sage] 投稿日:04/01/08(木) 22:04 ID:DOXUl3XR
P1
わかったようで、わかっていないこの道を俺はどこから来て、どこへ向かって歩いているのかなんて、実は誰も分っていないのだから、白昼に自動ドアを行ったり来たりして幻を追いかけたり、闇夜に眠る森から窓硝子を開けて冷気を吹き込んだりと、茶メ気な面もあるけれど、

252 名前:俺は時/トキ [sage] 投稿日:04/01/08(木) 22:06 ID:DOXUl3XR
P2
いつも微かな向かい風に耳鳴りのような予感だけを頼りにして、世界中、それも絶え間なく、狂いなく、真面目に往きとどいているはずなのだが、それはプラットホームで時計を繰り返し見てはジタバタするサラリーマンや、OL、

253 名前:俺は時/トキ [sage] 投稿日:04/01/08(木) 22:07 ID:DOXUl3XR
P3
待ち合わせの泉に佇む娘にとって俺は、会社よりも恋人よりも非情に切ない間柄になるようで、

254 名前:俺は時/トキ [sage] 投稿日:04/01/08(木) 22:08 ID:DOXUl3XR
P4
しかし青空の下で一人ベンチに座り、はしゃぐ子供等を下目使いで俯き覗く若者にとっては邪魔者みたいで、しかもミサイルが飛んだり、地雷が爆発したり、ウランが血を白くしたり、これはもう、ありとあらゆる

255 名前:俺は時/トキ [sage] 投稿日:04/01/08(木) 22:09 ID:DOXUl3XR
P5
時刻表は俺に疑いをかけているのだから、明日は俺も休暇をとって、海でも見に行こうと思う。(終)




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骨と花



256 名前:なみなみお ◆mCFk32Woec  [sage] 投稿日:04/01/08(木) 23:19 ID:IQZnqIse
砂漠は砂漠は清潔砂漠は清潔であり砂漠は清潔であり砂漠は清潔であり雨の代わりに砂漠は清潔であり雨の代わりに太陽が降る
夜の夜の闇は夜の闇は昼を渇望し夜の闇は昼を渇望し海を吐き出す夜の闇は昼を渇望し海を吐き出すまるで女の膣のように
転がる転がる骨は転がる骨は著しく転がる骨は著しく尖り転がる骨は著しく尖り満月を転がる骨は著しく尖り満月を撫でる
麒麟の麒麟の首麒麟の首は擡げ麒麟の首は擡げ枯れた木さえ麒麟の首は擡げ枯れた木さえ疲労の麒麟の首は擡げ枯れた木さえ疲労の影
象の象の鼻象の鼻は燃え象の鼻は燃える象の鼻は燃える水を象の鼻は燃える水を吸い込んで
鳥鳥の鳥の糞が鳥の糞が飛翔鳥の糞が飛翔の彼方鳥の糞が飛翔の彼方から種を運び
潔癖な潔癖な砂漠の潔癖な砂漠の骨潔癖な砂漠の骨が色を潔癖な砂漠の骨が色を纏い潔癖な砂漠の骨が色を纏い
森森が森が広がり森が広がり乾いた骨森が広がり乾いた骨が潤い森が広がり乾いた骨が潤い
楽楽園楽園で楽園で踊る楽園で踊る雲の楽園で踊る雲の上楽園で踊る雲の上に楽園で踊る雲の上に咲く花
希釈希釈は希釈は清潔な希釈は清潔な世界を希釈は清潔な世界を薄めていくこと希釈は清潔な世界を薄め希釈は清潔な世界を薄め意味は失われる
もっと希釈もっと希釈もっと希釈をもっと希釈をもっと希釈をもっと希釈をもっと希釈をもっと希釈をもっと希釈をもっと希釈をもっと希釈を
もっと希釈をもっと希釈をもっと希釈をもっと希釈をもっと希釈をもっと希釈をもっと希釈をもっと希釈をもっと希釈をもっと希釈を永遠もっと希釈を永遠に
もっと希釈を永遠に希釈をもっと希釈を永遠に希釈をもっと希釈を永遠に希釈をもっと希釈を永遠に希釈を




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落ちて飛んで潜って泳いで沈んで跳ねてひっくりかえして消えた



257 名前:落ちて飛んで潜って泳いで沈んで跳ねてひっくりかえして消えた [sage] 投稿日:04/01/09(金) 15:55 ID:eW209tcc

落ちたリンゴを裏返すと穴になるけどそれはメビウスの輪やウロボロスの
輪の中に開いたブラックホールがねじれて電気ヒバナを咲かせたラクダの
皮のランプが満月オレンジをパズルピースで埋めているようなものでカー
テンを通るインクを鉛筆で描ききれない原因は結果とひとつづつのペアに
見えてパラレルな可能性を否定するわけじゃないのにイメイジが泳ぎまわ
る冷たい海を越える人間の命はどんなに長くてもひとり分にしかならなくて
割ると血まみれになるしひとりでは何もできないかわりに世界がどうなろう
ともそのひとりさえどうにもできないのと同じ物だから切り刻んでお皿に載
せて食べることにした




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うんちく



258 名前:うんちく [sage] 投稿日:04/01/10(土) 03:03 ID:efZPx1IA
一目見て綺麗、それでいいじゃないですか



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259 名前: 旦    [] 投稿日:04/01/10(土) 03:08 ID:4XgsXA4W



                  僕は今朝か
                らこの夕暮れが気
              に入っていて何もないこの
            ぽちゃんとした心の中に真っ赤に
         浮かびあがり黒いお皿にのっかってゆう
        ゆうと僕を見下ろして部屋にトイレに机に角に
       おもい出に泣きたくなるほど静かにそれは静かに
      ただただ存在して圧迫して発熱して乱れることなく整
      然とたたずみ続け焦げついたジリジリとそうジリジリと
      僕を追い詰め強大なほどふくれあがったかと思うと一
       瞬にして元のぼやけた日の丸に戻り僕をよけいに
        とまどわせあせらせ実際そう熱くもないのに汗
         がだらだらともうだらだらと流れてしまい僕
           の心は冷え切ってしまい目をそらして
            しまうのだけれどもなぜかなぜかぼ
             くはぼくはこの太陽を太陽をじ
                っとじっとじっとじっと

                 あああああああ
                 手に入れたいい

      ぼくは手に入れたい遠くにあるこのすばらしきまばゆさ
     を近くにひそむぼくの闇とひきかえに世界が壊れてもいい
     全ての視線がぼくにつきささってもそのまっかな激烈を手
        に入れたくベッドの僕は窓から飛び出していた



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最終更新:2006年09月11日 00:02