「ゆっくり想像妊娠」(前編)






人里から遠く離れた草原。
人の手が加わっていないありのままの自然に満ちた、野生生物の楽園。
ゆっくりれいむとゆっくりまりさの2匹は、そんな草原の大木の根元に住んでいた。

「ゆっくりかえったよ!!」
「ゆっ!まりさおかえり!!」

根元の穴へと、ずいずい潜り込んでいくゆっくりまりさ。
黒い帽子と金髪が目印の、人間の生首を幼児が粘土で作ったような、下膨れな形だ。
出迎えたゆっくりれいむは、赤いリボンと黒髪が特徴。やっぱり下膨れ。

「おいしいたべものだよ!!ゆっくりたべてね!!」
「ゆっ!!いっしょにゆっくりたべようね!!」

まりさが口の中から、取ってきた食べ物をその場にばら撒いた。
留守を守っていたれいむも加わって、2匹で食事を取る。
うねうね動く芋虫や、草原に生えていた花々。野生のゆっくりにとってはご馳走だ。

「とてもゆっくりできるね!!」
「そうだね!!でも……あかちゃんがいたらもっとゆっくりできるよね?」

れいむは、遠慮がちにまりさに問いかける。
むーしゃむーしゃと、幸せそうに芋虫を頬張っていたまりさの口が、一瞬だけ止まった。
考え事をしながら芋虫をゆっくりと咀嚼し、口の中が空っぽになってから口を開く。

「ゆっ……そ、そうだね!!でも、あかちゃんをつくるには、すっきりしなくちゃいけないんだよ!!」
「れいむはまりさとすっきりしたいよ!!まりさはすっきりしたくないの!?」

ぐいっと食べ物を一気に飲み込んで、れいむはまりさに詰め寄った。
まりさは困り果てた顔で、俯いている。そして、しばらく考え込んだ後……

「まりさとれいむにはまだはやいよ!!いますっきりしたら、ゆっくりできなくなっちゃうよ!!」
「そんなことないよ!!れいむとまりさは、ゆっくりおとなになったよ!!」
「ゆっくりあせらないでね!!まりさのおかーさんもいってたんだよ!!」

両者は一歩も譲らない。
れいむは『一刻も早くすっきりし、赤ちゃんを作りたい』と考えている。
しかし、まりさは『まだすっきりするのには早い。もっと大人になってからじゃないとダメだ』と思っている。

「ゆぅ……しかたないね!!まりさがそういうならゆっくりするよ!!」
「ありがとう!!ゆっくりしていってね!!れいむ!!」

渋々、まりさの意見を受け入れるれいむ。心の中では納得していない様子だ。
一安心したまりさは、元通りの笑顔を浮かべて食事を再開した。






れいむは、妊娠したかった。
れいむは、赤ちゃんが欲しかった。
赤ちゃんがいれば、今よりもっとゆっくりできる。
たくさん赤ちゃんを作って、たくさんたくさんゆっくりしたい。
それは、全ゆっくり共通の願い。れいむも例外ではなく、出来る限り多くの赤ちゃんを欲していた。

そのためにはすっきりする事が必要……でも、パートナーであるまりさは、一緒にすっきりしようとはしなかった。

まりさは、赤ちゃんが欲しかった。
でも、すっきりはしたくなかった。
赤ちゃんがいれば、今よりもっとゆっくりできる。それは知っていた。
しかし、そのためにすっきりするのは嫌だった。
子供の頃に、目の前で妹がゆっくりありすにレイプされるのを見てから、すっきりするのが怖くなってしまったのだ。
そのときの妹の顔も、ありすの顔も、まりさは覚えていない。そういう事件があったことも忘れてしまった。
ただ、“すっきりすると死んでしまう”という情報だけが、まりさの餡子脳には焼き付いていた。

だから、まりさはすっきりしたくない。理由は分からないけど、とにかくすっきりしたくなかった。






「もうよるだよ!!ゆっくりねむろうね!!」
「いっしょにゆっくりねむろうね!!」

巣の隅っこの、藁を敷き詰めた寝床に2匹は飛び込む。
すりすりと寄り添いあって、互いの愛を確かめながら眠りにつくのだ。

「ゆっ!!すりすりしようね!!」
「ゆん!!いいよ!!ゆっくりすりすりしようね!!」

眠りの前のスキンシップ。すりすりは、ゆっくりにとって万能な意思疎通手段だ。
まりさも、すりすり程度であれば恐れない。すっきりの感覚を呼び覚まさない限りは、すりすりだって大好きだ。

「ゆーん!!すりすりー♪」
「すりすりきもちいーね!!ゆっくりすりすりするよ!!」

性的興奮に至らないレベルの、ゆっくりとしたすりすりを継続する2匹。
だが、一瞬だけ“そのレベル”に達してしまったれいむが、おかしな声を上げた。

「んほっん!!なんだかむずむずするよ!!」
「ゆっ?ゆゆゆゆゆ!?ゆっくりやめてね!!すっきりしないでね!!」

赤ちゃんを作りたいという思いが、れいむの触覚をほんの少しだけ敏感にしてしまった。
その結果、れいむだけがすりすりと交尾のボーダーラインを踏み越えてしまったのだ。

「んふぅ!?なんだかきもちいいよ!!んひゅぅ!!」
「い、いやだよ!!まりさはすっきりしないよ!!すっきりはやめてねえ゛え゛え゛ぇぇえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」

どすんと、れいむを突き飛ばしてその場から逃げ出すまりさ。
壁に叩きつけられたれいむは、んびゅっと悲鳴を漏らして藁の寝床の上に転がり落ちた。
その衝撃で性的興奮はどこかへ飛んでしまったようだ。

「んひっ!?……ゆぅ、なんだかへんなかんじだったよ!!」
「こわいこわい!!すっきりこわいよ!!ゆっくりできないよおおおおお!!!」
「ゆ?どうしたの?まりさ?」

巣の反対側でぶるぶる震えているまりさを、れいむは心配そうに見つめる。
ぼろぼろと涙を流すまりさは、まるで生まれて間もない子ゆっくりのようだった。

「ゆっ!!すっきりしないでね!!すっきりしないでね!!」
「ゆ!すっきりしないよ!!れいむはまりさとゆっくりねむるよ!!ゆっくりねむろうね!!」

泣いている子供を宥めるように、まりさに言い聞かせるれいむ。
まりさは少しずつ、落ち着きを取り戻していった。

「ゆっ?ほんとうにすっきりしない?」
「しないよ!!まりさがいやがるなら、れいむはすっきりしないよ!!」
「……ゆん!!それならゆっくりねむれるよ!!」
「そうだよ!!いっしょにゆっくりねむろうね!!」

向かい合って笑う2匹。
それから、2匹はすりすりしないで眠りについた。
先ほどまで恐怖に震えていたまりさの目には、まだうっすらと涙が浮かんでいる。

まりさがすっきりを嫌がるのは、いつものことだった。
何があったか分からないが、すっきりするのが怖いらしいということは、れいむも知っていた。
でも、れいむはまりさを愛していた。たくさんご飯を取ってきて、自分をゆっくりさせてくれるから。
だから、なるべく受け入れようと努めた。すっきり恐怖症のまりさを、ありのまま受け入れてあげようと。

まりさが眠るその傍らで、れいむは嬉しいような悲しいような複雑な表情をしたまま……目を瞑った。



れいむは、まりさとすっきりして3匹の子供を生む夢を見た。
まりさとの激しいすっきりの結果、胎生型で孕んだ子供だ。

(ゆ~♪とってもゆっくりしたあかちゃんだね!!)
(ゆっくちしちぇいってね!!)

夢の中で、存分に子供たちとすりすりするれいむ。
それをちょっと離れたところから、まりさが優しげな表情で眺めている。
れいむは、今までになかった最高の笑顔を浮かべて、子供たちとゆっくりし続けた。

朝、目が覚めてこれが夢だと知ったれいむは……

(ゆぅ……ゆっくりしたあかちゃんがほしいよ…)

がっくりとうな垂れて、食料を取りにいくまりさを見送った。



数日が経った。

れいむとまりさは、何事もなくゆっくりし続けた。
日に何度か、れいむはまりさを交尾に誘ったが、その全てをまりさは断った。
無理やり交尾するわけにもいかず、れいむはそれを受け入れるしかなかった。

その度に、赤ちゃんを作りたいという思いだけが、肥大化していく。

溢れそうで、爆発しそうな、強烈な願い。

赤ちゃんが欲しい!!赤ちゃんが欲しい!!

ゆっくりした赤ちゃんがたくさん欲しい!!

ゆっくりすることを忘れてしまうぐらいの願いは……れいむの何かを変えてしまった。




それは、とてもゆっくりしていた日のことだった。

「ゆっくりごはんをとってきたよ!!」

巣の外からのまりさの声を聞いて、れいむは出迎えるべく巣の外へと出て行く。

「ゆっくりかえったよ!!」
「おかえりなさい!!ゆっくりしていってね!!」

大量の食料を取ってきたまりさは、頬を大きく膨らませている。
きっと、欲張ってたくさん詰め込みすぎたのだろう。
まりさは、バランスを崩してゴロンと前に倒れこんでしまった。

「ゆっ!!?」
「ふぎゅううぅ!?」

それを受け止めたのは、れいむだった。
大量に食料を詰め込んだまりさの身体を、真正面から受け止めた。
ぐぐぐと力がこもって、少しずつ潰れていくれいむの身体。

「うぐぐぐぐぐ!!ぐるじいよおおおお!!!」
「ゆっ!!ゆっくりしないではなれるよ!!」

まりさは何とか体勢を立て直し、れいむから離れた。
重圧から開放されたれいむは、ふしゅ~っと空気を吐き出してゆっくりとした表情に戻る。

「まりさ!!ゆっくりしすぎだよ!!ゆっくりあやまってね!!」
「ゆっくりごめんね!!ゆっくりしすぎちゃったよ!!」

れいむはぴょんぴょん跳ねながら、いきなり圧し掛かってきたまりさを叱る。
その時……れいむは、身体の中の違和感に気づいた。

「ゆゆゆ?なんだかへんなかんじがするよ?」
「ゆ?れいむ?どうしたの!?」

ぼよんぼよんと、試しに跳ねてみる。お腹のあたりに、ごろごろとした感触を感じる。
今度はそこらへんをごろごろと転がってみた。やっぱり、お腹の中がごろごろする。

そして、れいむはその違和感の正体を確信した。

「ゆゆ!!きっとあかちゃんができたんだよ!!にんっしんしたんだよ!!」

ぐいっと身体を反って、お腹を見せつけるような体勢をとるれいむ。
それを聞いて、まりさは不審そうな顔をした。

「おかしいよ!!すっきりしないとあかちゃんはできないんだよ!!」
「ゆ!!あかちゃんがうごいたきがするよ!!」

すっきりせずに赤ちゃんが出来るのは変だ。
だが、赤ちゃんが動いたと言われてしまえば、まりさは反論できない。
もともと、まりさだって赤ちゃんは欲しかったのだから、無理に否定する理由は無いのだ。

「ゆゆゆ!!こういうときはどうすればいいの!?」
「ま、まりさはぱちゅりーにきいてくるよ!!れいむはあかちゃんとゆっくりしててね!!」



物知りのぱちゅりーに聞いた結果はこうだった。

『母体はたくさん食べ物を食べて、ゆっくりしなければならない』
『母体は激しい運動をしてはいけないから、食べ物はパートナーが全部取ってくる』

まりさは早速、草原を駆け回っていつも以上に食べ物をとってきた。
巣の中でゆっくりしているれいむは、まりさの帰りを待っていつも以上に食べ物を貪る。

「ゆっ!!まりさのぶんはいいよ!!れいむがあかちゃんのぶんもたべてね!!」
「ありがとう!!あかちゃんのぶんもゆっくりたべるよ!!」

まりさは芋虫2匹で我慢し、残りは全て母体であるれいむに譲った。
食べかすを散らかしながら、れいむはまったく遠慮せず譲られた分もかき込んだ。
これから赤ちゃんが生まれるのだから、たくさん食べるのはあたりまえだ、と思っているのだろう。



3日も経つと、れいむのお腹が目に見えて大きくなってきた。

「ゆっ!!あかちゃんがおおきくなってきたよ!!」
「そうだね!!もっとゆっくりおおきくなってね!!」
「まりさはたくさんたべものをもってきてね!!あかちゃんをゆっくりさせてあげたいよ!!」
「ゆゆ!!ゆっくりりかいしたよ!!」

草原へと飛び出すまりさ。
赤ちゃんのためだと思えば、重労働も苦ではなかった。
まりさは、巣の中と外を10往復して大量の食べ物を巣に運び込んだ。

「さぁ!!ゆっくりおたべ!!」
「ゆゆ!!ゆっくりたべるよ!!あかちゃんはゆっくりおおきくなってね!!」
「ゆ~!これならとてもゆっくりしたこどもになるよ!」

重労働で疲れ果てているまりさだが、笑顔を絶やさない。
赤ちゃんのため。赤ちゃんを産むれいむのため。だから頑張れるのだ。

「ゆっ!!れいむとあかちゃんはゆっくりしていってね!!」




1週間が経った。

通常なら、そろそろ出産の時期である。
だが、れいむは赤ちゃんを産む気配はない。身体の大きさは、1週間前の2倍に達していた。

「ゆっくりうまれてきてね!!ゆっくりでいいからね!!」

お腹の中の赤ちゃんに呼びかけながら、尋常でない量の食べ物を食い散らかすれいむ。
まりさはその傍らで疲れを癒しながら、自分の食べ物を口に運ぼうとするが……

「ぜんぜんたりないよ!!まりさのぶんもちょうだいね!!」
「ゆっ?!……ゆっくりりかいしたよ!まりさのぶんもたべてね!」

れいむの要求に、まりさはあっさり従った。
自分の分をれいむに差し出すと、れいむはそれを含めて全ての食べ物を平らげてしまう。
そんなれいむの口から飛び出したのは、お礼ではなく更なる食料の要求だった。

「もっとたべものをもってきてね!!あかちゃんのためだよ!!」
「ゆゆ!!ゆっくりまっててね!!」

疲れた身体に鞭打って、草原を駆け巡るまりさ。
へとへとになりながら、赤ちゃんのためだと自分に言い聞かせながら食べ物を集める。
もうすぐ会えるであろう可愛い赤ちゃんの、ゆっくりとした笑顔を想像しながら……



2週間が経った。

いくらなんでも遅い。ゆっくりし過ぎだ。
赤ちゃんが生まれないことを不審に思ったまりさは、れいむに内緒で再び物知りぱちゅりーの巣を訪ねた。

「むきゅ!いくらなんでもゆっくりしすぎよ!!じつはにんっしんしてないのかも!!」

ぱちゅりーもまりさと同意見だった。
本当に妊娠しているのなら、1週間前に赤ちゃんが生まれているはずなのだ。
それなのに生まれないということは………妊娠していない。それ以外に考えられなかった。

巣に戻って、早速れいむを問い詰めるまりさ。
れいむを疑うのは心苦しいが、物知りぱちゅりーの言っている事が嘘だとは思えなかった。

「いくらなんでもあかちゃんがゆっくりしすぎたよ!!ほんとうにあかちゃんはいるの!?」

それに対して、れいむはでっぷり太った身体をぶるんと震わせながら、心外だと言わんばかりに反論する。
頬の余分な餡子をふるふるさせて、大きな口を開いた。

「どうしてそんなこというの!?あかちゃんはほんとうにいるよ!!ほら!いまだってうごいたよ!!」
「ゆっ!?ゆぐぐぐぐぐ……」

ぶるんぶるんと震える腹を、まりさに見せ付けるれいむ。
その場だけは引き下がったまりさだったが、疑念は晴れなかった。
最近れいむの身体はどんどん大きくなっている。でも、それは本当に赤ちゃんが成長しているからなのだろうか。
もしかしたら……お腹に赤ちゃんがいるのではなく、ただ栄養を取りすぎているだけなのではないだろうか。

「ゆっくりしんじてね!!はやくあかちゃんのためにたべものとってきてね!!」
「ゆぅ……ゆっくりわかったよ…」

ぐいぐいとれいむの巨体に押し出されるようにして、まりさは食料の確保を再開した。
具合の悪そうなまりさの顔とは対照的に、れいむはとても幸せそうな顔をしていた。




3週間が経った。

巣の中で鎮座して待っているれいむ。
毎日異常な量の食料を集めて回るまりさの疲れは、もう限界に達しつつあった。

「ゆぅ…ゆっくりやすませてね!」

食べ物をれいむに差し出した後、巣の中でぺちゃりと座り込んだまりさ。
少しでも体力を回復しようと、自分のために取っておいた芋虫を数匹、帽子の中から取り出した。
そんなまりさを、れいむはギロリと睨みつける。

「ゆっくりしすぎだよ!!ゆっくりしないでたべものをもってきてね!!」
「で、でも……まりさがゆっくりできなくなっちゃうよ!!」

まりさは、やつれた顔に何とか力を込めて、れいむに抗議する。
このまま体力を失っていけば、ゆっくり出来なくなるのは誰が見ても明らかだった。
しかし、れいむはそんなことなどまったく関知せずに、まりさを罵倒する。

「なさけないね!!まりさがごはんをたくさんもってこないから、あかちゃんがでてこれないんだよ!!」
「ゆっ!!それなられいむがとりにいけばいいでしょおおおおお!!」
「どうしてそんなこというのおおおおおおお!!??おかあさんはゆっくりしてなきゃいけないんだよ!?」

悪いのはまりさだ、と言わんばかりに喚き散らすれいむ。
醜く太った身体を見せ付けるように、れいむは身体を反らせた。

「まりさはれいむとあかちゃんのためにたべものをもってきてね!!それがとうぜんのつとめだよ!!
 なにゆっくりしてるの?そんなひまないよ!!ゆっくりりかいしてね!!」

れいむの一言一言が、まりさの怒りを増幅させていく。
さっきから、こいつは食べ物を要求するだけで、自分で取ってこようとしない。
母親だからなんなの?赤ちゃんが生まれるからなんなの?まりさはお前の何十倍も苦労してるんだよ!!

「ゆぎゅうううううう!!!もうおこったよ!!ゆっくりはんせいしてね!!」

堪忍袋の緒が切れたまりさは、渾身の力を込めてれいむの腹に体当たりする。
だが、既にまりさの4倍以上の大きさになっていたれいむに対して、そんな攻撃はまったく効果がなかった。
ぼよんぼよんとれいむの腹を震わせるだけで、れいむはまったく痛がる素振りを見せない。

「ゆっ!!れいむのおなかになにするの!?あかちゃんがゆっくりできないでしょ!?」
「ゆびゃあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁ゛あ゛!!??」

逆にれいむに弾き飛ばされてしまい、まりさは巣の出口まで押し出されてしまう。
びくびくと痛みに震えながら、悲しげな目でれいむを見上げるまりさ。

「どぼぢでぇぇぇ……ちょっとだけゆっぐりしたがっだ…のにぃ……」
「ゆっくりしないでごはんをとってきてね!!そうしないとあかちゃんがうまれてこないよ!!」

ぷんぷんと怒りながら、れいむは身を翻して巣の奥へと消えていった。
そして、まりさが食べようとしてそのまま放置されていた芋虫を、ぺろりと平らげる。

「うっめぇ!!これめっちゃうっめぇ!!まじぱねぇ!!」

もう体格ではれいむには勝てない。喧嘩になれば、100回やって100回れいむが勝つだろう。
まりさも、それを身にしみて感じていた。れいむの言うとおり食べ物を集めなければ、また痛い目に遭う。

「ゆっぐ……ゆっぐじじだい゛の゛に゛い゛い゛い゛ぃぃぃ……」

まりさは、啜り泣きながら再び草原へと向かった。




作:避妊ありすの人

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最終更新:2022年05月03日 16:21