あと数刻ほどで日が落ちる頃、とある森のとある木の下、少し大きめの穴の中にごく普通のゆっくりの巣があった。
そこに住んでいたのはれいむ種とまりさ種、それに赤ちゃんれいむが2匹と子れいむが2匹と子まりさが3匹。
ごくごく平凡・・・というよりは虐待SSのテンプレみたいなゆっくりの家族でした。


「ゆ~ゆゆ~ゆ~♪。」
「ゆ~ゆ~♪。」
「こどもたちはほんとうにゆっくりしてるね!」
「ああ、ほんとうにゆっくりしてるぜ!


今日の分の餌も取り終え、一家は巣の中で実にゆっくりとしていた。
ゆっくりとした毎日を過ごし、虐待お兄さんに狙われることもなく、近くの巣にはぱちゅりー一家や
最近群を作り始めたアリスたちも居る。おそらく自分たちは世界の誰よりもゆっくりしているのだろう・・・
そんな風に考えながら、れいむは子供たちの遊ぶ姿を実に幸せそうに眺めていた。
そのゆっくりとした毎日がもうすぐ崩れることも知らずに・・・


「ゆっ?」


最初に異変に気づいたのはまりさだった。


「どうしたのまりさ?」
「なにか外でで大きなおとがしたんだぜ!ゆっくりみにいってくるぜ!」
「ゆゆ~ゆっくり気をつけてねまりさ。」
「おとーしゃんゆっくちちをつゅけてね!!!」
「ちをつゅけてね!!!」
「きをつけていってね!!!」

れいむと赤ちゃんを巣に残し、まりさは巣からそっと出てきた。
そして辺りを見回すと、知り合いのぱちゅりー一家がそこにいた。


「ゆっくりしていってね!!!」
「「ゆっくりしていってね!!!」」


お決まりの挨拶を交わすが、まりさは一家を見て変だと感じていた。
目の前にいたぱちゅりーとまりさはボロボロの姿だった。もともと病弱で顔色の悪いぱちゅりーの顔は大きく腫れ、いつも自慢してたまりさのぼうしは何かで切られたのか
ところどころが裂けていた。
さらに気がかりなのは、二人しかいないと言うことだ。
ぱちゅりー一家はぱちゅりー種とまりさ種、そして子ぱちゅりーが2匹と赤ちゃんまりさが2匹、子まりさが1匹の家族だったはずだ。
なのに、目の前にはぱちゅりー親子しかいない。
巣の中にいるとしても赤ちゃんが居るのに両親が二人とも外にいるのはおかしいのではないかとまりさは思っていた。
      • どうやらこのまりさ、普通のゆっくりよりは頭の良いゆっくりのようである。


「ゆゆっ!ふたりともどうしたんだぜ!なんでそんなにボロボロなんだぜ!」


まりさは二人に問いかけてみた。するとさきほどまで喋る気力すらなかったように見えたぱちゅりーの口が開いた


「・・・ごめんなさいまりさ。」
「まりさたちは、こどもたちともっといっぱいゆっくりしたいんだぜ。」
「ゆゆ!なにいって・・・。」


「ヒャッハー!ゆっくりだー!」


まりさの発言は突如現れた男たちによって遮られた。


「ゆっくりしていっぶぎゃ!」
お決まりの挨拶も小太りの男の意外と鋭い蹴りのせいで言えなかった。勢いよく蹴られたまりさはそのまま巣がある木に衝突してしまった。
勢いが強すぎたのかまりさがビクビクと痙攣しながら餡子を口から漏らしていた。
その光景見ていたまりさが口を開いた。


「おにーさんたち!まりさはゆっくりすのばしょをおしえたよ!だからまりさたちのこどもをかえしてね!」
「むきゅー!そうよ!ぱちゅりーたちのあかちゃんをいじめないでゆっくりかえしてね!」
「ゆゆ・・・どうゆう・・・ことなの?ぱちゅりーたちは・・・なにをいってるの?」
しゃべる気力など殆どなかったが、状況がつかめないまりさは疑問を投げかけ、


「ああ、俺が説明してやるよ糞饅頭。」
後ろの方にいた大柄の男が厳しい顔付きで説明しだした。

「こいつらはな、お前たち一家を俺らに売ったんだよ。俺がこいつらの巣を襲って、ガキどもを袋に詰めてる時にな。」
「そうそう。こいつらときたらなァ~~、俺らがガキどもと軽く遊んであげてる時によォ~、『知り合いのまりさたちにいっぱいこどもがいるから、巣に案内するからがえじてえ~』
なんていうからよ。面白そうだし案内してもらったって訳なんだぜ~。」
途中から説明しだしたモヒカンの男(以下モヒカン)は実に楽しそうにその状況を話していたが、まりさの耳には届いていなかった。」


餡子のはきすぎで目の前が見えなくなってきていたが、まりさはしっかりと二人を睨みつけていた。
日頃からお互い助け合っていた家族の裏切り。そして何よりも幼い頃からの付き合いだったぱちゅりーの裏切りにまりさの顔が怒りの色に染まった。
「どうじてばりざたちをうったのぉぉぉ!!!ゆっぐりじねええええええ!!!」
まりさはぱちゅりーたちに向けて出せるが奇跡に近いほどの大声で罵声を浴びせる。しかし等に本人たちは


「おじさん!さっさとあのまりさたちを捕まえて、まりさたちのこどもをかえしてね!ゆっくりしないでね!」
そんなまりさの罵詈雑言を加齢にスルーしていた。
そして・・・


「ゆゆ~?まりさどうしたの・・・ゆ!?まりさだいじょうぶ!なにがあったの!」
「おとーしゃんだいしょうぶ?」
まりさの大声に流石に変に思ったのか巣かられいむたちが出てきてしまった。


「れいむきちゃだめ!あかちゃんたちとにげてぇ!」
まりさは必至の叫びで逃げるように家族に促す。しかし口の中が餡子で溢れていたため喋ることはできなかった


「ゆゆ!おにーさんたちまりさをいじめないでね!ゆっくりできないならどっかいってね!」
「ゆっきゅりちね!ゆっきゅりちね!」
れいむたちは男たちの傍に近づくと、ぷくーと体を膨らませながら威嚇しはじめた。


「おお、いたいた。いーちにーいさーん・・・・兄貴、赤ゆっくりを合わせて7体っすねガキは。
さっきのアリスの群れと合わせると58匹っすから、上々じゃないすかね。」


小太りの男はモヒカンにそう言うと、こどもたちを片っ端から持っていた袋に詰め出した。


「いたいよ!ゆっきゅりやめていっぶぎゃァ!」
「れいむのあかちゃんになにじてるのおおおおおおおお!!!」


れいむは子供を助けようと男に勢いよく突進した。まりさを傷つけられ、子供たちに手を出されては、元来温厚なれいむ種も
怒りに燃えない訳がなかった。
その威力は凄まじいもので、おそらく当たりさえすれば、捕食種であるれみりゃ種でさえ撃退しうるほどのものであろう。
まさに子を守る親の底力とでも言うべきだろう。・・・まあ、あくまでゆっくり基準なのだが。
怒りのれいむの本気の攻撃も男の前では無意味であり、あっさりと掴まれて子供とは別の袋に入れられた。


「さっさとあかちゃんを無事に返すんだぜおじさんたち!やくそくは守るんだぜ!」
ぱちゅりー一家のまりさはモヒカンの男にしつこく叫んでいた。
何が楽しいのか、モヒカンはニタニタと笑いながらこう言った。


「ああ、約束通り虐めないでやるよ。ただし返さないがなヒャッハー!!!」


男はそう言うと、手に持っていた警防でまりさの頭をフルスイングした。
一言も発する暇さえなく、まりさの上半分は飛び散っていった。」


「むきゅん?・・・ま、ま・・・まりsぶちゃ!」


状況を把握できずにいたぱちゅりーも適当に踏みつぶすと、モヒカンは二人に指示を出した。
「おめーら。詰めたらさっさと帰るぞ。腹が減ってきたからなあ。」
「ならゆっくりを食べればいいだろ。」
「あのな~夕飯になんで甘いもん食わなきゃなんねーんだよ。甘いのは三時のオヤツに決まってんだろ。」
「兄貴ー。このまりさどうしますか?連れてきます?」
「・・・いやいいんじゃね?親は片方いれば十分脅せるだろ。まあ親を見捨てる奴らも多いんだけどな。」
「んじゃ俺が虐待してもいいすかね?家に帰るまで我慢できねーす。」
「あーわかった。ただし早くこいよ。後、袋のゆっくりを逃がすんじゃねーぞ。」


まりさはもう喋ることすらできなかった。
ただ袋に詰められていった家族を見ていることしかできなかった。


「おとーしゃんたちゅけてええええええ!」
「まりさたちをはやくだすんだぜ!ゆっくりだすんだぜ!」
「ばりさあぁぁぁぁ!!!あがちゃーんんんん!!」


袋の中から必死に叫ぶ家族の声を聞きながらまりさは思った。
自分たちが何をしたのだろうと。森の中でゆっくりと過ごし、家族を持ち
川で遊び、野原を駆け抜け、時には人間の子供と遊ん日々。その生活の何処に落ち度があったのか
まりさの頭の中には過去の日々が走馬灯として流れていた。本当に頭の良いゆっくりである。
過去を思い出したのか餡子塗れの顔を笑顔にしていたまりさ。


そのまりさに汚らしい手が伸びていき・・・



「こんだけあれば俺らも昇格できるだろう。なにせ三日で200体以上集めたのだから。」
厳しい顔のまま大柄な男がモヒカンに語りかける。
「ああ~んだなァ。こんだけあれば昇格できるだろ。そうすれば、ガキ共か親のどちらかの監視・・・ヒャア!我慢できねえ!
汚物は消毒だァ~!」
モヒカンは話しながらやたらテンションが高くなり、小躍りしながら歩き始めた。
「やっと俺らもゆっくりを虐待できるだろな。このために働いたのだから。」

彼らは過剰な虐待ゆえに村を追い出されたお兄さんである。
そして彼らははぐれお兄さん達がゆっくり虐待できる所がると聞き、この仕事についたのだ。

「はやく完成しねーかなー。聖帝ゆっくり稜。」


聖帝ゆっくり稜


それはとある愛深きゆえに暴君となった、一人のお兄さんが生み出した十字稜である。



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最終更新:2022年05月18日 21:41