ドキエレ とある【転生者】の話
「今日から、ついに始まってしまうのね」
私は覚悟を決めながら校門をくぐる。
私の名前はターミ。ターミ・フォグムーン。貧乏とはいわないけど裕福ではないといったフォグムーン子爵家の次女。
「なーにいっているんだか。もしかして柄にもなく緊張してるのか?
それともまた行きたくなくなったか?」
横を歩いている男性が声をかけてくる。
目立たない深黒茶の髪をした前髪は目を隠して、ぐらい
100人居れば30人ぐらいがイケメン?だというような男性。
彼はウル。ウル・エラーク。
エラーク子爵家の三男であり一応ながら私の婚約者。
「あら・・・申し訳ございません。どちら様でしたでしょうか?」
「他の誰かだったらいいけど、記憶神の加護を受けているタミが言うのはやめろよ」
「くすっ、冗談よ冗談。私だけは貴方のこといつだって覚えているから安心してウル。
いきたくないなんて我侭はもう言わないわ」
この【世界】の人間は全員、神様の加護を受けている。
狩人神の加護を受けている人は弓がうまい、料理神の加護を受けているのは料理が上手いとか
実際誰がどの神の加護を受けているかはわかるものではない。
ある意味、才能と同し、そしてどの神に加護を受けているかを調べようとするのは神に対する不敬とされている。
しかし、私はひょんなことから加護していただいている神を知っている。
ウルが言ったとおり、記憶神。記憶をつかさどる神様の加護を受けている。
そのおかげで瞬間記憶や映像記憶といった記憶に関する能力にとって最高の完全記憶能力。
見たものを決して忘れない能力をもっている。
そして、何の因果か運命か、記憶神と私の相性がよかったのかとんでもない記憶の能力をもう一つ
それは前世の記憶の呼び起こし。
私、ターミ・フォグムーンは前世の記憶を思い出している。
その前世の記憶こそ私がこのエレクシアン王立学園に入学するのをためらうこととなった原因。
ドキエレとこと、ドキドキ♥エレクシアン えー私って平民なのに女神様の加護をうけてるのっ?はいわゆる乙女ゲームだ。
私はこのゲーム会社が同人でゲームを作っているころからのファンで販売されたゲームはすべてやりこんだ。
もちろん乙女ゲーとしてでたドキエレもとんでもなくやり込んだ。
内容としてはタイトルどおり。
エレクシアン王立学園は王子が入学するとのことで、意図的に平民を多く入学させた。
そのなかにヒロインもいたのだが、ヒロインは女神の加護を受けていて、人々に好感を持たれる力を持っていた。
攻略対象は五人。
主神の加護を受けている王子。
ニコラス・エレクシアン。
戦神の加護を受けている騎士団長の息子
セト・テレゼス
知恵神の加護を受けている宰相の息子
ドノヴァン・ヴィルダ
魔術神の加護を受けている魔術団長の息子
ジョス・ベレーヌ
商神の加護を受けている財務長の息子
ハサル・トレッサー
この攻略対象達はどうでもよい。モブで子爵の次女の私が関わることなんてない。
悪役令嬢もいる。王子の婚約者である侯爵家の御令嬢を筆頭に、各ヒーローの婚約者や関係者の女性が悪役令嬢をしている。
そのこともどうでもいいし重要じゃない。
私がエレクシアン学園の入学をためらった最大の理由。
それは設定資料集にすこしだけ書かれていたことが起因している。
そこに書かれていたことは、完全記憶能力のおかげではっきり覚えている。
この世界の創造神の加護を受けている人もいます。
そしてその人物は、創造神の加護を受けているの思考や記憶の読み取りができて、いわゆる異世界転生者を嫌っています。
この世界の創造神による加護を持っているから世界の異物(転生者)を嫌ってるんですよね(藁)
でも面倒くさがりなのか積極的な排除はしないですね、とんでもないことをやらかさないかぎり(藁)
wでも(笑)でもなく(藁)だったのも正確に覚えてる。
この世界にはリーディング能力を持っている異世界転生者絶対コロスマンがいるのだ。
しかも設定資料集を見る限り学園関係者であるのはまず間違いない。
記憶を呼び起こした私が、ああここはもしかしてドキエレの世界っ!?と喜んだのもつかの間。
すぐさまそのことを思い出して絶望に打ちひしがれたのは昨日のことのように思い出せるわ。
ウル達と入学式のある講堂までの道を歩いていく。
意外にというか普通に広いわねこの学園、さすが乙女ゲームの舞台というだけある。
校門から講堂までどのぐらいかかるかもわからないほど広い。
そんなことを考えつつ、ヒロインがいないかと周りを見回していたらウルから注意された。
「タミ。何を周りをキョロキョロとしてる。
貴族のタミがそういう態度をとるなよ、後ろに誰がいるかを考えろよ」
いま私とウルの後ろには11人。フォグムーン領から4人。エラーク領から7人。この学園に入学することとなった領民である。
キョロキョロを周りを見渡すようなことは彼らの上にいるものとして、はっきりと前を見なければならない私がすべき行動をではなかった?
「そうね。ごめんなさい」
『そうはいうけど仕方がない。。ここには異世界転生者絶対コロスマンがいるし、ヒロインだって入学しているはずなのよ。探したくなるわよそんなこと絶対いえないけど』
ウルを見てみると私が謝ったのに嫌そうな顔をしている。なぜよ。
「でも確かに見回したくなるほどおおいな。」
「ええ、貴族の総勢は213人。王族が生まれてれた年は多くなるといいますが例年の数倍。
それに比べて平民は驚きの841人。合計で1054人になるとか」
「実際の数にしていわれると本当に多く感じる。1000人超えている町が俺たちの領には何箇所あることやら。それだけを受け入れることができるこの場所もな」
「ええ、王都は私たちの領にはないことが多くあります。そのことを学んで領民の為に生かしたわね」
その言葉にフォグムーン領民の、キキ、スス、クク、ロロが感激をしている。
領主の娘とはいえ、貴族が自分たちの為に頑張ろうっていってるんだから領民が喜ばないわけがないわよね。他の貴族は領民を気にせずに自分たちが贅沢をするために領民から大量の税をとっているところもあるとか。
そんなの日本人としての記憶がある私にはむりだからっ。
この4人が偶然、同じだっただけでフォグムーン領民の名前は同じ名前は同じ音を二文字だという風習はない。
キキとススが女性、クク、ロロが男性。
フォグムーン領民の特徴は色白だということ。キキ、ススは平民だけど貴族のご令嬢かというぐらい肌が白い。
クク、ロロも男で日を良く浴びるだろうに色白だ。
ちなみに領主の娘である私は本当に白い。白磁のような白さ。見慣れたけど少し怖かったのは秘密。
講堂につくと受付では王国騎士団の方が入学者を案内しており、私たちも受付を済ませて領民達とともにその流れにそって入場しようとすると止められた。
「申し訳ありません。エラーク様、フォグムーン様。貴方方はこちらになります」
そういわれて違う入場口を勧められる。
他の貴族や平民たちとは違う入口だ
「この学園は一応平等をうたっているはずですが、どういうことですか?」
「ちょっとウル?」
「止めないでくれるかなタミ。俺たちはそこまで裕福な領ではないが差別されるような立場でもないはずだ」
「もうしわけありません、エラーク様。我々の言葉足らずでした。こちらの入場口は、領民を連れ立ってきた貴族の方専用の入口となっています」
「そ、そうなのか」
たしかに差別すんなよっといおうとおもったら全然違うのだったらばつが悪いだろう
★まったり増やしていきます
王国騎士団員に先導された所は他の入学者とは少し離れた場所で線のようなもので区切られていた。
そこには既に2組の貴族がいた。
そのうちの一人の後ろには片方は三十人を越す領民が後ろに座っている。
もう一人は一人の領民が座っていた。
王国騎士は少々お待ちくださいというとすぐさまイスを用意するように指示をだす。
そうしている間に三十余名を超える領民の先頭に座っている貴族が立ち上がり、ターミ達に近づいてくる。
『ナフィス様じゃないの!?』
ナフィス・ユージン。
ユージン侯爵の第一令嬢であり、攻略対象のニコラス・エレクシアン第一王子の婚約者。
★★ふやす
最終更新:2020年02月12日 20:54