あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
第5回トーナメント 第1回戦 第3試合
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aioricharabattle
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第5回トーナメント 第1回戦 第3試合
《想蓮 VS アイリーン エマ》
あにまんオリキャラ最強トーナメント特設リング――
燦然と照りつける照明の下、観客の熱気が爆発する中で、アナウンスが響いた。
「第三試合――開始ッ!!」
静かに立つ女仙・想蓮。その目は慈愛を湛えながらも、どこかこの世のすべてを見下ろすような冷ややかさを宿していた。
「……私はあなたを裁くわけではありません。ただ、正しさに導くだけです。」
対するは勇者の血を引く英雄、アイリーン・エマ。その背には聖剣と魔刀、そして幾多の戦いを経た威風を纏っていた。
「それで充分です。正しさも、光も、私の力で切り開いてみせます。」
瞬間、空気が震える。アイリーンが聖剣リヒトを構え、一直線に突進する。対する想蓮は天色の霧を足元から放出した。
「天色の輝霧」
聖なる霧が広がるたびに、場の空気が澄んでいく。この霧には闇を祓い、呪いを解く効果がある。
これは想蓮の信条であり、善なる者との戦いにおいて一切の穢れを持ち込まないために使用されたものだ。
「さぁ、あなたの正義を見せてください。」
神聖なる場、神聖なる相手、この状況において、彼女は裁定者ではなく一人の戦士として戦うことを許されるのだ。
「言われなくてもそのつもりです。」
エマが魂を見る目を使い、相手の根源を覗き込む。それは彼女にとって重要な行為であり、相手を知るための戦略でもある。
(この人……人間じゃない……?でも、悪い人でもなさそうな気がする…)
今まで何体もの人ならざる者を見てきたエマであったが、そんな彼女にとっても想蓮の存在は異質なものであった。
(でも、師匠がここで何を学んだのかを知るためにも、勝たせてもらいますよ!)
師匠の教えを体得するため、エマは一切の邪念を込めずに聖剣リヒトを振り下ろす。
その瞬間。
「高天の煌めき」
突然に光が弾ける。太陽の写しかとも思えるほどの目を焼くような閃光によってエマの視界が一瞬奪われ、確かに相手を狙ったはずの聖剣が空を斬る。
「それぐらいなら!」
エマはすぐさま魔刀「黒」を抜き、剣の感覚だけで相手に斬りかかる。
「さらに――昇華、『煌めき』!」
その斬撃は想蓮の放った閃光をなぞるように繰り出された。
まるで相手の輝きを鏡写しにしたかのように強大な光が放たれ、今度は想蓮の視界が封じられる。
まるで相手の輝きを鏡写しにしたかのように強大な光が放たれ、今度は想蓮の視界が封じられる。
だが、いかにエマの技量が優れているとしても、再現は完璧ではない。光を浴びながらも想蓮は微笑み、両掌を合わせる。
その姿はさながら菩薩像のようで、彼女が持っている仙人としての力が窺い知れるようだ。
「裁定の天光。」
淡く眩い光がエマを包む。相手の悪意を媒介に心を弱らせるこの光は正義を背負う彼女には無縁のはずの技だが、辛く苦しい戦いを繰り返してきたその心には、積み重なってきた葛藤や後悔が確かにあった。
「くっ……何か……重い……」
体の芯が軋むような感覚に、エマの眉が僅かに寄る。
「あなたのその正義は立派ですが、完璧ではありません。」
感情を司る仙人である想蓮は見破っていた。エマの心に宿る葛藤や後悔を、そして、それを透に依存することで見ないふりをしていることも。
「貴方の行動からは貴方の本当の感情が感じ取れません。それでは死人と同じです。」
想蓮はさらに続けて霧を濃くしていく。まるでエマに成長のための試練を与えているかのように。
「天網恢々――」
その名を口にした瞬間、空気が変わる。エマの視界が歪み始めた。
彼女の歩んできた道、その中で斬った命、倒した悪――全ての記憶が感覚となって押し寄せる。
「これは…罪……なの……?」
揺れる思考の中で、エマは一歩、また一歩と後退していく。
「だったら、それごと斬るまで……!」
魔刀「黒」を振り上げた。そう、透とのつながりであるその刀を振り上げたのだ。
「回帰技・魔断ッ!!」
記憶の回想と共に空間が断ち割れ、音すらも消える。魔力と肉体の接続を切り、肉体と魂を切り分ける一撃必殺の技。
………のはずだが…
「そうやって力と過去への依存だけで乗り切れるほど、あなたに積もった物は軽くはないのですよ。」
想蓮が静かに呟くと、霧と共に再び記憶の回想が蘇る。
想蓮の言う通り、自分の心に積もった感情というものはそう簡単に斬り捨てられるものではない。
一時は捨てられたとしても、何度でも、何度でも蘇ってくるものなのだ。
「あと数分もすれば、この感情たちはあなたを完全に飲み込んでしまうでしょう。つまり、あなたは今何をすべきかわかりますね?」
エマも心の底ではわかっていた。いつかはこの感情と向き合う日が来るということを。だが、いざ来てみると、人間一人の力では乗り越えられないかのように感じてしまう。
「こんな時、師匠なら……」
彼女の頭に透との日々が蘇る。
異世界に来て右も左もわからない自分を拾ってくれた記憶。生きていくための様々な技術を教えてもらった記憶。他の同僚たちと一緒に仲良く笑い合った記憶。
そして……彼を自らの手で斬り殺した記憶。
どれ一つとして忘れられない大切な記憶だが、それ故に彼女の心を縛り付ける拘束になってしまっている。
拘束とは断ち切るもの、だが、それはすなわち「今までの記憶を捨てること」と同義だ。
(私は………私は……!)
「…師匠との記憶も大事です。この感情をどうにかすることも大事です。」
「でも、どちらかのためにどちらかを捨てるなんてことはしたくないです!」
彼女は聖剣リヒトを構え、再び過去の記憶に向かい合う。
「必要なのは過去の記憶を乗り越えること!つまり、斬るべきなのは自分を過去に縛り付ける”私の弱さ”だけです!!」
「回帰技 魔断!」
彼女は今までの自分の弱さを吹っ切り、その刃を振り下ろす。
ザンッ!!
その一撃は霧を晴らせると同時に、想蓮の体を確かに斬った。
霧の切れ間に、想蓮が微笑んでいるのが見えた。
霧の切れ間に、想蓮が微笑んでいるのが見えた。
「よくぞ言いました。であれば、あなたに天の加護を授けましょう。」
「天道の加護」
神々しい光が降る。裁きと呪いの霧が晴れ、想蓮の周囲が祝福の光で満たされた。
「体が…どんどん癒えていく……」
「これが、私があなたに授けられる最大の褒美です。」
その言葉を最後に、想蓮は倒れた。
『勝者――アイリーン エマ!!』