あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
第6回トーナメント 準決勝 第2試合
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aioricharabattle
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第6回トーナメント 準決勝 第2試合
《李 流雲 VS 苦行狼》
観客席はまるで宇宙の星々が踊るような熱気に包まれていた。まばゆい光と歓声が渦巻き、興奮した観衆の声が波のように何層にも重なって広がっていく。
リングの中央に立つのは、李 流雲。落ち着いた表情で拳を握り、静かにその場に佇んでいた。まるで心の中に澄んだ湖を持つように、彼女は動じない。
「獣とは自然を生きる”気”そのもの。油断せず参りましょう。」
その前に立ちはだかるのは、苦行狼。巨大な体を揺らしながら、喉の奥から低く唸る。その目には何千年もの戦いの記憶が宿っており、ただの獣ではないことを示していた。
「ガオンッ!」
自然の力を扱う者同士何かシンパシーを感じる部分もありつつも、戦闘は開始される。
「二回戦第二試合――開始ッ!!」
試合開始のゴングと同時に、苦行狼がものすごいスピードで突っ込んできた。真正面から相手を噛み砕くつもりだろうか。地面を踏みしめるたびにリングの床が砕け、空気が激しく震える。
「ガゥッ!!」
だが、流雲は慌てず、相手の力に迎合する【流源】によってその力を完全に受け流す。一切の無駄のないその動きは、彼女の積み重ねてきた鍛錬をこれでもかと表現していた。
「流水の如く、ただなるままに流されるのみ。」
苦行狼の攻撃を容易く受け流した流雲は、そのまま【発勁】を発動し、強烈な掌底を苦行狼に浴びせる。
ドンッ!
彼女の掌が苦行狼の脇腹に深く突き刺さり、狼の巨体が少しだけよろめく。彼女のスキルは至近距離でしか発動できないという制約があるが、その分威力はピカイチだ。
「ガウッ!」
だが、苦行狼は持ち前のタフネスさですぐさま立ち上がり、自分の傷から流雲の技を学び取る。
そして、一回戦と同じように分身を生み出し、百を超える数の狼が流雲を包囲する。一匹一匹が苦行狼と同じ力を宿しており、パワーもスピードも据え置きだ。
しかし、対する流雲は一切動じる様子を見せず、その場で不動に興じている。
「いかに数が増えようと、気の流れは同じです。」
流雲の考えなどお構いなしに次々と襲い掛かる狼たち。その爪と牙はライトを反射して光り輝いている。
だが、流雲は冷静に立ち回り、全ての攻撃を【流源】で流れるようにいなしつつ、的確なタイミングで反撃を浴びせていく。
正面から襲い掛かってきた分身は裡門頂肘で牙をへし折り、側面や背後から襲い掛かってきた分身は鉄山靠で一掃。翼をはためかせて上空から襲ってきた分身は、震脚によって気を充填させた掌底を打ち下ろして叩き砕いた。
……気づけば分身も壊滅状態となっており、残るは本体のみとなっていた。
しかし、それは苦行狼が彼女の攻撃に適応するだけのダメージを受けているという証拠でもあり、ここからが真の勝負となると考えられる。
「ガルルルル!!」
彼は鋭い眼で流雲を睨みつけており、その力がただ者のそれではないことを警戒していた。
「あなたは能力にかまけて気の鍛錬を怠っているように感じます。それでは、私には決して勝てませんよ。」
彼女の心は戦闘開始から一貫して平穏を崩しておらず、明鏡止水の精神で戦っていた。心・技・体全てが揃った彼女の強さは、同じだけの鍛練を重ねなければ習得することはできない代物だろう。
しかし、苦行狼は自身の能力を信じ、さらにスピードとパワーを向上させて相手に襲い掛かる。
今度は一回戦で玉藻から会得した二刀流の技術を利用し、両手の爪を構えている。
「ガオゥ!」
まるで刀のように研ぎ澄まされた爪が流雲を襲うが、それでも彼女にダメージを与えることはできない。
「野生の本能に身を任せることもまた、自然の摂理ではあるでしょう。ですが、それはある意味成長の停滞です。」
彼女は刃が当たる直前に最小限の動きでそれを逸らしつつ、大地を踏みしめて力を溜める。
「はっ!!」
ドゴンッ!
彼女のスキルである【発勁】を利用した超威力の寸勁が苦行狼の土手っ腹に直撃し、その衝撃で彼の爪も牙も完全にへし折れてしまった。
「グギャァァ!!」
あまりの痛みに悶絶する苦行狼。しかし、彼には再生能力があるため、時間さえあればこのダメージも再生してしまう。抉れた肉がモゴモゴと蠢き、折れた爪や牙からは薄いなにかが伸びている。
「やはりただの獣ではないようですね。」
目の前の相手に起こっている超常的な現象を前にしても、彼女は平静を崩さない。
このままではいけないと判断した苦行狼は、翼をはためかせて空高く跳び上がり、上空から雷魔法で流雲を狙って襲いかかる。
バリバリバリッ!
まるで稲妻のように鳴り響くその魔法は、流雲の肩を確かに貫いた。
「これは…なんとも予想外ですね。」
ここでついに流雲の弱点が露呈する。そう、彼女の【流源】は物理攻撃に対しては無敵に近い対応が可能だが、それ以外に対しては一切機能しないのである。
「グギャギャギャ!!」
苦行狼は先ほどの雷魔法によってそれを理解し、魔法を使って遠距離から攻撃を仕掛けるスタイルに変え始める。
ボオゥ!ザバンッ!ビューッ!ドゴーンッ!
流雲に向けて火、水、風、地の魔法の元素魔法を次々と放ちまくる。彼が今まで培ってきた魔法の能力は並ではなく、一つでも受ければ致命傷になってしまうほどだろう。
「…これは逃避あるのみですね。いったん逃げて勝機を探りましょう。」
接近戦特化の彼女では空中から攻撃をしてくる苦行狼に対応する術がなく、今は逃げる以外にできることがない。
「ワオ――ン!!」
しかし、苦行狼は凄まじい雄叫びを上げ、逃げる流雲の聴覚を一時的に麻痺させてしまった。あらゆる相手に適応する苦行狼だからこそ、相手の意表を突く行動がどのようなものかということも理解していたのだ。
「…なるほど。やられましたね。」
心の平穏を崩さない流雲だが、感覚を一つ失ってしまえば普段通りの行動はできない。動きのキレが悪くなった流雲には全ての魔法を避けることは難しく。苦行狼の放った魔法の一つがついに命中してしまう。
全てを焼き尽くす炎が彼女の体を飲み込む。その猛る火炎は相手が灰燼と化すまで勢いが衰えることは無いだろう。
「ガゥ。」
苦行狼も手ごたえがあったのか、今回の戦いも紙一重のものであったと己の記憶に刻み付けていた。
だが、次の瞬間……
バシュンッ!!
強烈な真空波が一瞬のうちに苦行狼の上半身を消し飛ばした。
「……本当は使いたくはなかったのですがね。」
ふと流雲の方を見てみると、先ほどまで彼女を焦がしていたあの炎が全て消え去っているではないか。いや、それだけではない。糸のように細かった彼女の眼が完全に開眼している。まさかこれが謎の真空波の理由なのだろうか…
ギュポンッ!
上半身が消し飛ばされたにも関わらず、それすらも成長の栄養として復活する苦行狼。しかし、そんな彼であっても先ほどの攻撃が何だったのかが理解できなかった。思考を深めて能力のタネを読み取ろうとする苦行狼に対し、流雲は静かに語り掛ける。
「ただの掌底ですよ。私の本気の掌底です。」
…圧倒的な威力の理由はいたってシンプルなものだった。だが、それと同時に非常に会得しがたいものであったのだ。
積み上げてきた鍛錬。それこそが力の源泉だったのだ。
積み上げてきた鍛錬。それこそが力の源泉だったのだ。
「ガヴガァ!!」
彼女の発言によって全てを理解した苦行狼は、早急な決着が最善であると判断する。理由はわからない。だが、彼の生物としての勘と経験がそう警鐘していた。
「ガァァァ!!!」
苦行狼が大声も唸ると、彼が蓄積してきた全ての経験と能力が覚醒する。
大空を翔る翼。光すらも追い越す脚。ロケットランチャーすら無傷で防ぐ頑強な肉体。賢者級の魔力。鍛え上げた何千何万の技。不死身に近い再生能力……挙げていけばキリがないほどの最強の力たちがその身に集結している。
「御託は要りません……かかってきなさい。」
流雲は見開いた眼で相手の姿をしっかりと捉え、自身も本気の力で戦うことを示す。
……お互いがお互いを見合い、最高のタイミングを伺っている。そして、ついにその瞬間が訪れた。
……お互いがお互いを見合い、最高のタイミングを伺っている。そして、ついにその瞬間が訪れた。
「グギャアッ!!!」
苦行狼は自身の牙に全属性の魔法とエネルギーを集中させ、全身にドライブ回転を加えながら相手に突っ込む。
ドゴォォン!!
対する流雲は震脚で大地を踏みしめる。本気を出した彼女の震脚は、それそのものがリングを割り砕く。
「天覇勁掌!!」
バキィィィィン!!!!
ドリルのように対象を確実に貫く苦行狼の技と流雲の技術の全てを込めた渾身の一撃がぶつかる。その衝撃波は天を裂き、時空を揺るがすかのような何かを感じさせる。
……やはり、接近戦においては流雲に分があったようで、一撃の勝負は彼女が打ち勝ち、かの獣の体のほとんどを消し飛ばしてしまった。さすがに首だけにされては再生することもできず、ついに苦行狼はリングに崩れ落ちる。
「ガウッ…ガ…ウ…」
静かに動かなくなった苦行狼。その姿を確認し、拳を静かに下ろしていつもの糸目に戻った。
「気が使えなくともあの強さ…世界はまだまだ広いですね。」
リングに静けさが戻り、観客たちの歓声が時空を揺るがすように響き渡る。
「勝者――李 流雲!!」