あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
《ヒビキ VS 鈴木スズキ》
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aioricharabattle
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《ヒビキ VS 鈴木スズキ》
地平線まで何もない広大な平原。
風すらも通わぬ静けさの中に、ふたりの影が向き合っていた。
一人は己を律し続ける格闘少女――ヒビキ。
無駄を排した動作、鍛え抜かれた肉体に宿る意思は、鋼のように揺るがない。
もう一人は存在自体が狂気を孕んだ概念、鈴木スズキ。
その笑顔は無邪気でありながら、不気味な静けさを孕んでいた。
「……あなたの名前、聞いてもいい?」
ヒビキの声は真っ直ぐだった。相手が何者であれ、礼節を重んじるその性分は変わらない。
だが、返ってきた相手の声はやけに明るく、そして薄気味悪いものであった。
「オレは鈴木スズキ!スズキが好きなスズキによるスズキのための鈴木だよ!」
「……意味が分からないわ。」
そう答えながらヒビキは拳を構える。意味が分からなくても闘いは始まる。
彼女の身体からは、気迫と研ぎ澄まされた集中がにじみ出ていた。
シュッ!
先手必勝とばかりにヒビキの素早い一撃がスズキに見舞われる。
しかし、スズキは最小限の動きでそれを回避し、何を考えているのかわからない表情でヒビキを見つめ続ける。
「ヒビキちゃん、君のその服もスズキ製に見えてきたよ。あ、ていうか君の動き、スズキの新型バイクみたいだね!」
ぞわりと背筋をなぞる違和感。 ヒビキはわけもわからず戦慄する。
相手の表情からも声色からも敵意は伺えない。しかし、彼女の野生の勘とでも呼べるものが警報を鳴らしている。
(何故かはわからないけど、私の何かが侵されている気がする……?)
まるで風景の色が変わったかのような異様な感覚。空の青さすら、どこかスズキのコーポレートカラーのように見えてくる。
鈴木スズキの力――認識を侵す、その本質がじわじわと世界を蝕んでいく。
恐れを振り払うようにヒビキは地を蹴った。
「そんな妄言、黙らせるしかないわね!」
彼女は大地をまっすぐに踏み込み、相手に向けて一気に加速する。
歩くだけで体内に衝撃が蓄積される彼女の能力が瞬時に駆動し、踏み込む度に地面が軽く震える。
「くらいなさい!」
超スピードの拳が一閃。鈴木スズキの鼻先をかすめた。
「おおっ!速い!でもその速さ、まさにスズキのバイクそのもの!」
ヒビキの眉が跳ねる。
「やめなさい!」
鋭く蹴りを放つ。だが、鈴木スズキは笑っている。
「だんだん見えてきたよ……君もスズキなんだ。ねえ、そうだろ? ヒビキ・スズキさん!」
「誰がスズキよ!!」
鋭く吠えた彼女の声に一瞬だけ鈴木スズキの目が細められる。 だが、その目には狂気が宿っていた。
「君がそう否定することが、もう“自己”が揺らいでる証拠さ!」
次の瞬間、ヒビキの動きがわずかに鈍る。
(まずい……頭の中に、スズキの文字がちらつく……)
彼女は頭を振って意識を保つ。
戦いながら、侵食されていく。
戦いながら、侵食されていく。
ヒビキは拳を振るいながら衝撃を蓄える。 回避、踏み込み、打撃。ひとつひとつの動作が武器だ。
その全てが、精密なリズムの上に組み上げられていた。
(今、この“わたし”が崩れたら何かが終わる……)
戦いを終わらせるべく放たれたヒビキの渾身の拳が鈴木スズキの腹にめり込む。
重い衝撃が走り、彼は数歩後退した。
だが、それでも彼は倒れない。
「うおおお!スズキの衝撃だ!これぞまさにスズキパンチ!」
「うるさいっ!!」
怒声と共に、ヒビキは体内の衝撃すべてを足に集中させる。
これ以上時間をかけていたら何かが壊れてしまう。彼女は本能的にそう感じていた。
「これで終わりよ!!」
地面を砕くような跳躍、そこから放たれる渾身のかかと落とし。
それは鈴木スズキの頭頂を正確に打ち据えた。
ドガァン!!
爆音と共に砂塵が舞い、地面には彼女の一撃によって巨大なクレーターができている。
小鳥が驚いて飛び立ち、木々もざわついているように感じられた。
「ハァ…ハァ…」
ヒビキは膝をつき、息を荒げながらクレーターを見下ろす。
彼女の全力の一撃。そこには、たとえ重戦車だったとしても粉々にしてしまえるほどのパワーが込められていた。
「……これで倒せた?」
彼女が安堵と僅かな警戒を含んだ言葉を発すると、ふと、彼女の肩が軽く叩かれる。
「スズキって、いい名前だよね?」
その声に釣られて振り返った瞬間、ヒビキの意識がぐらりと揺らぐ。
周囲の空気が、スズキのエンブレムの形に見えてくる。
風の音が「スズキ」と囁いている。
「ひ……び……スズキ……?」
最後に残った名前の認識が、音を立てて崩れる。
「そうさ、君は今までもこれからもずっとスズキだよ。」
乾いた風が吹き抜ける平原。
そこには、二人のスズキが笑い合っていた。
そして、第三のスズキがその場に立ち上がろうとしている――地面に散った衝撃の残滓が、何かを呼び起こすように。
勝者――鈴木スズキ。