あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
《ダムド・レット VS ジャバラ》
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aioricharabattle
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《ダムド・レット VS ジャバラ》
甲高い風鳴りが、死んだ海を裂いていた。
廃船《ストラレン・リヒト号》。その甲板、軋む木材の隙間から生えるようにして現れたのは、無数の色とりどりの甲殻。
宝石のように輝きながら、甲殻は折り重なり、異形のヒトの姿を形作っていく。それはまるで——死者の層で組まれた像。
ダムド・レット。その存在が立ち上がると同時に、甲板全体に無数の蔓脚が伸び広がった。
見えぬ触手のようにして、空間を這い、生あるものを感知するために蠢く。蔓脚は船体の裏にも、帆柱にも、釘穴にまで入り込んで感知網を形成し、僅かな温度差すらも見逃さない。
ギィィ……。
軋む船の音に混じって、一歩。
「……感知した。」
船縁に降り立つ影。細く、鋭い瞳が獲物を見据える。身体に巻かれた黒い鎖が、淡く脈動するように震えた。
海風に靡くその衣は、戦場における沈黙の死神のごとく静か。
ジャバラ——狩る者。
「動くな。 この距離、逃げは許さない。」
シュバッ!!
鋭く振るわれた鎖が、空を裂き、次の瞬間には甲殻の腕を真っ二つに断ち切っていた。
斬れ味だけではない、そこに込められた魔戦鎖の力が敵の構造そのものに干渉する。
バチッ!!
火花が散り、甲殻の断面が鈍い音を立てて崩れ始めた。斬撃による物理的破壊ではなく、能力の源を封殺する鎖の力が発動したのだ。
接触箇所の甲殻が、まるで命を失ったかのように砕け散る。
内部に詰まっていた無数の小型のフジツボが溢れ出し、甲板に撒き散らされた。
彼らの外殻は宝石のような輝きを失い、たちまち乾いた破片と化す。
「…ゔ…あ……」
かつてない危機に直面しながらも、ダムド・レットは沈黙のまま呻き声のような異音を発する。
その身体が波打ち、ぐにゃりと蠢いた。崩れた箇所を補うように、背面の甲殻が蠢きながら前面へと移動し、損傷部位を覆う。
まるで意思を持つ液状の装甲。それは一度死にかけた無機的生命が、再び寄り集まり、自らを再構築する異様な光景だった。
色とりどりの甲殻が蠢き、集まり、再びヒトの形を象る。
——その瞬間。
ガシィィッ!!
突如として足元から伸びた蔓脚が、ジャバラの足首を捉える。それはか細くも強靭で、瞬時に骨ごと締め上げる。
さらに、別の腕のようなフジツボの塊が胴体に巻きつき、まるで死者の抱擁のように絞り上げた。
ジュウウウ……。
「……温度が……奪われていく。」
寒気が爆発的に身体を満たしていく。
皮膚を通じて骨へ、骨から内臓へと凍えが侵食し、神経までもが凍結する錯覚に囚われる。
視界の色彩が奪われ、白と黒の濁流へと変わる。
耳鳴りが始まり、世界の音が消えていく。
死海の底へ沈むかのような感覚。
周囲は深く静かで、どこまでも冷たい。
そこにあるのは沈黙だけ。
周囲は深く静かで、どこまでも冷たい。
そこにあるのは沈黙だけ。
だが。
「だからどうした?」
ガシャンッ!!
ジャバラの鎖が自身の身体を縫うように巻きつき、巻き付いたフジツボの群体ごと切り裂く!
「ギギギギッ……!!」
苦悶の音を立てて、ダムド・レットの身体が引き剥がされる。
その異形の肉体が崩壊するたび、まるで水晶が砕けるような甲高い音があたりに響いた。
構造そのものが軋み、軟体と甲殻が引き裂かれ、抵抗するかのように蠢きながらも、容赦なく裂けていく。
バズッ!
右腕が、まるで柱が倒れるような鈍重な音とともに甲板に落ちた。
断面からは白濁した液体と共に、無数の眼球状の構成体が溢れ出し、腐った果実のように地面に散らばる。
その眼は一瞬ジャバラを睨んだかに見えたが、次の瞬間には力を失い、ただの塊となって崩れた。
「能力を封じれば、ただの甲殻の塊。」
冷徹な言葉。
声には一片の怒りも、嘲笑も含まれていない。
声には一片の怒りも、嘲笑も含まれていない。
あるのはただ、戦士として敵の性質を見極めた確信と、そこから導き出された処理の宣告のみ。
だが、ダムド・レットは即座に後方へ飛び退き、甲殻の装甲が音を立てて展開される。
肩口から背中にかけて、蠢くようにして骨状の突起がせり上がり、そこから鋭利な矢が形成された。
まるで水晶と刃が融合したような矢が、五本、六本、七本と並び、空気を震わせる。
ギュゥゥン!!
音速を超えたかのような破裂音と共に、矢が放たれる。それは直線ではなく、曲線を描き、獲物を惑わせるようにして襲いかかる。
甲殻の刃が空気を裂き、その摩擦熱が白い光となって尾を引き、まるで天から降る流星の雨のようだった。
だが、ジャバラは一歩も動かない。
バチンッ!
瞬間、黒い鎖が閃光のように振るわれた。その一閃は、ただ矢を斬るのではない。
矢が放つ魔的な存在そのものを断ち切り、物理と虚構の狭間ごと切り裂く。断たれた空間には何も残らず、音すら吸われたかのような沈黙が満ちる。
「——無力化完了。鎖、残り四節。」
ギシギシ……
甲板の軋みはもはや船の声ではない。 それは、蔓脚を通して高まるダムド・レットの殺意そのもの。
フジツボの群体が呻き声のような唸りを上げる。その音は艦の底から蠢くように響き渡り、不気味な振動をもって甲板を揺らす。
艦全体が呼吸しているかのように、ゆっくりと、しかし確実に高まっていく異様な気配。それは次なる波の到来を、静かに、だが確かに予感させた。
「……来る。」
ジャバラの呟きと同時に、空気が張り詰める。
ダムド・レットが、跳ねるようにして甲殻の脚を振り上げ、一気に地を蹴った。
ダムド・レットが、跳ねるようにして甲殻の脚を振り上げ、一気に地を蹴った。
バギィッ!!
甲板が砕けそうなほどの踏み込みと共に、重々しい一撃が放たれる。
鋭利に尖った甲殻の拳が、連続して唸りながらジャバラへと襲いかかる。
それは単なる打撃ではない、装甲を貫き、内側から破壊することを目的とした、殺意そのものの連撃だった。
「いいだろう。受け止めてやる。」
ジャバラは一歩も退かず、両腕に巻いた鎖を瞬時に締め上げ、対抗するように身構える。強化された筋力が、敵の一撃をその場で弾き返す!
ガンッ!! ガガガッ!!
拳がぶつかり合い、甲殻が軋み、鎖が唸る。甲板中に鳴り響くその音は、まるで鐘の連打。 勝敗を決する死闘が、いま確かにここに刻まれている。
しかし——
しかし——
「……終わりだ。」
ジャバラの瞳が鋭く光り、次の瞬間、鎖の一節を投擲する。
ヒュンッ——パシィィンッ!!
音速を超える勢いで放たれた鎖は、空間を裂いてダムド・レットの胸部を正確に貫いた。
バチッ、バチチッ……!
衝撃と共に発生した魔力の干渉波が、内部の能力核を一瞬で無効化する。
光が吸い込まれるように消え、ダムド・レットの全身が瞬時に硬直。その身体を流れていた微細な脈動が止まり、色彩は一気に失われていく。蔓脚が一斉に崩れ、力を失ったかのように萎れていく。甲殻の煌きも、ただの濁った鱗片へと変わり果てた。
「動力を失えば、ただの死体に他ならない。」
崩れ落ちる異形の肉体。フジツボの群体が散り、ばらばらに砕けながら、まるで甲板に吸い込まれるようにして沈んでいく。最期に残ったひとひらの甲殻が、冷たい風に吹かれてゆっくりと宙に舞い、やがて消えた。
「勝者——ジャバラ。」