あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
《バセルラ VS 〈古い錬金術師〉シルバ・スミス》
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aioricharabattle
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《バセルラ VS 〈古い錬金術師〉シルバ・スミス》
陽炎のように揺れる空気の下、何もない平原に二つの影が向かい合っていた。
「……良い目だ。久々に、胸が騒ぐ。」
群青の体毛を靡かせ、バセルラは一歩、土を踏みしめた。竜の精髄を凝縮したかのようなその小柄な身体から、空間を揺らす圧が洩れる。
その気配だけで、遠くの空を翔ける鳥たちが群れを成して逃げていった。
その気配だけで、遠くの空を翔ける鳥たちが群れを成して逃げていった。
「なら、踊ろうか。老いぼれだが、鈍った手ではないよ。」
白髪を風に散らしながら、シルバ・スミスはそっとガントレットを撫でた。
その眼差しは幾千年の記憶を内包しながらも、今この一瞬を楽しもうとする少年のような光を帯びていた。
バセルラは静かに右拳を握り締めた。その瞬間、空気が波紋のように脈打ち、まるで目に見えぬ爆風が周囲に拡散する。
「弱体化・極。封印、99%。」
ザァンッ!
地面が裂けた。鋭く乾いた音と共に足元から土煙が激しく吹き上がり、瞬く間にその小さな身体を覆い隠す。
だが、その濁流の中心からは、まるで空に鳴り響く雷鳴のような、圧倒的な殺気が放たれ続けていた。
対するシルバは、わずかに口元を緩めただけで一切の驚きを見せない。無言でガントレットを地面に置く。
「解析開始。対象の元素構成──確認完了。構築──即座に開始。」
ガシャァァァンッ!
空間が音を立てて裂けた。空気を切り裂き現れたのは、四門の砲塔を備えた巨砲。
黒鋼の装甲には魔法陣が浮かび、冷たい光を放ちながらバセルラに照準を定める。
ドゴォォォン!!
雷撃のような轟音と閃光が平原を覆い尽くし、地面は爆風で深く抉られた。炎と煙が舞い上がり、世界が一瞬にして色を失う。
……その混沌の最奥から、低く響く声が届く。
「その程度では、体が温まらん。」
爆煙を左右に裂いて歩み出たバセルラ。その金の瞳は、抑え切れぬ歓喜に爛々と輝いていた。
ズドォン!
彼の拳が唸りを上げて放たれた。たった一撃ではあったが、砲塔の巨体は霧のように砕け散り、音すら追いつけぬ速度で大気が悲鳴をあげる。
「面白い。ならばこちらも少し工夫しよう。」
シルバは手をわずかに持ち上げ、指を鳴らす。
パチン。
その小さな音が引き金となった。大地が震え、地中から数百本もの槍がせり上がる。
鋼鉄のような鉱石で構築された槍たちは、突風のような勢いでバセルラに襲いかかった。
鋼鉄のような鉱石で構築された槍たちは、突風のような勢いでバセルラに襲いかかった。
バセルラは一歩も引かず、真正面から迫り来る槍群に身を晒した。
ガギンッ!
最も鋭利な一本が、彼の肩に寸分違わず突き刺さる。だが血は流れない。その鱗は、龍の威厳と硬度を宿していた。
「ククク……良い、実に良いぞ!」
痛みに歓喜し、笑いながら拳を振るう。
「弱体化・極。封印、75%。」
ドガァンッ!!
返す一撃で、十本の槍がまとめて砕けた。
折れた柄や鋭利な破片は光の矢の如く飛び散り、夜の星座のように地面へ煌めく軌跡を刻む。
折れた柄や鋭利な破片は光の矢の如く飛び散り、夜の星座のように地面へ煌めく軌跡を刻む。
その光景に、シルバの目がかすかに細まる。
「その肉体、あまりに高純度……龍種の極みに近いか。」
彼は背中の装置に触れると、タンクから元素が音もなく解き放たれ、空中に幾何学の魔方陣を描き始めた。
バシュッ。
四つのタンクから、風のように流れ出た元素が魔方陣へと吸い込まれ、一点に収束していく。
「これはどうかな。時間逆流、対象:肉体修復痕跡。つまり──受けたダメージを、無かったことにする。」
四つの魔方陣が同時に輝き、シルバの掌から無数の歯車が飛び出す。それらは空中で舞い、複雑な構造を形成しながらバセルラの肉体を囲んだ。
術式が発動する刹那、空間が瞬間的に収縮し、時の流れが巻き戻るような音が響く。
ドグン。
バセルラの背に走っていた切創、胸元の打撲、肩を貫いた小さな槍傷──それらが順々に、まるで巻き戻し映像のように元に戻っていく。
「これは餞別だ。簡単に壊れてもらっては困るからな。」
傷口が閉じ、裂けた鱗が滑らかに復元されていく様は、まさに神業と呼べる。
「……傷が、戻っただと?」
「そう。君が耐えた傷など、なかったことにできるさ。全知の瞳で過去を観測し、製作機でそれを再構築する……これが、我が技術の融合体だ。」
だが、バセルラは、驚きも憤怒も浮かべることなく──ただ、愉悦の色をその金の瞳に灯し、にやりと笑った。
「それもまた良し。 ならば、お前の技術すらも破壊し尽くすまでだ。」
「弱体化・極。封印、60%。」
ズシャッ!!
拳が閃き、大地を裂く。だが、シルバは瞬時に足元の重力を操作し、身体の角度を一寸の誤差もなく逸らす。
「全能の製作機──重力無効化装置、構築完了。」
ふわりと浮遊するようにシルバの体は宙に躍り、その動きには無駄がなく、まるで重力そのものと踊っているかのようだった。
「面白い。」
バセルラの肉体が疾風の如く空間を切り裂く。彼の拳が風圧をまとい、真空の裂け目すら生むほどの速さでシルバの懐に迫る。
ドガァンッ!!
拳と拳が交錯した。だがそれは単なるぶつかり合いではない。
シルバは瞬時に剣を構築し応戦するも、バセルラの一撃はその刃を粉々に砕き、なおも勢いを殺さずに迫る。
シルバは瞬時に剣を構築し応戦するも、バセルラの一撃はその刃を粉々に砕き、なおも勢いを殺さずに迫る。
彼の拳が胸元を直撃する寸前、ガントレットが自動展開し、内蔵された反重力装置と圧力分散機構が作動。
衝撃は吸収され、いくつもの螺旋に変換されて空間へと解き放たれる。
それでも、バセルラの力の一部はシルバの胸へ届き、彼の身体がわずかに仰け反った。
「良い打ち合いだ、竜の子。」
「うむ、愉快愉快。」
次の瞬間、天地が怒涛のように揺れ動く。
「ならば、こちらも力を出そう。弱体化・極。封印、45%。」
バセルラの更なる力が解放される。もはやその一挙手一投足が天変地異にすらもなってしまうほどのパワーであり、並の相手ではオーラだけでも失神してしまうほどだ。
「…面白い。」
対するシルバの背後に瞬時に立ち上がるのは、十二の輝ける術式陣。
それぞれが異なる元素属性と時間軸を有し、共鳴するように脈動を始めた。
雷光が空を裂き、稲妻が神経のように走る。冷気は大気の粒子すら停止させ、時を凍てつかせる。重力は上下左右に螺旋しながら爆ぜ、あらゆる物理法則を一時的に無効化する。
その中心に立つシルバは、静かに片手を掲げた。
すると、術式の一つが閃光を放ち、直後、彼の掌から拡散するように数十の“仮想具現兵器”が召喚される。
炎の剣、氷の鎚、雷の鞭、光子の弓──それらは自律的に飛翔し、目にも止まらぬ速度でバセルラへと迫る。だが彼は笑う。
「愉快だ、まるで花火大会のようだな!」
バセルラの周囲に龍紋が浮かび上がる。その一つ一つが異なる属性を帯び、迫る術式兵器を迎撃するように展開される。
肉体と術式が交錯し、刹那ごとに数百、数千の攻防が切り替わる。
空は灼熱の流星で埋め尽くされ、地には氷と火と雷の痕跡が幾重にも重なる。
それらの衝突は、まるで世界の基礎法則そのものを書き換え、次元の端を焼き尽くす焔のよう。
それらの衝突は、まるで世界の基礎法則そのものを書き換え、次元の端を焼き尽くす焔のよう。
もはや平原という言葉は意味をなさず、“戦場”という異界だけがそこにあった。
空間は歪み、黒い裂け目が網の目のように広がる。地面は無数の層に崩壊し、そこでは過去・現在・未来の時間が混在する。石が浮かび、水が逆流し、光が凍りつく。
そして、異変は臨界に達した。
「弱体化・極。封印、25%。」
バセルラが一歩、強く踏み出した。
その瞬間、風景が塗り替えられる。空気は一滴の水銀のように重く、視界の輪郭が滲む。時間の糸が捩れ、周囲の音は低く、遅く、粘ついた響きとなる。
ザアアァァァァンッ!!!
空間が破砕されるような音と共に、バセルラの拳が閃いた。それはもはや“放たれた”というより、“現れた”というに近い。
シルバのガントレットは反応限界を超え、全ての吸収機構が瞬時に稼働──
ギギギギィィィィィッ!!
無数の歯車が逆回転し、油圧が暴走。蒸気が噴き出し、圧力限界を超えた機構は悲鳴と共に崩壊する。
「──なっ……これは……!」
次の瞬間、バセルラの拳が、音もなくシルバの腹部へと潜り込んだ。
ドグウゥゥンッ!!!
重低音が数秒遅れて炸裂し、大地が波打つ。衝撃は地殻すら揺らし、草すら生えぬ土地に直径数十メートルの巨大なクレーターを穿つ。
「私の創造すら、破壊できるというのか……」
シルバの膝が崩れ落ちる。
「お前の技術が、俺をここまで導いたのだ。
……心から礼を言う。」
……心から礼を言う。」
バセルラは静かに背を向けた。拳を下ろし、肩をひとつ落とす。
その金の瞳に浮かぶのは、戦いの終わりを惜しむような、寂寥と敬意が交じり合った微かな光だった。
金の瞳に、どこか寂しげな光を湛えながら。
「また戦え、とは言わん。
だが……もし、もう一度だけでも、あの愉悦を望むなら──俺は、いつでもいる。」
だが……もし、もう一度だけでも、あの愉悦を望むなら──俺は、いつでもいる。」
風が、草のない平原を通り過ぎていった。どこまでも乾いたその風が、戦いの余韻だけをさらっていく。
「勝者――バセルラ。」