あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
《クエイフ VS 野焼橘花》
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aioricharabattle
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《クエイフ VS 野焼橘花》
あにまんオリキャラ最強トーナメント特設リング。
闇に包まれた空間を、照明が切り裂くように照らし出す。中央に浮かび上がるのは、互いに異なる世界から来た二人の戦士。
「……妹の仇だ。手加減はしない。」
静かだが芯のある声が、観客の耳に染み込むように響いた。
片や、土魔法と科学の才を携えた青年・クエイフ。 その背後には四本の自動武装アームが音もなく浮かび、微細な振動を伝える。
対するは、快活な笑顔を浮かべる女子高生・野焼橘花。
制服の袖を軽くまくり上げたその手には、踊るように揺れる炎。
制服の袖を軽くまくり上げたその手には、踊るように揺れる炎。
「はぁ~……緊張する。でも、何でも屋さんに恥ずかしくないように、全力で行きますっ!」
「——試合開始ッ!!」
「火廻!!」
ゴオオオオッ!!
轟音と共に、橘花の掌から赤き奔流が迸った。
それはただの炎ではない。リング全体を包み込むような圧倒的熱量と共に、地面を舐めるように這い、空気中の塵さえも焼き払っていく。
熱波は衝撃波と共に押し寄せ、観客席最前列の者たちは身を引き、顔を腕で覆った。
対するクエイフは即座に防壁を展開。発動と同時に天眼のレンズが青白く光り、目に映る情報を一瞬で解析する。
「温度、約九千度……構造式は通常の酸化反応と異なる……この炎、ただの熱エネルギーじゃない……!」
彼の声が漏れたその瞬間――
「凍焔!!」
ガシュウウウ!!
今度は蒼白の焔が、赤き渦を穿つように突き刺さる。
水色の炎は、赤を喰らいながら螺旋状に広がり、空間そのものを凍てつかせるように周囲を変貌させていった。
クエイフのアームが反応し、冷気と熱の複合波に対処しようとするも、凍焔は単なる温度変化ではなかった。
火と氷の矛盾した属性が魂へと干渉し、身体の芯を凍らせるような感覚が脳髄を突き抜ける。
「……しまっ……」
硬直。
彼の四肢を制御するアームが、一瞬の遅延を起こし、動きが止まった。
その瞬間、橘花の眼が鋭く光る。
「赫煌っ!!」
ズオオオォォン!!
リング全体を揺るがすような轟音と共に、全包囲から押し寄せる炎の奔流が巻き起こる。
それは単なる熱波ではなかった。空気を焦がし、空間そのものを焼き潰すような魔力を孕んだ灼熱の衝撃。橘花の足元から花弁のように広がった紅蓮の波は、敵味方の区別なく貪り、全てを押し流す。
「連続で行きます!熾束(フラワー・ブーケ)!!」
ヒュンッ、キンッ、キィイン!!
空気を切り裂く音と共に、橘花の周囲に花が咲いたかのように炎剣が旋回する。
クエイフの四肢アームの挙動を完全に模倣し、まるで別の命を得たかのように舞う。
だが、クエイフの瞳に宿る光は消えていなかった。
「模倣と再構成……なるほど、ならば逆算も可能だ。」
彼の左手のアームが瞬時に形を変え、炎剣の軌道に対して楔のように食い込んだ。
ジジッと音を立てて干渉波が走り、一本の炎剣が軌道を逸れる。
「君の技は見事だ……でも、その再現性、僕にとっては解析対象でしかない!」
背後を取られそうになった瞬間、クエイフの身体が地面に倒れ込むように滑り、肩を掠める火刃を紙一重で回避。
アームが空中で逆巻く旋回を遮断するように展開され、橘花の動きに瞬間的な足止めを与えた。
「動きは封じられない、でも……情報だけは奪う!」
W.Pが強制演算モードに突入し、発火寸前のメモリに警告が表示される。
「させません!青燈!!」
眩い青光が螺旋を描いて放たれ、空間ごとクエイフの足元を撃ち抜いた。高密度に圧縮されたエネルギーの奔流が、リングの床を貫通し、その余波だけで周囲の観客席がきしむ。
「来ると分かっていれば、対応も早くなる……!」
クエイフのアームが反応し、噴出の瞬間に防御シールドを生成。完全には防げずとも、致命傷だけは回避する。
だが、それに伴ってワクチン展開の遅延は避けられなかった。
「黄燿っ!!」
パアアアッ!!
今度は黄の炎が爆ぜた。幽玄なる黄炎が橘花の身体から放射され、まるで星の光のように天眼のレンズを霞ませる。
「これは……視界干渉!?炎に、視覚的撹乱を……っ」
超常への特効が込められたその炎は、概念を焼き、認識すらも曇らせていく。
「もう限界……処理が……っ!」
脳内の演算が飽和寸前に達しながらも、クエイフはなおも観測を止めなかった。
「炎装劫火(カグツチ)!!」
ブオオッ!!
橘花の肉体は陽炎のように揺らめき、全ての攻撃を抜ける霊体へと変貌する。
物理もエネルギーもすり抜け、近接も遠距離も無意味な相手へと昇華された。
「……クソ……!スキャン不能……」
アームのセンサーも機能不全を起こし、AIが完全沈黙する中、クエイフは一人、分析を続ける。
「ならば、最期に……一矢、報いる……!」
クエイフの指先が震えながらも、最後のワクチンを天眼へと注ぎ込む。
その瞬間、橘花の能力は一時的に霞み、まるで夜明けの霧が晴れていくかのように消え去っていった。
「私の…力が…」
悲観に暮れ、深い闇に沈み込む橘花。その瞳には絶望の影が濃く落ち、呟く声は震えていた。
「チェックメイトだ。いくら君でも能力が無ければ戦えない。」
クエイフは勝利を確信した顔でそう言い放つ。
……だが、そんな彼女の内側で何かの力が静かに、身体の奥底から湧き上がる熱と光が、絶望を裂くように波紋を描きながら広がっていった。
彼女の瞳が徐々に鋭く輝きを取り戻し、熱くも懐かしい風が戦場を覆い尽くす。
消えたはずの能力が、まるで創成の光と燐光の炎が交錯するかのように蘇り、彼女の中に入れられたワクチンを全て燃やし尽くす。
重苦しい空気が張り詰め、運命の歯車が再び回り出す。
「終わりにします!」
ブワアアアッ!!
眩い閃光がクエイフを包み込み、空間はまるで燃え盛る太陽の中心核のように熱を帯びて震えた。すべてを焼き尽くす熱波が渦巻き、焦がす風が肌を刺し、空気は瞬く間に焼け付く火の海と化す。
「燐光昇華(ホワイトローズ)!!」
その声とともに、原初の熱が爆発的に解き放たれる。
生の根源をも超越し、終焉をも司る白き焔が戦場を満たし、夜明けの光の如く冷たくも鮮烈な輝きを放った。
その光はまるで時間を凍らせるかのように空間を切り裂き、見つめる者すべての心臓を凍らせた。
「なっ……何だ、この熱量は……!?」
クエイフが声を上げた瞬間、凄まじい光熱が戦場を襲う。
白炎が咆哮とともに炸裂し、衝撃波が環状に広がって地を穿つ。
彼の展開していた多層防壁は一瞬で砕け散り、硬質の粒子が空中で燃え尽きる。
天眼のHUDが警告の嵐を吐き出す。
W.Pは飽和し、演算処理の限界を超えて赤黒く警告を点滅させる。
装着された四肢のアームが過熱により軋み、関節部からスパークが散る。
「まだ終わらせない……私はここで折れない!」
橘花の叫びは、熱風に乗って鳴り響く。
その声には、ただの勝利を超えた信念の熱が込められていた。
燐光昇華——それは彼女の希望そのものであり、決して踏みにじらせぬ魂の炎。
クエイフの視界が、霧のような白銀に塗り潰される。
外殻温度の上昇によって視認すら困難となり、あらゆるセンシングが無効化されていく。
彼の意識が霞み、身体の輪郭が熱と光の奔流に呑み込まれていくのを、ただ受け入れるしかなかった。
その輝きは単なる攻撃ではない。
夜明けの光の如く世界を清め、過去の悲しみも絶望も、すべてを焼き尽くす昇華の光。観客は息を呑み、声を上げることもできず、ただその神聖な光景に目を奪われた。
その輝きは夜明けの光が世界を清めるように、戦場全体を包み込み、全ての者の息を奪い去った。
「妹達……ごめん……でも、君は……強かった……」
クエイフの声は弱く、しかしどこか安堵の色も帯びていた。
轟音とともに、白炎の渦がクエイフを飲み込み、彼の身体は熱と光の奔流に溶けていく。
炎は戦場を覆い尽くし、最後の残響が消えると同時に、リングは深い静寂に包まれた。
「勝者――野焼橘花!!」