fear
「タカくん……怖いよ……怖い……どこぉ……怖い」
わたし――柚原このみ――は唯恐怖に襲われていた。
よく解らなかった。
いきなり変なところに連れてこられて。
へんなおばさんに殺し合いをしろとか言われて。
よく解らなかった。
いきなり変なところに連れてこられて。
へんなおばさんに殺し合いをしろとか言われて。
……そして。
そして。
沢山の人がわたしの傍で……死んじゃった。
わたしにもはめられている銀の首輪。
それが爆発して。
それが爆発して。
残されたのは首がない死体で。
そして気がついたら私は原っぱにいた。
あの真っ暗のホールと違って空が広がって星が耀いてる。
私の周りには草しかなくて。
傍にいた筈のタカくんも居なくて。
タマお姉ちゃんも。
ユウくんも。
あの真っ暗のホールと違って空が広がって星が耀いてる。
私の周りには草しかなくて。
傍にいた筈のタカくんも居なくて。
タマお姉ちゃんも。
ユウくんも。
誰も
誰も居ない。
誰も居ない。
私は唯ひとりぼっちだ。
嫌ぁ。
怖いよぉ。
タカくん。
タカくん。
タカくん。
私も死んじゃうのかなぁ。
あの最初の人達のように。
それとも誰かに殺される?
……たった独りで。
誰も居ない所で。
タカ君も
タマお姉ちゃんも。
ユウ君も。
タマお姉ちゃんも。
ユウ君も。
誰も居ない所でひっそりと……
いや
……怖いよぉ。
戻りたい。
あの幸せな日常に。
あの幸せな日常に。
タカ君と一緒に学校に言って。
タマお姉ちゃんやユウ君と遊んだりして。
タマお姉ちゃんやユウ君と遊んだりして。
何時までも続くような日常に。
還りたい。
こんな所で独りはいやぁ。
しにたくないよぉ。
「助けて……タカ君……タカ……君」
涙が止まらない。
座り込んでこの場から動けなくて。
座り込んでこの場から動けなくて。
死にたくなかった。
殺し合いがどうかとか関係なくて。
ただ余りにも近い死が怖かった。
ただ余りにも近い死が怖かった。
助けて……
助けてタカ君……
怖い。
怖い。
怖い。
タカ君
タカ君
タカ君
……嫌
こわ……
「ねえ、君大丈夫? 落ち着いて」
ひぃ?!
だ、誰!?
いや、殺され……
嫌
嫌
嫌
怖い
怖い
怖い
助けて
助けてタカ君
助けてタカ君
「いやぁぁああぁぁあ!!! 怖い! 怖い! 怖い!」
私は怖くて手を振るって退けようとする。
死にたくない。
死にたくなかった。
死にたくなかった。
タカ君にも会ってないのに。
皆とも会ってないのに。
皆とも会ってないのに。
死にたくない。
しにたく
「大丈夫……何もしないよ」
「ふえ?」
「ふえ?」
ポンと頭に置かれる手。
ふと顔上げると黄色のパーカーにジーンズを纏っていた短い茶髪の女性が。
困ったように。
それでも優しそうに微笑んでいた。
ふと顔上げると黄色のパーカーにジーンズを纏っていた短い茶髪の女性が。
困ったように。
それでも優しそうに微笑んでいた。
え……?
ころさない……?
「このみを殺さないの?」
「ええ」
「ええ」
ふぇ……
よかった。
よかった。
うぇ
「うぇえぇええぇぇん」
泣き出してしまった。
生きてることが嬉しくて。
「……はは、参ったなぁ、もう」
苦笑いを浮かぶその人。
でもそれでも私は生きていることが嬉しかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「えと、霧さんは怖くないんですか?」
「……んー。どうなんだろう」
「……んー。どうなんだろう」
茶髪の女性――桔梗霧というらしい――は不思議そうに笑う。
落ち着いた後、霧さんの名前を聞いて現状把握に努めていた。
霧さんはどうやら、撫子学園という所の体育教師しているらしい。
ボーイッシュの感じで大人の女性のようで何処か少女みたいだ。
落ち着いた後、霧さんの名前を聞いて現状把握に努めていた。
霧さんはどうやら、撫子学園という所の体育教師しているらしい。
ボーイッシュの感じで大人の女性のようで何処か少女みたいだ。
「何というか『教師』だからかしら……不思議と落ち着いてたのよ」
「教師……?」
「そ、見た感じ子供が多かったしね……何というか改めて自分って『教師』だと思ったのよ」
「ほぇー」
「教師……?」
「そ、見た感じ子供が多かったしね……何というか改めて自分って『教師』だと思ったのよ」
「ほぇー」
ははと屈託の無い笑みを浮かべる。
でもわたしはそれで助けられた。
嬉しかった。
でもわたしはそれで助けられた。
嬉しかった。
「そういえばこのみちゃんは誰か探している人いるの?」
「えっと、河野貴明、向坂環、向坂雄二という人であります」
「んー御免、私も好みちゃんが始めて会った人だから知らないや」
「そうですか……会いたいな」
「……このみちゃんにとって大切な人?」
「はい……大切な人と大切な幼馴染です」
「……っ……そうなの」
「えっと、河野貴明、向坂環、向坂雄二という人であります」
「んー御免、私も好みちゃんが始めて会った人だから知らないや」
「そうですか……会いたいな」
「……このみちゃんにとって大切な人?」
「はい……大切な人と大切な幼馴染です」
「……っ……そうなの」
タカ君達のことを思い出す。
優しいタカ君。
頼りなるタマお姉ちゃん。
面白いユウ君。
優しいタカ君。
頼りなるタマお姉ちゃん。
面白いユウ君。
一緒に過ごしたあの楽しい日々。
穏やかで幸せだったあの日々。
穏やかで幸せだったあの日々。
ああ
「戻りたいな……あの日々に楽しい日々に戻りたい」
「……っ」
「……っ」
その呟きに霧さんが悲しい顔をする。
どうしたんだろう?
どうしたんだろう?
「どうしたんですか?」
「いや……なんでもないよ。ねえこのみちゃん」
「はい?」
「一応聞いておきたいけど……上倉浩樹って人に会ってない?」
「いや……なんでもないよ。ねえこのみちゃん」
「はい?」
「一応聞いておきたいけど……上倉浩樹って人に会ってない?」
何故か一文字ずつ確かに強く聞いてくる。
でも私は霧さんしか知らなかったし首を横に振る。
でも私は霧さんしか知らなかったし首を横に振る。
「そう……」
そして霧さんは顔を下げる。
表情は全く見えなくて。
何処か哀しそうで。
表情は全く見えなくて。
何処か哀しそうで。
私は何か声をかけようと考えたその瞬間
「……御免ね」
パンと軽い音が。
……あれ……
いたい……
何で……?
真っ赤になっている私の服。
あれ?
あれれ?
どうしたのかな?
痛い。
凄く痛い。
顔を上げる。
そこには黒く光るものを持った霧さんが。
……え?
……え?
あれは拳銃。
霧さんが私を撃った?
え……
え……
え……
え……?
「……なんでぇ?」
なんで……?
なんで……あの優しい人が。
「……『怖い』のよ……私も」
え……?
霧さんが……?
なんで?
教師としてあんなに逞しかったのに。
教師としてあんなに逞しかったのに。
「『桔梗霧』として……凄く怖い。浩樹が居ないのが怖い。浩樹が死ぬのが怖いのよ……」
ああ。
この人も大切な人がいたんだ。
それで。
この人も大切な人がいたんだ。
それで。
でもこの人は……自分じゃなくて。
大切な人が亡くなるのが怖いんだ。
大切な人が亡くなるのが怖いんだ。
でも
「じゃあ……なんでこのみを助けたの?」
「……動いてしまったのよ。助けなきゃと体が動いちゃった……動いちゃったのよ……!」
「……動いてしまったのよ。助けなきゃと体が動いちゃった……動いちゃったのよ……!」
ああ。
この人はいい人だ。
駄目なぐらいいい人だ。
駄目なぐらいいい人だ。
教師としても。
桔梗霧としても。
桔梗霧としても。
本当は凄くいい人なんだ。
だって。
「あのままなにもせずに殺せば……このみちゃんは苦しまなかったのに……私は助けちゃった」
ボロボロに泣いてるんだもの。
殺すというのに。
駄目なくらい泣いている。
駄目なくらい泣いている。
「でも……それでも怖い……浩樹が居なくなるのが怖い……人を殺すのだって怖いし苦しい……でも……それでも……私は恐怖と戦わなきゃ」
この人も戦っていたんだ。
恐怖に。
苦しいぐらいに戦い続けて。
今でも戦っている。
あの落ち着きは唯のフェイク……いや、大人だからこそ落ち着いてしまったのかな。
でも。
もう考えても無駄だよ
「だから……ごめんなさい……このみちゃん……ごめんなさい……ごめんなさい」
死んじゃうから。
ああ。
怖いよぉ……
タカ君……
タマお姉ちゃん
ユウ君
タマお姉ちゃん
ユウ君
会いたい。
戻りたい。
うあ……
死にたくない。
日常を忘れたくない。
嫌……
怖い
怖い。
怖い。
助けて。
タカ君っ!
タカ君っ!
タカ君っ!
怖い
怖い
怖い
いやぁ
「怖い……怖い……助けて……助けて……タカ君……怖い……怖い……タカ……く……」
パン、パン、パンと音が響いて。
わたしの命はそこで終わった。
【柚原このみ@To Heart2 死亡】
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「はぁ……うぇ……あはぁ……う」
私は唯吐いていた。
胃の中のもの全て吐き出すぐらい。
胃の中のもの全て吐き出すぐらい。
殺してしまった。
尊い命を。
何故私は殺してしまったんだろう。
何故私は助けてしまったんだろう。
何故私は……
何故私は助けてしまったんだろう。
何故私は……
御免なさい。
目にうつるのはこのみちゃんの死体。
私が殺した。
銃が上手く使えなくて苦しめてしまった。
ああ、なんて私は愚かだろうか。
結局恐怖に克てなかった。
怖かった。
上倉浩樹を失う事を。
ずっと思い続けていた弘樹を。
叶わないものだと知っていても。
上倉浩樹を失う事を。
ずっと思い続けていた弘樹を。
叶わないものだと知っていても。
失いたくなかった。
だから私は殺し合いに乗ってしまった。
怖くて。
唯、怖くて。
唯、怖くて。
でも、それでも人を殺すことさえも怖かった。
でもその恐怖に克ってしまった。
私はなんて駄目だろう。
未だ怖い。
浩樹を失う事。
人を殺すことも。
何で、私はこんなにも泣いてるのだろう。
哀しんじゃいけないのに。
殺したのは私なのに。
哀しんじゃいけないのに。
殺したのは私なのに。
なのにどうしてこんなにも泣いてるのだろう?
可笑しいね……
可笑しいよ……
可笑しいよ……
「怖い……何やってるんだろう……私」
結局私、桔梗霧は
教師でもなく
大人でもなく
大人でもなく
このみちゃんと一緒の
恐怖に怯える女だったんだ。
私は
「……怖いよ、浩樹」
唯、泣いていた。
恐怖に怯えて。
【G-4北東部/1日目 深夜】
【桔梗霧@Canvas2~虹色のスケッチ~】
【装備:H&K P2000(12/16+1)】
【所持品:予備マガジン×5、支給品一式×2、不明支給品(1~5)】
【状態:精神疲労(中)】
【思考・行動】
基本方針:浩樹を生かすために殺し合いに乗る
0:怖い……
1:浩樹を生かすために殺し合いに乗る
【装備:H&K P2000(12/16+1)】
【所持品:予備マガジン×5、支給品一式×2、不明支給品(1~5)】
【状態:精神疲労(中)】
【思考・行動】
基本方針:浩樹を生かすために殺し合いに乗る
0:怖い……
1:浩樹を生かすために殺し合いに乗る
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