天王寺有栖、本名天王寺大吾、彼がバグズに入った理由は単純に「誰かの役に立ちたかった」、ただこれだけである。
天王寺大吾は生まれつき身体能力に恵まれていた、しかし勉学は苦手であり学校では成績はしたから数えた方が早く、だがスポーツにおいては彼は学内トップという成果を出すだけのポテンシャルを持っていた…彼の性格が良ければの話であるが。
天王寺大吾は短期である、力さえあれば全て上手くいくと思ってさえいる、つまり気に入らないことがあれば暴力に訴える男であった、だが同時に天王寺大吾は暴力を嫌う人間でもある、短絡的に暴力を振るう己を恥じてさえいた、それ故に周りも必要以上に彼を責めることは無かった。
天王寺大吾は生まれつき身体能力に恵まれていた、しかし勉学は苦手であり学校では成績はしたから数えた方が早く、だがスポーツにおいては彼は学内トップという成果を出すだけのポテンシャルを持っていた…彼の性格が良ければの話であるが。
天王寺大吾は短期である、力さえあれば全て上手くいくと思ってさえいる、つまり気に入らないことがあれば暴力に訴える男であった、だが同時に天王寺大吾は暴力を嫌う人間でもある、短絡的に暴力を振るう己を恥じてさえいた、それ故に周りも必要以上に彼を責めることは無かった。
そんな彼がバグズに入るきっかけは、バグズが「争いのない世界」を目指していたからである、それを聞いて天王寺大吾は解放軍から入手したコアドライバーを手にバグズへと自ら乗り込んだ、「俺の力を役立ててくれ」と、ここで解放軍を選ばなかったのは、彼らに協力しても世界は現状を維持するだけだと理解したからである、争いを望まないという彼の希望を叶えるには世界を変える必要があったのだ。
そうしてバグズとなった天王寺大吾は圧倒的な身体能力を更に強化するゴリラギアと適合し、その実力から固定砲台と呼ばれるもその名に恥じない戦果を挙げた、機動力は少ないがその筋力であらゆる障害を破壊する…その内、彼は裏切り者の処刑を仕事とするようになり、彼の仲間は彼が到着するまで対象の足止めを行うことが役目となっていった。
そうしてバグズとなった天王寺大吾は圧倒的な身体能力を更に強化するゴリラギアと適合し、その実力から固定砲台と呼ばれるもその名に恥じない戦果を挙げた、機動力は少ないがその筋力であらゆる障害を破壊する…その内、彼は裏切り者の処刑を仕事とするようになり、彼の仲間は彼が到着するまで対象の足止めを行うことが役目となっていった。
そうして彼は稲荷崎と出会う、その日も裏切り者を追っていた、しかし今までと違ったのは解放軍が協力していて、足止めを引き受けていた仲間が倒されていたのだ、天王寺大吾が駆けつけた時には全てが終わる頃合で、"手刀で首を落とされた"裏切り者が崩れ落ちる中、稲荷崎はドライバーすら身に付けず、生身で三人の戦士を始末していた…それだけに留まらず、足止めを引き受けたが倒された仲間へと歩み寄れば、唖然とする天王寺大吾の前で、「役目すら果たせない奴に用はない」とその首を落とす姿を見て、彼は己が"少し強いだけで調子に乗っていた"ことを悟り、己もその場で殺されるのだと思ったが、足が動かない。
彼の前へと足を進めた稲荷崎は、その横を通り過ぎる際に肩を軽く叩き「出来ないことをやれとはいわんよ」と、赦された。
彼の前へと足を進めた稲荷崎は、その横を通り過ぎる際に肩を軽く叩き「出来ないことをやれとはいわんよ」と、赦された。
その後、天王寺大吾には目的が出来た、圧倒的な力を前に彼は一種の信仰心とも言える憧憬を得て、稲荷崎恭弥の下に就く事だけを目的に己を鍛えた、その際に彼は一つの制約を掛けた。
「力に頼らない」、ただこれだけ、自分の持っていたものを捨て、おざなりにしていた他のことを身につけることで己を鍛える道とした、しかし天王寺大吾は賢くはなかった、勉強は捗らず他の試みも手応えがなく、焦りながらも稲荷崎への憧れから足を止めることは無かった。
そんなある日、彼は敵の攻撃を回避するのではなく、受け止めることで機動力の欠如を補うという試みを数ヶ月掛けて行っていた時である、WildStrikeを受けたにも関わらず痛みを感じなくなったのだ、痛覚が消失した、己は死んだのかと思った、しかし身体は動くし戦闘ができた、故に恐怖だけが残った、「死んでしまったが身体が動く」、その恐怖が彼の限界を超えさせた。
彼は痛みを求めたがどんな攻撃も、どんな拷問も彼に痛みを与えることはなく、絶望しかけていた時である。
稲荷崎恭弥が天王寺大吾の活躍を聞いて直接会いに来た、それも「部下として引き入れるためのテストをしたい」と、そこで天王寺大吾は久方ぶりの痛みを得た、稲荷崎は生身であり、自身はゴリラギアに見限られ、代わりに得たオクトパスギアを使っての試合形式、そこで与えられた痛みが天王寺大吾に生の有り難みを教えた、そして「死にたくない」という執着心から天王寺大吾は稲荷崎恭弥を打ち倒す、それからだ。
その日から天王寺大吾は死に、天王寺有栖が産まれた、力に惹かれ様々な試みの果てに精神的に歪んだ男は、稲荷崎の力に恋をしたのである。
以来、天王寺有栖は稲荷崎恭弥の下で忠実に務めを果たし今に至る……
「力に頼らない」、ただこれだけ、自分の持っていたものを捨て、おざなりにしていた他のことを身につけることで己を鍛える道とした、しかし天王寺大吾は賢くはなかった、勉強は捗らず他の試みも手応えがなく、焦りながらも稲荷崎への憧れから足を止めることは無かった。
そんなある日、彼は敵の攻撃を回避するのではなく、受け止めることで機動力の欠如を補うという試みを数ヶ月掛けて行っていた時である、WildStrikeを受けたにも関わらず痛みを感じなくなったのだ、痛覚が消失した、己は死んだのかと思った、しかし身体は動くし戦闘ができた、故に恐怖だけが残った、「死んでしまったが身体が動く」、その恐怖が彼の限界を超えさせた。
彼は痛みを求めたがどんな攻撃も、どんな拷問も彼に痛みを与えることはなく、絶望しかけていた時である。
稲荷崎恭弥が天王寺大吾の活躍を聞いて直接会いに来た、それも「部下として引き入れるためのテストをしたい」と、そこで天王寺大吾は久方ぶりの痛みを得た、稲荷崎は生身であり、自身はゴリラギアに見限られ、代わりに得たオクトパスギアを使っての試合形式、そこで与えられた痛みが天王寺大吾に生の有り難みを教えた、そして「死にたくない」という執着心から天王寺大吾は稲荷崎恭弥を打ち倒す、それからだ。
その日から天王寺大吾は死に、天王寺有栖が産まれた、力に惹かれ様々な試みの果てに精神的に歪んだ男は、稲荷崎の力に恋をしたのである。
以来、天王寺有栖は稲荷崎恭弥の下で忠実に務めを果たし今に至る……
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稲荷崎「なぁ、有栖はん…作戦はフェーズ2に入るし、一つ聞きたいんやけど、キミ…ウチとバグズ、どっちかを取るしかない時、どっちを取る?」
稲荷崎「なぁ、有栖はん…作戦はフェーズ2に入るし、一つ聞きたいんやけど、キミ…ウチとバグズ、どっちかを取るしかない時、どっちを取る?」
天王寺「あら恭ちゃん、それ昔答えたわよ?今も変わらないわ…アタシのこの命は貴方のもの、何があろうとアタシは恭ちゃんに付いていくわ、それこそ世界の終わりでも…ね?」
その答えは予想できた通りで、だからこそか、稲荷崎の瞳には僅かに悲しげなものが見えた…ような気がした。
稲荷崎「それなら打ち合わせ通りに後は任せるわ、ウチがいなくなった後のことはキミに一任するから、上手く頼むわ」
それだけ残して、稲荷崎は歩いていく…行く先は裏切り者の処刑場、尤もその裏切り者は殺してはならないと命じられている以上、殺しはしない。
ただ、殺さないだけで、死なない程度に何でもするつもりであるが。
ただ、殺さないだけで、死なない程度に何でもするつもりであるが。