暗い部屋に一人、PCの画面を見つめる狐顔の男と画面に映る男がいた。
その部屋はまるで学校のようで、PCは教壇の上に、生徒達の座る机を見るように置かれ、その最前列に狐顔の男は座っていた。
その部屋はまるで学校のようで、PCは教壇の上に、生徒達の座る机を見るように置かれ、その最前列に狐顔の男は座っていた。
「それでは、時間跳躍を始める前に授業を始めようか、稲荷崎」
「先生、それ時間跳躍前にやる話なん?もう過去の話は大体調べ終わってるし、どう動くかも粗方決めとるんやけど…」
「必要はある、聞いておきたまえ──」
「時間というのは三つの言葉で表される、一つは過去、二つ目に現代、最後に未来だ、この内の過去と現代については説明する必要も無いだろう…今回の話で重要なのは未来だ。
では、未来とは何か?これを知るには未来予知というファンタジーな能力が必要となるが、多くの人間はこの未来予知を可能としている…例えば、コイントスにおいて最初に表を向け、力を一定量調整して弾くことで特定の回数回転させ狙った面を出す……これも未来予知の一つであるが、これは正確には知識と経験と技術で構築された未来予測でしかなく、人間はこの予測する力で時に未来を予知するのだ──」
では、未来とは何か?これを知るには未来予知というファンタジーな能力が必要となるが、多くの人間はこの未来予知を可能としている…例えば、コイントスにおいて最初に表を向け、力を一定量調整して弾くことで特定の回数回転させ狙った面を出す……これも未来予知の一つであるが、これは正確には知識と経験と技術で構築された未来予測でしかなく、人間はこの予測する力で時に未来を予知するのだ──」
「だが、この予知はあくまで予測であり絶対では無い、限りなく予知に近い領域まで辿りついた人間が昔いたが、それも昔の話だとも…
ここでいう未来予知は、漫画などにある決して変えることの出来ない絶対の未来予知を指すものとしよう、そしてこれが存在するのであれば、既に未来は決まっていて、変えることが出来ない運命ということになる…となると、だ。
時間というのは生まれてから死ぬまでの行動が全て記された一つの動画データということになる、そしてこれは人だけでなく世界にも同じことが言える──」
ここでいう未来予知は、漫画などにある決して変えることの出来ない絶対の未来予知を指すものとしよう、そしてこれが存在するのであれば、既に未来は決まっていて、変えることが出来ない運命ということになる…となると、だ。
時間というのは生まれてから死ぬまでの行動が全て記された一つの動画データということになる、そしてこれは人だけでなく世界にも同じことが言える──」
「……なら、ウチが過去に行く意味無くないか?未来は既に決まっていて、それなのに過去に行っても何も変わらんのやろ?
未来の自分が過去の自分に話しかけようとしても、話しかけてる未来の自分にその記憶が無いってことは、それは失敗するって決まっとるようなもんやろ?」
未来の自分が過去の自分に話しかけようとしても、話しかけてる未来の自分にその記憶が無いってことは、それは失敗するって決まっとるようなもんやろ?」
「流石だな稲荷崎、その通り、既に完成している動画データを後から改竄することは出来ない、これを俺は"歴史の修正力"と呼んでいる、異世界からの侵入者を排除し、イレギュラーの辻褄を合わせて本来の歴史を維持する為の防衛機能が存在する。
つまり我々の世界は既にどうにもならないということだ、何もしなくても未来は決まっている……が、歴史の修正にも限界は存在し、対処が可能だ。
一つ、時間干渉能力、これは言わば"世界に認識されない"能力だ、これを持つ人間は時間を超えても侵入者として認識されない、世界から排除される対象とならない。
二つ、その時間にその人間がいないこと、時間干渉能力はデータは存在するが一覧に乗ってない状態と言っても良い、しかし存在する以上検索は可能だ、それを回避するにはその時代に同一人物が存在してはならない、同じ名前に複数のデータが存在するならば世界は時間干渉能力者を認識できてしまう。
三つ、大量のイレギュラーを発生させる、人に関しては回避可能だ、しかし物はそうはいかない、アニマギアを持ち込む以上それは修正対象となり排除される…だが、異物を排除するには大きな力が必要となる、故に物量で処理落ちを促しその機能を制限させるという対処を取る…先程も言ったが世界はイレギュラーに対し辻褄を合わせようとする、排除出来ないならばそれを使えなくすることで影響を減らすがそれも他のイレギュラーと重ねることで対応出来ないレベルまで持ち込んでやれば良い──」
つまり我々の世界は既にどうにもならないということだ、何もしなくても未来は決まっている……が、歴史の修正にも限界は存在し、対処が可能だ。
一つ、時間干渉能力、これは言わば"世界に認識されない"能力だ、これを持つ人間は時間を超えても侵入者として認識されない、世界から排除される対象とならない。
二つ、その時間にその人間がいないこと、時間干渉能力はデータは存在するが一覧に乗ってない状態と言っても良い、しかし存在する以上検索は可能だ、それを回避するにはその時代に同一人物が存在してはならない、同じ名前に複数のデータが存在するならば世界は時間干渉能力者を認識できてしまう。
三つ、大量のイレギュラーを発生させる、人に関しては回避可能だ、しかし物はそうはいかない、アニマギアを持ち込む以上それは修正対象となり排除される…だが、異物を排除するには大きな力が必要となる、故に物量で処理落ちを促しその機能を制限させるという対処を取る…先程も言ったが世界はイレギュラーに対し辻褄を合わせようとする、排除出来ないならばそれを使えなくすることで影響を減らすがそれも他のイレギュラーと重ねることで対応出来ないレベルまで持ち込んでやれば良い──」
「……世界がフリーズするんか?そうなったら無法地帯になるってことか…」
「そう上手くはいかないだろう、世界は維持でも辻褄を合わせに来る…問題だ、修正できないレベルで破壊された動画データを元に戻すにはどうする?」
「…………バックアップがあると仮定するならバックアップを読み込む…けど、それが出来るなら最初からやる筈や…同じ理由で削除もしないなら、新しく作るわな…壊れたデータを別にして元データと分けて作る…壊れたデータを平行世界として新しく動画データを作れば解決や」
「正解だ、平行世界として新しくデータを作るならば、そこまでのデータを元にして未来を作成し別の世界として処理させれば良い、後は世界の方が辻褄を合わせてくれるさ」
「なるほど…つまりウチらの最初の行動はそこやな、先ずは世界のシステムを壊して、それから先生の命令を果たせばええわけや」
「その通りだ、では今日の授業を終わろう、では健闘を祈る────」
そうして一人でに切れるPCの画面を眺めながら狐顔の男は呟く、変わらぬ笑顔で──
「馬鹿らし、アンタの目的は何や…世界以外に何が欲しいんよ」