我が骨子は捻じれ狂う/相克する螺旋で君を待つ ◆0zvBiGoI0k



誰もいない校舎の一室が、突如爆ぜた。

爆発の現場は保健室。部屋の中で手榴弾でも炸裂したかのような轟音と衝撃。
白を基調とした清潔感に溢れた部屋は見る影もなく破壊され、
消毒液特有の匂いに包まれた空間は埃にまみれた砂塵で埋め尽くされた。

「どいつもこいつもよォォ!! ウゼェ奴や邪魔クセェ奴がいたら、殺さなくていい理由なんてねェよなァ!!
 ――ヒャッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」

狂ったように、壊れたように笑う破壊の主――― 一方通行(アクセラレータ)。
彼を蝕んでいた世界の悪意は浸食を完了し、彼の心根を染め上げた。
一番奥にあった、小さな願いを残して。

「さァてェ!気分も体調も最高だ、さっさと出向いて殺さなきゃなァ!!」

一方通行が力を振るったのは単に脳内に湧き上がった破壊衝動に動かされただけではない。
自我など突風に吹き飛ばされるゴミみたいにかき消えてしまいそうだったが、
こと「殺す」という方向性に於いては一方通行の思考は今までにないほど冷静に、残虐に、速やかに回転していた。
そして今行ったのは自己の能力―――ベクトル操作の確認。これから始まる大虐殺へ向けての試運転。
案の定能力は絶好調だ。想定した通りに力は働き、思い浮かべた通りの光景が生まれた。
不安も迷いも雑音もない。これほど晴れやかな気分になったのはこの10何年の中で初めてではないか。
心なしか体も軽い。体の手綱を握る理性という御者が早く殺せと鞭を上げ続けている。

そうだ。殺す。殺したい。殺さなくっちゃいけない。死ね。

渦を巻く。罪が、この世の悪性が、流転し増幅し連鎖し変転し渦を巻く。
誰でもいい。何でもいい。とにかく死が欲しかった。
自分が多くの死を作りだせば、それだけあの少女の救いになれる。何の破綻もなくそう思う。
数分前の自分が聞けば狂ってるとしかいえない思考に歓喜すら覚える。
暴れ出す殺意を解き放つべく残骸の部屋を後にする。守るために、殺すために。

その1人の悪鬼の誕生を祝福するように、

インデックスです。ゲーム開始より18時間が経過しました。第三回定時放送を開始します。』

第3回放送が、始まった。






『続いて、禁止エリアの発表です。
3時間後、午後9時以降より立ち入り禁止エリアが3つ増加します。今回の禁止エリアは―――』



無人の市街、暗闇の世界。空から響く雑音に耳を傾けることなく黙々と歩く。
耳には通っているがそれだけだ。静かに聞いて待つという選択肢は完全に放棄していしまってる。
彼にとって少女―――打ち止め(ラストオーダー)を守ること以外の事柄は全て等価値だ。禁止エリアだけは聞いておかねば不都合なので少しだけ留めているがいつまで憶えているものか。
今すぐにでも人が集まってそうな場所にかっ飛んでいきたいが、それは出来ないと殺しに先鋭化された思考が止めにかかる。
結局己を縛る首輪の制限は消えてないのだ。制限時間を過ぎれば力が失われるのは已然としたまま。
織田信長が首輪の機能を無効化できたのは、幾つもの偶発的な要素が織り重なった結果だ。
誰あろうと今後同じ結果に至ることはないだろう。
未だ首輪に繋がれている現状に一層主催への殺意を募らせる。



一方通行が学園都市最強の能力者である所以は、無論そのベクトル操作の絶対性と応用性によるものであるが、
それを操る本人の頭脳―――演算能力もその座に就く大きな一因でもある。
標的にベクトル操作で攻撃を加えるとして、無数にある選択肢の内どの手段が効果的か、実行するにはどのベクトルどれだけをいじれば可能か、
一瞬の判断ミスが命取りとなる戦いの中でそれを正確に即決即断出来るだけの計算力を一方通行は備えている。
学園都市最強の超能力者は、学園都市最高峰の頭脳の持ち主でもあるのだ。
その一方通行でも首輪の解析、解除は難航していた。

首輪は参加者を縛りつけるもの。最低でも致死量の爆薬―――体積の少なさから液体爆薬と判断―――、
禁止エリアに侵入したことを知らせる受信機、そしておそらく自分に限っては能力を制限、調節出来る装置は仕込まれている。
大半の機能は機械で行われてるだろう。そして機械なら駆動を、運動をしているはずだ。
そして動くもの―――ベクトルを持つものは全て一方通行の支配下だ。駆動音から内部の構造を読み取り、
運動の経路を狂わせ機能を停止できるかもしれない。
それをしていないのは、やはり自分の首に繋がっているものに手を出すのは憚られたからだ。
誤作動で爆発しても自分なら問題ないだろうが主催側は自分の能力を制御している。
爆発と同時に能力が使えなくなるのは充分あり得るし、そもそも解析しようと能力を首輪に向けたら制限を受ける可能性もあるのだ。
そのため迂闊に首輪に手を出すことは控え続けていた。それに彼としては能力の制限を行っているであろう、
飛行船を墜とせればそれ以外は支障がなくなるとしていたので必要以上に気に留めることはなかった。
そして飛行船を見付けた【B-7】は既に禁止エリアである以上襲撃は後回しにせざるを得ない。



『次に、前回の放送から今回の放送までに死亡した参加者を発表させていただきます。
 読み上げる順番はこちらで―――』



死亡者の名が読み上げられる。これは全く興味を示す事柄ではなかった。
誰が死んだところで彼の動きに変わりはない。むしろ今の彼はそれを振り撒ける側である。
……実の所1人だけいたのだが、その名が呼ばれなかった以上それに気付きはしなかった。



『やあこんにちは。いや、それともこんばんはかな?
 いけないな、この時間帯はどうも挨拶の選択に困る……!
 まあ―――』



次に耳に響くのは男の声。何度聞いても不快にしか思えないクソッタレの声。
これはもう完全に無視した。これに耳を向ける要素は一片もない。あったとしても気付く余裕もなかっただろう。

時は遡るが、1回目の放送の時一方通行は放送の声を一部「反射」した。
その時点ではまだ比較的冷静な思考をしていた彼は参加者と主催者の僅かな繋がりである放送をもとに主催への切りこみ口を探していた。
ここで試みたのは放送の声の出所である。音を「反射」し放送がどのような形で伝わられているのかを調べた。
声はどこからともかく―――強いて限定するなら空の上―――から聞こえてきた。
会場に発声器はない。首輪から発せられてるわけでもない。確かな音として伝わってる以上、念話能力≪テレパス≫でもない。
他の経路も探ったが見つからなかった。どうしても途中で靄がかかったかのようになる。「反射」した音があらぬ方向へと弾けていくのだ。
現時点で原因が判明しない以上能力の無駄使いとなるためそこで打ち切り、
その後両儀式デュオ・マックスウェルを発見し、あとは知る通りの結果である。

要するに、精神が汚濁した今の一方通行ではそんな前のことなど一々気に留めるものではないということだ。



『ああ、施設と言えば言い忘れていた……!前回の放送通りにこの放送よりギャンブル船、及び各地にある無人販売機の商品が―――』



右脳より入り込んでくる雑音が、左脳から抜けていく。
武器の追加だか言っていた気がする。だが興味はない。いや意味がない。自分は始めから最強の武器を得ているのだから。
強いて言えば銃くらいのものだが、その位は殺したヤツから奪えば済むことだ。首輪についても同様だ。
そこではたと一方通行は気付く。

(―――あァ何だ、殺したヤツの首輪を使えば済む話じゃねェか)

自分の首に巻かれている首輪だからこそ積極的な干渉は避けてきた。
なら他人の―――死人から首輪を引っこ抜けばいいだけではないか。
行動にさほど変化はない。誰かが持っているのを譲り受けるか、殺して首を断つかに大して違いはないのだから。
なぜプリシラの死に立ち会った時、スザクが真田幸村の首輪を刈った時それをしなかったのか今更ながら不思議でならない。
だが問題はない。すぐ近くにある死体には心当たりがある。魔王の業火に焼かれた弓兵が。
それに―――

(どうせ俺がアイツから首輪を抜こうとしたら俺を止めようとするんだろ?
 命の恩人サマの首を切るなンて真似、セイギのヒーローサマが見過ごすワケはねェよなァ……っ!!)

脳裏に浮かぶのは、彼が狂い果てる直前に会った少年。
超能力者(レベル5)である自分すら死に追い込んだ魔王に立ち向かった無能力者(レベル0)。
軽く突き飛ばして誰にも会わないように学校へと向かったが、心の何処かでアイツは自分を追ってくると思っていた。
いや、確信していたといってもいい。そういう男だったからこそかつての自分は敗れたのだから。
そう、アーチャーの首輪を取るのはついでのようなものだ。
その過程で鉢合わせするはずの男、上条当麻こそが一方通行の目的、標的であった。

右手に妙な力がある以外はまるで弱っちいクセして白ける綺麗事ばかり吐き、
自分の様な悪党であろうと手を差し伸べようとする筋金入りの偽善者。
けどそれでいて、最強の超能力者である自分を倒し、絶対能力進化計画を永久凍結させ、一万人ものクローン達の命を助けて。
恐らくそんなことを何度も繰り返して来て、そのたびに誰かを守り、救ってきただろう男。
自分と違って、正しい方法で正しく人を助けられるヒーローのような男。

脳内に満ち溢れる殺意が一刻も速くその刃を向けたいのもあるのだろう。
だがそれ以上に上条当麻への殺意は底なしとも取れるほどに膨れ上がっていた。

かつての一方通行は上条当麻のことを気に食わず、この上なく嫌悪していたが、
それでも憎んだり悪しきものと断じたりしたことは一度もなかった。
むしろ逆。正しく、万人に感謝される生き方をしているだろう。
悪とされるのも憎しみを向けられるべきも己であると自覚している。
それとそれ以外の―――どこか憧憬にも似たものを感じたことも全くないとは、言い切れなかった。

それが全て、飲み込まれる。様々なベクトルを向いていた感情が、一つの方向に収束していく。

(さっさと来いよ。そのツラも、誰も彼も救うなんて幻想も、全部木っ端微塵にブチ壊してやるからよおォォ!!!)

自分が持ち得なかった全てを手にしている正義の味方という幻想を壊すために。
この世全ての悪をも加えた憎悪を滾らせながら、一方通行はやがて来るはずの敵の到達を待ち望んだ。



 ■



抱いた希望は、至極あっさりと打ち砕かれた。

「………………」

人の気配がない夜の街、というだけでも一種のホラーじみた光景だが、
地面が抉れ、家が崩れ、巨大なビルがまっぷたつに卸されている一帯も合わせれば
安手のホラー映画などよりもよっぽど臨場感ある恐怖を味わえるだろう。むしろSFや怪獣映画の域だ。

「………………」

当然、その程度で委縮する一方通行ではない。そもそもこの破壊の一因は彼の盛大な能力行使の結果なのだから。

視線を足元に降ろし続ける一方通行。視線の先は、黒く焦げ付いたモノ。
地肌が浅黒いこともあって気付きにくいがあちこちに夥しい火傷の跡が見える。
それは死体。それは亡骸。それは残骸。既に亡きアーチャーのサーヴァント。そのなれの果て。

「……おい、どういう事だよ」

漏れた声は誰に向けたものか。ここに人がいない以上、返答などあろうはずもない。
ここまでの道のりでの仮初の目的は何の障害もなく達成できてしまった。
上條当麻も、それ以外の参加者誰ひとりとして遭遇することはなかった。

「何で来ねえンだよ、何で俺を止めに来ねえンだよォッ!何で俺に殺されに来ねえンだよォォッッ!!」

叫ぶ。狙撃など不意打ちの絶好の的になる可能性など気にも留めず喉を張り裂ける。
何故か。それは彼自身にもよくわからない。それを教える思考などとっくに失われてしまったのだから。
簡単に目的地に着いたのに拍子抜けしたのか、その道で出会うと確信していた男に会えずに苛立ったのか、
誰も殺せなかったことに殺気立ったのか、それとも止めてくれる者がいないことに絶望したのか。
答えは分からない。ただ言えるのは彼の内に渦巻く殺意は行き場なく飽和状態にあるということ。
あるいは、それを遠くから眺めているものがいるとしたら、
―――弱々しく亡き伏せ癇癪を起こす、哀れな童に見えるかもしれない。

「―――そうかい。好きに扱ってクダサイッてことでいいんだなァっ!」

「―――そうかい。好きに扱ってクダサイッてことでいいんだなァっ!」

足元の死体を蹴り上げる。己が命を賭して戦い、救い、果てた英雄の貌を足蹴にする。
そのまま、足の付け根から裏までにかけてのベクトルを真下に集中させる。



間も無く、足の裏に置かれた頭部が、踏んで、潰された。





死後数時間は経過していたが破裂した頭蓋からは景気よく血飛沫が上がる。
ベクトル操作での加圧加重による粉砕。満杯まで水の詰まった風船が割れたような感触。
このやり方は、楽しい。
目玉が玩具のように漁っての方向に飛び出す。血の腐った臭いが皮膚が、骨が、脳漿が、
目も耳も鼻も舌も五感全てを覆い尽くす。
小さい頃、テレビで同年代の少年少女がスイカ割りに興じているのを見て
何が楽しいんだと冷めた視線で眺めていたが、今ならその楽しみが理解できる。
ただ機械的に1万人を鏖殺した時とは何もかも違う。
形あるものが壊れる刹那、整っていたものがグチャグチャにひしゃげる瞬間、全身が震えた。

全身の静脈にレモンスカッシュを流し込んでもこんな快楽には至らないだろう。

「―――――――――ぎゃは」

嫌な、音が聞こえた。

「ぎはっ、くはっぎ、ぎゃははははははははははははははははははははははははははははァァァ――――――!!!!!!」

叫ぶ、笑う、狂う、可笑しい、侵される。
血塗れた首輪を拾い上げながら破顔―――まさに顔を崩す一方通行。
楽しい。ただ死体を潰しただけの行為が全身に染み渡る。
すべての人間、生命にとって「快なるもの」を追い求めるのがこの世の心理だ。
言い方に悪意が感じられるなら「願い」でも「望み」でもよい。
では今一方通行が感じ、求めているのは彼の願いの在りようなのか。答えは否だろう。
願いへの道筋を悪意によって染められた結果、その道は大きく歪み捻じ曲げられてしまった。
「死」を介してでしかその願いを叶える手段を失ってしまった。
今感じるこれが快楽なのかさえ判断が付かないほどの電流が脳髄を焼く。
ワケがわからないまま内より湧き上がり、噴出した衝動で絶頂しそうだ。
死体でこれなら生きた人間を屍に変えた時の衝撃はどんなものなのか。あまりの一撃に憤死してしまうのではないか。

「足りねェよ、こンなンじゃ全然足ンねェンだよォ!」

こんな動かない肉塊なんかに用はない。生きて、動いている人間でいと意味がない。
そうでなくちゃ、彼女を救えないのだから。それでなくちゃ、自分には救えないのだから。

だから、駄目だ。足りない。圧倒的に足りない。
首輪は手に入れた。それならこんな誰もいない場所に用なんてない。
だが能力の無駄使いなど忘れ横たわる首なし死体に当たり散らしたくなる。
パンク、という言葉が浮かぶ。このまま誰も殺せないようなら最後は自分で自分を殺したくなりそうだ。

そこまで気を張り詰めていただからだろうか。誰もいないはずの路地裏から、小石の弾ける音の流れを感じた時には





「そォおこォおかァああああああああああああああ!!!!」





デイパックを開け、確認もせず発生源のもとへ音速度の缶コーヒーをブン投げていた。



 ■



「蛇蝎、」

本人にしか認識できない大きさで、声が鳴る。
重く、深い、魂を押し潰すかのような声。
その瞬間には、声の持ち主へ戦車砲弾もかくやという速度で飛んできた缶コーヒーはピタリと静止していた。
蜘蛛の糸の様な線が絡みついた缶は、そのまま女の足元へ落ちる。
紅い髪。橙色のコート。顔にまるで似合わない険しく厳しい表情。
この時はじめて一方通行は前にいる人物が女性であると気付いたが、特に関係もなかった。
重要なのはここに生きた人間がいて、自分はそれを殺したくてしょうがなくて、それに向けた攻撃が無効化されたという点だ。

投擲は弾かれた。否、止められた。投擲物が意志を持ち制止したように。
念動力≪テレキネシス≫、空力使い≪エアロシューター≫、いずれにも該当しない。周囲の空間に干渉する能力か。
とにかく遠距離攻撃では効果は薄い。何より長々と時間をかけるわけにはいかない。
接近して殴る。単純だが確実で、最終的な負担の少ない運用法だ。
自分に向けられたものでない、空間に作用している能力でも直接範囲内の空間に触れて「反射」させれば弾けるはずだ。
そう論理的に計算をしていたが、結局動いたのは体が先のようだった。脚力のベクトルを展開し、一瞬で10の距離を0に積める。
先程の缶コーヒーとは質量が大違いだというのに同速で移動、というより「吹っ飛ぶ」。
次いで右腕にベクトルを集中。格闘の専門家が見れば素人の軌道とタカを括るだろうが
その速度と破壊力を前にすればその口も閉じるだろう。当然、気絶して。
風を切るという表現が相応しい。憐れにも引き裂かれた敗者は勝者たる右腕に傅きその力を増大させる。
だがその過程で、女は対策を施していたらしい。口元を2、3動かしただけで一方通行の到達を待つ。
罠の危険にも躊躇わずそのまま破壊槌と化した拳を華奢な顔面へ叩きこもうとする。
それを阻もうと、周囲に展開された線が流動する。線は女を囲み3つのサークルを成し、星の軌道を描いた図形に似ていた。
そしてそのサークルの最も外側の領域を足が通過した瞬間に、異変は起きた。

「あァッ!?」

「――――――」

綺麗な円形のサークルが一方通行へと伸び、その体を縛ろうとする。
すぐに「反射」を全身に適用、予想の通りに線は一方通行に触れられずあらぬ方向に弾ける。
そう、弾けた線は女へ「反射」されず、どれもが見当違いの方向へ飛び散っていった。
蛇のようにしなってのたうつ線、定規のように張り詰めて地面に突き刺さる線。
果ては粉末に霧散するものまである。そんな動きになるように一方通行は操作していない。
銃弾だろうが火炎だろうが毒ガスだろうが相手の攻撃をそのまま跳ね返し自滅に追い込む学園都市最強の要、
ベクトルの反射が正しく適用されなかったのだ。
だが一方通行の驚きはそこではない。それも気にすべき事柄ではあるがそれ以上の不可解な事態に見舞われていたからだ。

現在の彼の位置は女の目の前、丁度女を覆っていたひとつめの、一番遠いサークルがあった場所だ。
ベクトルをかき集めた拳は、力なく女の顔へ伸びたままだ。
それはつまり、一方通行の攻撃が寸前とはいえ止められたことを意味する。

(俺の方が、弾かれただとッ!?)

一方通行の今までの戦闘の履歴で、自身の攻撃を防ぐ奴はいた。かわす奴もいるにはいた。能力そのものを打ち消す奴さえいた。
能力が止められたという一点なら一番最後の奴と似てるがそれとも違う。自分の能力に干渉され、操られたような、気味の悪い感覚だ。
……いや、気味が悪いのは感覚だけではない。胸の中心を圧迫されるような、窮屈なものも覚えていた。
それは外からの攻撃によるものではなく、一方通行自身が抱くものだった。

線は、今も女の制御下にないかのように無茶苦茶な機動を辿っている。それを見て一方通行は次なる手段に打って出る。

一方通行は計算する。1分にも満たない戦闘で得た情報から、
冷徹化され、凶暴化された頭脳がありったけの殺意を以て敵の力を示す。
投擲を止め、反射を狂わせ、拳を止めた。その全てが何かを縛り、拘束する意味を持つ。
敵の能力はおそらく「止める」力。あの線が象った円形の領域内に入った「侵入者」に対して発動するよう設定されている。
ベクトルを思うままに動かす自分とは真逆の力。
それならば先程の不可解もある程度説明できる。自分の向けた「動」の動きが、相手のかけた「静」の領域に相殺されたのだ。

タネは割れた。それなら話は早い。
確かに自分と相手の能力は似通っている。それならばこちらの攻撃(ベクトル)に干渉し動きを止められるだろう。
だが干渉されたということは干渉され得るということ。逆にこちらから相手の能力を停止させられるということだ。
現に、白い線は一方通行へ向かって来ない。自分の能力が弾かれたように、この女の能力もまた制御下を離れているのだ。

互いの手が相殺され0になったのなら、いち早く能力を再起動出来た方が勝つ―――!

開きっぱなしのデイパックに腕を突っ込み、すぐ引き抜く。
固く握りしめられた拳の中には無数の銀玉。パチンコ店からぶんどったパチンコ玉を手一杯投げつける。
ベクトル操作で放たれる弾丸の威力は散弾銃すら超える。対人地雷―――クレイモア級の制圧力だ。
この距離なら全弾命中は免れない。数十キロ粗引き肉の出来上がりというわけだ。
脳から提示された殺害方法を実践すべく一方通行は能力を開放






『立ち入り禁止区域に入りました。速やかに退去して下さい』





する寸前、殺伐した空間に似合わぬ軽快な電子音がそれを制した。

禁止エリア?その意味は分かる。そこに入れば首に仕込まれてる爆弾が作動する。時間ごとに刈り場を狭めるルールだ。
だがなぜここで鳴る?そもそもこの女はここの壁から現れ―――

そこまでして、ようやく一方通行は気付いた。自分と対峙するコートの女には、首輪などはめられていないことを。

「ッックソがァッ!!」

本能が殺意を上回る。拳の開放を取りやめ一気に力の振り幅を後方にかける。
まるで巻き戻しのように体は元いた地点、【E-6】北の、禁止エリアギリギリの面まで跳躍する。
安全地帯に到達し、けたたましい音は鳴り止む。その僅かな間に、オレンジ色のコートの女の姿は、気配とともに消えていた。

「………………」

追撃はできない。これは境界だ。首輪をつけている者とそうでないものとの決定的な、絶対不可侵の領域の境界線だ。
首輪をはめられてる自分ではあの女を追えない。マヌケに自爆するのがオチだ。

「…………………………………………………………………………………………………は」

獲物が出てこない以上待ち続けても仕方ない。ならば次に向かうべきだろう。
1人にばかり構う暇はない。脳に詰まった殺意は1人や2人程度じゃ満足できないのだ。

「はは、ははは、あは、いひゃははははははははははははははははははははは!!!!
 そうか!もう待ってられないってかァ!!そんなに早く殺されたいですかァ!!!」

首輪を付けてない。それは首輪を解除したと示すことだが一方通行はそうは考えていなかった。
まだ1日も経過せず、生き残り半分以上いるというのに、そんな早期に首輪を解除できるものなのか。
もっと簡単な答えがあるだろう。始めから、首輪なんて付けていないという答えが。
首輪を付けてない。参加者ではない。残った選択肢は2つだろう。

外部からの侵入者か、主催の仲間かだ。

そして一方通行の直感は後者だ。前者なら普通ここの参加者を助け出そうとする奴だろう。
好き好んでこんな場所に来る奴はいねえ。
それにあの女の目、纏う気配。アレは完全にこっち側の住人だ。人の命なんて空き缶みたいに投げ捨てられる、自分と同じ救いようのない外道だ。

そう理屈詰めで結論付けたが、結局の所あの女が誰であろうと一方通行は殺意を募らせただろう。
主催―――帝愛の一味という可能性が考えられる時点であの女は虐殺対象の最前線にリストアップされていた。

「いいぜいいぜいいぜェ、せいぜい引きこもってな!俺がそこに乗りこむまでよォ!
 小便済ませて、神サマにお祈りして、ガタガタ震えて命乞いする心の準備でもしながらなァァあああああ!!!」

どうして主催の仲間がてここにいるかは分からない。だがわざわざ安全な場所を出てくる位だ、
何らかの重要な役割があるのだろう。自分みたいに飼い犬に噛まれる危険を冒してでも。
それを、壊したい。奴らの企みを、こんなくだらなくてクソッタレで腐っている催しを、
それを眺めてヘラヘラ笑ってるような連中を、
バトルロワイヤルなんて大層な名が付けられた最低最悪なゲームを隅から隅まで壊し尽くしたい。

一人残らず。

一つ残らず。

何もかも。



さあ―――助け(コロシ)に行こう。



捻じれ狂った螺旋は矛盾を続けて進んでいく。その果ての終着点も見えぬまま。

【E-6北部/禁止エリア手前/一日目/夜】
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
[状態]:精神汚染(完成)
[服装]:私服
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、缶コーヒー×12、ランダム支給品×1(確認済み)、パチンコ玉@現実×多量、
缶コーヒー各種@現実×多数、首輪(アーチャー)
[思考]
基本:どいつもこいつもブチ殺して打ち止めを守る。
0:どいつもこいつもブチ殺す。上条当麻は絶対に絶対に絶対に絶対に絶対にブチ殺す。
1:打ち止めを守る(※打ち止めはゲームに参加していません)。
2:このゲームをぶっ壊す!
3:首輪を解析する。首輪を解除出来たらあの女(荒耶)をブチ殺す。

[備考]
※飛行船で首輪・制限の制御を行っている・主催側で制限を調節できるのではないかと仮説を立てました。
※ゼクス、政宗、神原、プリシラ、スザク、レイと情報を交換しました。
ライダーの石化能力と藤乃の念動力の制限を分析しました。
※式の力で、首輪の制限をどうにかできる可能性があると判断しています。
※織田信長の瘴気の影響で精神に異常が出ました。
※第3回放送は軽く聞き流しています。禁止エリア程度しか頭に入れてません。
※放送は機械とも超能力とも異なる手段で流されていると思っています。
※首輪に関して以下の考察をしています。
  • 致死量の液体爆薬が詰まれている
  • 禁止エリアの進入を知らせる受信機が仕込まれてる。
  • 自分に限っては専用の能力を制限する装置が組み込まれてる。
※橙子(荒耶)の名前は知りません。荒耶を主催の一味と思っています。
※荒耶の能力を分析しました。超能力に類するものと思っています。





 ◇

誰もいないはずの路地の裏で、何かが動いた。
白い、蛇の様な線だ。線は、するすると意思を持つかのように空に浮きながら進む。
線は無残に放置されていた首のない死体にまで伸びる。獲物を縛りあげるように絡み、重力など感じさせずに軽々と持ち上げた。
そのまま死体は路地の闇に引きずり込まれ、再び地に伏す。その死体を見下ろす姿があった。
形は人間をしているが文字通り微動だにせず、彫像か人形のように立ち尽くす影。
表情は険しく、十分に美女といえる顔(かんばせ)を歪めてしっている。
その女―――魔術師、荒耶宋蓮は眼下の死体を睥睨する。まるで、積年の怨敵の様に。

織田信長との邂逅を終え、展示場地下への工房へ乗り込むべく行動を再開した荒耶。
禁止エリアを抜けたらそこから先は当然参加者と接触の危険性がある。
警戒の念を深めようとした矢先、禁止エリアのギリギリ外の位置に早くも参加者を発見した。
一方通行(アクセラレータ)。荒耶の知る法則とは外にいるベクトル操作の超能力者。
この場で最も会うのが憚れる人物であった。

能力の相性だけなら、悪くはない。
荒耶の起源『静止』より組み出した結界、六道境界。領域内の生物の動きを停止させる蜘蛛の糸。
一方通行の分析通り、互いの能力は相反した要素を抱えており、荒耶は彼のベクトルの攻撃への干渉に成功した。

だが、彼の知らぬこともある。荒耶が行使したのは超能力ではなく魔術、この2つは原理が根底からして違っているのだ。
超能力で組まれた水の槍なら事もなげに反射できるが、魔術により編まれた水の槍は反射を行えない。
なぜなら一方通行は魔術を理解できないからだ。彼に限らず「持って生まれた才能」から発現した超能力者は、
「才能なきもの」が異世界より編みだした魔術に対して過剰な負荷がかかるのだ。
それが荒耶と対峙した際に抱いた一方通行の圧迫感の正体である。そして理解できない攻撃に一方通行≪アクセラレータ≫は適用されない。
それでも物理的な衝撃を持つものなら弾くことまでなら可能だ。動く以上、ベクトルは存在するのだから。
加えてその魔術すらも彼のいた世界とは別の法則による魔術だ。
異世界の法則を再現したのが魔術というのなら、これもまた「異世界の魔術」といえるだろう。

一方通行に似通った能力、魔術と超能力の相違、その2点が荒耶を救った。
だが、それでも優位とはいえない。転移したこの肉体では結界の維持に不安が大きいのだ。
加えて、攻撃は防げてもこちらの攻撃もまた弾かれる。
策がないではないが元の肉体ならともかく身体能力まで落ちたこの肉体では目算は低い。

故に、ただ事の成り行きを静観していたのだが、一方通行の状態は余りに想定を逸していた。
突然叫び出したかと思えば、アーチャーの頭を粉砕し、首輪を手に取り、また喚き散らす。
その上首輪の回収という既に役割を終えたはずのアーチャーの死体に追い撃ちをかけんとするほどだった。
とっくに知っているはずの、ベクトル能力の制限時間を消費してまで。
危険な人物であるとは前もって知っていたがここまで凶悪、というより狂乱する性質でもなかったはずだ。
会場の狂化の仕掛けに今更惑わせられる器でもあるまい。

サーヴァントの死体の回収は、言峰綺麗の役割だ。既に帝愛の手を脱した荒耶に回収を手伝う義理はない。
言峰個人には払うものがあるがそれも膳立て止まりだ。実際に回収するのは言峰でなければならない。
だがそれでも―――無作為に壊されるという事態は今後の不都合になりかねない。特にアーチャーのサーヴァントは。
基本過去の英雄を喚び出すサーヴァントの中で異例である未来からの参戦者。
あまつさえその正体は世界の破滅を回避する抑止力の守護者。根源への到達を目指す荒耶を幾度も滅ぼした存在だ。
そのアーチャーをこの会場に参戦させるというのは荒耶としては不安要素だったが、
守護者エミヤと切り離されたサーヴァントアーチャーとしてなら障害にはなれないということ、
荒耶自身の目的を秘する立場であることで異を唱えはしなかった。
無論、迂闊に手を出しては直接障害にならずとも何かの切欠にならないとはいえない。

故に、一方通行に身を晒し、その意識を逸らさせた。
それにこれは確認でもあった。一方通行程の頭脳の持ち主であれば、荒耶のいる場が禁止エリアであること、
首輪を付けておらぬことから何らかのアプローチを求めてくると反応を待ったのだ。
その結果は、御覧の有様。気配を察知した瞬間に問答無用で攻撃を加えられた。
それも遠距離の投擲だけならともかく自ら禁止エリアを踏みこんでまで攻めてきた。
あまつさえ爆発のシグナルが鳴ってさえも動きは止まらなかった。
一方通行自身は気付いていないのかも知れないが、爆発は本当に紙一重だったのだ。
あと数秒、こちらに意識を傾け続けていたらその頭はあっけなく吹き飛んでいただろう。

結論は一つだ。一方通行は狂っている。それもどうしようもないほど破滅的に。
要因は、織田信長との戦闘だろう。あの最中で何らかの攻撃を受け、それが影響して精神に異常をきたした。
考えられるのは、魔王が纏うあの瘴気か。

再び獣のような声が上がる。必ず殺すと、自分に殺されるまで怯え続けろと大気を軋ませ吠え上がる。
まさに地獄の猛獣ともいえる咆哮に、だが荒耶は眉ひとつ乱さない。

―――死の恐怖など、とうに捨てた。

一方通行に利用価値はない。あれは天災のようなものだ。条件さえそろえば無差別に発生し、無差別に周囲を破壊する。
大いなる自然の力に人がこうする手段は、逃げるだけなのだ。誘導することさえできない。
一瞬だけ意識を外に移し、行き先を見定める。あのまま進めばまもなく政庁だ。
丁度、織田信長がその暴虐を奮い逃げ延びた相手と鉢合わせする位の時間差だろう。
残党潰しには丁度いい。

体もだいぶ順応し意識の転移も1エリア程度なら飛ばすことも可能になった。
それでも可能な時間は短い。ただこれは体の適合よりもこの会場そのものの異常によるものだった。
現段階で可能な範囲で結界を見渡したが非道い様相だった。綻びは至る所に目立ち、解れ、今にも虫食い穴が生まれそうなほどだ。基点の修復も芳しくはないらしい。
だがすぐ動くわけにもいくまい。今禁止エリアを離れたら間違いなく一方通行は察知し、今度こそ全力で殺しに向かってくる。
勝てるにしても、その損害は計り知れないだろう。一方通行の首輪の製作に難儀したのが思い起こされる。
どの道あの様子では少ししたら―――他の参加者を見付けたころには忘れ去っているだろう。

急く現状であるが焦る必要はない。結界崩壊の重さは主催側も承知の上だ。
魔術に依らぬ、物理的、科学的な封鎖も予め聞いている。それでも一時凌ぎだろうが、
その間にインデックス、忍野メメ、言峰綺麗、人材を総動員して止めにかかるだろう。

次世代まで消える運命の己を輪廻の輪から引き戻したあの男も―――そろそろ動く頃合いだろう。

ふと、目が止まった。首の消えた弓兵の死体、その手に赤く光るものがあるのを見えた。
アーチャーの死という事象そのものに気を取られていた上条当麻も。
首輪の回収という目的以外は眼中になかった一方通行も気付かなかったそれを、誰よりも冷静な荒耶は見つけた。
回収しようとするが、英霊といえど受肉すれば肉体は自然の法則に依るのか、
あるいは英霊の最後の一念がこの手の中を晒されることを拒んでいるのか指は動かない。仕方ないので、手首ごと砕いた。
血の海から姿を見せたのは、血の赤ですら霞む強い存在を見せる赤く輝く宝石だった。
魔術師、遠坂凛の持つ宝石。確か、アーチャーを召喚した触媒の品だったはずだ。
魔力の残量はほぼ空だ。アーチャーが固有結界の展開に使用したのだろう。
死者すら蘇らせるほどの魔力が収められた特上の礼装も、これでは金銭的な価値しかない。
使い道は無いに等しいがあるに越したことはない。捨てるという選択肢をあえて選ぶほどでもなかった。

宝石をコートのポケットに仕舞い込み、魔術師は悪鬼が去るのを待つ。ただそれは一時的な停止に過ぎない。
この矛盾した螺旋(セカイ)の果てに到達するその時まで、魔術師の歩みは永劫止まらない。





【D-6/一日目/夜】
荒耶宗蓮@空の境界】
[状態]:身体適合率(大)、身体損傷(中)、発現可能魔力多少低下、格闘戦闘力多少低下、蒼崎橙子に転身
[服装]:白のワイシャツに黒いズボン(ボロボロで埃まみれ)
[装備]:
[道具]:オレンジ色のコート、凛のペンダント(魔力残量:極小)@Fate/stay night
[思考]
基本:式を手に入れ根源へ到る。
0:一方通行が去るまで少し待つ。
1:櫓の状況を確認すべく、工房に向かう。
2:体を完全に適合させる事に専念する。
3:信長を利用し、参加者の始末をしてもらう。
4:必要最小限の範囲で障害を排除する。
5:利用できそうなものは利用する。
6:可能なら、衛宮士郎の固有結界を目覚めさせ、異界として利用する。

※B-3の安土城跡にある「荒耶宗蓮の工房」に続く道がなくなりました。扉だけが残っており先には進めません。
※D-5の政庁に「荒耶宗蓮の工房」へと続く隠し扉がありますが崩壊と共に使用不可能になりました。
※エリア間の瞬間移動も不可能となりました。
※時間の経過でも少しは力が戻ります。
※今現在、体は蒼崎橙子そのものですが、完全適合した場合に外見が元に戻るかは後の書き手にお任せします。
海原光貴(エツァリ)と情報を交換しました。
※A-7の櫓に、何かしらの異常が起きた事を察知しました。
バーサーカーを倒したのは、ルルーシュであると確信をしています。
※何か強力な武器が手に入ったら、信長に渡す約束をしています。
※信長の首輪が、爆破機能と共に盗聴機能まで失ったかは次の書き手様にお任せします。
 もしも機能が失われていない場合、主催側に会話の内容が漏れた可能性があります
※一方通行の異常に気付きました。好んで関わるつもりはありません。
※一方通行に声は聞かせていません。



【凛のペンダント@Fate/stay night】
魔術師、遠坂凛の実父、遠坂時臣が遺した強力な宝石魔術。死に瀕した人間を蘇らせるほどの魔力が篭もっていた。
凛がこれを使用してランサーに襲われて死にかけていた衛宮士郎を無理やり蘇生させた。
凛が意図してのことではないがアーチャーを召喚する際の触媒にもなってる。

アーチャーの固有結界展開時に魔力の殆どを持ってかれたため、残量は極小。


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234:でもそれって根本的な解決にはなりませんよね? 一方通行 247:疾走スル狂喜 【壹】
239:会合、魔人二人 荒耶宗蓮 247:疾走スル狂喜 【壹】


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最終更新:2010年05月07日 03:49