傷んだ赤色 ◆kALKGDcAIk
先ほど負った額の傷を治療しながらも、サーシェスの笑みは止まらない
最初に戦った
片倉小十郎。先ほど遭遇した魔女。
予想もしていなかった力を持つ奴ら。
流れる血は赤いのか。
心臓を潰せばちゃんと死ぬのか。
死ぬときはどんな表情を浮かべるのか。
憤怒か。
絶望か。
恐怖か。
後悔か。
分からないことだらけ。だからこそ面白い。
やりたいことは沢山ある。
群れる弱者を絶望に突き落とす。
驕れる強者を屈辱に陥れる。
戦争を知らぬ無垢なる民間人に殺しの味を教えるのも面白い。
ここでしか楽しめない至高の娯楽が待っている。
傷の治療を終えたサーシェスは歩き出す。
獲物を求め、選んだ方角は東だ。
この方角に意味などない。ただの勘。
だが、サーシェスは知っている。
戦場ではこういった勘だって、案外馬鹿に出来ないという事を。
待ち受ける戦争に心躍らせ、サーシェスは彷徨う。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「説明はこんなところだ。何か質問でもあるか?」
「質問って言われても、その……」
「別に一度の説明で理解出来るなど期待していない」
「ア、アンタねぇ」
魔術なんて根拠のないオカルト話だと思っていた。
アーチャーが言うには魔術にもちゃんとした理論があるらしいが、説明されてもチンプンカンプンだった。
学園にいる頃の私なら、話されたとしても本当のことだと受け入れられなかったかも知れない。
でも、こんな状況じゃどんなオカルトだって真実だって受け入れられてしまいそうだ。
「質問がないなら、もう話は終いだ。さっさと寝ろ。まだ6時までは時間がある」
「何よ、子ども扱いして。べ、別に眠くなんてないわよ」
「なら、目を瞑っているだけでいい。静かにしていろ」
「わかったわよ!でも横になるだけだから、別に寝たりしないから!」
しぶしぶ空いていたベッドに横になる。
横になっても、考えることが多くて眠れるはずなんてない。
そう思った。
あれ?何か頭がボーっとする。
……私もしかして疲れてた?
大した運動もしてないはずなんだけど。
眠くないとか言い張っちゃって、私カッコ悪いなぁ。
そんなこと考えながら、私の意識は深く沈んでいった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「強がっていても所詮は学生。無理もないか」
5分も経たずに眠りについた美琴を見て、皮肉混じりに呟く。
本来、このような殺し合いとは無縁な場所に生きる人間。
やはり、この環境が与えるストレスは本人の予想以上に精神をすり減らしたのだろう。
これから先に待ち受ける過酷さを考えれば、今眠ることは正解だ。
―――先ほどの会話。気になることがあった。
魔術の神秘は守られるべきもの。一介の学生が知らないのは当然であり、何ら驚くことではない。
しかし気になるのは、
御坂美琴という少女が超能力者であること。
話の流れで知った、学園都市という大規模な超能力開発施設。
超能力そのものはアーチャー自身も知っている。
だが己の知る超能力と齟齬がある。
そもそも、超能力とは生まれ持った才能に近いものだ。
開発という形で得られるようなものではない。
「やはり魔法か、それに近い力を持つ者がいるのは確定的か」
この殺し合いの参加者は平行世界。またはそれに類する異界から集められた。
それが御坂から得た情報からアーチャーの立てた仮説であった。
もっとも根拠は薄い。
出会った参加者は明らかに自分と同一の世界から連れてこられたと思われる
ライダーを除けば3人だけだ。
さらに他の参加者と接触しなければ核心に至ることは出来ないだろう。
さらにもう一つ。アーチャーには気になることがあった。
最初に刃を交えた黒い魔術師のことである。
奴は自分の知っている魔術師像に何ら反するものではなかった。
主催と繋がっていることが本当ならば、その目的は大体予想出来る。
根源への到達。
全ての魔術師が抱く悲願。
自身が関する聖杯戦争も、本来はこの願いを成就させるためのもの。
この殺し合いでいかに根源へと辿り着こうとしているのか。
殺し合いそのものが根源に至るための儀式に一環になっているのか。
根源に至ることが目的なのか。それともその先に望むものがあるのか
無視できない事には変わりない。
やはり情報が足りない。
今後の方針をどうするか、目的を果たすためにどのように立ち回るか。
最善の判断を下すには、
全ては、
―――
衛宮士郎という歪みを抹消する為に。
そこまで思案に至ったとき、アーチャーの思考は無意識に切り替わった。
感じる。
かつて、数多の地獄で経験してきたこの感覚。
あえて隠さず、まるで誘うように。
戦争を愛し、戦争に生きるものが醸し出す殺意だ。
「真剣な顔だな。どうした?」
いつからだろう。先ほどまで眠っていた女、
C.C.が目を覚ましていた。
「少し外に出てくる。お前はここで大人しく二度寝でもしていろ」
その言葉でC.C.も今の状況が把握できたのだろう。
「物騒な客か。確かにそういう輩はお前に任せたほうがよさそうだ。なら、お言葉に甘えてもう一眠りさせて貰うよ」
返事はせず、C.C.の視線を背中に受けながら、アーチャーは音を立てず、静かに外へ出て行った。
【E-5/市街地 一軒家/一日目/早朝】
【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:体力枯渇(小)、左の肩口に噛み傷(全て徐々に再生中)
[服装]:一部血のついた拘束服
[装備]:オレンジハロ@機動戦記ガンダム00
[道具]:なし
[思考]
基本:ルルーシュと共に、この世界から脱出。
不老不死のコードを譲渡することで自身の存在を永遠に終わらせる――?
1:外のことをアーチャーに任せる。
2:ルルーシュと合流する
3:利用出来る者は利用するが、積極的に殺し合いに乗るつもりはない
[備考]
※参戦時期は、TURN 4『逆襲 の 処刑台』からTURN 13『
過去 から の 刺客』の間。
※制限によりコードの力が弱まっています。 常人よりは多少頑丈ですが不死ではなく、再生も遅いです。
【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】
[状態]:睡眠中、腹に打撲、疲労(小)
[服装]:常盤台中学制服
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式 誰かの財布(小銭残り35枚)@???、ピザ(残り63枚)@コードギアス 反逆のルルーシュR2
[思考]
基本:人を殺したくはない。
0:睡眠中
1:
上条当麻、
白井黒子の安否が気になる。
一方通行は警戒。
※アーチャーからFate/stay nightの世界における魔術の話を聞きました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
民家の前から15m程。その男はいた。
「そっちから来てくれるとは嬉しいなぁ」
「やはり血の匂いに飢えた狂犬か」
「へっ、いいねぇ。その目、殺る気満々って感じじゃねぇか!」
雰囲気だけでサーシェスは目の前の標的が只者でないことを理解した。
相手は戦場を生き抜いてきた生粋の戦士。
「貴様のような奴には微塵の容赦もない。さっさと殺してやる」
「はっ、言ってくれるじゃねぇか!テメエもまた殺し合いのしがいがありそうだ」
アーチャー。
殺しを否定し、争いを憎み、それ故に戦場に身を置いた男。
人々を救おうとし、その先に絶望に辿り着いた男。
地獄と化した地で惨状がそれ以上広がらぬようその場にいた者達を切り捨てる掃除屋。
アリー・アル・サーシェス。
殺しを肯定し、争いを愛し、それ故に戦場に身を置いた男。
人々を虐殺し、その先に快楽を見出した男。
戦いの主義主張には一切興味が無く、ただ金と戦場のスリルを求めて動く戦争屋。
戦場における人の業を理解しつくしている二人。
故にお互いを深く理解し、故に決して分かり合えない。
サーシェスは無言でガトリングガンを構える。
「――――投影、開始」
対してアーチャーの得物は愛用の夫婦剣、干将・莫耶。
戦場にて生と死を見続けてきた男達の戦いが始まる。
【E-5/市街地 一軒家前/一日目/早朝】
【アーチャー@Fate/stay night】
[状態]:健康 魔力消費(小)
[服装]:赤い外套、黒い服
[装備]:干将・莫耶@Fate/stay night×1(2時間後に消滅)
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×3
[思考]
基本:過去の改竄。エミヤシロウという歪みを糺し、自分という存在を抹消する
1:アリー・アル・サーシェスを殺す
2:情報を集めつつ、士郎を捜し出し、殺害する
3:士郎を殺害するために、その時点における最も適した行動を取る
4:荒耶に対し敵意
[備考]
※参戦時期は衛宮士郎と同じ第12話『空を裂く』の直後から
※凛の令呪の効果は途切れています
※参加者は平行世界。またはそれに類する異界から集められたと考えています。
【アリー・アル・サーシェス@機動戦士ガンダムOO】
[状態]:疲労(小)、腹部に打撲の痣、額より軽い出血(止血済み)。
[服装]:パイロットスーツ
[装備]:ガトリングガン@戦国BASARA 残弾数75% 信長のショットガン@戦国BASARA 8/8 果物ナイフ@現実 作業用ドライバー数本@現実
[道具]:基本支給品一式、 ガトリングガンの予備弾装(3回分) ショットガンの予備弾丸×78 文化包丁@現実
[思考]
1:アーチャーを殺す。
2:この戦争を勝ち上がり、帝愛を雇い主にする。
3:周辺を見て回る
4:殺し合いをより楽しむ為に強力な武器を手に入れる。
5:片倉小十郎との決着をいずれつける。
【備考】
※第九話、刹那達との交戦後からの参戦です。
※G-5にナイフ@空の境界が落ちています。
※ガトリングガンは予備弾装とセットで支給されていました。
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最終更新:2010年01月22日 23:49