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勝利すべき黄金の剣 - (2006/12/12 (火) 19:02:00) の1つ前との変更点
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**勝利すべき黄金の剣 ◆/XG/ITgUpI
「聖杯を求めて契約したはずが、このような場所に呼ばれるとは」
映画館の屋根の上。青いドレスに白銀の鎧を纏った小柄な少女、セイバーは思わず呟いていた。
その表情は、暗い。
彼女の正体は王――伝説に謳われるアーサー王。国を滅ぼしてしまった自分の愚かさを嘆き、
絶望し、自分よりも上手く国を統治できる新たな王に選定の剣を抜かせるため……過去を改竄する
ためにあらゆる願いを叶えることのできる聖杯を求めた。そのために彼女は世界と契約し、色んな
時代、色んな世界への召還に応じている。そのため、聖杯という言葉が欠片も存在しないここに召
還されるのは少々意外ではあった。だが。
「願いが叶うという点では変わりない……
そういう点では、呼ばれるのは当然の出来事かもしれませんが」
そう、いかなる手段であろうと願いが叶うのには違いない。
ならば……過去の改竄を求め、セイバーは戦うしかない。
――もっとも。嫌な気持ちがあるのも確かだ。
この戦争の主催者と話していた子供。それは、明らかにただの子供だった。例え子供であろうと、
戦意があるのならそれは戦士である。だが、あの子供に戦意があるとはとても思えなかった。もし、
この戦争には戦意がない者も大量に紛れ込んでいるとすれば?戦意がない者は戦士ではない……
騎士王の名を冠する彼女としては、そのような相手を殺すことは躊躇わざるを得なかった。
「……それでも、私の行いで民が救えるのなら」
迷いを振り切るかのように、セイバーは剣を握る。
罪ならば既に重ねている。衛宮切嗣をマスターとして挑んだ前回の聖杯戦争。彼は勝つためには
手段を選ばない男だった。もちろん、彼のやり方によって被害は小さく済んだという事も多々ある。
だが、被害を小さくするためでも彼が人を殺していったのも事実だった。当然、そのサーヴァント
であったセイバーの手も既に汚れていよう。だから。
「失われたはずの私の剣よ。騎士道にまた背く私に絶望するかもしれない。
だが……せめて、最後まで共に戦い抜いてくれ。我が民のために」
彼女は、戦うと決めた。
その手にあるのはカリバーン。かつて騎士道に悖る行為をしたアーサー王を見捨てて、折れた剣。
なぜ失われたはずのこの剣があるのかはわからない。だが、ギガゾンビなる男がこの剣をわざわざ
渡した理由はセイバーにはわかった……皮肉だ。王の選定に使われる騎士の象徴たる聖剣で無辜の
人間を殺していく。これ以上の皮肉があろうか。
それでも……そうと分かっていても、セイバーは願いを叶えたかった。
「せめて……戦士でない者が私の前に現れないよう願いましょう」
目を瞑る。それは、ささやかな祈りのようだった。それとも、これから殺していくだろう人々へ
の謝罪か。
もし彼女がある場所、ある時代に召還されてからここに来たのなら、彼女は願いを叶えるために
……やり直しを求めるために戦うことなどないのだ。だが、今の彼女には知る由もない。
鞘を見つけることのできないまま、黄金の聖剣は返り血に染まる。
【B-4映画館・1日目 深夜】
【セイバー@Fate/ Stay night】
[状態]:健康
[装備]:カリバーン
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 優勝し、王の選定をやり直させてもらう
*時系列順で読む
Back:[[失われた時を求めて]] Next:[[海より深い父の愛]]
*投下順で読む
Back:[[失われた時を求めて]] Next:[[海より深い父の愛]]
**勝利すべき黄金の剣 ◆/XG/ITgUpI
「聖杯を求めて契約したはずが、このような場所に呼ばれるとは」
映画館の屋根の上。青いドレスに白銀の鎧を纏った小柄な少女、セイバーは思わず呟いていた。
その表情は、暗い。
彼女の正体は王――伝説に謳われるアーサー王。国を滅ぼしてしまった自分の愚かさを嘆き、
絶望し、自分よりも上手く国を統治できる新たな王に選定の剣を抜かせるため……過去を改竄する
ためにあらゆる願いを叶えることのできる聖杯を求めた。そのために彼女は世界と契約し、色んな
時代、色んな世界への召還に応じている。そのため、聖杯という言葉が欠片も存在しないここに召
還されるのは少々意外ではあった。だが。
「願いが叶うという点では変わりない……
そういう点では、呼ばれるのは当然の出来事かもしれませんが」
そう、いかなる手段であろうと願いが叶うのには違いない。
ならば……過去の改竄を求め、セイバーは戦うしかない。
――もっとも。嫌な気持ちがあるのも確かだ。
この戦争の主催者と話していた子供。それは、明らかにただの子供だった。例え子供であろうと、
戦意があるのならそれは戦士である。だが、あの子供に戦意があるとはとても思えなかった。もし、
この戦争には戦意がない者も大量に紛れ込んでいるとすれば?戦意がない者は戦士ではない……
騎士王の名を冠する彼女としては、そのような相手を殺すことは躊躇わざるを得なかった。
「……それでも、私の行いで民が救えるのなら」
迷いを振り切るかのように、セイバーは剣を握る。
罪ならば既に重ねている。衛宮切嗣をマスターとして挑んだ前回の聖杯戦争。彼は勝つためには
手段を選ばない男だった。もちろん、彼のやり方によって被害は小さく済んだという事も多々ある。
だが、被害を小さくするためでも彼が人を殺していったのも事実だった。当然、そのサーヴァント
であったセイバーの手も既に汚れていよう。だから。
「失われたはずの私の剣よ。騎士道にまた背く私に絶望するかもしれない。
だが……せめて、最後まで共に戦い抜いてくれ。我が民のために」
彼女は、戦うと決めた。
その手にあるのはカリバーン。かつて騎士道に悖る行為をしたアーサー王を見捨てて、折れた剣。
なぜ失われたはずのこの剣があるのかはわからない。だが、ギガゾンビなる男がこの剣をわざわざ
渡した理由はセイバーにはわかった……皮肉だ。王の選定に使われる騎士の象徴たる聖剣で無辜の
人間を殺していく。これ以上の皮肉があろうか。
それでも……そうと分かっていても、セイバーは願いを叶えたかった。
「せめて……戦士でない者が私の前に現れないよう願いましょう」
目を瞑る。それは、ささやかな祈りのようだった。それとも、これから殺していくだろう人々へ
の謝罪か。
もし彼女がある場所、ある時代に召還されてからここに来たのなら、彼女は願いを叶えるために
……やり直しを求めるために戦うことなどないのだ。だが、今の彼女には知る由もない。
鞘を見つけることのできないまま、黄金の聖剣は返り血に染まる。
【B-4映画館・1日目 深夜】
【セイバー@Fate/ Stay night】
[状態]:健康
[装備]:カリバーン
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 優勝し、王の選定をやり直させてもらう
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