有機生命体の耐久度調査◆Bj..N9O6jQ
「うん、予想通り。
防波堤から歩いてきたわね、二人。
防波堤を橋代わりとして使う人物はいると思ったのは当たりね。
組んでるってことは、殺し合いにそれほど積極的じゃない……
でもさっき、何か爆発が起こってたわよね。
じゃ、そういうことができる武器を持ってるかもしれない。
そしたら、正面から立ち向かうのは危険よね。うん危険。
ちょっと策を練らなくちゃ。
統合思念体に連絡が取れない以上、前準備は大切よね」
防波堤から歩いてきたわね、二人。
防波堤を橋代わりとして使う人物はいると思ったのは当たりね。
組んでるってことは、殺し合いにそれほど積極的じゃない……
でもさっき、何か爆発が起こってたわよね。
じゃ、そういうことができる武器を持ってるかもしれない。
そしたら、正面から立ち向かうのは危険よね。うん危険。
ちょっと策を練らなくちゃ。
統合思念体に連絡が取れない以上、前準備は大切よね」
「……ハクオロさん、でしたっけ?」
防波堤からやっと途切れたその先は、木や雑草が生い茂っている森だった。
防波堤ではまた襲撃に遭った時に海に落とされる危険性があるため、
まず陸に上がることに決めて情報交換は歩きながら行っていた才人だが、
どうしても気にならずにはいられないことがあった。
防波堤ではまた襲撃に遭った時に海に落とされる危険性があるため、
まず陸に上がることに決めて情報交換は歩きながら行っていた才人だが、
どうしても気にならずにはいられないことがあった。
「私の仮面が気になったか?」
「まあ、それもありますけど……なんで腕を持ってこさせたんですか?」
「まあ、それもありますけど……なんで腕を持ってこさせたんですか?」
そう。ハクオロはなぜかさっきの男の腕を才人のデイパックに入れさせていた。
斬った当人である才人も、さすがに先が無い腕なんて持ち歩く趣味は無い。
猟奇的な連続殺人犯でもあるまいし。
気持ちを理解したか、ハクオロは頷きながら説明した。
斬った当人である才人も、さすがに先が無い腕なんて持ち歩く趣味は無い。
猟奇的な連続殺人犯でもあるまいし。
気持ちを理解したか、ハクオロは頷きながら説明した。
「もしあの男がまた襲ってきた場合、交渉材料に使えないか、と」
「え?」
「いくらなんでも、腕がくっつけられると聞いては黙ってはいられないだろう?
そして、腕を持つならくっつけられる道具を持っている者の方がいい。
いらない物で実演できる」
「え?」
「いくらなんでも、腕がくっつけられると聞いては黙ってはいられないだろう?
そして、腕を持つならくっつけられる道具を持っている者の方がいい。
いらない物で実演できる」
つまり、こういうことだ。
もしまた襲ってきた場合……腕が簡単にくっつけられる旨を説明してやる。
そして襲ってきたらこの腕を捨ててやるぞ、
くっつける道具を捨ててやるぞとでも言えばいいわけだ。
例え腕を諦めるにせよ信じないにせよ、少なくとも隙ぐらいは生まれるだろう。
ハクオロの説明を受けた才人は思わず感心していたが……
もしまた襲ってきた場合……腕が簡単にくっつけられる旨を説明してやる。
そして襲ってきたらこの腕を捨ててやるぞ、
くっつける道具を捨ててやるぞとでも言えばいいわけだ。
例え腕を諦めるにせよ信じないにせよ、少なくとも隙ぐらいは生まれるだろう。
ハクオロの説明を受けた才人は思わず感心していたが……
「でもなぁ……」
感心しても、自分の荷物の中に腕があるというのはやはりよろしい気分ではない。
もっとも、ハクオロとしてもそれは分かりきっている。それでも。
もっとも、ハクオロとしてもそれは分かりきっている。それでも。
「だがこの森の中だ、また遭遇するかもしれない。
それにお互い探し人がいる、襲われている状況で再会するとも限らないだろう」
「そうですね……」
長期的に見れば、有益になる可能性もあるのだ。
才人はふとルイズやタバサがあの男に襲われている様子を思い浮かべて、
慌てて頭からその考えを振り払った。
自分からわざわざ最悪の光景を思い浮かべたくはない。
それにお互い探し人がいる、襲われている状況で再会するとも限らないだろう」
「そうですね……」
長期的に見れば、有益になる可能性もあるのだ。
才人はふとルイズやタバサがあの男に襲われている様子を思い浮かべて、
慌てて頭からその考えを振り払った。
自分からわざわざ最悪の光景を思い浮かべたくはない。
……そんなことをしていたからだろう。
「どうやら、違う者に遭遇したようだ」
「!?」
「!?」
隠れた人物に気付けなかったのは。
慌ててハクオロの視線を追った才人は、木の陰に誰かが隠れているのに気付いた。
ただ……先ほどの男でないのは確かだ。
青い長髪が風で流れているし、スカートらしき物も見えている。
慌ててハクオロの視線を追った才人は、木の陰に誰かが隠れているのに気付いた。
ただ……先ほどの男でないのは確かだ。
青い長髪が風で流れているし、スカートらしき物も見えている。
(もしかして、女の子か? こんな場所じゃ怖がるのも当然だ)
「とりあえず、出てきたら? やる気はないし……」
おずおず、といった声で才人は呼びかけた。
できるだけ不審人物でなさそうに聞いたつもりだが、
正直ハクオロの格好は不審人物だと才人は思っていたりもした。
まだあまり事情を聞いていないのに失礼な評価かもしれないが。
できるだけ不審人物でなさそうに聞いたつもりだが、
正直ハクオロの格好は不審人物だと才人は思っていたりもした。
まだあまり事情を聞いていないのに失礼な評価かもしれないが。
「……ふむ」
「あ」
「あ」
出てきたのは、まず間違いなく美少女と呼べる部類に入る女の子だった。
だが何よりもまず才人が驚いたのは……彼女の服。
もしかすると……
だが何よりもまず才人が驚いたのは……彼女の服。
もしかすると……
「……もしかして、日本人?」
「? なんでそんなことを聞くのかしら?」
「いいから。名前は?」
「……長門有希」
「やっぱり」
「? なんでそんなことを聞くのかしら?」
「いいから。名前は?」
「……長門有希」
「やっぱり」
間違いなかった。彼女は「才人の」世界の人間だ。
言い知れない気持ちが心に溢れる。望郷とか、そういった気持ち。
思わず才人は安心していた。日本人なら、平和慣れしているから大丈夫だ。
だが……長門と名乗った女の子は才人達を信用していないらしい。
お愛想笑いのような、ぎこちない笑みを浮かべている。
その表情が多少気になったのか、ハクオロが疑問げな表情を浮かべて質問した。
言い知れない気持ちが心に溢れる。望郷とか、そういった気持ち。
思わず才人は安心していた。日本人なら、平和慣れしているから大丈夫だ。
だが……長門と名乗った女の子は才人達を信用していないらしい。
お愛想笑いのような、ぎこちない笑みを浮かべている。
その表情が多少気になったのか、ハクオロが疑問げな表情を浮かべて質問した。
「そんな顔をされる理由は無いのだが」
「仮面を着けてるから、どう反応すればいいか分からないのかも……」
「……これは、一応事情がある」
「仮面を着けてるから、どう反応すればいいか分からないのかも……」
「……これは、一応事情がある」
脇から答えた才人の言葉に、ハクオロは苦笑するしかない。
もっとも、一応これは才人なりの気遣いである。
彼女が才人の世界から来たなら、仮面を着けた人物は思いっきり不審人物の部類に入る。
あの子が言いづらいならこっちから言ってあげた方がいい、
そう推測して才人は言ったのだが……女の子ははっきりと通る声で。
もっとも、一応これは才人なりの気遣いである。
彼女が才人の世界から来たなら、仮面を着けた人物は思いっきり不審人物の部類に入る。
あの子が言いづらいならこっちから言ってあげた方がいい、
そう推測して才人は言ったのだが……女の子ははっきりと通る声で。
「腕、持ってたわよね」
と告げた。
「あ……」
「む」
「む」
才人とハクオロは思わず言葉に詰まる。
なるほど、斬った腕を持ち歩く様子を見れば信用などしたくなくなるのも当然だろう。
もっとも……同じ言葉に詰まった状態でも、考えていることはまるで違っていた。
ハクオロは将来的に、これを広められることにより自分達が危険人物扱いされないかと。
才人は今、なんとかして信用を得て元の世界の話を聞けないかと。
それでも一応、二人が導き出した「今行うべきこと」は一致していた。
言い訳だ。
なるほど、斬った腕を持ち歩く様子を見れば信用などしたくなくなるのも当然だろう。
もっとも……同じ言葉に詰まった状態でも、考えていることはまるで違っていた。
ハクオロは将来的に、これを広められることにより自分達が危険人物扱いされないかと。
才人は今、なんとかして信用を得て元の世界の話を聞けないかと。
それでも一応、二人が導き出した「今行うべきこと」は一致していた。
言い訳だ。
「私は襲撃されていた才人殿を助けただけなのだが。
……まあ、危険な目には遭わせてしまったがね」
「俺も、正当防衛だし……それに、この剣は斬っても大丈夫なんだ」
「?」
「ああ、えっと……斬っても痛くないし、くっつける手段がある」
……まあ、危険な目には遭わせてしまったがね」
「俺も、正当防衛だし……それに、この剣は斬っても大丈夫なんだ」
「?」
「ああ、えっと……斬っても痛くないし、くっつける手段がある」
女の子は明らかに疑いの目を向けている。当然といえば当然か。
しばらく後。
しばらく後。
「じゃあ、実演して」
「う」
「……才人殿、そこまではしない方がいい」
「う」
「……才人殿、そこまではしない方がいい」
こんな事を才人は言われた。……さすがにそれは嫌だ。
自分で自分を斬る趣味も才人にはない。ハクオロに警告されなくてもやらない。
かといって、懐かしい世界の住人と少し話がしてみたいのも事実だった。
躊躇っていると、女の子は地面から木の枝を拾い上げて、
自分で自分を斬る趣味も才人にはない。ハクオロに警告されなくてもやらない。
かといって、懐かしい世界の住人と少し話がしてみたいのも事実だった。
躊躇っていると、女の子は地面から木の枝を拾い上げて、
「これ、切って」
「……ああ、それくらいなら」
「……?」
「……ああ、それくらいなら」
「……?」
別に問題は無い。ただ……こんなに細い木の枝はくっつくんだろうか?
さすがに気になったが、くっつかなかったらその辺の木でも切るか。
何か引っかかっているような目のハクオロを気にせずに、
才人は木の枝を受け取ろうと女の子の手前まで行って。
さすがに気になったが、くっつかなかったらその辺の木でも切るか。
何か引っかかっているような目のハクオロを気にせずに、
才人は木の枝を受け取ろうと女の子の手前まで行って。
「えいっ」
「……え?」
「……え?」
視界が、赤く染まった。
「っああああああああああああああ!」
才人とかいう男の子が絶叫する。有機生命体はやっぱり脆い。
左目に木の枝が突き刺さるくらいで絶叫するなんて。
虹彩に水晶体や角膜が貫かれただけで、視神経や脳は無事じゃない。
長門さんは全身を貫かれても平気だったし、
キョンくんは奇襲でもちゃんと対応できたのにね♪
この木の枝はあらかじめ構成因子を変えておくことで鋭さを増した特別製。
以前長門さんに放った、椅子から生み出した槍と原理は同じ。
結構時間をかけたのに、出来はそれより劣っちゃっているけどね。
左目に木の枝が突き刺さるくらいで絶叫するなんて。
虹彩に水晶体や角膜が貫かれただけで、視神経や脳は無事じゃない。
長門さんは全身を貫かれても平気だったし、
キョンくんは奇襲でもちゃんと対応できたのにね♪
この木の枝はあらかじめ構成因子を変えておくことで鋭さを増した特別製。
以前長門さんに放った、椅子から生み出した槍と原理は同じ。
結構時間をかけたのに、出来はそれより劣っちゃっているけどね。
「貰うわね、これ」
「待て!」
「待て!」
仮面の男が刀を向ける。だが、間に合うはずも無い、間に合わせない。
男の子の剣を奪い取ってその右腕ごとデイバックの紐を断つ。
へえ、本当に血が出ないんだ。まあ、それに驚くのは後でいいかな。
相手はまだ私をただの有機生命体の女の子だと思っているはず、そこが付け目。
剣で荷物を引っ掛けながらもう片方の腕で軽々と男の子を持ち上げて。
男の子の剣を奪い取ってその右腕ごとデイバックの紐を断つ。
へえ、本当に血が出ないんだ。まあ、それに驚くのは後でいいかな。
相手はまだ私をただの有機生命体の女の子だと思っているはず、そこが付け目。
剣で荷物を引っ掛けながらもう片方の腕で軽々と男の子を持ち上げて。
「なっ!?」
「……くす」
「……くす」
男の子を盾にして刀を受ける。呆然とする仮面の男。
あーあ、痙攣してる。これは死んじゃったかな?心臓に刺さってるし。
もっとも私はそんなこと構わない。男の子のお腹を蹴飛ばした。
より深く心臓に刀が刺さり、勢いを付けられた死体が仮面の男と縺れ合って倒れ込む。
当然、見逃さない。
あーあ、痙攣してる。これは死んじゃったかな?心臓に刺さってるし。
もっとも私はそんなこと構わない。男の子のお腹を蹴飛ばした。
より深く心臓に刀が刺さり、勢いを付けられた死体が仮面の男と縺れ合って倒れ込む。
当然、見逃さない。
「じゃあ、死んで♪」
剣ですっぱりと、男の子ごと仮面の男の首を切り落とす。
もっとも、血は出ていない。痛みも無いんだろう。右腕を切った時にそれは理解できた。
だから、とどめを刺すべく首をサッカボールのように蹴飛ばした。
見事な軌道を描いて生首は海に着水。
念のため、海辺に行って様子を見届ける。
首が発していたんだろう泡もそのうち出なくなった。
もっとも、血は出ていない。痛みも無いんだろう。右腕を切った時にそれは理解できた。
だから、とどめを刺すべく首をサッカボールのように蹴飛ばした。
見事な軌道を描いて生首は海に着水。
念のため、海辺に行って様子を見届ける。
首が発していたんだろう泡もそのうち出なくなった。
「……簡単ね」
まさしく最高の結果だ。あっさり二人を殺せたし、それに。
「この剣は意外と使えそうね♪」
そう、いい物を手に入れた。この剣なら脅しに最適だ。
腕を切り落とし、返して欲しかったら人を殺せと言えばいい。
まさにうってつけ。私向け。
腕を切り落とし、返して欲しかったら人を殺せと言えばいい。
まさにうってつけ。私向け。
「いっそ、SOS団員の五体をバラバラにして涼宮ハルヒに見せるのもいいかもね」
考えただけで心が躍る。
もしまだ生きているキョンくんの首を……文字通り生首を見せたら?
涼宮ハルヒはどんなリアクションをするだろう、楽しみだ。
もしまだ生きているキョンくんの首を……文字通り生首を見せたら?
涼宮ハルヒはどんなリアクションをするだろう、楽しみだ。
【H-2森 1日目 黎明】
【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:少し疲労
[装備]: チャンバラ刀@ドラえもん、SOS団腕章『団長』@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:荷物三人分、弓矢(矢の残数10本)@うたわれるもの
チャンバラ刀専用のり@ドラえもん、オボロの刀(1本)@うたわれるもの
アヴァロン@Fate/Stay night、アーチャーの腕@Fate/Stay night
[思考・状況]1:出会った参加者の四肢を奪い、言う事を聞かせる。
2:それができない参加者は躊躇なく殺していく。
3:キョンを殺して涼宮ハルヒの出方を見る。
4:SOS団の四肢を奪い、涼宮ハルヒに見せる。できれば生首がいい。
5:人数を減らしていく上で、世界と涼宮ハルヒにどんな変化が起こるかを観察する。
6:3、4、5を実行するため、涼宮ハルヒの居場所だけでも特定したい。
【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:少し疲労
[装備]: チャンバラ刀@ドラえもん、SOS団腕章『団長』@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:荷物三人分、弓矢(矢の残数10本)@うたわれるもの
チャンバラ刀専用のり@ドラえもん、オボロの刀(1本)@うたわれるもの
アヴァロン@Fate/Stay night、アーチャーの腕@Fate/Stay night
[思考・状況]1:出会った参加者の四肢を奪い、言う事を聞かせる。
2:それができない参加者は躊躇なく殺していく。
3:キョンを殺して涼宮ハルヒの出方を見る。
4:SOS団の四肢を奪い、涼宮ハルヒに見せる。できれば生首がいい。
5:人数を減らしていく上で、世界と涼宮ハルヒにどんな変化が起こるかを観察する。
6:3、4、5を実行するため、涼宮ハルヒの居場所だけでも特定したい。
※チャンバラ刀とのり
未来の子供がちゃんばらごっこに使う道具
実際に斬れるが血は出なく、専用のりでくっつけると治る
未来の子供がちゃんばらごっこに使う道具
実際に斬れるが血は出なく、専用のりでくっつけると治る
【ハクオロ@うたわれるもの 死亡】
【平賀才人@ゼロの使い魔 死亡】
[残り72人]
【平賀才人@ゼロの使い魔 死亡】
[残り72人]
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46:弓兵と使い魔、そして皇 | ハクオロ | |
46:弓兵と使い魔、そして皇 | 平賀才人 | |
24:「うん、それ無理」 | 朝倉涼子 | 58:首二つ |