アニメキャラ・バトルロワイアル @ Wiki内検索 / 「【薄暗い劇場の中で】」で検索した結果
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【薄暗い劇場の中で】
【薄暗い劇場の中で】 ◆S8pgx99zVs 破壊されたショーウィンドウ。ひび割れたアスファルト。へし折れた街灯。 血をぶちまけた様な色の夕日に染められたその光景は見る者に地獄を思わせた。 そこを一台の軍用トラックが北へと進路を向けゆっくりとしたスピードで走っている。 フロントガラスの向こうに見えるその風景に運転席のトグサは緊張を高める。 市街中央から病院へと向かった道とは打って変わって、そこから先はバッファローの群れが 通り過ぎたかと思うような酷い有様だった。 ――また選択を誤ってしまったのか?彼の頭にそんな考えが過ぎる。 知らず知らずの内に猛獣の住処へと入り込んでしまっているのではないかと。 先刻出会った男――次元大介からの情報だと、この先にいて脅威になる相手は佐々木小次郎 という侍風の男だけのはずで、しかもそいつは自分達には興味を持... -
第三回放送
...で読む Back 【薄暗い劇場の中で】 Next 強者の資格たる欠損 投下順で読む Back 【薄暗い劇場の中で】 Next 強者の資格たる欠損 -
【デジモンアドベンチャー】
...wAtQE 203 【薄暗い劇場の中で】 ◆S8pgx99zVs (217) 以心電信 ◆lbhhgwAtQE 218 I believe you ◆lbhhgwAtQE 222 【団員の家出/映画監督の憤慨】 ◆TIZOS1Jprc 231 SOS団新生 ◆WwHdPG9VGI 234 峰不二子の暴走Ⅰ峰不二子の暴走Ⅱ ◆LXe12sNRSs 245 峰不二子の陰謀 ◆q/26xrKjWg -
◆S8pgx99zVs 氏
... 【黒禍】 203 【薄暗い劇場の中で】 206 【背中で泣いてる 男の美学】 212 正義×正義 235 孤城の主(前編) 235 孤城の主(中編) 235 孤城の主(後編) 247 Keep the tune delectable 254 Macabre in muddled rabbithutch(前編) 254 Macabre in muddled rabbithutch(後編) 259 tribute 274 陽が昇る(前編) 274 陽が昇る(後編) 293 陽が落ちる(1) 293 陽が落ちる(2) 293 陽が落ちる(3) 293 陽が落ちる(4) 293 陽が落ちる(5) 298 GAMEOVER(1) 298 GAMEOVER(2) 298 GAMEOVER(3) 298 GAMEOVER(4) 298 GAMEOVER(5) 作品に寄せられたコメント MAP・... -
「何人たりとも俺は止められない!」/「まぁ、速い」
...く生きて Next 【薄暗い劇場の中で】 投下順で読む Back 上手くズルく生きて Next 【薄暗い劇場の中で】 180 Wind ~a breath of cure~ 鳳凰寺風 214 「ゴイスーな――」 -
【涼宮ハルヒの憂鬱】
...wAtQE 203 【薄暗い劇場の中で】 ◆S8pgx99zVs (217) 以心電信 ◆lbhhgwAtQE 218 I believe you ◆lbhhgwAtQE 222 【団員の家出/映画監督の憤慨】 ◆TIZOS1Jprc 231 SOS団新生 ◆WwHdPG9VGI 234 峰不二子の暴走Ⅰ峰不二子の暴走Ⅱ ◆LXe12sNRSs 242 POLLUTION(前編)POLLUTION(後編) ◆B0yhIEaBOI 251 人形裁判 ~ 人の形弄びし少女過去の罪は長く尾を引く ◆2kGkudiwr6 253 ひめられたもの(1)ひめられたもの(2)ひめられたもの(3)ひめられたもの(4) ◆WwHdPG9VGI 254 Macabre in muddled rabbithutch(前編)Macabre in muddled rabbithutch(後編) ◆S8pgx9... -
【攻殻機動隊S.A.C】
...wAtQE 203 【薄暗い劇場の中で】 ◆S8pgx99zVs (217) 以心電信 ◆lbhhgwAtQE 218 I believe you ◆lbhhgwAtQE 222 【団員の家出/映画監督の憤慨】 ◆TIZOS1Jprc 235 孤城の主(前編)孤城の主(中編)孤城の主(後編) ◆S8pgx99zVs 245 峰不二子の陰謀 ◆q/26xrKjWg 248 「選んだら進め。進み続けろ」 ◆LXe12sNRSs 257 プリズムライト(前編)プリズムライト(後編) ◆B0yhIEaBOI 264 SECRET AMBITION正義の味方Ⅲ ◆2kGkudiwr6 270 FATE ◆lbhhgwAtQE 273 銃撃女ラジカルレヴィさん(前編)銃撃女ラジカルレヴィさん(後編) ◆2kGkudiwr6 274 陽が昇る(前編)陽が昇る(後編) ◆S8pgx99zVs 27... -
【涼宮ハルヒの憂鬱、ドラえもん、スクライド、ひぐらしのなく頃に】
...陽にさらして203 【薄暗い劇場の中で】(217 以心電信)218 I believe you222 【団員の家出/映画監督の憤慨】231 SOS団新生 14(17) 長門有希 27 Fact or Fiction?65 長門有希の報告98 罪悪感とノイズの交錯105 I wish121 仕事125 D-3ブリッヂの死闘137 正義の味方145 正義の味方Ⅱ180 Wind ~a breath of cure~187 「救いのヒーロー」(前編)187 「救いのヒーロー」(後編)197 孤独な笑みを夕陽にさらして203 【薄暗い劇場の中で】(217 以心電信)218 I believe you222 【団員の家出/映画監督の憤慨】 15(16) 朝比奈みくる 21 闇に包まれた未来43 不思議の国のバトー99 「きゃっほう」/「禁則事項です」/「いってらっしゃい」106 Ground ... -
【デジモンアドベンチャー、OVERMAN キングゲイナー、BLOOD+、MASTERキートン】
...陽にさらして203 【薄暗い劇場の中で】(217 以心電信)218 I believe you222 【団員の家出/映画監督の憤慨】231 SOS団新生 17(18) 【OVERMAN キングゲイナー】 名前 登場話 登場回数 ゲイナー・サンガ 13 北方の少年と南方の娘76 「夢を見ていました」117 Salamander (山椒魚)153 「借りは返す」166 ゴーゴーメガネ! ゲイナーくん189 鉄の鎧纏った僕を動かしてく Going on207 「ゼロのルイズ」(前編)207 「ゼロのルイズ」(後編)215 なまえをよんで Make a Little Wish(前編)215 なまえをよんで Make a Little Wish(後編)219 転んだり迷ったりするけれど 11 ゲイン・ビジョウ 42 請負人87 雨は未だ止まず112 くじけそうになったら涙を139 恋のミ... -
【うたわれるもの】
...wAtQE 203 【薄暗い劇場の中で】 ◆S8pgx99zVs (217) 以心電信 ◆lbhhgwAtQE 218 I believe you ◆lbhhgwAtQE 222 【団員の家出/映画監督の憤慨】 ◆TIZOS1Jprc 231 SOS団新生 ◆WwHdPG9VGI 234 峰不二子の暴走Ⅰ峰不二子の暴走Ⅱ ◆LXe12sNRSs 242 POLLUTION(前編)POLLUTION(後編) ◆B0yhIEaBOI カルラ 3 21 闇に包まれた未来 ◆pKH1mSw/N6 41 経験過多、経験不足 ◆Bj..N9O6jQ 59 「友達だ」 ◆LXe12sNRSs トウカ 23 (24) 10 普通の人間にしか興味はない ◆FbVNUaeKtI 52 「某としたことが……」 ◆LXe12sNRSs 75 洗濯⇔選択 ◆FbVNUaeKtI 100 王様の剣 ... -
孤独な笑みを夕陽にさらして
...) トグサ 203 【薄暗い劇場の中で】 187 「救いのヒーロー」(後編) 石田ヤマト 203 【薄暗い劇場の中で】 187 「救いのヒーロー」(後編) 涼宮ハルヒ 203 【薄暗い劇場の中で】 187 「救いのヒーロー」(後編) 長門有希 203 【薄暗い劇場の中で】 187 「救いのヒーロー」(後編) アルルゥ 203 【薄暗い劇場の中で】 -
第三回放送までの本編SS
... 鳳凰寺風 203 【薄暗い劇場の中で】 ◆S8pgx99zVs 氏 トグサ、石田ヤマト、涼宮ハルヒ、長門有希、アルルゥ 【第三回放送】 NO. タイトル 作者 登場人物 204 第三回放送 ◆q/26xrKjWg 氏 ギガゾンビ -
I believe you
...ど 203 【薄暗い劇場の中で】 トグサ 222 【団員の家出/映画監督の憤慨】 203 【薄暗い劇場の中で】 石田ヤマト 222 【団員の家出/映画監督の憤慨】 203 【薄暗い劇場の中で】 涼宮ハルヒ 222 【団員の家出/映画監督の憤慨】 203 【薄暗い劇場の中で】 長門有希 222 【団員の家出/映画監督の憤慨】 203 【薄暗い劇場の中で】 アルルゥ 222 【団員の家出/映画監督の憤慨】 -
201~250
... 鳳凰寺風 203 【薄暗い劇場の中で】 ◆S8pgx99zVs トグサ、石田ヤマト、涼宮ハルヒ、長門有希、アルルゥ 204 第三回放送 ◆q/26xrKjWg ギガゾンビ 205 強者の資格たる欠損 ◆pIrIQ8gGz. 佐々木小次郎 206 【背中で泣いてる 男の美学】 ◆S8pgx99zVs 次元大介 207 「ゼロのルイズ」(前編)「ゼロのルイズ」(後編) ◆LXe12sNRSs ルイズ、高町なのは、キャスカ、ゲイン・ビジョウ、野原みさえ、翠星石、アーカード、園崎魅音、獅堂光、フェイト・T・ハラオウン、タチコマ、ゲイナー・サンガ、ストレイト・クーガー、セラス・ヴィクトリア、ガッツ 208 最悪の/最高の脚本 ◆lbhhgwAtQE 八神太一、ドラえもん、野比のび太、カズマ、遠坂凛、水銀燈 209 苦労人 ◆/1XIgPEeCM 剛田武、キョン、トウカ 210 永... -
【攻殻機動隊S.A.C、ゼロの使い魔、魔法騎士レイアース、ベルセルク】
...陽にさらして203 【薄暗い劇場の中で】(217 以心電信)218 I believe you222 【団員の家出/映画監督の憤慨】 13(14) タチコマ 34 STALKER70 人ならざるもの達の午前 Water Requiem78 死と少女と110 -目的- -選択- -未来-113 触らぬタチコマに祟り無し Flying tank159 黒い死神、赤いあくま、そして銀の殺人人形165 Boys don t cry173 ぶっ飛ばせ! レヴェッカさん189 鉄の鎧纏った僕を動かしてく Going on207 「ゼロのルイズ」(前編)207 「ゼロのルイズ」(後編)215 なまえをよんで Make a Little Wish(前編)215 なまえをよんで Make a Little Wish(後編) 13 【ゼロの使い魔】 名前 登場話 登場回数 平賀才人 46 弓兵と使... -
【Fate/stay night、BLACK LAGOON、うたわれるもの、HELLSING】
...陽にさらして203 【薄暗い劇場の中で】(217 以心電信)218 I believe you222 【団員の家出/映画監督の憤慨】231 SOS団新生 14(15) カルラ 21 闇に包まれた未来41 経験過多、経験不足59 「友達だ」 3 トウカ 10 普通の人間にしか興味はない52 「某としたことが……」75 洗濯⇔選択100 王様の剣107 武人の本懐135 行くんだよ156 すくわれるもの168 失われたもの、守るべきもの181 「ミステリックサイン」188 がんばれジャイアン!209 苦労人217 以心電信(218 I believe you)226 仲間を探して 13(14) 【HELLSING】 名前 登場話 登場回数 アーカード 31 reckless snow wind45 吸血鬼の倒し方67 朧月夜93 Unknown to Death. Nor know... -
SSタイトル元ネタ
...e』の一節 203 【薄暗い劇場の中で】 ホラー映画「仄暗い水の底から」? 206 【背中で泣いてる 男の美学】 ルパン三世主題歌『ルパン三世のテーマ』の一節 207 「ゼロのルイズ」(前編)(後編) ルイズの学院内でのあだ名 208 最悪の/最高の脚本 スクライド 第8話「最悪の脚本(マッド・スプリクト)」 210 永遠の炎 魔法少女リリカルなのはA s主題歌「ETERNAL BLAZE」の一節 211 WHEN THEY CRY ひぐらしのなく頃に(原作)の副題 215 なまえをよんで Make a Little Wish(前編)(後編) 魔法少女リリカルなのは 第13話(最終話)「なまえをよんで」魔法少女リリカルなのは EDテーマ『Little Wish~lyrical step~』の一節 217 以心電信 ORANGE RANGEの楽曲「以心電信」(「以心伝心」と「電信」の掛... -
Is he a knight?
Is he a knight? ◆FbVNUaeKtI 「くそっ、いったいどこに行ったんだ」 謝罪の言葉と共に姿を消した少女を捜して、俺はビル街を駆けていた。 何故、彼女が俺を殴ったうえに逃げ出したのか。 俺は何か、エルルゥの気に障ることをしてしまったのだろうか? 皆目見当もつかないが、あの無力そうな少女を放っておくのも寝覚めが悪かった。 しかし・・・声がしてからすぐに顔を上げたのにも関わらず、少女の姿は既に無く。 足の速さが尋常じゃないのか、建物の中に隠れてしまったのか・・・ 俺はエルルゥの姿を完全に見失っていた。 (しょうがない、とりあえず彼女の事は後回しに・・・) と、周囲を見渡していた俺の眼にある物が飛び込んでくる。 それは、ビル群の中でも一際目を引く白く大きな建物・・・どうやら病院らしい。 もしかすると、何か役に立つ道具があるかもし... -
第六回放送
第六回放送 ◆lbhhgwAtQE 太陽が蒼天の頂に昇る頃。 ギガゾンビは、そんな陽の明るい光の届かぬ薄暗い大広間の中央にある玉座に一人座っていた。 護衛のために傍においていたツチダマすらも今はいない。 今、彼の目の前にいるのは画面の向こうに映る運転士ダマのみ。 グリフィスの情報伝達の遅れをギガゾンビに最初に報告した、目下のところ彼が一番信用できるツチダマ。 それが、運転士ダマだった。 「――ふむ。では、今のところ奴にはおかしな兆候は見られないのだな?」 『はいギガ……。何も異常はありませんギガ……』 「ふん、ならいい。今後も奴の動きから目を離さないようにしておけよ」 『了解ギガ……』 運転士ダマは、淡々と首肯すると即座に通信を切る。 主であるギガゾンビが通信をきるよりも先に。 「……チッ。何だ、あいつは……。私より先に通信を遮断するとは... -
「サイトと一緒」
「サイトと一緒」 ◆5VEHREaaO2 ルイズは何かに引き寄せられるように、川沿いを南に向かって一人で進んでいた。 その傍らには誰も居ない。そこにいるべき人物はすでに失われ、 いたかも知れない人物達もすべて拒絶した。彼女の虚無で。 そうして歩いていると、見慣れぬ建築物が目に入った。 それは防波堤と呼ばれるものであったが、ルイズはそのことを知らないため、それを見て多少困惑した。 まるで地球に住む人間がファンタジーの世界に迷い込んだように。 だが、そのまま歩む。もはや、後ろに戻る理由は彼女には無い。すべて滅ぼしてしまったはずだから。 そして、その道中の森の中で見つけてしまった。見知らぬ装束を着た首の無い遺体と、 見覚えのある珍しい異界の装束を着た首の無い、愛すべき人物のなれのはてを。 ルイズはそれを見るやいなや走り出す、そして平賀才人の遺体に縋り... -
のこされたもの(相棒)
のこされたもの(相棒) ◆WwHdPG9VGI 立ち寄った民家のソファーに横たわりながら次元は天井を睨んでいた。 (クーガーって奴の名前が呼ばれて、シグナムとかいうルパンを殺した女の名前が呼ばれてねえってことは、っと……) 改めて自己問答する必要もない。その女が勝ち残ったということだ。 聞いた話では、クーガーという男は相当の手練らしい。 あの化け物染みた力を持つ劉鳳ですら、クーガーという男には一目置いているように感じられた。 そんな男ですら、敗れた。 (ルパンが殺られたのも無理はねえ……。か?) ちっと次元は心の中で舌打ちした。 長年の相棒がくだらない相手に殺られたのではないと知って、どこか安堵している自分に気づいたからである。 共闘した人間達の仲間が倒されたことを知って喜ぶとは何事か。 (すまねえ……。嬢ちゃん)... -
サムライ、もえる
サムライ、もえる ◆v3IQLoJSTY そこは右も左も高い本棚の並ぶ薄暗い広間。その中央の暗がりで、床に座し瞑想している 男が一人。石川五ェ門は図書館の3Fにいた。修行の場より先程の場所に集められ、そして ここへと飛ばされたのだ。 (己を高める者達同士の戦いならば、いくらでも剣を交えよう。だが個人の快楽の為の 戦いなど断じて許すわけにはいかん。ましてや無抵抗の子供を殺めるなど言語道断!) クワッと目を開くと五ェ門は立ち上がった。下の階で物音がしたような気がしたのだ。 ギガゾンビと名乗った妖術使いが、何処にいるかは分からない。闇雲に動くのは相手の思う 壺だが、ここで手をこまねいている訳にもいかない。こうしている間にも無力な女子供が 命を落としているかもしれないのだから。 1Fまで降りた時、五ェ門は血の匂いに気が付いた。部屋の... -
tribute
tribute ◆S8pgx99zVs 死者の名前を告げ哄笑を空に響かせて、ギガゾンビは日が昇ったばかりの薄紫の中に消えた。 その足元には女――峰不二子が一人。 木陰へと身を潜め、今しがた得た情報を手持ちの地図やメモへと書き込み考え込んでいる。 ――次元大介が死んだ……か。 ギガゾンビによって読み上げられた七人の死者。その中に彼の名前があった。 これでルパン一味は自分を残して全員が死んだことになる。 だが、感傷はない。むしろ、自分を知る人間が減ってありがたいぐらいだ。 思ったとすれば、ルパン一味がこんな事態に巻き込まれ最期を迎えたということに意外性を感じたぐらいだが、 それは今考えることではない。今必要なのは己の身を守るための情報だ。 峰不二子は次元大介と死んだ仲間達のことを頭から振るい出し、思考を進める。 ――ぶりぶりざえも... -
Can you feel my soul
Can you feel my soul ◆B0yhIEaBOI 僕は、ひとりで薄暗い病院の廊下を歩いていた。 ひとり分の足音が廊下に響き渡る。それが、僕にはなんだかとっても寂しかった。 思えば、僕にはずっと仲間がいた。友達がいた。 乱暴者のジャイアン。 臆病者のスネ夫君。 優しいしずかちゃん。 いつだって、みんなと一緒だった。 ここに来てからだって、色んな人達と出会った。 太一君や、ヴィータちゃん。アルルゥちゃんに、ヤマト君。 それに、ついさっきまでだって、一緒にいたんだ。 劉鳳さん、セラスさん、水銀燈。 そして……のび太君。 のび太君とは、本当に長い付き合いだった。 バカでドジで泣き虫の弱虫で、でも純粋で、心優しくて、ちょっぴりだけど、勇気もある。 本当に良い奴だった... -
「うん、それ無理」
「うん、それ無理」 ◆LXe12sNRSs 開始早々、ルイズは朝倉涼子に襲われた。 「――きぃゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 本当に、開始早々。すぐに。時間に直すと、ゲームがスタートして五分と四十四秒しか経っていない。 今、自分が立っている地点、、辺りの光景、荷物をざっと眺め、その時点で約五分。 まだ行動方針の「こ」の字も決めていない、どうしようかと思案もしだしていない内に、ルイズはセーラー服を着た女子高生に襲われたのだ。 「破損したデータがなんの前兆もなく唐突に修復することってあると思う? それも不完全な形で。 他の統合情報思念体とコンタクトが取れないのも、こんなゲームが行われることになったのも、私がここにいるのも。 全ては何者かが仕組んだ、重要な意味を持つことだと思うの。もちろんそれは... -
怯える少年
怯える少年 ◆/1XIgPEeCM 「ああ、もう、なにがなんだか……」 彼、桜田ジュンは混乱していた。 何時の間に眠ってしまったのか分からないが、目が覚めたら見たこともない部屋の中で、これまた知らない人が沢山いた。 そして仮面の男が出てきて言ったのだ。『キサマらにはこれから殺し合いをしてもらう』と。 これを聞いただけでも軽いパニック状態に陥りそうになったが、さらに人が目の前で死んだ。二人。 一人は筋肉質な男。果敢にも仮面の男に殴りかかり、そして呆気なく首を吹き飛ばされた可哀想な人。 もう一人は、自分よりいくつか年下で小学生くらいの女の子。彼女も同様に首を吹き飛ばされて死んだ。 ジュンは恐怖した。少しでも逆らえば殺される。その恐怖に抗う術もなく、ジュンはまるで石化したようにその場から動けなかった。 ……そして、気付いたらここにいたわけだ。 ジュンが飛ばされた場所は会... -
「無事でよかった」
「無事でよかった」 ◆tC/hi58lI. 子供の体力には、限界がある。 ましてや、自分を上回る体格の人間を背負っていては。 瓦礫や割れガラスの散らばった悪路を歩いていては。 行く手に病院が見え、しんのすけが歓声をあげる。 「ヘンゼル、もうすぐだゾ!」 「……待って」 意識をうっすらと取り戻したヘンゼルが、囁きかける。 「病院……は、行かないほうがいい……」 「やせガマンはよくないゾ!」 「違うよ……」 辺りに転がっている壊れたマネキン。 剥がれた舗装の破片の積もりかた。 大小点々と落ちている、赤いしずく。 周囲に見える破壊の痕は、明確な方向を持って伸びていた――――行く手の病院の方へと。 しかし、しんのすけは足を止めない。 小さな足で踏ん張って、一歩一歩... -
【黒禍】
【黒禍】 ◆S8pgx99zVs 殺戮の舞台の中央。 一際高く、そして細く長く、突き立てられた剣のように聳える石。 ――レジャービル。その頂上に彼――吸血鬼アーカードは立っていた。 押し込まれた無粋な廃屋から寝床を此処へと移した彼は、ただ静かに西の空を見ていた。 吸血鬼にとって最も忌まわしき存在、そして日常の象徴でもある太陽。 それはもう半ばまで沈んでおり、半分の赤い光だけが舞台に、彼の目に届いていた。 もう間も無くでそれは全て消え去り、そうすれば彼――夜族の時間である。 高まる期待を胸に、吸血鬼はざわめく身体を抑え静かにその時を待つ。 ――と、吸血鬼は何かに気付いた。身体を反しビルの反対側――東の空を見る。 人間が飛んでいる。只の人間ではない。狂った人間だ。狂った人間が空を飛んでいる。 「……魔女か。契約し、使役し、束... -
触らぬタチコマに祟り無し Flying tank
触らぬタチコマに祟り無し Flying tank ◆5VEHREaaO2 士郎が死んだ。 あの忌々しい変態仮面の放送では19人もの人物の名が流れた。その中にはあの馬鹿の名前があった。 あの『正義の味方』な馬鹿のことだ。大方誰かを庇って死んだんだろう。 「…しずかちゃん…スネ夫…先生……キートンさん…」 私の隣ではさっきから、少年がぶつぶつと知り合いであろう人物達の名前を膝を抱えながら呟いている。 とりあえず、放っておいてやろう。 別にやさしさからそうするわけじゃない。慰めるのがめんどくさいからだ。 今危惧すべきはセイバーだろう。 もし、私の知っているセイバーならこの放送を聞いて暴走しているかもしれない。 あの馬鹿のことを慕っていたし。もしそうならかなり厄介だ。 別にあの子のことを心配してるわけじゃない、戦力が減る可能性があ... -
子供と大人
子供と大人 ◆S8pgx99zVs 気付いた時には少年――骨川スネオは一人だった。 気が付くと薄暗い広い空間に立っていた。 周りのみんなが消えてしまったのかと一瞬思ったが、そうでないとすぐに解った。 リノリウムの冷たい床。規則正しく並んだソファ。人の気配のしない受付カウンター。 そこは病院のロビーだった。 電灯が点いていないのに明るいのはガラス張りの玄関から差し込んでくる月明かり のせいだ。 先程見た凄惨な光景、それに対してあまりに寒々しいこの空間とのギャップに気が 変になりそうになる。あれは本当に現実だったのかと…… しかしすぐにそれが現実だったのだと思い返す。 自分の身体にべったりと張り付いた赤黒い……しずかちゃんだったもの。 フラッシュバックした光景に思わずへたりこんだ時に、それに気付いた。 自分の足元に置かれていた一つのデイバッグ。 ... -
Macabre in muddled rabbithutch(前編)
Macabre in muddled rabbithutch(前編) ◆S8pgx99zVs 舞台の北東に大きく広がる緑を湛えたなだらかな山。その西の麓、裾野に広がる市街との狭間。 そこに並んだ平屋の一角に全ての戸を閉じ窓を幕で覆った、目立たない中でもさらに隠れようと している静かな一軒の民家があった。 その、あまり立派だとは言えない一軒の民家の中には八人の男女が潜んでいる。 電灯も点けず、外からの月明かりさえも取り入れていない家の中は真に暗かったが、いくつかの 人が集まる場所は、布を被せたランタンの最低限の光で淡く照らされていた。 その内の一箇所、この家の中で最も広い部屋である居間に幾人かの人間が集まっている。 涼宮ハルヒ、ロック、園崎魅音……、そして外から戻ってきたトウカとエルルゥ。 彼女達に見守られながらキョンはノートPCが検索を終え... -
一日目
進行表 一日目 深夜 (00:01~02:00) D-5ホテルの一室で、遠坂凛が支給品を確認。 B-6山中で、古手梨花が支給品を確認。ゲームに乗ることを決心する。 B-5森の中、野原しんのすけとヘンゼルが遭遇し、同行することになる。 C-8山中で、クーガーと園崎魅音が遭遇し、同行することになる。 C-7山中で、ルパン三世と涼宮ハルヒが遭遇し戦闘。ハルヒが気絶しルパンに保護される。 A-6山中で、佐々木小次郎が支給品を確認。移動し始める。 A-6山中で、北条沙都子が佐々木小次郎を発見。回避する。 A-1学校内でソロモン・ゴールドスミスと蒼星石が遭遇、同行することになる。 F-8森の中で、由詫かなみと鶴屋さんが遭遇。かなみが不意をつかれ鶴屋さんに殺される。 A-3森の中で、キョンとトウカが遭遇する。 A-2森の中で、前原圭一と竜宮レナが遭遇、同行することになる。 H-3防波堤の上、ア... -
夜空の再会
夜空の再会 ◆lbhhgwAtQE 「ふむ、これはどうしたことか……」 井尻又兵衛由俊は一人、市街地の路地裏で戸惑っていた。 それもそのはずで、彼がデイバッグの中身を確認しようとそれを開けると中から出てきたのはどれも見た事もないようなものだったのだから。 一つ。透明な素材に包まれた液体。 これは、どうやら上についていた白い円筒を回すことで中身を飲めるようになっている水筒のようなものであることを彼は十数分かけて理解した。 一つ。先端が赤く塗られた棒状の金属がくるくると回る物体。 これは、どうやら赤い部分が同じ方向を差すことから、一定の方角を示す役目を持っているということを彼は十数分かけて(ry。 一つ。筒状で先端部だけなにやら広がっている物体。 これは、どうやら突起を滑らすことで明かりをともす役目をもっているのだということを彼は(ry 他にも色々と用途の分からないもの... -
峰不二子の退屈
峰不二子の退屈 ◆/1XIgPEeCM G-1の東側に立ち並ぶ民家の内の一つに、潜伏する一人の美女、峰不二子がいた。 電車を利用し、エフイチ駅に降り立って早々、爆発音が響いてきたのだ。 当然、厄介事などできれば御免だった不二子は、一目散に駅から脱出し、 数百メートル走ったところで目に付いた民家に飛び込み、休憩も兼ねてこれからのことを考えるのであった。 とは言うものの、考えるだけ無駄のようなものだった。 どうすればリスクを少なくして、他の参加者と出会うことができるか。 あの時破壊された観覧車や、爆発音のあった方に行っていれば、嫌でも誰かと会えただろう。 だが、その誰かがこの殺し合いに乗っている可能性も高いという諸刃の剣。 会場の中心の方へ行けば人も沢山いるだろうが、それ故争いも多くなることは必至。危険な目に遭う確率は高し。 しかし、安全圏だと思っていた... -
GAMEOVER(2)
GAMEOVER(2) ◆S8pgx99zVs [ Overman ] 全面より殺到する――弾丸。ロケット弾。榴弾。光弾。光線。ありとあらゆる破壊の矢。 そのどれよりも、キングゲイナーは――速く、――速く、――速く、――疾走する。 彼に噛み付こうとする顎を全てその場に置き去りにして、城の通路を駆け抜ける。 十字路に差し掛かった所で、七色のフォトンマットを散らし空中で華麗にターン。 速さを減することなく、交差する通路にへと飛び込んだ。 そこに待ち構えていたのはツチダマ達の群れだ。 それらが浴びせてくる硝煙弾雨を掻い潜り、または弾き、キングゲイナーはその中を疾走する。 闇雲に飛び回っている――のではない。搭乗するゲイナーには考えがあってのことだ。 城へと向う車の中で、トグサからもたらされた地図と格闘していた彼の頭の中には、城内の構造は全て叩き込... -
Reckless fire
Reckless fire ◆2kGkudiwr6 ――夢を。 夢を、見ていました。 違う時から呼び出されたのなら、こうはなっていなかったのかもしれない。 けれど、今、そんなことは知りようがないこと。 こうして出会ってしまった。だから戻れない。 全ては前に歩くために。 全ては今までのことを清算するために。 目的は正反対。だから対峙する。しなくてはならない。 そう思っているはず――あなたも! ■ 「……どこ行きやがった」 民家の屋根の上。 首を動かして周囲を見渡しながら、カズマが唸る。 周りにセイバーの姿はないし、見えない。 しかし――カズマはそれを「逃げ切られた」と思ったのではなく、「近くに隠れた」と判断していた。 一見、この判断は相当無茶があるものに思えるかもしれない。 だが、地理的に考え... -
SOS団新生
SOS団新生 ◆WwHdPG9VGI (やっぱり、暗いな) 春の宵の闇は深い。石田ヤマトは、目をこらした。 トラックはノロノロと進んでいた。「超」がつくほどの低速運転である。 目的が人探しであり、無灯火運転であるからということを考慮しても遅い。 だが、ヤマトにはそうしなければならない理由がある。 (もう、二度とあんなことは……) こうして運転していると、自分が死なせてしまった少女の事を思い出す。 手が震え、鼓動が荒くなる。 だがそれでも、運転を止めることは「逃げ」のような気がするから―― ヤマトは目を見開き、全神経を前方に集中した。 「ちょっと、止めて!」 隣の助手席で暗視ゴーグルで周囲を警戒していた涼宮ハルヒの声に、慌ててヤマトはブレーキを踏む。 何事だとヤマトが尋ねるより早... -
◆7jHdbD/oU2 氏
◆7jHdbD/oU2 氏 氏が手がけた作品 09 信頼に足る笑顔 65 彼女の死を乗り越えて 77 misapprehension 98 罪悪感とノイズの交錯 126 たとえ道が見えなくとも 151 君島邦彦. 198 Infection of tears 241 闇照らす月の標 286 涼宮ハルヒの喪失(前編) 286 涼宮ハルヒの喪失(後編) 301 答えはいつも私の胸に 作品に寄せられた感想 まさかのステルス鶴屋さん誕生SS、「信頼に足る笑顔」を書いた人。タイトル通りの笑顔を持った鶴屋さんの前にかなみは陥落、初死亡者となってしまった。SOS団のために敢えてゲームに乗った鶴屋さんの心理描写は切なく、それでいて恐ろしい。 「彼女の死を乗り越えて」では、けなげな翠星石の姿に読み手が大感動。いつものペースを取り戻したジャイアンに対しては、『劇場版モードだ』との意見も挙げられた。うむ、実... -
【背中で泣いてる 男の美学】
【背中で泣いてる 男の美学】 ◆S8pgx99zVs 赤色に覆われた空から、その殺戮の舞台へと下卑た声が轟き落ちる。 その声の下、人気の無い道路の上を次元大介はただ一人、黙々と南へ向かい歩いていた。 東に向かって長く伸びた影を共に、次元大介は思考を巡らせる。 今回発表された死者は九人―― ギガゾンビは変わらぬペースでと、言い表したが次元大介の印象はその逆だ。 次元大介は知っている。その内の約半分が自分の目の前で死んだことを。 「前原圭一」「竜宮レナ」「蒼星石」「ソロモン・ゴールドスミス」 惨劇は避けられなかった。 元々、蒼星石とソロモンに関しては後に殺しあうことも織り込んだ上での利害の一致による協力関係だったが、圭一とレナに関しては違う。 彼らのこと、むざむざと死なせてしまったことを思うと次元大介の心に苦いものが走る。 だ... -
黄金時代
黄金時代(前編) ◆qwglOGQwIk 鷹の名を冠する銀髪の男、グリフィスは剣を手に入れた。 鷹の持つ剣はキャスカが持つ殺傷のための武器ではなく、覇道へと突き進むための道具。 彼の終わらない夢想するのために存在するもの、それが鷹の団であり、その要であるキャスカ。 望むのは夕焼けの小道の空に浮び、そびえる高き高き城。 その場所に至るためには決して抗えない身分という壁が存在し、彼の手中に収まることを応としない王者の標。 鷹は自分の全てを賭け、夢をその手に掴むために飛び続けてきた。 それは今も変わらない。 甘美な果実に手を出したばかりに、決して消え去るはずが無かった大火傷を負ったこともあった。 その大火傷は鷹の翼を完膚なきまでに叩き折り、終わらない夢へ続く覇道への道を消し去った。 夢を失い、翼を失い、足を失い、空を失った鷹には何の価値も存在し... -
「聖少女領域」(後編)
「聖少女領域」(後編) ◆LXe12sNRSs 薄暗いブティック内を、少女の甲高い悲鳴が支配していく。 ジュンは、その声に確かに聞き覚えがあった。 あの時の彼女はこのような奇声を上げることなどなかったが、それでも声質はまったく同じ。 服装、髪型、何かに怯える弱々しい表情など……ところどころ変わってはいたものの、今の声を聞いて確信した。 目の前の少女は、長門有希(朝倉涼子)。防波堤でジュンを襲い、遊園地で劉鳳に牙をむいた殺戮者である。 少女の正体に気づいたジュンはまず警戒し、すぐに何か武器になるような物がないか辺りを捜し回る。 しかしここはブティック。見渡す範囲であるものはマネキン、洋服、バッグ等。武器になるようなものなど何もない。 あの時は騙まし討ちが効いたからいいものを、同じ手は二度と通用しないだろう。もしここで襲われたら、ジュンは確実に負... -
黄金時代(前編)
黄金時代(前編) ◆qwglOGQwIk 鷹の名を冠する銀髪の男、グリフィスは剣を手に入れた。 鷹の持つ剣はキャスカが持つ殺傷のための武器ではなく、覇道へと突き進むための道具。 彼の終わらない夢想をするために存在するもの、それが鷹の団であり、その要であるキャスカ。 望むのは夕焼けの小道の空に浮かび、そびえる高き高き城。 その場所に至るためには決して抗えない身分という壁が存在し、彼の手中に収まることを応としない王者の標。 鷹は自分の全てを賭け、夢をその手に掴むために飛び続けてきた。 それは今も変わらない。 甘美な果実に手を出したばかりに、決して消え去るはずが無かった大火傷を負ったこともあった。 その大火傷は鷹の翼を完膚なきまでに叩き折り、終わらない夢へ続く覇道への道を消し去った。 夢を失い、翼を失い、足を失い、空を失った鷹には何の価値も存在... -
It is not the end. To be continued to 『Heaven's feel』 and 『Strikers』.
It is not the end. To be continued to 『Heaven s feel』 and 『Strikers』. ◆2kGkudiwr6 [Now -Will the scar on the mind remain forever?-] 「……帰ってきたんだ」 自分の家の扉の前。 最初に私が言った言葉が、それだった。 でも、言葉に感慨なんてない。気持ちはそれこそ曇天のように沈んでいた。 「どう説明すればいいのかしらね……」 歯を噛み締める。 あの子はきっと泣くだろう。 下手すれば藤村先生やイリヤまで泣くかも……いや、確実に泣く。 その覚悟ができていないから……私は、逃げている。 最初は衛宮邸に行くつもりだったのに、いつの間にか足は自分の家に向いていた。 ほんと、私は弱い。イヤになる。 いっそ無理を言ってでも連れ... -
陽が落ちる(5)
陽が落ちる(5) ◆S8pgx99zVs 【19:27】 「静謐な病院Ⅲ」 様々な経過を経て、また再び静寂を取り戻した病院。 非常灯だけで照らされた暗い廊下にカラカラという音を立て、此処に残った唯一の生者が歩いていた。 音を立てているのは、彼――トグサが押しているストレッチャーの車輪が回る音だ。 そのストレッチャーには死者――長門有希の遺体が横たわっている。 喜緑江美里が出した条件の一つ ――TFEI端末の確保。 そのために、彼女は深い場所にあった寝所から連れ出され、今此処にいる。 彼女を今まで人目につかない場所に隠しておいたのは、ロックとゲインの気遣いだ。 全身を真っ赤に染め、土に塗れた彼女の遺体はお世辞にも綺麗とは言えない。女性や子供に見せるは酷だった。 そして、ハルヒに対しては喜緑江美里とのコンタクトについてもボカして伝えてられている... -
請負人
請負人 ◆C0vluWr0so 暗い森の中。周りには他の参加者どころか生き物の気配も無い。 ただ一人だけが巨木の幹の下に座り込んでいる。ロングコートを羽織った美丈夫。 それがエクソダス請負人、ゲイン・ビジョウだった。 (まったく……なんだってこんなことになったんだ?) ゲインは現在の状況を把握しきれていなかった。彫りの深い美しい顔が疑問の表情を浮かべる。 (シベ鉄の仕業か? だが奴らはこんなまどろっこしい真似はしない。ロンドン・IMAの介入が入ったとでも? それにこの木々に気候……俺の知っている土地じゃない) 彼の元いた世界は極寒の地シベリア。 世界は大変動を迎え、人々は過酷な土地でドームポリスという建造物の中で暮らすことを余儀なくされていた。 そこシベリアを支配していたのがシベリア鉄道公社である。 シベリア鉄道公社――通称シベ鉄は本来ならばシベリア全土... -
Fate/hell sing
Fate/hell sing ◆LXe12sNRSs 「信じてもらえないかもしれないけど、私はこの時代の人間ではありません。もっと未来から来ました」 真っ白な世界に、一台の小型テレビと、パイプ椅子が二つ置かれていた。 それぞれが三角形を成すように配置され、パイプ椅子にはセーラー服を着た女子高生と、ミニスカートの警官服を着たドラキュリーナが一人、テレビに視線をやりながら会話をしている。 「いつ、どの時間平面からここに来たのかは言えません。過去の人に、未来のことを伝えるのは厳重に制限されています」 「時間というのは連続性のある流れのようなものでなく、その時間ごとに区切られた一つの平面を積み重ねたものなんです」 「アニメーションを想像してみて。あれってまるで動いているように見えるけど、本体は一枚一枚描かれた静止画でしかないですよね」 「時間と時間との間には... -
陽が昇る(前編)
陽が昇る(前編) ◆S8pgx99zVs 「これでよし……っと」 そう言って、遠坂凛はゲイナーの顔から手を放した。 そのゲイナーの顔は新しく貼り直された真っ白な湿布で覆われている。 ゲイナーの傷は見た目ほど……というか見た目だけで言えばまさに見るに耐えないといった感じであったが、 骨や眼球に異状はなかった。それが彼の後ろで寝ている暴力的な彼女の最低限の気遣いだったのか、 それともただゲイナーの運がよかっただけなのかはわからないが……。 遠坂凛とゲイナー、そして気絶したままベッドに横たわるレヴィ。 さらに同様に気絶したままベッドに横たわるカズマとそれを心配そうに覗き込むフェイト。 五人は、広いスペースにカウンターとベッドがずらりと並ぶ、そんな部屋にいた。 幸運にも戦火の被害を逃れられたそこは、点滴や注射、その他の簡易な処置を外来の患者に施すためのスペー... -
がんばれジャイアン!
がんばれジャイアン! ◆lbhhgwAtQE こんなはずじゃなかった。 今までの冒険だったら、どんなにヤバくなっても最後はみんなで力を合わせりゃなんとかなった。 俺達はそうやって、恐竜ハンターや独裁者、ロボットの軍団みたいな強い奴らを倒してきたんだ。 ギガゾンビだって……まぁタイムパトロールが大体は何とかしちまったけどよ、俺達が動かなきゃどうなってたか分からなかったんだぜ? ……とにかく、そういう訳だったんだ。 ……だけど、今回は違った。 脱獄して、俺達に再び姿を見せたギガゾンビはいきなりしずかちゃんを殺しやがった。 しかも、俺達を離れ離れにしてこんなところに放り出しやがって……そして直にスネ夫や先生も誰かの手に掛かって……。 だから俺は心に決めたんだ。 翠星石や梨花ちゃん、それに魅音姉ちゃんを守ってみせる。 そして心の友ののび太とドラえも... -
闇に包まれた未来
闇に包まれた未来 ◆pKH1mSw/N6 闇。 天は葉に、地は土に、左右は森に、前後は黒に囲まれた闇。 人の不安を否応なく駆り立てる闇の中で、すすり泣く声が聞こえてくる。 「うっく……ひぃ……ふえぇ……」 皿を割ってしまったせいで井戸に投げ落とされ、 死んだ後も皿を数え続けるという無意味な行動を延々と続けているドジッ娘メイドさん型幽霊の如きすすり泣き。 暗闇の中を歩きながら、SOS団公認の正真正銘ドジッ娘メイドである朝比奈みくるは泣き続けていた。 その服装は何故か北高の制服ではなくメイド服。理由はわからない。ギガゾンビの趣味かもしれない。 「ひぐ……な、なんであたし、連れてこられたんですか? こ、ここはどこなんですか?」 虚空に向かって問いかけるも、帰ってくる答えはない。 「黙りなさい」という強気な叱咤も、「やれやれ」とでもいうような呆れながらの説明... -
廃墟症候群
廃墟症候群 ◆WwHdPG9VGI (ごめん、クーガー……。私、結局誰も助けられなかったよ) 瓦礫を掘り返しながら、魅音は暗い思いを噛み締めていた。 死んでいった光の為にも、ホテルに残っている彼女の仲間達を助けようと決意し、 連戦で疲労しているはずのクーガーを置き去りにしてまでホテルに急いだというのに、既に手遅れ。 魅音の目の前でホテルは崩れていった。 (ごめん、光。私、あなたの友達に何もしてあげられなかった……) 魅音の目の前で鳳凰時風は化物に胸を貫かれて死んだ。 どうにもならなかった。 あの化物に対して、自分はあまりにも無力だった。 ――まだ、助けを求めている人がいますわ。ならば歩みを止めることはできません 光の死を知っても取り乱さずに歩き出した、悲壮さの中に気高さをたたえた風の横顔が、 魅音の脳... - @wiki全体から「【薄暗い劇場の中で】」で調べる