「ーーーーーめんま…」
宿海仁太は、本間芽衣子を埋葬した。
しかし、立ち直れそうにはなかった。あれだけ守り通したかったものを、たった一発の弾丸で奪われてしまったのだから。
ーーーもう、無理だ。
そして無気力のまま、宿海仁太の後頭部から額にかけてを指弾が撃ち抜いていた。
目を開いたまま、
ヒーローになろうとした少年は死んだ。
「gggg奏fderghv」
音無結弦は、腹から出血しながらもまったく堪えることはなく、殺戮を行う。その姿はもはやジョーカーなどではない。見る者からすれば魔王のような、異様な存在。
ダンッ、ダダダダダン!!
AK-47の弾丸の数々が勢いよく音無の胴体に吸い込まれ、その肉体が痙攣した。
しかし倒れることはなく、音無は襲撃者の方を見つめる。
仲村ゆりと牧瀬紅莉栖。
かつての仲間と彼が殺した少女の仲間である。
「牧瀬さんの言う事は本当だったようね。……残念だけれど、音無君。あなたはここで殺させてもらうわ」
「はろー、音無結弦。……まゆりの仇、取らせてもらうわよ」
二人が同時に走った。ゆりにはAK-60、紅莉栖はナイフを持って。
音無は指を前方に向ける。
高速の指弾が嵐のように放たれる。
ゆりは参ったな、と思う。紅莉栖の言ったよりずっと厄介な力だ。ゆりの肉体をかすめ、飛んでいく指弾の嵐。
紅莉栖は接近すると、一本のナイフを投擲する。
音無の鎖骨付近に勢いよく突き刺さり、音無の肉体がぐらり、と揺らぐ。
ゆりは掃射し、ついに音無の右腕が肘のあたりからちぎれて落下した。
しかし、左手から一際早い光の指弾が放たれ、ゆりの胸元に穴を開けた。
「仲村さーーーーー」
「今よ、牧瀬さん!」
音無の一瞬の隙を突いて懐に潜り込み、ナイフでその喉を勢いよく突き刺し、一気に真横にスライドする。
ぶしゃあああああああああああああああああああっ、と霧のように血が噴き出した。
まだ立ち直ろうとする音無に、紅莉栖はゆりのAK-47を拾い、胸元に至近距離から一気に弾を吐き出した。さすがの音無も限界だったらしく、地面に倒れ、
「か………なで」
とだけ、霞む声で言い残して息絶えた。
「ミッションコンプリートね、牧瀬さん」
そのまま、ゆりもまた安らかな表情で息絶えた。いや、成仏したと言うべきかもしれない。彼女に対する最大の幸福であったのかもしれない。
「………けてよ」
「助けてよ……岡部…」
天才少女とはいえ、目の前で三人もの死を目撃したショックは余りにも大きかった。
【宿海仁太@あの花】
【音無結弦@Angel Beats!】
【仲村ゆり@Angel Beats!】 死亡
【残り17/40人】
【牧瀬紅莉栖】
基本:できるだけ多くの人を連れて脱出したい。
1:助けてよ……。
最終更新:2011年07月17日 00:38