放送が鳴ってから、一時間半ほどが経過していた。だが、直死の魔眼の少女と騎士王のサーヴァントの戦いは未だ終わる兆しを見せない。
当然。有り余る魔力を持つ
セイバーと体は人間である式とでは明らかに式の分は悪い。『風王結界/インビジブル・エア』の見えない太刀筋を勘で捉え続ける式の戦闘センスは本物であった。
それでも。ここで数奇な人生を送った直死の少女の物語は幕を閉じる。
それは奇しくも、相手の攻撃ではなく。セイバーのマスター、松雪集の手によるものであった。胸を貫く鋭い痛み。胸から生えている古刀。皮肉にもそれは式の使っていた名刀『九字兼定』であった。
「(幹也、ごめん。オレはもう帰れそうにないや)」
両儀式は淡い思いを抱いたまま、眠るように絶命した。
「めん、ま……誰が!誰が殺しやがったんだ!ぶち殺してやる!」
セイバーは何度も人間の怒りを見てきている。
集の怒りは、大事な何かを失った怒り。こうなった者は止まらない。
破滅にしろ栄光にしろ、必ず明確な結末を迎える。
◆
「はぁ…っ、はぁ…っ。ランサー…」
ランサーが死んだ。
それは、何故か感じ取れた。そして放送では、美樹さやかと上條恭介の名前が呼ばれる。
魔女。魔法少女の絶望から生まれる存在。
暁美ほむらのソウルジェムが少しずつ濁りはじめていた。
「まど…か……」
疲れた。極限状態における大きなストレスと疲労は、ほむらの意識を霞ませていく。
もう、楽になってしまおうか。
一番簡単な話だ。まどかの為に戦い続けたのも、いたずらに因果を収束してしまうだけであった。もう諦めよう。魔法少女は救われない。明るい未来は来ない。
霞む視界に見えたのは、愛しい愛しいまどかのーーーー
「オイ。何勝手に話終わらせようとしてンだよ」
頭に手が置かれたかと思うと、急に意識が覚醒した。
白髪の少年ーーー『一方通行』によるベクトル変換による荒療治であった。
そしてほむらは、一番会いたかった親友との再会を果たす。
「まどか、」
「ほむらちゃんっ!!」
勢いよく抱きつかれた。ほむらはまどかはこんな性格だったろうかと思ったが、このまどかは概念となった後の『まどか』のため、ほむらと会話するのは不可能のはずだったからだ。
「………まどかも無事で良かった」
優しくまどかの頭を撫でる。その顔は笑顔だった。
ささやかな幸せの時間。交わらない二人が交差する時間ーーーーー、
「チッ!敵みてェだ」
一方通行にいきなりセイバーが斬りかかる。
いつものように、ベクトル変換によりセイバーの攻撃を弾き、触れれば相手の命を奪うことができる両腕を振る。
「ーーーーー約束された(エクス)ーーーーー」
「ーーーーー勝利の剣!!」
「ぐァァああああああああああああああああああああッ!?」
反射越しに伝わる威力。一方通行の肉体が跳ね飛ばされ、勢いよく地面に叩きつけられた。ほむらはAK-47を構えるが、セイバーは更に早く、その銃身を切断する。
集がその首を刈るために刀を構えて走る。
「ーーーーーーーーーーやめろ」
迫る刃。暁美ほむらのソウルジェムめがけて突き出されーーーーー、
その体を突き飛ばして前にでた鹿目まどかの胸元を貫いていた。
「まどかっ!?何で、何で、こんな…」
「う…うん。私、うれしい」
「最高の、友達を助けられたんだから」
集の刀は、次にほむらの首に迫りーーー、
「やめろっつってンだろォがァァァァあああああああああああああああッ!!」
突風が吹き荒れた。集の肉体が宙を舞い、木にぶつかって止まる。
その場の全員が確かに見た。
最強の超能力者の背中から、黒い翼が噴射されていた。
「dfcfghtggf殺fcffdswet」
セイバーには分かる。あれがどれほど危険なものかが。
エクスカリバーを構え、先ほど『反射』を破った一撃を放とうとする。
だが、それより早く。操作された気流の刃が、セイバーの右腕を切断した。
「ーーーーーシロウ」
以前のマスターの名を呆然と呟いた。それが最後であった。
「fgtfds死zmkilk」
黒き翼の乱舞が、セイバーの肉体を甲冑ごと潰した。
松雪集は駆けだした。死ぬわけにはいかない。
必ず、目的を果たすために。
最後に、黒い殺意を振り回す『最強』と失意に沈む『遡航者』の姿が残された。
【両儀式@空の境界】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
【セイバー@Fate/stay night】 死亡
【残り10/45人】
最終更新:2011年07月17日 00:38