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You took the best parts of my life

28話:You took the best parts of my life

アドレイドはいつの間にか廃村の中を歩いていた。

「……っ」

先刻森の中の孤児院にて襲撃された時、撃たれた傷が痛む。
命に関わる程のものでは無いと思いたいが、森の中を走ったため感染症も心配だった。
しかしそれを心配してもアドレイドにはどう処置すれば良いのか分からなかったのだが。
痛みを我慢しながら適当に歩いていると、薄汚い大きな犬と出くわす。

「あ? 誰だ?」
「あ、あんたも参加者…? の、乗ってない?」
「乗ってるって、殺し合いにか? ああ乗ってねぇよ」
「本当に……?」
「……? おいアンタ怪我してんじゃねぇか、撃たれたのか?」

犬がアドレイドの傷を見付け心配する素振りを見せる。

「森の中の孤児院で、殺し合いに乗ってる奴と出くわして、撃たれたのよ……」
「マジか、大変だったな…手当の方法分からん」
「うう……」
「どんな奴に襲われたんだ」
「ええと、青い猫の獣人の少女で……あっ、あんな感じの子、あ、あれ?」


ダァン! ダァン! ダァン! ダァン!


「ぬおおおお!?」

アドレイドが指差した方向には確かに青っぽい毛皮の猫獣人の少女が立っていて、
そしてその少女はアドレイドと犬に向け持っていた拳銃を発砲し始めた。
銃弾は犬――ドーグラスには当たる事は無かったが、アドレイドの心臓の辺りに一発が食い込んだ。
アドレイドは胸を押さえ血の泡を吹きながら苦しみ、数秒後、地面に崩れ落ち動かなくなった。

「見付けた見付けた……でも、もう一人、いや一匹、いたね」
「おいおい……」

先刻の平田洋明に続き、またしても面倒そうな奴に遭ってしまったと、ドーグラスは心の中で嘆く。

「逃げよう」
「待ってよ……折角見付けたんだから」

ダァン! ダァン!

「畜生、死んでたまるか!」

ドーグラスは銃弾をかわしつつ必死に逃走を図った。
しかし少女――井本萌実もまた、楽しそうな笑みを浮かべながらドーグラスの事を追い始める。
その二人の様子を廃屋の物影から伺う者がいた――ドーグラスを追う平田洋明。
ようやく目的のドーグラスを発見したのは良いが先に襲撃している者がおり、やむを得ず隠れて様子を見ていたのだが。

(ここでまた見失う訳にも……危険だけど後をつけてみよう)

勘付かれないように洋明はドーグラス達を追跡していった。




「銃声……?」
「銃声だな」
「結構近かったような……」

廃集落を訪れていた戸賀崎かれん、アルジャーノン、久木山凌河は銃声を聞き驚く。
どこかに隠れた方が良いのではと話し合っていた時、一匹の汚い犬が走ってくるのが見えた。
その後ろから青い猫の少女が銃を持ちながら走っているのも。
それを見て三人はおおよその状況が理解出来た。

「何か知らないけど、助けなきゃ!」
「! おい、かれん……」

アルジャーノンの制止しようとする声にも構わず、かれんは先刻武器屋で調達したエンフィールドリボルバーを、
その右手に持って青猫少女の前に躍り出た。

「あの馬鹿、何か考えあんのかい!」
「ちょっと、アルジャーノンさ……ああ、もう」

文句を言いつつアルジャーノンも、凌河もまた飛び出す。
それを見て逃げていたドーグラスも足を止めた。

「貴方、待って!」
「……あ、またいた……なぁに? 私と遊ぶ?」
「遊ばないよ! 貴方殺し合いに乗ってるの?」
「……だってそう言うゲームなんでしょう?」

かれんは青猫少女を説得しようと恐怖心を抑えて語り掛ける。
アルジャーノン、凌河もかれんの少し後ろに立ち青猫少女の方を見る。

「駄目だよ! あんな訳の分からない人達の言いなりになるのは!
殺し合いなんてやめようよ……私達、脱出する方法を探してるの、だから」
「うるさいなぁもう」

ダァン!!

かれんの説得は功を奏せず、青猫少女はかれんに向け発砲した。
銃弾はかれんの腹部に命中し、見る見る内に傷口の周囲が赤く染まっていく。

「かれん!」
「かれんさん……?」
「……ん…な……こんな……げふっ……う…あ……」

最期にかれんが発した声は無念の色が滲み出ていた。
かれんはその場に崩れ落ち、あっさりと息絶える。

「こ、このっ」

怒りに震えるアルジャーノンが猫少女の方に顔を向けた瞬間。

ダァン!!

彼の頭部を銃弾が突き抜け、牡馬はその巨体を崩れ落ちさせる。

「えっ……戸賀崎さん、アルジャーノンさん? う、嘘……」

次々と目まぐるしく変化して行く状況についていけない凌河。
しかし、二人は撃ち殺された事、そして殺した張本人が自分にも銃を向けている事は理解出来た。

「あっ…い、嫌だっ…」

自分はここで死ぬのか、大好きな父親に会えず死ぬのか。
青猫少女がにいっと嗤う。
凌河にはそれが暗に自分への処刑宣告だと、分かってしまう。
そして少女が銃の引き金を、引いた。

……。

……。

弾は発射されなかった。

「あれ、弾切れかぁ」
「……!」

青猫少女が残念そうな声を発する。
持っていた自動拳銃は弾が切れてしまったようだ。
その時凌河の脇を一陣の風が吹き抜ける。

「ウガァアアア!」
「!」
「えっ!?」

汚い白犬が咆哮をあげながら青猫少女に向かって突進していった。
青猫少女は受け身を取る間も無く、その胴体に犬の強烈な頭突きを受けた上に背後の廃車に叩き付けられ気を失ってしまった。

「あ、あ」
「おい、俺の背中に乗れ!」
「え?」
「良いから早くしろ!」
「あ、はい」

我を取り戻した凌河は犬の背中に促されるまま乗り、そして凌河を背中に乗せた犬――ドーグラスは、
一気に集落の出口に向け走り出した。

(……戸賀崎さん、アルジャーノンさん……)

ドーグラスの背中の上にしがみ付きながら、凌河は同行者二人の死を悼んだ。

走り去るドーグラスを見て、様子を伺っていた平田洋明もまた、
ドーグラスを追うため走り出す。
気を失っていた青猫少女と、二人(厳密には一人と一頭)の死体には構わず。
折角見付けた憎き相手を、また見失うのは勘弁だった。

「ドーグラス、今度こそ……」

今度こそ確実に仕留めてやる。
洋明は心の中で固く誓う。




井本萌実は意識を取り戻す。
そこには自分を気絶させた犬も、最後に殺そうとした犬少年もいない。

「逃げられちゃったか……いたた……」

強烈な体当たりを受けた腹の辺りを擦る。

「……」

途端、無言になり、後ろにあった廃車の方に身体を向け、

「むかつく」

バゴッ!!

ボンネットを叩き壊した。

「むかつくむかつくむかつく……!」

何度も何度もボンネットに拳を入れエンジンまで壊して行く。
最後にはその廃車のボンネット部分はほとんど原形を留めないまでになってしまった。
萌実の右手は血塗れになっていたが萌実自身は特に痛がる素振りは無い。

「…むかつく奴は…殺す…」

落ちていた自分の銃を拾うと、萌実は殺害した一人と一頭の元へ歩いて行った。


【アドレイド  死亡】
【戸賀崎かれん  死亡】
【アルジャーノン  死亡】
【残り  26人】


【朝/C-3廃集落】
【ドーグラス】
[状態]健康、久木山凌河を背中に乗せている
[装備]???
[持物]基本支給品一式、???(1~2)
[思考・行動]
0:片桐凛花を捜し出し死ぬまで弄ぶ。
1:殺し合いに乗る気も抗う気も無いが襲われたらそれなりの対処はする。
2:平田洋明にはもう会いたくない。
3:とにかく今は猫少女(井本萌実)から逃げる。
[備考]
※井本萌実(名前未確認)を危険人物と判断しました。

【久木山凌河】
[状態]全身打撲、頭部より流血(歩ける位には治癒)、ドーグラスの背中に乗せられている
[装備]シグザウエルP239(7/7)
[持物]基本支給品一式、シグザウエルP239の弾倉(2)、ウィンチェスターM1912(4/5)、12ゲージショットシェル(10)、
馬のペ*ス型ディルド、サバイバルナイフ
[思考・行動]
0:お父さんを捜す。
1:戸賀崎さん、アルジャーノンさん……。
[備考]
※滅多な事では死にませんが、頭部を破壊されるか身体を焼かれるかすると死にます。
※深谷春那の情報を得ました。

【平田洋明】
[状態]健康
[装備]デジニトクマッシSR-2(20/20)
[持物]基本支給品一式、デジニトクマッシSR-2の弾倉(4)、キャリコM110(87/100)、キャリコM110の弾倉(1)、ドス
[思考・行動]
0:片桐さんを優勝させ、自分は自害する。
1:ドーグラスを殺したい。
[備考]
※井本萌実(名前未確認)を危険人物と判断しました。

【井本萌実】
[状態]腹部にダメージ、右手負傷、不機嫌
[装備]アストラM902(0/20)
[持物]基本支給品一式、アストラM902の弾倉(5)
[思考・行動]
0:殺し合いを楽しむ。
1:むかつく……。
[備考]
※ドーグラス、久木山凌河、平田洋明からは離れています。



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前:未完成過ぎる奴ら アルジャーノン 死亡
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最終更新:2012年05月12日 18:06
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