ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2082 思い込み
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ankoss
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思い込みについて少し考えてみたけど、ややこしくなったかも。
「ゆっくりが思い込みで変質することを知ってるかね?」
「なんです?藪から棒に。」
大学の小さな研究室で博士が学生の俺に言葉を投げかけた。
「ゆっくりというのは思い込みで物質を変えたりできるんだ。物質といっても自分自身だけを変質させることが出来る。」
「よく分かりません。何が言いたいんですか?」
「つまり、例えばれいむの中身は餡子だ。れいむにお前の中身は餡子ではなく、抹茶アイスだと信じ込ませる。するとれいむの中身は餡子ではなく抹茶アイスになっている。」
「…そんなことがあるんですか?聞いたことがないですが。」
「ゆっくりは自分の中身が餡子やチョコレートであることを本能的に認識している。恐らく祖先に関連しているのだろうが、ゆっくりの祖先というのは全く不明だ。」
「確かに、ある日突然に現れてきましたからね。動く、喋る饅頭として最初は驚いたものですが、祖先なんて皆目見当がつきません。」
「その本能に刻まれた自身は餡子やチョコレートであるという、ある種の思い込みを変化させるとゆっくりの中身も変化するんだ。」
「どうやって思い込ませるんです?」
「一番手っ取り早いのが、ゆっくりの中身の餡子を抹茶アイスと入れ替える。その中身を別のゆっくりに見せて、お前の中身は実は抹茶アイスなんだと言う。」
「信じるんですかね?」
「野良ゆっくりは日頃ゆっくりできていないだろう。その原因は実は君達の中身が抹茶アイスだからだとか言えば、信じ始める。」
「…本当にそんなんで信じるんですか?とても信じるとは思えませんが。」
「ゆっくりというのは大概にして愚かだし、言葉を鵜呑みにする傾向がある。まして野良ゆっくりは日頃ゆっくりできない原因を自分ではなく他者のせいだと信じる傾向もある。
そんなゆっくりに中身が抹茶アイスと言うと最初は、"そんな訳無い、違う"と言い張る。だが何度か言い聞かせる内に、自分の中身は本当は抹茶アイスなのではないかと疑い始める。」
「普通のゆっくりではダメなんですか?野良ゆっくりみたいに、ゆっくりしてないゆっくりでないといけない理由が?」
「そこが鍵だ。野良はゆっくりしていないだろう。ここで他者に責任転嫁するゆっくりの性格が影響してくる。幸せになれないのは、ゆっくりできないのはもしかして自分の中身が本当に抹茶アイスだからかと。
最初はそんなはずないと否定するが、彼等は"確かにゆっくりできていない、中身が抹茶アイスだから?"と徐々にではあるが信じ始める。まさかまさかと思っていく内に中身は抹茶アイスに変質していく。」
「…本当にそんなことが?」
「少し外を歩いてみよう。」
博士はそう言って研究室のドアを開けて出て行ってしまった。俺は慌てて博士の後を追う。
「どこに行くんですか?」
「街中の野良ゆっくりに会いに行くんだ。君も付いてくるといい。」
そう言って博士と俺は大学から出て、近くの街中へと白衣姿のままやってきた。しばらく歩くと路地に辿り着き、薄汚いダンボールを発見する。
博士がゆっくりしていってねと声を発するとダンボールから、まりさとれいむが出てきた。
「ゆ…に、にんげんさんゆっくりしていってね…」
「れ、れいむたちにひどいことしないでね…めいわくかけたならごめんなさいするよ…だからつぶさないでね…」
「安心しなさい。私は君達を潰したりはしないよ。」
「「ゆふぅ…」」
安堵のため息をついた二匹に博士は言葉を続けた。
「ところで君達はゆっくりできているかい?」
「ゆ…まりさたちは…ぜんぜんゆっくりできてないよ…」
「れいむたちはかいゆっくりだったんだよ…でもおにいさんにすてられちゃったんだよ…それからのらになって…ぜんぜんゆっくりできないよ…」
「そうかそうか、それは気の毒に。…ところで何故お兄さんが君達を捨てたか分かるかい?」
「わからないよ…まりさぜんぜんわからないよ…きづいたらだんぼーるさんのなかにいて、ここにいたんだよ…」
「いままでいっぱいあまあまくれたんだよ…でも、のらになってからはあまあまなんていちどもたべられなかったよ…」
「おじさんは君達が何でお兄さんに捨てられて、今現在ゆっくりできないか知ってるよ。君達は知りたいかい?」
「ゆ!し、しりたいよ!おしえてね!」
「ど、どうしてれいむたちはすてられちゃったのかおしえてね…!」
「それはね、君達の中身が餡子じゃなくてカレーライスだからだよ。」
「「ゆっ!?」」
「そ、そんなわけないでしょ!まりさのなかみはあんこだよ!よくわかってるよ!」
「そうだよ!れいむだってあんこさんがなかみなんだよ!へんなこといわないでね!」
「じゃあ、どうして君達は捨てられたんだい?」
「「ゆ…それは…わからないよ…」」
「カレーライスは知ってるかい?辛くて、ゆっくりにとってはとてもゆっくりできないものなんだけど。」
「…しってるよ…とってもからくてゆっくりにはどくなんだよ…」
「れいむたちがかれーらいすさんをたべたら、きっとしんじゃうよ…」
「確かにそうだね。でも君達の中身がカレーライスというのは事実なんだよ。お兄さんはそれを知って不気味に思って捨てたんだろうね。」
「そ、そんな…そんなわけないよ…」
「そうだよ…れいむたちのなかみがかれーらいすさんなわけないよ…」
「じゃあ何で君達はゆっくりできていないんだい?」
「「ゆっ!!」」
「甘い物を食べてゆっくりしていたのは自らの中身がカレーライスで、辛さを紛らわす為だったとは思わなかったかい?」
「「ゆうっ!?」」
「君達はきっと"こんなにゆっくりできないのはだれかのせい"と思ってるだろう。でも、自分の中身がカレーライスだからゆっくりできない…そう考えるのが自然だろうし、それが事実なんだ。」
「そ、そんな…ゆぅ…でもそういわれるとそんなきがしてきたよ…」
「れいむたちのなかみがかれーらいすさんだから、ゆっくりできない…の?」
「な、なんだかからだがへんになってきたよ…く、くるしいよ…」
「れいむもなんだか…からだがあつく…」
「体が変な感じになってきたかい?熱いかい?ゆっくりできないだろう。それは君達の中身がカレーライスだからだよ。」
「ゆ、ゆげええええええええええええええええええええ!!……ど、どうじでばりざのげろがかれーさんになっでるのお!?」
「ひょ、ひょっとして…れいむたちのなかみはほんとうにかれー…ゆげええええええええええええええええええええええええええええ!!」
「「ゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」」
「ゆげええええええええええええ…が、がらいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「どぼぢでがらいのおおおおおおおおおおおおおおおおお!!がらだがあづいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「「ゆげええええええええええええええええええ!!ゆげ!ゆげえええええええええええええええええ!!」」
「ば、ばじざのながみががれーざん…なんで…おにいざんごべんなざい…もっど…」
「どぼぢで…れいぶはただゆっぐじじだがっだのに…がれーらいず…ゅ…」
カレーライスと思われる液状のものをドロドロと吐くと、二匹は事切れた。
「…本当にカレーライスみたいですね。」
「これは紛れもないカレーライスだよ。もっとも具も無いし、ルーとライスだけだがね。」
「それにしても信じ込ませる辺りが、少々強引すぎませんか?」
「確かに強引だろう。だが、ゆっくり自身が納得すれば何も問題はないのだ。責任転嫁と言葉を鵜呑みにする性格…それが災いして二匹の中身はカレーライスとなった。」
「抹茶アイスじゃなくていいんですか?」
「あれはあくまで例えに過ぎない。ゆっくりを思い込みで変質させるには、ゆっくり自身が変質させる物を知っていなければならない。そして今の二匹はカレーライスを知っていた。
しかしもしカレーライスの存在を知らなかった場合は彼等はカレーライスにならないだろう。カレーライスを知らないゆっくりに、カレーライスとは辛いものだと教える。
そうするとゆっくり自身の経験や想像に基づいて中身は変化する。それはカレーライスではなく、七味唐辛子やハバネロかもしれない。」
「…今のは実習ですか。ゆっくりを思い込みで変化させる場合は、ゆっくり自身が理解或いは知っているものでないといけないということでしょうか?」
「その通りだ。…君はシュレディンガーの猫というものを知っているかね?」
「"扉を開けるまで猫の生死は分からない"というものですか?」
「そうだ。それは人間から見たゆっくりにも同じ事が言える。」
「…よく分かりません。」
「我々人間は、ゆっくりの中身を甘いものや酢飯なんかと思っている。だけどもし、ゆっくりについて何も知らない人間が居たとしよう。この人間がれいむの中に鉛が詰まっていると思い込む。
人間が一方的に、ゆっくりの中身を思い込んだ後にれいむを解体すると餡子ではなく確かに鉛が出てきた。ゆっくりの意思や理解を無視してだ。」
「博士、先程あなたはゆっくりを変質させる場合はゆっくり自身が変質させる物を知っていて、尚かつ納得させなければならないと仰いましたが。そのお話は矛盾しているのでは?」
「確かに矛盾もいいところだ。だが私は催眠術を掛けてもらい、ゆっくりについて何も知らない状態にされた。催眠術師が"ゆっくりの中身は鉛だ"と言うと私はそれを信じた。
そのまま促されて泣き叫ぶれいむを解体してみると、実際に鉛が詰まっていたのだ。泣き叫んでいたのは解体される恐怖ではなく、自身の中身が鉛だという事に対する拒絶、恐怖。
ゆっくり自身が思い込む中身の存在を、何も知らない人間の思い込みによって変化させられたのだ。」
「そんなことしてたんですか。…確かに、人間が思い込むというのは自分を騙すことでもあるし潜在意識なんかで心の何処かで"ゆっくりの中身は餡子"と思ってるでしょうね。」
「人間の思い込みはゆっくりに取って致命的なほどに大きいことが分かった。ゆっくりにとっての常識を打ち破り、存在を否定するほどだ。
人類の誕生に関しても進化論やID論など様々な説がある。だが私が思うに、ゆっくりというのは誰かに願われた結果生まれたのではないかと。」
「そして突然ゆっくりは現れた…誰が願ったのか、何の為に。」
「それは私にも分からない。尽き果てぬ欲を持ち、脆弱な体と日本語を話す彼等。そのせいで他の野生動物よりもずっとゆっくりできていない。だから私は思った。
このような"ゆっくり"という存在を願ったのは、ゆっくりを無尽に求めるが故、ゆっくりできることは少ない。その愚かで苦しむ姿を見たいが為に願ったと。
誰が願ったのかは知らないが、ゆっくりという存在は手放しにされいわゆるお家宣言をしたりして人間にとって邪魔な存在になった。」
「願望が現実になると願った者は満足した。しかしゆっくりは消えることもなく、現実に適応する形で自らの存在をねじ込んだ…ということですか?」
「そうだ。人間はゆっくりに振り回される羽目になった。人間の思い込みは、ゆっくりの思い込みを軽く上回っている。だが人間がその思い込みに気付くことはない。
ゆっくり達の中身が餡子なのは、潰したか吐いた際に出たものが餡子だったからだろう。それはゆっくりの本能で、人間は餡子だと受け取った。
中身の存在を知った時点で、ゆっくりの中身が餡子であることを現実に受け入れてしまったのだ。ゆっくりの基本設定…本能を気付くことなく人間は容認したのだ。」
「人間の思い込みは、ゆっくりに強く作用する。でも知識や経験が邪魔をして、人間が純粋に思い込むというのは難しいということですか。」
「その通りだ。ゆっくりの中身は潰すまで分からないが、ゆっくりの本能に刻まれた中身の内容を、気付かず受け入れたという形で人間はある意味決めつけたのだ。」
博士は博士の説を言い終えると、では今日はここまでにしようと一言俺に言って何処かへ去ってしまった。俺はちょっとした好奇心で、野良ゆっくりを変質できるかどうか再度試すことにした。
野良ゆっくりを探しに公園へ向かおうと道を歩いていると、野良まりさが俺の前に出てきた。
「ゆっへっへ!あまあまよこすのぜ!まりささまにさからったらいたいめみるのぜ!」
「…お前の中身は何だ?」
「なにをごちゃごちゃいってるんだぜ?さっさとあまあまよこすのぜ!」
「お前の中身は…水だ。水。それしか有り得ない。まりさの中身は水なんだ。」
「なにへんなこといってるんだぜ?あつさであたまがやられたのぜ?」
水、水、水。まりさの中身は水だと俺は強く思った。眉間にシワを寄せて餡子の存在を忘れて、まりさの中身を水だと思い込む。
「じかんぎれなのぜ!まりささまにさからったからにはいたいめ…ゆ?ゆうううううううううううううううううううううううううう!?」
まりさの体がたるみ始めた。なんだか雨漏りでグニャグニャに歪んだ壁紙の様だ。どうも成功したらしい。
「ゆううううううううううううううううう!!ど、どうじでどげるのぜええええええええええええええええ!?だ、だずげるんだぜ!くそにんげんはまりささまをたすけるのぜ!」
「まりさの中身は水…水…水…」
「ど、どげるうううううううううううううううううう…ゆうううううううううううううう!?どぼぢでおみずがででぐるのぜええええええええええええええええええ!!!?」
「うーん…餡子が水に置き換わっているってところかな…」
「ゆっ…ゆっ…ゆっ…お、おみずさんとまっだのぜ…ゆふぅ…ゆぐっ!ゆぎっ!……う、うごげないいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
俺はまりさの中身が餡子であることを思い出してしまったせいか、まりさがデロデロに溶けきる寸前で水の流失が止まった。
とはいえべっちゃりと地面に貼りついているため、まりさは動くこともままならなかった。餡子が致死量の手前程はあったので未だ生きているが、死ぬのは時間の問題だろう。
「うーん…やっぱり思い込むってのは難しいかもな。禅問答とかやる人だったら邪念を払って思い込めるのかも知れない…博士に今度言ってみよう。」
「ま、まつんだぜ!じじいはゆっくりしないでまりささまをたすけるのぜ!…ま、まっでええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」
FIN
「ゆっくりが思い込みで変質することを知ってるかね?」
「なんです?藪から棒に。」
大学の小さな研究室で博士が学生の俺に言葉を投げかけた。
「ゆっくりというのは思い込みで物質を変えたりできるんだ。物質といっても自分自身だけを変質させることが出来る。」
「よく分かりません。何が言いたいんですか?」
「つまり、例えばれいむの中身は餡子だ。れいむにお前の中身は餡子ではなく、抹茶アイスだと信じ込ませる。するとれいむの中身は餡子ではなく抹茶アイスになっている。」
「…そんなことがあるんですか?聞いたことがないですが。」
「ゆっくりは自分の中身が餡子やチョコレートであることを本能的に認識している。恐らく祖先に関連しているのだろうが、ゆっくりの祖先というのは全く不明だ。」
「確かに、ある日突然に現れてきましたからね。動く、喋る饅頭として最初は驚いたものですが、祖先なんて皆目見当がつきません。」
「その本能に刻まれた自身は餡子やチョコレートであるという、ある種の思い込みを変化させるとゆっくりの中身も変化するんだ。」
「どうやって思い込ませるんです?」
「一番手っ取り早いのが、ゆっくりの中身の餡子を抹茶アイスと入れ替える。その中身を別のゆっくりに見せて、お前の中身は実は抹茶アイスなんだと言う。」
「信じるんですかね?」
「野良ゆっくりは日頃ゆっくりできていないだろう。その原因は実は君達の中身が抹茶アイスだからだとか言えば、信じ始める。」
「…本当にそんなんで信じるんですか?とても信じるとは思えませんが。」
「ゆっくりというのは大概にして愚かだし、言葉を鵜呑みにする傾向がある。まして野良ゆっくりは日頃ゆっくりできない原因を自分ではなく他者のせいだと信じる傾向もある。
そんなゆっくりに中身が抹茶アイスと言うと最初は、"そんな訳無い、違う"と言い張る。だが何度か言い聞かせる内に、自分の中身は本当は抹茶アイスなのではないかと疑い始める。」
「普通のゆっくりではダメなんですか?野良ゆっくりみたいに、ゆっくりしてないゆっくりでないといけない理由が?」
「そこが鍵だ。野良はゆっくりしていないだろう。ここで他者に責任転嫁するゆっくりの性格が影響してくる。幸せになれないのは、ゆっくりできないのはもしかして自分の中身が本当に抹茶アイスだからかと。
最初はそんなはずないと否定するが、彼等は"確かにゆっくりできていない、中身が抹茶アイスだから?"と徐々にではあるが信じ始める。まさかまさかと思っていく内に中身は抹茶アイスに変質していく。」
「…本当にそんなことが?」
「少し外を歩いてみよう。」
博士はそう言って研究室のドアを開けて出て行ってしまった。俺は慌てて博士の後を追う。
「どこに行くんですか?」
「街中の野良ゆっくりに会いに行くんだ。君も付いてくるといい。」
そう言って博士と俺は大学から出て、近くの街中へと白衣姿のままやってきた。しばらく歩くと路地に辿り着き、薄汚いダンボールを発見する。
博士がゆっくりしていってねと声を発するとダンボールから、まりさとれいむが出てきた。
「ゆ…に、にんげんさんゆっくりしていってね…」
「れ、れいむたちにひどいことしないでね…めいわくかけたならごめんなさいするよ…だからつぶさないでね…」
「安心しなさい。私は君達を潰したりはしないよ。」
「「ゆふぅ…」」
安堵のため息をついた二匹に博士は言葉を続けた。
「ところで君達はゆっくりできているかい?」
「ゆ…まりさたちは…ぜんぜんゆっくりできてないよ…」
「れいむたちはかいゆっくりだったんだよ…でもおにいさんにすてられちゃったんだよ…それからのらになって…ぜんぜんゆっくりできないよ…」
「そうかそうか、それは気の毒に。…ところで何故お兄さんが君達を捨てたか分かるかい?」
「わからないよ…まりさぜんぜんわからないよ…きづいたらだんぼーるさんのなかにいて、ここにいたんだよ…」
「いままでいっぱいあまあまくれたんだよ…でも、のらになってからはあまあまなんていちどもたべられなかったよ…」
「おじさんは君達が何でお兄さんに捨てられて、今現在ゆっくりできないか知ってるよ。君達は知りたいかい?」
「ゆ!し、しりたいよ!おしえてね!」
「ど、どうしてれいむたちはすてられちゃったのかおしえてね…!」
「それはね、君達の中身が餡子じゃなくてカレーライスだからだよ。」
「「ゆっ!?」」
「そ、そんなわけないでしょ!まりさのなかみはあんこだよ!よくわかってるよ!」
「そうだよ!れいむだってあんこさんがなかみなんだよ!へんなこといわないでね!」
「じゃあ、どうして君達は捨てられたんだい?」
「「ゆ…それは…わからないよ…」」
「カレーライスは知ってるかい?辛くて、ゆっくりにとってはとてもゆっくりできないものなんだけど。」
「…しってるよ…とってもからくてゆっくりにはどくなんだよ…」
「れいむたちがかれーらいすさんをたべたら、きっとしんじゃうよ…」
「確かにそうだね。でも君達の中身がカレーライスというのは事実なんだよ。お兄さんはそれを知って不気味に思って捨てたんだろうね。」
「そ、そんな…そんなわけないよ…」
「そうだよ…れいむたちのなかみがかれーらいすさんなわけないよ…」
「じゃあ何で君達はゆっくりできていないんだい?」
「「ゆっ!!」」
「甘い物を食べてゆっくりしていたのは自らの中身がカレーライスで、辛さを紛らわす為だったとは思わなかったかい?」
「「ゆうっ!?」」
「君達はきっと"こんなにゆっくりできないのはだれかのせい"と思ってるだろう。でも、自分の中身がカレーライスだからゆっくりできない…そう考えるのが自然だろうし、それが事実なんだ。」
「そ、そんな…ゆぅ…でもそういわれるとそんなきがしてきたよ…」
「れいむたちのなかみがかれーらいすさんだから、ゆっくりできない…の?」
「な、なんだかからだがへんになってきたよ…く、くるしいよ…」
「れいむもなんだか…からだがあつく…」
「体が変な感じになってきたかい?熱いかい?ゆっくりできないだろう。それは君達の中身がカレーライスだからだよ。」
「ゆ、ゆげええええええええええええええええええええ!!……ど、どうじでばりざのげろがかれーさんになっでるのお!?」
「ひょ、ひょっとして…れいむたちのなかみはほんとうにかれー…ゆげええええええええええええええええええええええええええええ!!」
「「ゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」」
「ゆげええええええええええええ…が、がらいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「どぼぢでがらいのおおおおおおおおおおおおおおおおお!!がらだがあづいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「「ゆげええええええええええええええええええ!!ゆげ!ゆげえええええええええええええええええ!!」」
「ば、ばじざのながみががれーざん…なんで…おにいざんごべんなざい…もっど…」
「どぼぢで…れいぶはただゆっぐじじだがっだのに…がれーらいず…ゅ…」
カレーライスと思われる液状のものをドロドロと吐くと、二匹は事切れた。
「…本当にカレーライスみたいですね。」
「これは紛れもないカレーライスだよ。もっとも具も無いし、ルーとライスだけだがね。」
「それにしても信じ込ませる辺りが、少々強引すぎませんか?」
「確かに強引だろう。だが、ゆっくり自身が納得すれば何も問題はないのだ。責任転嫁と言葉を鵜呑みにする性格…それが災いして二匹の中身はカレーライスとなった。」
「抹茶アイスじゃなくていいんですか?」
「あれはあくまで例えに過ぎない。ゆっくりを思い込みで変質させるには、ゆっくり自身が変質させる物を知っていなければならない。そして今の二匹はカレーライスを知っていた。
しかしもしカレーライスの存在を知らなかった場合は彼等はカレーライスにならないだろう。カレーライスを知らないゆっくりに、カレーライスとは辛いものだと教える。
そうするとゆっくり自身の経験や想像に基づいて中身は変化する。それはカレーライスではなく、七味唐辛子やハバネロかもしれない。」
「…今のは実習ですか。ゆっくりを思い込みで変化させる場合は、ゆっくり自身が理解或いは知っているものでないといけないということでしょうか?」
「その通りだ。…君はシュレディンガーの猫というものを知っているかね?」
「"扉を開けるまで猫の生死は分からない"というものですか?」
「そうだ。それは人間から見たゆっくりにも同じ事が言える。」
「…よく分かりません。」
「我々人間は、ゆっくりの中身を甘いものや酢飯なんかと思っている。だけどもし、ゆっくりについて何も知らない人間が居たとしよう。この人間がれいむの中に鉛が詰まっていると思い込む。
人間が一方的に、ゆっくりの中身を思い込んだ後にれいむを解体すると餡子ではなく確かに鉛が出てきた。ゆっくりの意思や理解を無視してだ。」
「博士、先程あなたはゆっくりを変質させる場合はゆっくり自身が変質させる物を知っていて、尚かつ納得させなければならないと仰いましたが。そのお話は矛盾しているのでは?」
「確かに矛盾もいいところだ。だが私は催眠術を掛けてもらい、ゆっくりについて何も知らない状態にされた。催眠術師が"ゆっくりの中身は鉛だ"と言うと私はそれを信じた。
そのまま促されて泣き叫ぶれいむを解体してみると、実際に鉛が詰まっていたのだ。泣き叫んでいたのは解体される恐怖ではなく、自身の中身が鉛だという事に対する拒絶、恐怖。
ゆっくり自身が思い込む中身の存在を、何も知らない人間の思い込みによって変化させられたのだ。」
「そんなことしてたんですか。…確かに、人間が思い込むというのは自分を騙すことでもあるし潜在意識なんかで心の何処かで"ゆっくりの中身は餡子"と思ってるでしょうね。」
「人間の思い込みはゆっくりに取って致命的なほどに大きいことが分かった。ゆっくりにとっての常識を打ち破り、存在を否定するほどだ。
人類の誕生に関しても進化論やID論など様々な説がある。だが私が思うに、ゆっくりというのは誰かに願われた結果生まれたのではないかと。」
「そして突然ゆっくりは現れた…誰が願ったのか、何の為に。」
「それは私にも分からない。尽き果てぬ欲を持ち、脆弱な体と日本語を話す彼等。そのせいで他の野生動物よりもずっとゆっくりできていない。だから私は思った。
このような"ゆっくり"という存在を願ったのは、ゆっくりを無尽に求めるが故、ゆっくりできることは少ない。その愚かで苦しむ姿を見たいが為に願ったと。
誰が願ったのかは知らないが、ゆっくりという存在は手放しにされいわゆるお家宣言をしたりして人間にとって邪魔な存在になった。」
「願望が現実になると願った者は満足した。しかしゆっくりは消えることもなく、現実に適応する形で自らの存在をねじ込んだ…ということですか?」
「そうだ。人間はゆっくりに振り回される羽目になった。人間の思い込みは、ゆっくりの思い込みを軽く上回っている。だが人間がその思い込みに気付くことはない。
ゆっくり達の中身が餡子なのは、潰したか吐いた際に出たものが餡子だったからだろう。それはゆっくりの本能で、人間は餡子だと受け取った。
中身の存在を知った時点で、ゆっくりの中身が餡子であることを現実に受け入れてしまったのだ。ゆっくりの基本設定…本能を気付くことなく人間は容認したのだ。」
「人間の思い込みは、ゆっくりに強く作用する。でも知識や経験が邪魔をして、人間が純粋に思い込むというのは難しいということですか。」
「その通りだ。ゆっくりの中身は潰すまで分からないが、ゆっくりの本能に刻まれた中身の内容を、気付かず受け入れたという形で人間はある意味決めつけたのだ。」
博士は博士の説を言い終えると、では今日はここまでにしようと一言俺に言って何処かへ去ってしまった。俺はちょっとした好奇心で、野良ゆっくりを変質できるかどうか再度試すことにした。
野良ゆっくりを探しに公園へ向かおうと道を歩いていると、野良まりさが俺の前に出てきた。
「ゆっへっへ!あまあまよこすのぜ!まりささまにさからったらいたいめみるのぜ!」
「…お前の中身は何だ?」
「なにをごちゃごちゃいってるんだぜ?さっさとあまあまよこすのぜ!」
「お前の中身は…水だ。水。それしか有り得ない。まりさの中身は水なんだ。」
「なにへんなこといってるんだぜ?あつさであたまがやられたのぜ?」
水、水、水。まりさの中身は水だと俺は強く思った。眉間にシワを寄せて餡子の存在を忘れて、まりさの中身を水だと思い込む。
「じかんぎれなのぜ!まりささまにさからったからにはいたいめ…ゆ?ゆうううううううううううううううううううううううううう!?」
まりさの体がたるみ始めた。なんだか雨漏りでグニャグニャに歪んだ壁紙の様だ。どうも成功したらしい。
「ゆううううううううううううううううう!!ど、どうじでどげるのぜええええええええええええええええ!?だ、だずげるんだぜ!くそにんげんはまりささまをたすけるのぜ!」
「まりさの中身は水…水…水…」
「ど、どげるうううううううううううううううううう…ゆうううううううううううううう!?どぼぢでおみずがででぐるのぜええええええええええええええええええ!!!?」
「うーん…餡子が水に置き換わっているってところかな…」
「ゆっ…ゆっ…ゆっ…お、おみずさんとまっだのぜ…ゆふぅ…ゆぐっ!ゆぎっ!……う、うごげないいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
俺はまりさの中身が餡子であることを思い出してしまったせいか、まりさがデロデロに溶けきる寸前で水の流失が止まった。
とはいえべっちゃりと地面に貼りついているため、まりさは動くこともままならなかった。餡子が致死量の手前程はあったので未だ生きているが、死ぬのは時間の問題だろう。
「うーん…やっぱり思い込むってのは難しいかもな。禅問答とかやる人だったら邪念を払って思い込めるのかも知れない…博士に今度言ってみよう。」
「ま、まつんだぜ!じじいはゆっくりしないでまりささまをたすけるのぜ!…ま、まっでええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」
FIN