ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1963 リオれいみゅの話
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ankoss
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*この世界は愛で特化されています。
*今回もオリジナル亜種のネタです。
*ゆっくりの性能がチートです。
*ゆっくり達が漢字を使ってしゃべります。
リオれいみゅの話
私の家には飼いゆっくりがいる。
独りで暮らすには、ちょっと大きすぎる家なので、少し賑やかなくらいがちょうどいいと思って
飼い始めたのだが……これがまた見事にハマってしまった。
何だかんだとゆっくりの数が増えていき、今現在のところ13匹ものゆっくりが同居している。
さすがにこれは飼い過ぎだろうと自分でも思うが……途中からウチが飼育の面倒なゆっくりの預かり所
だとでも思われだしたらしく、あちこちから頼まれた特殊なゆっくりばかり増えてしまった。
まぁ、ゆっくりは嫌いじゃないし、むしろ大好きなんで困ってはいない。
みんな良い子たちばかりなので、家事の手伝いなどやってもらって助かるくらいだ。
そんな我が家のゆっくりの中で、最も幼くて、最も新参の赤ゆっくりについて今日は話そう。
「ゆんゆーん♪ゆんやぁ~♪ゆっくちゆっくち~♪」
タンスの上の専用スペース上。フカフカで真っ赤な座布団に座って1匹の赤ゆっくりが歌っている。
彼女の名前はリオれいむ。れいむ種の中でもかなりレアな空飛ぶれいむだ。
その能力は、プラチナバッヂとして登録されているくらいレアである。
「ただいまー」
「ゆっ?!おねえしゃん、ゆっくりおきゃえりなしゃい!」
仕事を終えて帰宅した私に、元気な挨拶をしてくれる。
ちょうど私の目線と近い高さにいるので、小さな赤ゆっくり相手でも会話しやすい。
れいむ用の座布団の他には、キラキラと光る白金のバッヂが置いてあるだけの空間は、れいみゅ自身が
私と近くでお話が出来るからと選んだゆっくりプレイスだ。
普通の赤ゆっくりをこんな高所で飼うなんて出来ないが、空を飛べるリオれいむなら問題ない。
それに独りが飽きたら、一緒に遊んでくれる仲間がウチには12匹もいるから、退屈もしないだろう。
ちなみに、バッヂはリオのプラチナバッヂ(飛)だが、まだ赤ゆの彼女には装着出来ないので飾っている。
彼女はこのピカピカしてるバッヂを眺めるのも好きなのだ。
「リオ、良い子でゆっくりしてた?」
「うん!れいみゅ、いいこにしちぇたよ!きょうは まりちゃとぐんしょーとあしょんだよ!」
「そう。軍曹が遊んでくれたの?」
そんな話をしていたら、部屋の襖がスラッと開いて、話題の「軍曹」が現われた。
「ゆっ!おねえさん、おかえりなさいだぜ」
「ただいま、軍曹。今日も何もなかった?」
「問題なしなのぜ。ちょっとマスコミさんが何度か来たけども、すぐに帰ったのぜ」
「また取材の申し込み?」
「そうなのぜ。プラチナの子たちを取材したいって話だったけど、お断りしていいんだよね?」
「ええ。それでいいわ。ありがとう」
私達が「軍曹」と呼ぶ彼女はウチで一番古株のゆっくりまりさ。
その落ち着いた雰囲気と片目に走る稲妻のような傷跡から、私が軍曹と名付けた。
我が家のクセの強すぎるゆっくりたちを纏める事が出来るお父さんである。
ちなみに金バッヂ。他のゆっくりに教育指導する資格を持っているゆっくりだ。
「ゆぅ……「お父さん」は酷いんだぜ。まりさだって女の子なのぜ?」
「あれ?言葉にしてた?!ごめんなさいね」
慌てて謝罪をすると、まりさは「しょうがない人なんだぜ」とブツブツ言いながら家の奥へと引っ込んだ。
おそらく、夕飯の支度を仲間としている途中なのだろう。
おさげを使って襖をきっちりと閉めて行く辺り、几帳面な性格がよく出てる。
「ゆゆーん、おねえしゃん!れいみゅとおはにゃししようにぇ!」
「あぁー、リオもごめんね。じゃ、先に着替えちゃうわ」
ここは、いわゆるクローゼットのような部屋だ。
着替えや布団がタンスや押入れに仕舞ってあり、私はここでいつも着替えている。
トレードマークの白衣を脱ぎ、ハンガーにかける。そして、ネクタイを外してワイシャツとスカートも畳んでおく。
これらは後で洗濯機に入れて洗っておこう。それから部屋着に着替えて完了だ。
「それじゃ、みんなの所へ行きましょうか」
「ゆっくちりょーかいしちゃよ!ゆっくち、ゆっくち!」
ふわりとその場で浮き上がったリオが、両方のモミアゲをピコピコと振って空を泳ぎだす。
どういう原理かは不明だが、リオれいむは水平方向への移動にはモミアゲを使うので体力を使うが、
上昇や下降はほとんど疲れないらしい。
しかも、ただ浮いているだけのホバリングとなると、全く疲れないようだ。
まだ赤ゆっくりで体力がないのか、タンスから私の肩の上まで移動すると、リオはかなり消耗したらしく、
大きく息をついた。
「ゆひゅー!れいみゅ、つかれちゃったよ!とぶのはちゃいへんだにぇ!」
「そうね。でも、飛ぶ練習はちゃんとしましょうね」
「れいみゅ、ゆっくちがんばりゅよ!」
居間へと向かって部屋を出ると、とても香ばしい匂いがした。
「あ、今日はカレーかな」
「カレーしゃん?カレーしゃんは かりゃくてゆっくちできにゃいよ!」
「ゆっくり用はシチューじゃないかな?ルーを変えるだけでいいし」
「ゆーん♪シチューしゃん、シチューしゃん、ゆっくち~♪」
泣きそうな顔から一転してご機嫌になったリオを見ると、私もニコニコしてしまう。
赤ゆの笑顔って、やっぱり宝物よね。
+ + + + + +
夕飯を終えたら、ゆっくりたちは思い思いの過ごし方をする。
ある者は食後の運動をし、ある者はうたた寝を始める。
そして、リオは私と遊びたいと言い出した。
それは私も望むところである。
新しいリオの飛行訓練を思いついたので、試したかったのだ。
「ゆっ、ゆっ、ぴょんぴょんしゅるよ!」
今度はリオは床の上を跳ねて移動している。
空が飛べるリオれいむとはいえ、終始飛んでいるばかりではない。こうやって、地上で動くことも
忘れずに訓練しないと運動オンチなゆっくりになってしまう。
我が家のゆっくりであるなら、それではいけない。
私の理想は、いつ私が死んでいなくなっても立派に生きていけるゆっくりになってもらう事なのだから。
一度、この理想をみんなの前で口にしたら、一斉に「どぼぢでぞんだごどいうのぉぉおおぉぉ?!」
とマジ泣きされた。
さすがに縁起でもなかったと反省したし、「おねえざんがじんだら、ばでぃざもじぬよっ!」と軍曹に
泣きながら怒られてしまったのでもう二度と口にはしない事にした。
「さて、それじゃトレーニングしながら遊びましょう」
「れいみゅ、がんばるにぇ!ゆっゆっおー!」
天井から何本も糸をぶら下げて、その先に折り紙で作ったリングを付ける。
リングの大きさは直系10センチくらい。大体でいいので、サイズはまちまちだ。
まぁ、要するに飛行機や妖怪たちが空中レースをするコースのミニチュア版だと思えばいい。
リングをくぐった数と速さで勝敗を決めるアレだ。
「ゆゆーん、ドーナツしゃんみたいだにぇ」
あまあまを連想したのか、ちょっとヨダレを垂らしてコースを見上げるリオ。
「さ、それじゃこのドーナツみたいな輪の中をどれだけくぐれるかを試すわよ」
「くぐりぇばいいにょ?」
「そうよ。全部一度にくぐれたら、本物のドーナツをあげる」
「ゆゆーっ?!」
あまあまが貰えると聞いて、リオの表情が引き締まった。
ちょっと邪道ではあるが、赤ゆのやる気を出すにはこれが一番だ。
「それじゃ行くわよ?よーい……」
「あまあましゃん!あまあましゃん!」
「スタート!」
「あまあまーっ!!」
スーッと一気に上昇してリングの高さまで達するリオ。そこから、一番手頃なリングへと向きを変え、
ピコピコと羽ばたいて動きだす。
どうやら、最初のターゲットは一番大きな黄色のリング。まぁ、難易度的には問題ないだろう。
「れいみゅは、あまあまをむーちゃむーちゃしゅるよ!」
あっさりと黄色のリングを通過して、次のリングへと向かう。なかなか良いペースだが、ちょっと早過ぎる
かもしれない。まぁ、疲れたら休憩してもいいのだから、問題ないか。
……それにしても、ちょっと欲望に正直過ぎないかな、この子(笑)
まぁいいや。それと通過済みのリングは千切っておこう。これで未通過のリングとの区別になる。
「ゆーしょ、ゆーしょ!れいみゅ がんばるにぇ!」
今度は赤いリングを通過した。ちゃんと通りやすい方向から突っ込んでるのは賢いな。
小さいリングはリオの幅ちょうどくらいしかないので、色々と考えないと通れない。
そして、リオの今度の標的は、そんなギリギリサイズの緑のリングのようだ。
「ゆっ!ゆっ!ゆっ?!」
あ、やっぱり突っ込む方向が甘かったようだ。モミアゲの羽ばたきにぶつかってリングが大きく跳ね飛ばされた。
リオの方は、唐突に目標が遠ざかったので、何が起きたのか理解が付いていけてないようだ。
「リングしゃん、まっちぇね!れいみゅに くぐらしぇてね!」
急いでリングを追いかけるが、糸で吊るされたリングは大きく弧を描いてリオの元へと戻ってきていた。
ただし、他のリングの糸を何本か巻き込んで。
「ゆぅっ?!い、いとしゃん?!」
複数の糸がリオのモミアゲにまとわりついた。それを更にモミアゲで弾き飛ばす事で、別のリングと糸を大きく揺らす。
それが更に糸を揺らして……実に見事な連鎖がスタートしていた。
あっという間に、リングと糸がリオの周囲を包囲し、襲い掛かる。それはまるで生き物のような動きだった。
「ゆゅーっ?!」
「あ……」
……そして、後に残ったのは糸でグルグル巻きにされたリオだった。ザ・簀巻きである。
「いとしゃん、いとしゃん!はなしちぇね!はなしちぇね!ゆんやぁー、うごけにゃいよー!!」
「あらあら」
私は苦笑しながらリオに絡まった糸を外してあげるのだった。
どうすればこんな風になるのかと不思議なくらい糸は強固に結ばれていた。
+ + + + + +
結局、頑張ったという事で、小さなリングドーナツを与えて今日のトレーニングは終了にした。
泣きべそをかいていたリオだったが、ドーナツを食べ終わる頃にはもう笑って「しあわせー!」と叫んでたので大丈夫だろう。
「ゆぅ……ゆぅ……おねえしゃん、れいみゅ……もうねむいよ」
「そうねー、今日は頑張ったものね。じゃあ寝ましょうか?」
「ゆっくち……りょーかい………しちゃ………」
挨拶も途中で眠りに落ちるリオ。どうやら、かなり疲れたようだ。
トラブルもあったし、仕方ないか。
と思っていたら、襖が開いて軍曹がやってきた。
「おねえさん、リオはもうすーやすーやなのぜ?」
「ええ。悪いけど、ベッドに運んであげてくれる?」
「了解なのぜ。……ゆふふ、おちびはぐっすり眠ってるのぜ」
お帽子のつばに寝てるリオを乗せて行く軍曹。その顔には強い母性が滲み出ている。
こういう様子を見ると、お母さんに見えるんだけどねぇ。
「それじゃ、おねえさん。まりさたちも今日はもう寝るのぜ。ゆっくりおやすみなさい」
「はい。おやすみー」
ゆっくりたちのベッドルームは、それぞれのゆっくりプレイスとは別に共同のものが用意してある。
今日もみんなと一緒に幸せな夢を見るのだろう。
「さぁて、それじゃ明日の為に調合をしましょうかね」
ゆっくりと遊んで英気を養ったら、新しい白衣を着て仕事の為に調合室に向かう。
明日は霊夢ちゃんのところのゆっくり達に防カビ薬を投与してあげないといけない。
ウサミミ薬局印の特別製の薬は他の顧客にも好評なのだ。
「明日もゆっくりしていってねー、と」
(おわり)
*今回もオリジナル亜種のネタです。
*ゆっくりの性能がチートです。
*ゆっくり達が漢字を使ってしゃべります。
リオれいみゅの話
私の家には飼いゆっくりがいる。
独りで暮らすには、ちょっと大きすぎる家なので、少し賑やかなくらいがちょうどいいと思って
飼い始めたのだが……これがまた見事にハマってしまった。
何だかんだとゆっくりの数が増えていき、今現在のところ13匹ものゆっくりが同居している。
さすがにこれは飼い過ぎだろうと自分でも思うが……途中からウチが飼育の面倒なゆっくりの預かり所
だとでも思われだしたらしく、あちこちから頼まれた特殊なゆっくりばかり増えてしまった。
まぁ、ゆっくりは嫌いじゃないし、むしろ大好きなんで困ってはいない。
みんな良い子たちばかりなので、家事の手伝いなどやってもらって助かるくらいだ。
そんな我が家のゆっくりの中で、最も幼くて、最も新参の赤ゆっくりについて今日は話そう。
「ゆんゆーん♪ゆんやぁ~♪ゆっくちゆっくち~♪」
タンスの上の専用スペース上。フカフカで真っ赤な座布団に座って1匹の赤ゆっくりが歌っている。
彼女の名前はリオれいむ。れいむ種の中でもかなりレアな空飛ぶれいむだ。
その能力は、プラチナバッヂとして登録されているくらいレアである。
「ただいまー」
「ゆっ?!おねえしゃん、ゆっくりおきゃえりなしゃい!」
仕事を終えて帰宅した私に、元気な挨拶をしてくれる。
ちょうど私の目線と近い高さにいるので、小さな赤ゆっくり相手でも会話しやすい。
れいむ用の座布団の他には、キラキラと光る白金のバッヂが置いてあるだけの空間は、れいみゅ自身が
私と近くでお話が出来るからと選んだゆっくりプレイスだ。
普通の赤ゆっくりをこんな高所で飼うなんて出来ないが、空を飛べるリオれいむなら問題ない。
それに独りが飽きたら、一緒に遊んでくれる仲間がウチには12匹もいるから、退屈もしないだろう。
ちなみに、バッヂはリオのプラチナバッヂ(飛)だが、まだ赤ゆの彼女には装着出来ないので飾っている。
彼女はこのピカピカしてるバッヂを眺めるのも好きなのだ。
「リオ、良い子でゆっくりしてた?」
「うん!れいみゅ、いいこにしちぇたよ!きょうは まりちゃとぐんしょーとあしょんだよ!」
「そう。軍曹が遊んでくれたの?」
そんな話をしていたら、部屋の襖がスラッと開いて、話題の「軍曹」が現われた。
「ゆっ!おねえさん、おかえりなさいだぜ」
「ただいま、軍曹。今日も何もなかった?」
「問題なしなのぜ。ちょっとマスコミさんが何度か来たけども、すぐに帰ったのぜ」
「また取材の申し込み?」
「そうなのぜ。プラチナの子たちを取材したいって話だったけど、お断りしていいんだよね?」
「ええ。それでいいわ。ありがとう」
私達が「軍曹」と呼ぶ彼女はウチで一番古株のゆっくりまりさ。
その落ち着いた雰囲気と片目に走る稲妻のような傷跡から、私が軍曹と名付けた。
我が家のクセの強すぎるゆっくりたちを纏める事が出来るお父さんである。
ちなみに金バッヂ。他のゆっくりに教育指導する資格を持っているゆっくりだ。
「ゆぅ……「お父さん」は酷いんだぜ。まりさだって女の子なのぜ?」
「あれ?言葉にしてた?!ごめんなさいね」
慌てて謝罪をすると、まりさは「しょうがない人なんだぜ」とブツブツ言いながら家の奥へと引っ込んだ。
おそらく、夕飯の支度を仲間としている途中なのだろう。
おさげを使って襖をきっちりと閉めて行く辺り、几帳面な性格がよく出てる。
「ゆゆーん、おねえしゃん!れいみゅとおはにゃししようにぇ!」
「あぁー、リオもごめんね。じゃ、先に着替えちゃうわ」
ここは、いわゆるクローゼットのような部屋だ。
着替えや布団がタンスや押入れに仕舞ってあり、私はここでいつも着替えている。
トレードマークの白衣を脱ぎ、ハンガーにかける。そして、ネクタイを外してワイシャツとスカートも畳んでおく。
これらは後で洗濯機に入れて洗っておこう。それから部屋着に着替えて完了だ。
「それじゃ、みんなの所へ行きましょうか」
「ゆっくちりょーかいしちゃよ!ゆっくち、ゆっくち!」
ふわりとその場で浮き上がったリオが、両方のモミアゲをピコピコと振って空を泳ぎだす。
どういう原理かは不明だが、リオれいむは水平方向への移動にはモミアゲを使うので体力を使うが、
上昇や下降はほとんど疲れないらしい。
しかも、ただ浮いているだけのホバリングとなると、全く疲れないようだ。
まだ赤ゆっくりで体力がないのか、タンスから私の肩の上まで移動すると、リオはかなり消耗したらしく、
大きく息をついた。
「ゆひゅー!れいみゅ、つかれちゃったよ!とぶのはちゃいへんだにぇ!」
「そうね。でも、飛ぶ練習はちゃんとしましょうね」
「れいみゅ、ゆっくちがんばりゅよ!」
居間へと向かって部屋を出ると、とても香ばしい匂いがした。
「あ、今日はカレーかな」
「カレーしゃん?カレーしゃんは かりゃくてゆっくちできにゃいよ!」
「ゆっくり用はシチューじゃないかな?ルーを変えるだけでいいし」
「ゆーん♪シチューしゃん、シチューしゃん、ゆっくち~♪」
泣きそうな顔から一転してご機嫌になったリオを見ると、私もニコニコしてしまう。
赤ゆの笑顔って、やっぱり宝物よね。
+ + + + + +
夕飯を終えたら、ゆっくりたちは思い思いの過ごし方をする。
ある者は食後の運動をし、ある者はうたた寝を始める。
そして、リオは私と遊びたいと言い出した。
それは私も望むところである。
新しいリオの飛行訓練を思いついたので、試したかったのだ。
「ゆっ、ゆっ、ぴょんぴょんしゅるよ!」
今度はリオは床の上を跳ねて移動している。
空が飛べるリオれいむとはいえ、終始飛んでいるばかりではない。こうやって、地上で動くことも
忘れずに訓練しないと運動オンチなゆっくりになってしまう。
我が家のゆっくりであるなら、それではいけない。
私の理想は、いつ私が死んでいなくなっても立派に生きていけるゆっくりになってもらう事なのだから。
一度、この理想をみんなの前で口にしたら、一斉に「どぼぢでぞんだごどいうのぉぉおおぉぉ?!」
とマジ泣きされた。
さすがに縁起でもなかったと反省したし、「おねえざんがじんだら、ばでぃざもじぬよっ!」と軍曹に
泣きながら怒られてしまったのでもう二度と口にはしない事にした。
「さて、それじゃトレーニングしながら遊びましょう」
「れいみゅ、がんばるにぇ!ゆっゆっおー!」
天井から何本も糸をぶら下げて、その先に折り紙で作ったリングを付ける。
リングの大きさは直系10センチくらい。大体でいいので、サイズはまちまちだ。
まぁ、要するに飛行機や妖怪たちが空中レースをするコースのミニチュア版だと思えばいい。
リングをくぐった数と速さで勝敗を決めるアレだ。
「ゆゆーん、ドーナツしゃんみたいだにぇ」
あまあまを連想したのか、ちょっとヨダレを垂らしてコースを見上げるリオ。
「さ、それじゃこのドーナツみたいな輪の中をどれだけくぐれるかを試すわよ」
「くぐりぇばいいにょ?」
「そうよ。全部一度にくぐれたら、本物のドーナツをあげる」
「ゆゆーっ?!」
あまあまが貰えると聞いて、リオの表情が引き締まった。
ちょっと邪道ではあるが、赤ゆのやる気を出すにはこれが一番だ。
「それじゃ行くわよ?よーい……」
「あまあましゃん!あまあましゃん!」
「スタート!」
「あまあまーっ!!」
スーッと一気に上昇してリングの高さまで達するリオ。そこから、一番手頃なリングへと向きを変え、
ピコピコと羽ばたいて動きだす。
どうやら、最初のターゲットは一番大きな黄色のリング。まぁ、難易度的には問題ないだろう。
「れいみゅは、あまあまをむーちゃむーちゃしゅるよ!」
あっさりと黄色のリングを通過して、次のリングへと向かう。なかなか良いペースだが、ちょっと早過ぎる
かもしれない。まぁ、疲れたら休憩してもいいのだから、問題ないか。
……それにしても、ちょっと欲望に正直過ぎないかな、この子(笑)
まぁいいや。それと通過済みのリングは千切っておこう。これで未通過のリングとの区別になる。
「ゆーしょ、ゆーしょ!れいみゅ がんばるにぇ!」
今度は赤いリングを通過した。ちゃんと通りやすい方向から突っ込んでるのは賢いな。
小さいリングはリオの幅ちょうどくらいしかないので、色々と考えないと通れない。
そして、リオの今度の標的は、そんなギリギリサイズの緑のリングのようだ。
「ゆっ!ゆっ!ゆっ?!」
あ、やっぱり突っ込む方向が甘かったようだ。モミアゲの羽ばたきにぶつかってリングが大きく跳ね飛ばされた。
リオの方は、唐突に目標が遠ざかったので、何が起きたのか理解が付いていけてないようだ。
「リングしゃん、まっちぇね!れいみゅに くぐらしぇてね!」
急いでリングを追いかけるが、糸で吊るされたリングは大きく弧を描いてリオの元へと戻ってきていた。
ただし、他のリングの糸を何本か巻き込んで。
「ゆぅっ?!い、いとしゃん?!」
複数の糸がリオのモミアゲにまとわりついた。それを更にモミアゲで弾き飛ばす事で、別のリングと糸を大きく揺らす。
それが更に糸を揺らして……実に見事な連鎖がスタートしていた。
あっという間に、リングと糸がリオの周囲を包囲し、襲い掛かる。それはまるで生き物のような動きだった。
「ゆゅーっ?!」
「あ……」
……そして、後に残ったのは糸でグルグル巻きにされたリオだった。ザ・簀巻きである。
「いとしゃん、いとしゃん!はなしちぇね!はなしちぇね!ゆんやぁー、うごけにゃいよー!!」
「あらあら」
私は苦笑しながらリオに絡まった糸を外してあげるのだった。
どうすればこんな風になるのかと不思議なくらい糸は強固に結ばれていた。
+ + + + + +
結局、頑張ったという事で、小さなリングドーナツを与えて今日のトレーニングは終了にした。
泣きべそをかいていたリオだったが、ドーナツを食べ終わる頃にはもう笑って「しあわせー!」と叫んでたので大丈夫だろう。
「ゆぅ……ゆぅ……おねえしゃん、れいみゅ……もうねむいよ」
「そうねー、今日は頑張ったものね。じゃあ寝ましょうか?」
「ゆっくち……りょーかい………しちゃ………」
挨拶も途中で眠りに落ちるリオ。どうやら、かなり疲れたようだ。
トラブルもあったし、仕方ないか。
と思っていたら、襖が開いて軍曹がやってきた。
「おねえさん、リオはもうすーやすーやなのぜ?」
「ええ。悪いけど、ベッドに運んであげてくれる?」
「了解なのぜ。……ゆふふ、おちびはぐっすり眠ってるのぜ」
お帽子のつばに寝てるリオを乗せて行く軍曹。その顔には強い母性が滲み出ている。
こういう様子を見ると、お母さんに見えるんだけどねぇ。
「それじゃ、おねえさん。まりさたちも今日はもう寝るのぜ。ゆっくりおやすみなさい」
「はい。おやすみー」
ゆっくりたちのベッドルームは、それぞれのゆっくりプレイスとは別に共同のものが用意してある。
今日もみんなと一緒に幸せな夢を見るのだろう。
「さぁて、それじゃ明日の為に調合をしましょうかね」
ゆっくりと遊んで英気を養ったら、新しい白衣を着て仕事の為に調合室に向かう。
明日は霊夢ちゃんのところのゆっくり達に防カビ薬を投与してあげないといけない。
ウサミミ薬局印の特別製の薬は他の顧客にも好評なのだ。
「明日もゆっくりしていってねー、と」
(おわり)