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anko2617 『こーまの王 「館」』
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『『こーまの王 「館」』』 36KB
愛で 観察 思いやり 引越し 捕食種 希少種 自然界 愛護人間 創作亜種 独自設定 ○○あき 作 待っていてくれた人にごめんなさい
『こーまの王 「館」』 ○○あき 作
前作の『こーまの王 「賢者」』の続きです。
知性や能力の高いゆっくりが登場します。それに違和感や不快感を感じられる方は回避願います。
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秋風が肌に染みだすのを感じる、そろそろ野生のゆっくりは越冬の準備を進めなければならない。
飼いゆとして育ち、越冬経験の無いぱちゅりーには不安な事ばかり。
特に洞窟の岩肌は冷たく、どんなに枯草をひいても底から冷える寒さを感じる。
『ではこれよりさくやは、えっとうようのかりにいってまいります。
かえりはおそくなりそうですので、おしょくじはめーりんにごよういさせますので。』
『わかったんだどぉ!ごくろうさまなんだどぉ』
『では・・・・』
声と共にれみりゃの前からさくやの姿は消え失せる.
さくやは群れの越冬用食料を集めに出た、捕食種の食料は通常種なのだが生かしておくためには多少の草や虫は必要。
その質は悪ければ悪い程、通常種は苦しみ甘味を増す。
そして良い質の物は自分達で摂り、冬の間に味覚は偏るのを調整する。
いつもならばめーりんを引き連れて荷物持ちをさせるのだが、それでもゆっくり2匹ではたいした量は運べない。
『むっきゅ?たべものをはこぶならすぃーをつかうといいわ!これならさくやだけでもたくさんはこべるわよ。』
『おかりしてかまわないの?』
『ぱちゅはこのあたりのことをよくしらないわ、とおくまでいったりしたらかえってこれないわね。
だからつかうことないから、えんりょなくつかってちょうだい。
それよりちょっとおしえてほしいことがあるの・・・・・』
『なにかしら?』
『むっきゅ!このへんに・・・・・・・』
今年はぱちゅりーの所持していたすぃーがあり、これに乗せて運べば1匹でも沢山の食料を運ぶ事が可能。
ぱちゅりの提案を受け、さくやは1匹だけで狩に出掛けて行った。
『ことしはぜんぜんはえていないわね・・・・』
昨年茸が生えていた場所に今年はまだ影も姿も見つからない、夏の猛暑が影響したらしく山菜の生育が遅れている。
しかし冬の間を通常種ばかりを食べていたら、舌が甘味に麻痺してしまいかねない。
どうしても美味しい山菜を貯め込む必要がある。
『しかたがないわね・・・あそこにいってみましょう・・・・・・』
通常種の群れは、何かしら狩場に近い場所に作られる事が多い。
秋が遅れた分、今ならまだ採り尽くしてはいないだろう。
さくやは通常種の縄張りへと向かった。
そこを避けていたのは通常種はさくや達の大事な餌故、余計な戦いで餌の数を減らしたく無い。
しかしだからと言って、美味しい山菜を譲ってやる理由も迷う必要も無かった。
『たしかあのおかのむこうにきのこさんがあったはずよね・・・・・・ん?なにかしら?』
丘上にある松林にやってくると、何やらそこから騒がしい声がする。
別に通常種から隠れて行動している訳でも無かったので、興味半分で近寄ってみた。
そこに見えたのは、紅髪に黒い羽の生えた見た事の無いゆっくり。
そしてそれを囲む通常種達の姿。
『みたこともないゆっくりだみょん!ぜんぜんゆっくりしてないやつだみょん!』
『わかるよーぜんぜんゆっくりできないんだねぇー』
『げらげらげら~まりささまにさからうからこんなめにあうんだぜ!』
その見慣れるゆっくりは、既に通常種に虐げられボロボロになっていた。
この紅髪のゆっくりとさくやは、別に知り合いでも無かったので別に無視しても良かった。
しかし通常種が調子に乗っている姿は癪に障る。
『ゆっくりしてなければいじめていいのかしら?』
『あたりまえだみょん・・・・ゆ?だれ・・・・・・・・・ゆ?』
後ろから尋ねる声にみょんが振り向いた時には、口から背中に枝が突き抜けていた。
さくやはその枝を一気に引き抜く、みょんの傷口からはホワイトチョコが流れ落ちる。
まりさとちぇんの目前に、みるみる白い水溜りは広がっていく。
『た・・・た・・す・・けて・・・・・くれだ・・・みょ・・ん』
『ゆ!ど・・どど・・どど・・・どおぢでこんなことをするんだぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』
『わがらないよぉーちぇんはなんにもわるいことはしてないんだよぉー』
『そのこをいじめるすがたはゆっくりしてなかったわよ。
ゆっくりしてないゆっくりは、いじめていいらしいからゆっくりりかいするといいわ。』
みょんの声で我に帰る2匹、何時の間にやられたのか理解出来ず混乱する。
理解出来ようがさくやには関係ない、ちぇんの眉間を喰いちぎる。
『ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
『ゆわわわわわわわわわわわ!』
ちぇんの額と両目が、チョコの穴で繋がり目玉がその間を漂う。
激痛に転がり苦しむちぇん、その姿にまりさはただたじろぐだけ。
『さっきあなたはどおして?ときいたわね・・・』
『そ・・・そうなんだぜぇ!まりさだってがんばっていきてるんだぜぇ!』
『それはあなたがむだにいきているからよ、さすがにさくやもしんだゆっくりにはこんなことはしないわ。』
『どおじでそんなご・・・・・・・ゆ”!・・・ゆ”・・・ゆ”・・ゆ”・・・・・』
最後の台詞を大きく口を開けた瞬間に、まりさの半身だけが後ろに倒れる。
ゆっくりの開きとなったまりさの下半身からは、舌だけがバチバチと身体を叩いて暴れていた。
残ったのはさくやと虐められていた、見慣れぬゆっくりだけとなる。
『ほんとにくずははきけがするわね・・・・さて・・・・あら・・・けっこうやられちゃっているわね・・・・・』
『こ・・・・ぁ・・・・・・こ・・・・・・ぁ・・・・』
『みたことないけどいちおうきしょうしゅのようね・・・・ふぅ~・・・・・・
ほっておくわけにもいかないわ、まえにもこんなことしたばかりなのに・・・・・』
その見慣れぬゆっくりは、まだ生きていたがかなり衰弱している。
希少種ならば見捨てる訳にもいかない、れみりゃの群れの再興には多くの仲間が必要なのだから。
さくやはすぃーに積んでいる食料の上に、そのゆっくりを乗せると住処目指して走り出す。
かなり弱っているので急がねばならない。
『れみぃはふゆもここですごすの?』
『それをいまかんがえているんだどぉ・・・・まえのこーまかんはあったかかったんだどぉ。
でもここはさすがにさむすぎるんだどぉ・・・・・』
さくやが越冬の準備を始めだし、れみりゃもそろそろ対策を練らねばならなかった。
前に住んでいた森には、それぞれ住処とする虚や小さな穴があったのだが。
ここは岩肌剥き出しの洞窟、地面の冷たさが体温を奪う。
『むっきゅ!そこでぱちゅからていあんがあるんだけど・・・・・』
『なんだどぉ?』
『ぱちゅはおひっこしをしたらいいとおもうの。』
『それはれみぃもかんがえたんだどぉ、でもいきさきがないんだどぉ・・・・・・』
ぱちゅりーの提案はれみりゃも考えた、しかし行先がなければ引越しのしようが無い。
だがぱちゅりーには、それについても考えがあった。
『むっきゅ!だからぱちゅはやしろさんにすんだらどうかとおもうの。』
『やしろさんってなんなんだどぉ?』
『そうね・・・・やしろさんというのは、ひとさんにとってのせいいきみたいなものかしら?』
ぱちゅりーが考えたのは、どこの村にも豊作を祈願する神を祭った小さな社がある。
そしてその場所一帯は、あえて何も建てられない事が多い。
これならば住処を追われる事も無いだろう。
『ひとさんにちがづくのはあぶないんだどぉ!』
かつてれみりゃは、人によって群れと番を失いこの様な場所まで追いやられた。
人に脅威を感じた故、敵を知るべく連れて来られたのがぱちゅりーである。
『そうね・・・・ゆっくりがたたかってかてるあいてではないわ・・・・・
でもねひともむじょうけんで、ゆっくりをころしているのではないのよ。』
『う?』
人はゆっくりを憎み疎んでいるとれみりゃは思っていた、しかし人には人の事情がある。
そもそもこの国に、所有者の居ない土地は存在しない。
害がなければ問題は無いのかもしれないが、蝗の如く自然を喰らい尽くすとなれば大問題である。
『むっきゅ、とりあえずそこは、ぱちゅにまかせてもらってだいじょうぶよ!』
『でもいそがなくてもだいじょうぶなんだどぉ・・・・れみぃのこーまかんはてっぺきなんだどぉ!』
『むきゅ・・・・・れみぃ・・・・ちょっとこれをみてくれるかしら?』
れみりゃの言葉に、ぱちゅりーは表情を曇らせて話す。
そして洞窟の奥へとれみりゃを連れて行く、そこには岩の隙間からチョロチョロと滴る水が溜まっている。
これまで水の確保は、近くの川まで行くか雨水を貯めていた。
ある日、岩の隙間から水が出る様になり、容易に水が手に入る様になったとれみりゃは喜んでいた。
しかしこれは、重大な問題を抱えている事をれみりゃは知らない。
『おみずさんがわいているんだどぉ・・・・これがどうしたんだどぉ?』
『むっきゅ・・・・ゆっくりおちついてきいてね?これはここがくずれるかもしれないよちょうなのよ・・・・』
『れみぃのこーまかんがくずれるだどぉ?』
『そうよ・・・・くわしくはぱちゅもしらないけど、いままでなかったところからおみずさんがでるとあぶないのよ。』
ぱちゅりーれみりゃが話している間も、隙間から水が染み出し続ける。
この夏にTVで見た事を思い出し不安が増す。
『むっきゅ!つ・・つめたいわ!!ゆゅ?』
天井から雫が落ちてきた、よく見ると天井や他の箇所からも水が染み出してきているではないか。
ここは危ないとぱちゅりーは直感する。
『れみぃ!おねがい!ぱちゅをしんじておちびちゃんをつれてここからでるのよ!』
『う?ど・・どうしたんだどぉ?・・・・!』
急に慌てだすぱちゅりーに驚くれみりゃ、だがこれまで染み出す程度だった隙間から水の量が増えている。
何が起こっているのかは解らないが、れみりゃも何か危険な物を感じた。
『めーりん!おちびちゃんをつれてそとにでるんだどぉ!れみぃもいっしょにいくんだどぉ!』
『じゃおぉぉぉぉぉぉぉ!』
れみりゃの声に即座に反応して洞窟の奥へと駆けるめーりん、奥では2匹がお昼寝の真最中。
スヤスヤと寝息を立てて気持ち良さそうに眠っている2匹、起こさぬよう素早く咥えると急いで出口を目指す。
そしてれみりゃは、その更に奥に隠してあった大事な物を取りに行く。
だが洞窟内にピキピキ響く地鳴り、事態は急変した。
『むきゅう!れみぃ!なにをしているの!はやくにげてぇぇぇぇぇ!』
めーりんと共に洞窟の外に出たぱちゅいいーが叫ぶ、このままではれみりゃが危ない。
危険を冒してまでれみりゃが取りに行った物、それは番であった亡きふらんのお帽子。
『あったどぉ・・ふらんをおいてにげるのはもぉいやなんだどぉ・・・・』
お帽子を咥え駆けるれみりゃ、パラパラと天井から砂が降ってくる。
ここが崩れるのは時間の問題だった。
『ゆゅ・・・?ゆ!みゃみゃ!』
『むきゅ!ふ・・ふらん!あぶないわ、ちかよっちゃだめぇぇぇぇ!』
目を覚ました子ふらんが訳も分からず、母を求め洞窟に入ろうとする。
既に土煙で中の様子は見えない、だが刻一刻と事態は悪化していく。
『うぅーーーーーーーー!う?ふらん!』
土煙の中から飛び出したれみりゃと擦れ違いで、母を助けに子ふらんが入る。
そしてそれを追いかけ飛び込むぱちゅりー。
『う?いみゃのはみゃみゃ?みゃ・・・・・・ぐひぃ・・・・・・・・』
『むきゅぅぅぅぅぅ!ふらんしっかりしてぇ!いますぐぱちゅがだしてあげるから!』
崩れ落ちた小石に直撃して子ふらんは気を失う、だが幸いにも追っかけてきたぱちゅりーによって直に救出される。
すぐさま洞窟を飛び出すぱちゅりー、これで全員なんとか難を逃れる事は出来た。
だが住処を失い路頭に迷う事になってしまう。
『れみぃのこーまかんが・・・・・・・』
『れみぃ・・・・むきゅ・・・・こうなってはしかたがないわ!おひっこしよ!』
『でも・・・・ひとさんにちかづくのはあぶないんだどぉ・・・・』
『ぱちゅにまかせて・・・かんがえがあるの・・・・とりあえずここにいてもなにもかわらないわ!』
このままここに居ても何も解決しない、まずは安全な場所に移動する必要がある。
しかしれみりゃの従者であるさくやは、越冬用の狩に出ていて何時戻るか分からない。
ぱちゅりーは本来ならば、人と交渉してから社を根城として借り受けるつもりだった。
しかしそんな事は言っていられない、とりあえずめーりんを伝言に残しれみりゃ達と社へ向かう。
『むきゅぅ~おそとをすぃーもつかわずにでるのはひさしぶりだからつかれるわぁ・・・・』
『だいじょうぶだどぉ?』
社まではまだ距離があると言うのに、改めて己の体力の無さを実感させられるぱちゅりー。
れみりゃも気絶したふらんを抱えていたが、それでもぱちゅりーよりは速い。
だからと言って先にれみりゃ達を行かせると、土地勘の無いぱちゅりーには社の場所が分からない。
結果、れみりゃを待たせるしか無かった。
『ご・・・ごめんなさいね・・・すぃーさえあれば・・・・むきゅぅ・・・・・・』
こうしてれみりゃ達は、牛の歩みよりも遅く急ぐ。
その頃さくやへの伝言に残っためーりんは、元こーまかんだった場所で気持ち良さそうに寝ていた。
『な・・・な・・な・・・なにこれぇーーーーーーーーー!ど・・ど・・・どうなってるのぉぉぉぉぉぉぉ?』
故あって予定を切り上げて戻り、こーまかんがあった場所を見たさくやの絶叫が木霊する。
どう見ても洞窟崩落で、めーりんが死んでいるように見えなかったからだ。
『じゃぉ・・・じゃお?』
『え・・え?え?いきてる?』
さくやの叫びでめーりんは目を覚ます。
死んだと思い込んでいためーりんが、生きている事にさくやはビックリする。
そんなさくやにめーりんは、暢気に欠伸をしながら事情を話し出す。
『じゃおじゃおじゃおーん!じゃおじゃおじゃお!』
『なるほど!まったくわからないわ!』
普段はある程度のコミュニケーションはとれているが、流石に事の詳細となると一切分からない。
とりあえずれみりゃ達は無事らしい、ならばめーりんに案内してもうしかない。
『もういいからおぜうさまのところにはやくあんないしなさい・・・』
『じゃおじゃお?』
『ん?ああこのこはひろったの、えっとうのごはんさんじゃないわよ!』
さくやが引いていたすぃーの上には沢山の茸などの山菜が、そしてその上に置かれた紅髪のゆっくりの姿。
衰弱激しく未だ気を失ったままである。
『このこをみてもらおうとおもってね・・・かいゆだったのなら、なんとかしてくれるかもしれないでしょ?』
『じゃお!じゃおーーーーー!』
『わかったからはやくあんないしてちょうだい・・・』
弱り食事も取れなくなったゆっくりを回復させる方法は、野生のゆっくりの持つ知識の中には無かった。
しかし人の技術ならばそれも恐らく可能であろう。
さくやはめーりんに先導させてれみりゃの元へと急ぐ、この衰弱したゆっくりの為にも時間が惜しい。
『むぎゅううう~う~ぢぬわぁ~ぱちゅわぁ~ぜ~はぁ~ぜ~はぁ~』
『たいじょうぶだどぉ?そんなにしんだかっただどぉ?』
れみりゃ達が社に着いた時には、既に日も落ちかけて薄暗くなっていた。
普段出歩かないぱちゅりーにはかなり辛かったらしく、息も絶え絶えで社の床下で転がっている。
無人の小さな社は神社らしく外を朱色に塗られ、最近あったであろう神事の跡がそこかしらに残っていた。
周囲を床まで木で覆われていたが、裏側にあった隙間からなんとか床下に入る。
『う~なんだかあかくておちつくんだどぉ~』
紅い外壁がいたく気に入ったのか、れみりゃは何度も外に出ては社を眺めていた。
しかしこれは人によって建てられた物、ゆっくりが住み着くには問題がある。
ぱちゅりーの腹案がどう言う物なのか分からない以上は、話を鵜呑みにして油断する事は出来ない。
『ぱちぇにきたいするんだどぉ・・・・・』
しかしここを気に入ってしまった以上は、ぱちゅりーの策に期待するしか無かった。
今日は急遽の引越しだったため、昼からずっと食事を摂っていない。
『みゃみゃ~おにゃかちゅいただどぉ~』
『うぅ~こまったんだどぉ・・・・ごはんさんはこーまかんといっしょにうまっちゃたんだどぉ・・・』
蓄えてあった食糧は洞窟の中に置き去りとなり、さくやとめーりんは2匹とも出払っていて不在。
おまけに子ふらんは気絶したままで、迂闊に側を離れて狩に出る訳にもいかない。
だからと言ってぱちゅりーに行かせでもしたら、間違い無く何処かで野たれ死ぬだろう。
『むきゅう~ふぅ~ふぅ~れみぃ・・・・』
床下でのびていたぱちゅりーが、子れみりゃの声で起きてきた。
疲労困憊ながらもなんとか床下から這い出てくる。
『・・・・・・・・・ほんとうにだいじょうぶだどぉ?れみぃにはしにそうにみえるんだどぉ?』
『も・・・・もんだいないわ・・ぜぇ~はぁ~』
『かわりにれみぃがいくどぉ・・・』
ぱちゅりーは喘ぎながら社の階段を登ろうとしたが、体力尽きた身体では登る事ままならない。
看かねたれみりゃが代わりに社に上がった、そこにあったのは祭壇に捧げ物として置かれた供物。
供えられてから日がたっているのか、少し干からびている蜜柑やさつま芋等が並んでいた。
『うぅ~すごいごちそうなんだどぉ~!でもこれはひとさんのごはんさんなんだどぉ・・・・』
『ふぅ~むっきゅ~それはもんだいないわ・・・・・
ひとさんは、おそとにおかれたごはんさんはぜったいにたべないから・・・』
大きな寺や神社に供えられた供物ならまだしも、村の小さな社に捧げられた供物は食べる事はほとんど無い。
仮に食べるとしても、捧げたその日のうちに回収してしまう。
『あしたぱちゅがひとさんにこうしょうにいくからそのときにあやまっておくわ。
だからきょうのところは、そのごはんさんをいただきましょう・・・・・』
『うぅ~わかったんだどぉ、でもあしたはれみぃもいっしょにいくんだどぉ!』
れみりゃは供物の中から、干からびた蜜柑を頂戴すると子れみりゃの前に置いてやる。
皮は干からびているが中の実はまだ水分をたっぷり含み、酸味と甘味の調和が素晴らしかった。
『うぅ~おじぇうのしゅ~ぱ~でなぁ~たいむにゃんだどぉ~む~ちゃむ~ちゃ・・・ちあわちぇ~~~~』
『いっぱいむ~しゃむ~しゃするんだどぉ・・・・』
余程餓えていたのか子れみりゃは、一心腐乱に蜜柑を貪り食べる。
しかしれみりゃとぱちゅりーは、気になる事があり食事を摂ろうとはしなかった。
子ふらんがまだ気絶したままで目を覚まさない、いくら衝撃を受けたとは言え大分時間がたっている。
2匹は口にこそしなかったが、流石にこれはまずいと内心気が気で無い。
『うぅ!しずかにするんだどぉ!だれかくるんだどぉ!』
外で何かがやってくる音に気がつき、すぐさまに子れみりゃとぱちゅりーを床下に避難させる。
そして自分は物陰に隠れ何者かを確認、引きずるような車輪の音だがそれほど大きくはない。
『うぅ!これはゆっくりが2ひきとすぃーのおとだどぉ!このおとは・・・』
夕闇の中で音だけで判断するれみりゃ、そしてこの足音には聞き覚えがある。
そうこれはれみりゃのよく知るあの2匹の音。
『さくやーーーーーーー』
『はい?ただいまもどりました。』
社の前にはさくやとめーりんが辿り着いていた、思わず従者の名を叫ぶれみりゃ。
いくら気丈に振舞えど、抱えるその不安を拭いきる事なぞ出来無い。
その不安が爆発してしまう。
『れみぃのおちびがぁぁぁ・・・・ふらんがあぶないんだどぉ・・・・・どうしていいかわからないんだどぉ・・・・』
『お・・・お・・・・おぜうさま?どうしたのです?』
さくやの顔を見て緊張の糸が切れてしまったのか、思わずさくやに泣きつくれみりゃ。
だが事情の説明も無くただ泣き崩れるれみりゃに、さくやもただオロオロするばかり。
『むきゅ!さくやがもどってきたの?むっきゅ?れみぃ!ないてるばあいじゃないわ!』
れみりゃの声に飛び出てきたぱちゅりー、れみりゃが泣いているには驚いたがそれどころでは無い。
さくやが引張っていた自分のすぃーを確認すると、れみりゃに声をかける。
『れみぃ!ないていてもふらんはなおらないわ!いまからぱちゅがひとさんのところにいってくるわ!
さくやとめーりんはこのごはんさんをすぐにおろして!』
『いまからですか?もうよるさんですしあすにされたら?』
『むっきゅ!だめよ!ふらんにはいますぐにでも、おれんじじゅーすさんがひつようなの!』
暗い夜道を進んでは狸や野犬等の獣に襲われる危険性がある、だがぱちゅりーはさくやの提案を一蹴してしまう。
オレンジージュースが何なのかはれみりゃ達は知らない、だがふらんに必要な物と言われては放ってはおけない。
『そのおれんじじゅーすさんでふらんはたすかるのかだどぉ?』
『むっきゅ!もちろんよ!おれんじじゅーすさんはゆっくりにとってばんのうなおくすりよ!だから・・・
むっきゅ?このこはだれかしら?』
めーりんが食料をすぃーから降ろすのを待ちきれず、ぱちゅりーは自ら降ろそうとすぃーに乗る。
そこで初めて、見知らぬ紅髪のゆっくりが乗っている事に気がついた。
『あぁ・・・・すみませんが、ついでにそのこもなおしてやっていただけませんか?』
『むっきゅ!わかったからはやくこれをのけてちょうだい!』
さくやは子ふらんのついでに、その紅髪のゆっくりの治療を頼む。
どうせ必要なのは同じオレンジジュース、二つ返事で了承するぱちゅりー。
紅髪のゆっくりを社の床下に移動させると、食料も次々と降ろされる。
『むきゅ?これは・・・・・さくやこのきのこさんをもらってもいいかしら?』
『ん?いいですよ、おなかでもすいたのかしら?』
『ちがうわ、このきのこさんはおかねさんのかわりにつかえるわ!』
さくやの集めた食料にあったのは茸の王様松茸、これとの交換ならば嫌がる人は少ないだろう。
もともとゆっくりと人では対等の交換は望めない、だがこれで対等以上の交換条件が揃った。
松茸を2本持つとぱちゅりーは、眼下に広がる人里へと下る。
『むきゅ・・・・いそがないと・・・・・』
すっかり陽も落ち辺りは真暗、街灯も少なく民家の明かりが目立つ。
ぱちゅりーはその中でも、目的のオレンジジュースが置いてありそうな商店を探す。
だが街暮らししかした事の無いぱちゅりーは、郊外の店舗は閉まるのが早い事を知らなかった。
『むきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!これはいったいどうなってるのぉ~~どこのおみせやさんもあいていないわぁ!』
思いもよらぬ事態にうろたえるぱちゅりー、だからと言って何もせずに帰る事は出来ない。
今のぱちゅりーに、2匹のゆっくりの命がかかっている。
『むきゅう・・・・どうしたらいいの・・・・・』
進退窮まったぱちゅりーが立ち止まったのは自動販売機の前、サンプルの中にオレンジジュースがあるのが見える。
しかしお金を持たないぱちゅりーに買えない事は承知してた、ただ何となく明るい場所を求めて留まっただけ。
だがその判断は、意図しないところでぱちゅりーに功を成す。
「あぁ?何かと思えばゆっくりか・・・」
商店が閉まって困るのは本来はその一帯に住む住人、当然喉が渇いて飲み物を欲しても売っているのは自動販売機だけ。
晩酌用のビールを切らしてしまい、仕方がなくここに買いにきた男性に出会う。
『むっきゅ!おにいさんおねがいがあるの・・・』
「飼ってくれってのなら断る!」
『ちがうわ!ぱちゅにおれんじじゅーすさんとこむぎこさんをうってほしいの!』
「売って欲しいって・・・・お前金持ってんのか?と言うかゆっくりのくせに銭の価値を理解してやがるのか!」
『ごめんなさい・・・ぱちゅはおかねさんはもっていないわ、でもこれとこうかんでおねがいできないかしら?』
「こ・・これは!」
ぱちゅりーは男性に松茸を1本だけ差し出しす、流石に松茸だけはどんな素人が見ても一目で判る。
恐る恐る松茸を手に取ると男性は、何度も首を縦に振って了承した。
だが常時小麦粉を携帯しているのは、特異な愛で派お兄さんぐらい。
「と・・・と・・・りあえずお前うちに来い!うちにあるだけくれてやる!あと・・あぁオレンジジュースか・・・・」
男性は持っていた千円札を、自動販売機に突っ込むとボタンを連打しだす。
ガッコンガッコンと景気良く落ちてくるオレンジジュース。
安売りの販売機だったので、10本ものオレンジジュースが取り出し口に詰まる。
「あ・・・・・詰まった・・・・」
『むきゅぅぅ・・・・おにいさんいそいでぇ~』
5本でも取り出し難いと言うのに、流石に10本となると出す事が出来ない。
男性は隙間から指と枝を突っ込み、ジュースを横にずらそうと四苦八苦する。
その横でぱちゅいりーがヤキモキしていた。
「お~し!何とか出来た!さて次はうちに行かないとな・・・・よし!じゃあうちに行こう。」
自販機から取り出すのに時間がかかり、男性の家に着いた時には9時を過ぎる。
抱えられて連れて来られたぱちゅりーは、子ふらんの容態が気になってしかたがない。
だからと言ってここで男性を怒らしては、折角のチャンスを失ってしまう。
『むきゅ・・・おにいさん?』
『あ?何?小麦粉ならすぐ用意するよ。」
『ぱちゅはふらんのためにいそがないといけないの・・・・・』
「ふらんって・・・・捕食種だろうが・・・・お前はどっちかと言うならその餌に入るんじゃ?あれ?お前飼いゆ?」
そこで初めて男性はぱちゅりーの金バッチに気がつく、そして何かしら事情があるのを察した。
通常種が捕食種を守ろうとする時点でただ事では無い、しかも飼いゆの最高峰である金バッチゆっくりならば尚更である。
「わかった、巣まで送ってやっからまずは事情を話せ!」
『むきゅ・・・・わかったわ・・・ぱちゅはね・・・・・』
ぱちゅりーは男性にこれまでの経緯を話す。
飼いゆとして暮らしていたぱちゅりーが浚われてこの山へやって来て、そこで出合ったれみりゃに共感した事。
れみりゃは群れの再興を目指しているが、住処が崩落してしまい子ふらんが怪我をした等を話す。
「ふ~ん・・・なるほどねぇ~じゃあとりあえず行くか」
「むっきゅ?いくってどこに?」
男性はぱちゅりーの話を聞き終えて最初の1言がこれだった、返事も待たずにぱちゅりーを持ち上げ抱える。
その手に持った袋の中には、先程購入したオレンジジュースと小麦粉が入いっていた。
「何処も何もその社に決まってるだろが、今からお前だけで帰ってどれだけ時間がかかると思ってんだ?」
『むきゅ・・・でも・・でも・・・・・・』
「あぁ?まだ何か困ってる事でもあるのか?」
『ごめんなさい・・・ぱちゅたちはかってにそこにおいてあったごはんさんをたべちゃったの・・・・・・』
ぱちゅりーは社に住む事も供え物を食べてしまった事も、まだ誰にも許可を取れてはいない。
今日の所はとりあえず薬が欲しかっただけで、許可を取るのは後回しにしていた。
「ご飯ってあのかっさかさの蜜柑とか芋かよ?あんなもん猿も喰わねぇよ!
畑荒らさなきゃ誰も文句なんかつけないから大丈夫だって・・・とりあえず時間が無いんだろ急ぐぞ!」
『むっきゅ、おにいさん・・・・』
「あぁ?何だ黙ってないと舌噛むぞ。」
『ありがとう・・・・』
「その台詞はそのふらんが助かってから言え、ゲームや漫画じゃないんだから死んだゆっくりは蘇らないぞ!」
男性は自転車の前カゴにぱちゅりーを入れ、山の入り口にある社に向かって走り出す。
流石に運動の苦手なぱちゅりーであっても、すぃーで移動してきただけあって少し遠い。
街灯の無いあぜ道は真っ暗で、それが逆に夜空の星を鮮やかに魅せる。
20分ほど走ると暗闇の中に、薄っすらと小さな屋根が木の間に見えた。
「あそこで間違いないな?」
『むっきゅ!まちがいないわ!』
自転車のライトに鳥居が照らされ、その下に2匹のゆっくりがこちらを伺っている。
れみりゃとめーりんが、帰りの遅いぱちゅりーを心配して待っていたのだ。
だが流石に、そこに人の姿を確認すると物陰に隠れる。
『れみぃ~おくすりをもらってきたわ~』
『う~?ぱちぇのこえだどぉ!』
ぱちゅりーの声に無事帰還した事を安堵するれみりゃ、すぐに物陰からぱちゅりーを迎えに出てくる。
だがぱちゅりーの側には人に姿があったので、警戒して近づいては行かない。
「まぁ・・・・なんだ・・・とりあえずそのふらんを連れて来い、まずは兎に角も看てみるから・・・・」
『むっきゅわかったわ、れみぃふらんをこのおにいさんにみせてあげて・・・あとあのこもいっしょにおねがい。』
『う?ひとさんになおしてもらうんだどぉ?』
『そうよ!ぱちゅたちにはできないことがひとさんにはできるのよ!いそいで!』
『わ・・・わかったんだどぉ!』
ぱちゅりーの言葉に従い、れみりゃは急ぎ社の床下で伏せる2匹を連れてくる。
未だ気を失ったままの2匹、赤髪のゆっくりは衰弱が原因と思われるがふらんは原因がわからない。
「どれ?ふ~ん・・・・・まぁとりあえずこいつから・・・・・・」
『こ・・・ぁ・・・・こあ」
「お!効いた効いた!」
男性は2匹をしげしげと眺めると、赤髪のゆっくりにオレンジジュースをキャップ1杯分だけかける。
すると赤髪のゆっくりはモゾモゾと動きだした。
「こいつはこれでOKだろう、後は少しずつオレンジジュースを飲ませてやれ。
絶対に一度に沢山やるなよ!身体が吸収し過ぎて舌が肥えるうえに、記憶まで糞に混じって出ちまうぞ!」
『むっきゅ!ゆっくりりかいしたわ!』
次に男性は子ふらんを手に乗せ顔をしかめた、特にこれといった外傷が見当たらないのだ。
身動き一つしない子ふらんだったが、その体温がまだ生きている事を証明している。
「まさかな・・・・・あ!これは酷いな・・・・・・・」
『むっきゅ!』
子ふらんのお帽子を取ると、そこには大きく陥没して頭部が割れる怪我があった。
中身の餡が割れ目から見えている。
「洩れちゃいないようだがかなりヤバイな、まぁ蓋しとけばいけるかも知れん。」
男性は用意していた小麦粉を取り出すと、それをオレンジジュースで練り始める。
凹んだ頭部を少し切り開き、そこに練った物を流し入れた。
再度蓋をして、上からオレンジジュースをかけて終了。
すると子ふらんがプルプルと少し震え、ずっと閉じていたその目を見開く。
『うぅ~おじぇうのいもうちょがおめめしゃんをあけちゃんだどぉ~』
子ふらん意識を取り戻した事に喜び、子れみりゃが側へと飛んできた。
抱きつく様に擦りあう姉妹、だが何か様子がおかしい。
『ううううううううううううううううううううううぐあう!』
『うぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・・い・・・・・・い・・・・・・・』
子ふらんが突然唸り咆哮を上げると、姉である子れみりゃに噛みつく。
そして姉を一心不乱に喰らう子ふらん、その姿は獣の如き殺気を帯びている。
あまりの事にあっけにとられ、れみりゃやぱちゅりーは子ふらんを止めるのが遅れてしまう。
我に帰った時には、子れみりゃ既に半身を喰われ虫の息。
「おい・・・・・あれ止めなくていいのか?」
『むっきゅ!むきゅうううううううう!ふらんなにしてるのぉぉぉぉぉぉぉ!』
『おちびちゃんがおちびちゃんをををををを?』
『だ・・・だ・・だめですいもうとさまぁぁぁ!』
さくやが中枢餡を止めて子ふらんを静止させるが、そこには既に息絶えた子れみりゃの姿。
その後も子ふらんは静止を解かれると、目に写った者相手かまわず飛び掛ってくる。
そこにはもうれみりゃもさくやさえも区別は無い、これでふらんの静止を解く訳にはいかなくなってしまう。
それを一部始終見ていた男性が、さくやのゆっくりを静止させる能力に気づく。
「おい・・そこの銀髪のゆっくり・・・・」
『ゆゅ?ぎんぱつ?それはさくやのことかしら?』
「あぁお前だよ。お前はどうやらゆっくりの動きを止めれるみたいだが、それは何匹でもいけるのか?」
『そうね・・・・ちかくにいればむれひとつぐらいならいけるとおもうわ。
でもこれでいもうとさまからはなれなくなってしまったわね・・・・』
「それは俺がなんとかしてやるから、その能力を生かして働いてみないか?
ここに住むのも俺が、自治会長に話しをつけてやるから。」
男性がさくやの能力と引き換えに、住む場所の提供を申し出る。
正直いってこれはれみりゃ達にとって、喉から手が出る程欲しかった話だった。
社に住む事が出来るうえに、中枢餡を損傷して狂ってしまった子ふらんをどうにかしてくれると言うのだから。
『むきゅ・・・おにいさん・・・・ふらんをどうするつもりかしら?まさかころさないわよね?』
だがぱちゅりーは、単純に人の言葉を鵜呑みにはしない。
万が一にも最悪の事態を想定する。
人との具体性の無い約束は、後でどんな罠が待っているか分からない。
「お?流石にお前は賢いな・・・・大丈夫だちゃんと医者に診せてやるから任せておけ。」
『むっきゅ・・・それだったらおねがいしたいわ・・・・もぅぱちゅたちではふらんをたすけられないもの・・・
れみぃどうかしら?ぱちゅはこのおにいさんのていあんをのむしかないとおもうの。』
ぱちゅりーは男性から、子ふらんを医者に診せるとの言質を貰う。
元々ここまでぱちゅりーを連れてきてくれた時点で、この男性が信用出来そうな気はしていた。
欲しかった約束は貰った、後は当主の許可を得るだけ。
『うぅ・・・・さくやになにをやらすきなんだどぉ?』
喉から手が出る程の条件だったが、男性がさくやに何をさせる気か判らない。
配下の者の安全が保障されていない話に、主のれみりゃが容易に乗る訳にはいかなかった。
「ん?ああ畑の監視官をしてもらえないかと考えてる」
『むっきゅ?はたけさんのかんしかん?』
『はたけってなんだどぉ?』
野生のゆっくりに畑の概念は無く、如何なる植物も自然に生えてくる物であり栽培すると言う知識は無い。
だが人の下によって、生まれ育まれきたぱちゅりーは理解出来る。
『むきゅ・・・・そうね・・・・・』
理解しているだけに説明に困るぱちゅりー、容易に野菜は生える場所と説明すれば誤解が生じる可能性がある。
かと言って育成過程等を難しく説明しても、れみりゃ達に理解して貰えない。
「畑ってのはお前らが子供を育てるみたいに、人が野菜を大事に育ててる場所だ。」
『ひとさんがおやさいさんをそだててるんだどぉ?かってにはえてくるんじゃないんだどぉ?』
「野菜は赤ゆの様に弱い植物なんだ、誰かが面倒をみてやらんと枯れちまうんだ。」
男性はれみりゃに、野菜は面倒をみないと育たないとだけ説明した。
種だの土壌がどうだのと説明しても、ゆっくりには理解出来ない事は分かっている。
『よくわからないんだどぉ・・・でもひとさんがめんどうをみているってのはわかったどぉ』
とりあえずは人が管理している場所で、そこで植物が育てられていると言う事は理解するれみりゃ。
ここまで理解出来れば、何故さくやが監視しなければならないかは推察出来る。
『つまりはゆっくりからはたけさんをまもればいいんだどぉ?』
「おぉ~察しがいいな!御名答だ!ゆっくりが畑を荒らしに来たら、ゆっくりの動きを止めて呼んでくれればいい。
後の駆除はこっちでやるからさ・・・・それに余った野菜もお前らにやる。」
畑の監視をすれば住居どころか、売れない野菜までくれると言う破格の条件が提示される。
だがこれにれみりゃは以外に反応を示した。
『おやさいさんはいらないんだどぉ!れみぃはこーまかんのあるじなんだどぉ!
ここにすませてもらうだけでじゅうぶんなんだどぉ!』
「ほぉ~ゆっくりが言うねぇ~いいねぇ~その誇り高き信念って奴は俺も嫌いじゃない。
とりあえず監視官の仕事はOKって事でいいな?後は俺に任せておけ。」
長としてのプライドかそれとも人への警戒か、れみりゃの誇りが食べ物の施しを拒む。
だがこれでさくやにやる畑の監視は認められた。
男性もれみりゃの長としての姿勢が気に入ったらしく、子ふらんを連れて暗闇の中を帰って行った。
『いもうとさまはだいじょうぶでしょうか・・・・・』
『もぅれみぃには、おにいさんにまかせるしかないんだどぉ・・・・・』
さくやとれみりゃは、その姿を見えなくなるまで見送って呟いた。
賽は投げられたのだ、後は流れに身を任すしかない。
『むっきゅ!わすれていたわ!めーりん!このこをなかにはこんでちょうだい!」
『じゃおおおおお!』
赤髪のゆっくりをめーりんに、社の床下へと運ばせるぱちゅりー。
続くように皆の床下へと入って行った。
社の床下には建築時の廃材だったのか藁や木屑が置かれ。
秋風の冷える夜でも暖かく、昼の疲れもあり皆ぐっすりと眠りにつく。
『むきゅ・・・・さぁのみなさい・・・・』
『ごくごく・・・・こぁ~』
しかしぱちゅりーは寝る事なく、紅髪のゆっくりの看病をする。
これから1晩中、少しずつオレンジジュースを与えなければならない。
量の加減の作業もあり、これはぱちゅりーにしか出来ない作業である。
ゆっくりにとって万能薬のオレンジジュースの唯一の欠点、それは大量に与え過ぎると口が肥えてしまう事。
ただでさえ体力の無いぱちゅりー種、しかも子ふらんの為に慣れない里をすぃーで走り回り疲れている。
『むきゅ・・・う・・ぅ・・・むきゅ!ねてはだめよ!このこのいのちにかかわるわ!』
必死に己を鼓舞しながら、眠気と戦い紅髪のゆっくりを看病するぱちゅりー。
混沌とし意識の焦点が合わず、ぼんやりながらもそんなぱちゅりーを見つめる紅髪のゆっくり。
『こ・・・あ・・・?』
現と幻の区別がつかぬ中、額に汗するぱちゅりーに今は亡き母の姿を思い描く。
夜がしらじむ頃には通常種にやられた腫れもひいていた。
『こぁ~こぁ?こあこあ!』
紅髪のゆっくりが目覚めた時には、怪我は癒え痛みはまったく感じられない。
そしてその横で疲れて眠るぱちゅりーの姿、夜明けまで奮闘し癒えたのを確認すると気絶するかの様に眠りにつく。
薄っすらと覚えている昨夜の情景を思い出す。
思わず感謝の気持ちを込め、眠っているぱちゅりーに頬を擦りつける。
『むにゅ・・むきゅ・・・・むっきゅ?きがついたのね・・・・・よかった・・・わ・・・・・』
その感触に目を覚ますぱちゅりー、すぐにその相手が紅髪のゆっくりである事に気がついた。
元気になった姿に安堵するが、すぐに疲労から眠気に襲われ混沌としながら眠りにつく。
それからぱちゅりーが目を覚ました時には、既に太陽は高く昇り時刻は昼を過ぎる。
『むきゅ~んん~?ぱちゅはなにをしていたのかしら?』
『こあ!こあこあ!』
紅髪のゆっくりが慌てて外に飛び出していく、そしてすぐにれみりゃを連れて戻ってきた。
れみりゃは、起きたばかりのぱちゅりーを床下の外へと連れ出す。
『ぱちぇありがとうなんだどぉ!おかげでりっぱなこーまかんができたんだどぉ!』
『むっきゅ?れみぃ?なにを・・・・・?まぶしくてみえないわ!』
寝起きのうえに徹夜だったぱちゅりーには、いきなりの光は眩しく何も見えない。
やがて目が光に慣れてくるにつれて、その目に写ったのは人影と紅い小屋の様な建物。
『むっきゅ?これは・・?』
「おー起きたか寝ぼすけ」
そこにいたのは、ぱちゅりーが昨夜出会った男性と見知らぬ男性が数人。
皆で社の裏に小屋を建て、さきほど紅く塗り終えた所である。
「ここに住めるように、自治会長から許可貰ってきてやったぞ。」
『むっきゅ?じゃあこうにんになったのね!」
「だが条件は話した通りだ、それもこいつと本ゆんの許可は出てるし問題ないな。」
男性は昨夜のうちに自治会長と話をつけてくれ、ここに住むどころか専用の家を作ってくれた。
子ふらんは昨夜のうちに、ゆっくりの餡医に預けられている。
交換条件だったさくやによる畑の監視、これはぱちゅりーが眠っている間に既に始められていた。
『さぁきょうこそはおやさいさんをひとりじめする、げすなじじぃからおやさいさんをてにいれるよ!』
『えいえいゆーーーーー!』
『はぁ・・・・・ばかばっか・・・・・』
「こ・・これは凄いな・・・・・糞饅頭共が木偶人形の様になったぞ!」
監視を始め僅か数分で初の襲撃があり、速攻でさくやの能力の有効性を見せる結果となった。
畑に侵入しようとした所をさくやによって静止され、そのまま固まる野生のゆっくり達。
男性達がそれを拾う様に集め一箇所に集める。
『ゆ?ゆゆゆ?どぼぢでこんなとこにいるのぉぉぉぉぉぉ?』
「はっはっは!馬鹿が騒いでやがる!」
『じじぃぃぃぃぃぃ!はやくここからだせぇぇぇぇぇぇぇぇ!』
「お前等は加工所送りだ!いや~良いゆっくりもいたもんだ!愉快愉快!」
さくやの能力により楽に、畑を荒らすゆっくりを集める事が可能となった。
こうして高い評価を得て、気を良くした自治会長の計らいでこの小屋を建てて貰えたのである。
「塗装をどうしようかと思ったんだが、こいつが五月蝿いから紅く塗っておいたぞ。
神社も同じ朱色だから、違和感が無くてちょうどいいしな。」
男性の指差す先に満面の笑顔のれみりゃが、建ったばかりの新こーまかんを眺めていた。
人の配下となるのはれみりゃにとっても思うところはあるが、それ以上に味方と考えるのならこれほど心強い存在は無い。
幸いにもここは山と人里を分ける場所にあり、山のゆっくりはここを通らなければ里には行けず。
畑はさくやが監視しているので隙は無いだろう。
『こーあこーあ!』
「むっきゅ・・・くすぐったいわよ・・・・あなたしゃべれないのね・・・・なまえはなんというのかしら?』
ぱちゅりーの看病により助かった紅髪のゆっくりは、話す事が出来ないようで「こぁこぁ」としか話さない。
それでもぱちゅりーに対する感謝を表そうと身体を擦り付け、親愛を込めて頬を舐めてくる。
「こあでいいじゃねぇか?さっきからこあこあ鳴いてるし。」
『むっきゅ!そうね!きょうからあなたはこあよ!こあゆっくりしていってね!』
「こーあ!こあこあ!」
こうしてれみりゃは、新たな仲間と居城となる場所を得る。
今後人との協定は、れみりゃに何をもたらす事となるのか・・・・
力が仲間を呼ぶのか仲間が力を呼ぶのか、れみりゃの群れ再興はここから今始まる。
おわり
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まさか続きを書こうとしてこんなに時間がかかるとは思いもしませんでした。
これも全部仕事が忙しくなったのが悪いんです・・・・・・
申し訳ありませんが、続きはかなり時間かかると思われます。
時間が無さ過ぎて全然纏まりません。
出来るだけ頑張ってみますので、どうぞお見捨てなきよう御願い致します。
ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板
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誤字・脱字等あれば勘弁して下さい
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_・)ジ- ↓
愛で 観察 思いやり 引越し 捕食種 希少種 自然界 愛護人間 創作亜種 独自設定 ○○あき 作 待っていてくれた人にごめんなさい
『こーまの王 「館」』 ○○あき 作
前作の『こーまの王 「賢者」』の続きです。
知性や能力の高いゆっくりが登場します。それに違和感や不快感を感じられる方は回避願います。
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秋風が肌に染みだすのを感じる、そろそろ野生のゆっくりは越冬の準備を進めなければならない。
飼いゆとして育ち、越冬経験の無いぱちゅりーには不安な事ばかり。
特に洞窟の岩肌は冷たく、どんなに枯草をひいても底から冷える寒さを感じる。
『ではこれよりさくやは、えっとうようのかりにいってまいります。
かえりはおそくなりそうですので、おしょくじはめーりんにごよういさせますので。』
『わかったんだどぉ!ごくろうさまなんだどぉ』
『では・・・・』
声と共にれみりゃの前からさくやの姿は消え失せる.
さくやは群れの越冬用食料を集めに出た、捕食種の食料は通常種なのだが生かしておくためには多少の草や虫は必要。
その質は悪ければ悪い程、通常種は苦しみ甘味を増す。
そして良い質の物は自分達で摂り、冬の間に味覚は偏るのを調整する。
いつもならばめーりんを引き連れて荷物持ちをさせるのだが、それでもゆっくり2匹ではたいした量は運べない。
『むっきゅ?たべものをはこぶならすぃーをつかうといいわ!これならさくやだけでもたくさんはこべるわよ。』
『おかりしてかまわないの?』
『ぱちゅはこのあたりのことをよくしらないわ、とおくまでいったりしたらかえってこれないわね。
だからつかうことないから、えんりょなくつかってちょうだい。
それよりちょっとおしえてほしいことがあるの・・・・・』
『なにかしら?』
『むっきゅ!このへんに・・・・・・・』
今年はぱちゅりーの所持していたすぃーがあり、これに乗せて運べば1匹でも沢山の食料を運ぶ事が可能。
ぱちゅりの提案を受け、さくやは1匹だけで狩に出掛けて行った。
『ことしはぜんぜんはえていないわね・・・・』
昨年茸が生えていた場所に今年はまだ影も姿も見つからない、夏の猛暑が影響したらしく山菜の生育が遅れている。
しかし冬の間を通常種ばかりを食べていたら、舌が甘味に麻痺してしまいかねない。
どうしても美味しい山菜を貯め込む必要がある。
『しかたがないわね・・・あそこにいってみましょう・・・・・・』
通常種の群れは、何かしら狩場に近い場所に作られる事が多い。
秋が遅れた分、今ならまだ採り尽くしてはいないだろう。
さくやは通常種の縄張りへと向かった。
そこを避けていたのは通常種はさくや達の大事な餌故、余計な戦いで餌の数を減らしたく無い。
しかしだからと言って、美味しい山菜を譲ってやる理由も迷う必要も無かった。
『たしかあのおかのむこうにきのこさんがあったはずよね・・・・・・ん?なにかしら?』
丘上にある松林にやってくると、何やらそこから騒がしい声がする。
別に通常種から隠れて行動している訳でも無かったので、興味半分で近寄ってみた。
そこに見えたのは、紅髪に黒い羽の生えた見た事の無いゆっくり。
そしてそれを囲む通常種達の姿。
『みたこともないゆっくりだみょん!ぜんぜんゆっくりしてないやつだみょん!』
『わかるよーぜんぜんゆっくりできないんだねぇー』
『げらげらげら~まりささまにさからうからこんなめにあうんだぜ!』
その見慣れるゆっくりは、既に通常種に虐げられボロボロになっていた。
この紅髪のゆっくりとさくやは、別に知り合いでも無かったので別に無視しても良かった。
しかし通常種が調子に乗っている姿は癪に障る。
『ゆっくりしてなければいじめていいのかしら?』
『あたりまえだみょん・・・・ゆ?だれ・・・・・・・・・ゆ?』
後ろから尋ねる声にみょんが振り向いた時には、口から背中に枝が突き抜けていた。
さくやはその枝を一気に引き抜く、みょんの傷口からはホワイトチョコが流れ落ちる。
まりさとちぇんの目前に、みるみる白い水溜りは広がっていく。
『た・・・た・・す・・けて・・・・・くれだ・・・みょ・・ん』
『ゆ!ど・・どど・・どど・・・どおぢでこんなことをするんだぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』
『わがらないよぉーちぇんはなんにもわるいことはしてないんだよぉー』
『そのこをいじめるすがたはゆっくりしてなかったわよ。
ゆっくりしてないゆっくりは、いじめていいらしいからゆっくりりかいするといいわ。』
みょんの声で我に帰る2匹、何時の間にやられたのか理解出来ず混乱する。
理解出来ようがさくやには関係ない、ちぇんの眉間を喰いちぎる。
『ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
『ゆわわわわわわわわわわわ!』
ちぇんの額と両目が、チョコの穴で繋がり目玉がその間を漂う。
激痛に転がり苦しむちぇん、その姿にまりさはただたじろぐだけ。
『さっきあなたはどおして?ときいたわね・・・』
『そ・・・そうなんだぜぇ!まりさだってがんばっていきてるんだぜぇ!』
『それはあなたがむだにいきているからよ、さすがにさくやもしんだゆっくりにはこんなことはしないわ。』
『どおじでそんなご・・・・・・・ゆ”!・・・ゆ”・・・ゆ”・・ゆ”・・・・・』
最後の台詞を大きく口を開けた瞬間に、まりさの半身だけが後ろに倒れる。
ゆっくりの開きとなったまりさの下半身からは、舌だけがバチバチと身体を叩いて暴れていた。
残ったのはさくやと虐められていた、見慣れぬゆっくりだけとなる。
『ほんとにくずははきけがするわね・・・・さて・・・・あら・・・けっこうやられちゃっているわね・・・・・』
『こ・・・・ぁ・・・・・・こ・・・・・・ぁ・・・・』
『みたことないけどいちおうきしょうしゅのようね・・・・ふぅ~・・・・・・
ほっておくわけにもいかないわ、まえにもこんなことしたばかりなのに・・・・・』
その見慣れぬゆっくりは、まだ生きていたがかなり衰弱している。
希少種ならば見捨てる訳にもいかない、れみりゃの群れの再興には多くの仲間が必要なのだから。
さくやはすぃーに積んでいる食料の上に、そのゆっくりを乗せると住処目指して走り出す。
かなり弱っているので急がねばならない。
『れみぃはふゆもここですごすの?』
『それをいまかんがえているんだどぉ・・・・まえのこーまかんはあったかかったんだどぉ。
でもここはさすがにさむすぎるんだどぉ・・・・・』
さくやが越冬の準備を始めだし、れみりゃもそろそろ対策を練らねばならなかった。
前に住んでいた森には、それぞれ住処とする虚や小さな穴があったのだが。
ここは岩肌剥き出しの洞窟、地面の冷たさが体温を奪う。
『むっきゅ!そこでぱちゅからていあんがあるんだけど・・・・・』
『なんだどぉ?』
『ぱちゅはおひっこしをしたらいいとおもうの。』
『それはれみぃもかんがえたんだどぉ、でもいきさきがないんだどぉ・・・・・・』
ぱちゅりーの提案はれみりゃも考えた、しかし行先がなければ引越しのしようが無い。
だがぱちゅりーには、それについても考えがあった。
『むっきゅ!だからぱちゅはやしろさんにすんだらどうかとおもうの。』
『やしろさんってなんなんだどぉ?』
『そうね・・・・やしろさんというのは、ひとさんにとってのせいいきみたいなものかしら?』
ぱちゅりーが考えたのは、どこの村にも豊作を祈願する神を祭った小さな社がある。
そしてその場所一帯は、あえて何も建てられない事が多い。
これならば住処を追われる事も無いだろう。
『ひとさんにちがづくのはあぶないんだどぉ!』
かつてれみりゃは、人によって群れと番を失いこの様な場所まで追いやられた。
人に脅威を感じた故、敵を知るべく連れて来られたのがぱちゅりーである。
『そうね・・・・ゆっくりがたたかってかてるあいてではないわ・・・・・
でもねひともむじょうけんで、ゆっくりをころしているのではないのよ。』
『う?』
人はゆっくりを憎み疎んでいるとれみりゃは思っていた、しかし人には人の事情がある。
そもそもこの国に、所有者の居ない土地は存在しない。
害がなければ問題は無いのかもしれないが、蝗の如く自然を喰らい尽くすとなれば大問題である。
『むっきゅ、とりあえずそこは、ぱちゅにまかせてもらってだいじょうぶよ!』
『でもいそがなくてもだいじょうぶなんだどぉ・・・・れみぃのこーまかんはてっぺきなんだどぉ!』
『むきゅ・・・・・れみぃ・・・・ちょっとこれをみてくれるかしら?』
れみりゃの言葉に、ぱちゅりーは表情を曇らせて話す。
そして洞窟の奥へとれみりゃを連れて行く、そこには岩の隙間からチョロチョロと滴る水が溜まっている。
これまで水の確保は、近くの川まで行くか雨水を貯めていた。
ある日、岩の隙間から水が出る様になり、容易に水が手に入る様になったとれみりゃは喜んでいた。
しかしこれは、重大な問題を抱えている事をれみりゃは知らない。
『おみずさんがわいているんだどぉ・・・・これがどうしたんだどぉ?』
『むっきゅ・・・・ゆっくりおちついてきいてね?これはここがくずれるかもしれないよちょうなのよ・・・・』
『れみぃのこーまかんがくずれるだどぉ?』
『そうよ・・・・くわしくはぱちゅもしらないけど、いままでなかったところからおみずさんがでるとあぶないのよ。』
ぱちゅりーれみりゃが話している間も、隙間から水が染み出し続ける。
この夏にTVで見た事を思い出し不安が増す。
『むっきゅ!つ・・つめたいわ!!ゆゅ?』
天井から雫が落ちてきた、よく見ると天井や他の箇所からも水が染み出してきているではないか。
ここは危ないとぱちゅりーは直感する。
『れみぃ!おねがい!ぱちゅをしんじておちびちゃんをつれてここからでるのよ!』
『う?ど・・どうしたんだどぉ?・・・・!』
急に慌てだすぱちゅりーに驚くれみりゃ、だがこれまで染み出す程度だった隙間から水の量が増えている。
何が起こっているのかは解らないが、れみりゃも何か危険な物を感じた。
『めーりん!おちびちゃんをつれてそとにでるんだどぉ!れみぃもいっしょにいくんだどぉ!』
『じゃおぉぉぉぉぉぉぉ!』
れみりゃの声に即座に反応して洞窟の奥へと駆けるめーりん、奥では2匹がお昼寝の真最中。
スヤスヤと寝息を立てて気持ち良さそうに眠っている2匹、起こさぬよう素早く咥えると急いで出口を目指す。
そしてれみりゃは、その更に奥に隠してあった大事な物を取りに行く。
だが洞窟内にピキピキ響く地鳴り、事態は急変した。
『むきゅう!れみぃ!なにをしているの!はやくにげてぇぇぇぇぇ!』
めーりんと共に洞窟の外に出たぱちゅいいーが叫ぶ、このままではれみりゃが危ない。
危険を冒してまでれみりゃが取りに行った物、それは番であった亡きふらんのお帽子。
『あったどぉ・・ふらんをおいてにげるのはもぉいやなんだどぉ・・・・』
お帽子を咥え駆けるれみりゃ、パラパラと天井から砂が降ってくる。
ここが崩れるのは時間の問題だった。
『ゆゅ・・・?ゆ!みゃみゃ!』
『むきゅ!ふ・・ふらん!あぶないわ、ちかよっちゃだめぇぇぇぇ!』
目を覚ました子ふらんが訳も分からず、母を求め洞窟に入ろうとする。
既に土煙で中の様子は見えない、だが刻一刻と事態は悪化していく。
『うぅーーーーーーーー!う?ふらん!』
土煙の中から飛び出したれみりゃと擦れ違いで、母を助けに子ふらんが入る。
そしてそれを追いかけ飛び込むぱちゅりー。
『う?いみゃのはみゃみゃ?みゃ・・・・・・ぐひぃ・・・・・・・・』
『むきゅぅぅぅぅぅ!ふらんしっかりしてぇ!いますぐぱちゅがだしてあげるから!』
崩れ落ちた小石に直撃して子ふらんは気を失う、だが幸いにも追っかけてきたぱちゅりーによって直に救出される。
すぐさま洞窟を飛び出すぱちゅりー、これで全員なんとか難を逃れる事は出来た。
だが住処を失い路頭に迷う事になってしまう。
『れみぃのこーまかんが・・・・・・・』
『れみぃ・・・・むきゅ・・・・こうなってはしかたがないわ!おひっこしよ!』
『でも・・・・ひとさんにちかづくのはあぶないんだどぉ・・・・』
『ぱちゅにまかせて・・・かんがえがあるの・・・・とりあえずここにいてもなにもかわらないわ!』
このままここに居ても何も解決しない、まずは安全な場所に移動する必要がある。
しかしれみりゃの従者であるさくやは、越冬用の狩に出ていて何時戻るか分からない。
ぱちゅりーは本来ならば、人と交渉してから社を根城として借り受けるつもりだった。
しかしそんな事は言っていられない、とりあえずめーりんを伝言に残しれみりゃ達と社へ向かう。
『むきゅぅ~おそとをすぃーもつかわずにでるのはひさしぶりだからつかれるわぁ・・・・』
『だいじょうぶだどぉ?』
社まではまだ距離があると言うのに、改めて己の体力の無さを実感させられるぱちゅりー。
れみりゃも気絶したふらんを抱えていたが、それでもぱちゅりーよりは速い。
だからと言って先にれみりゃ達を行かせると、土地勘の無いぱちゅりーには社の場所が分からない。
結果、れみりゃを待たせるしか無かった。
『ご・・・ごめんなさいね・・・すぃーさえあれば・・・・むきゅぅ・・・・・・』
こうしてれみりゃ達は、牛の歩みよりも遅く急ぐ。
その頃さくやへの伝言に残っためーりんは、元こーまかんだった場所で気持ち良さそうに寝ていた。
『な・・・な・・な・・・なにこれぇーーーーーーーーー!ど・・ど・・・どうなってるのぉぉぉぉぉぉぉ?』
故あって予定を切り上げて戻り、こーまかんがあった場所を見たさくやの絶叫が木霊する。
どう見ても洞窟崩落で、めーりんが死んでいるように見えなかったからだ。
『じゃぉ・・・じゃお?』
『え・・え?え?いきてる?』
さくやの叫びでめーりんは目を覚ます。
死んだと思い込んでいためーりんが、生きている事にさくやはビックリする。
そんなさくやにめーりんは、暢気に欠伸をしながら事情を話し出す。
『じゃおじゃおじゃおーん!じゃおじゃおじゃお!』
『なるほど!まったくわからないわ!』
普段はある程度のコミュニケーションはとれているが、流石に事の詳細となると一切分からない。
とりあえずれみりゃ達は無事らしい、ならばめーりんに案内してもうしかない。
『もういいからおぜうさまのところにはやくあんないしなさい・・・』
『じゃおじゃお?』
『ん?ああこのこはひろったの、えっとうのごはんさんじゃないわよ!』
さくやが引いていたすぃーの上には沢山の茸などの山菜が、そしてその上に置かれた紅髪のゆっくりの姿。
衰弱激しく未だ気を失ったままである。
『このこをみてもらおうとおもってね・・・かいゆだったのなら、なんとかしてくれるかもしれないでしょ?』
『じゃお!じゃおーーーーー!』
『わかったからはやくあんないしてちょうだい・・・』
弱り食事も取れなくなったゆっくりを回復させる方法は、野生のゆっくりの持つ知識の中には無かった。
しかし人の技術ならばそれも恐らく可能であろう。
さくやはめーりんに先導させてれみりゃの元へと急ぐ、この衰弱したゆっくりの為にも時間が惜しい。
『むぎゅううう~う~ぢぬわぁ~ぱちゅわぁ~ぜ~はぁ~ぜ~はぁ~』
『たいじょうぶだどぉ?そんなにしんだかっただどぉ?』
れみりゃ達が社に着いた時には、既に日も落ちかけて薄暗くなっていた。
普段出歩かないぱちゅりーにはかなり辛かったらしく、息も絶え絶えで社の床下で転がっている。
無人の小さな社は神社らしく外を朱色に塗られ、最近あったであろう神事の跡がそこかしらに残っていた。
周囲を床まで木で覆われていたが、裏側にあった隙間からなんとか床下に入る。
『う~なんだかあかくておちつくんだどぉ~』
紅い外壁がいたく気に入ったのか、れみりゃは何度も外に出ては社を眺めていた。
しかしこれは人によって建てられた物、ゆっくりが住み着くには問題がある。
ぱちゅりーの腹案がどう言う物なのか分からない以上は、話を鵜呑みにして油断する事は出来ない。
『ぱちぇにきたいするんだどぉ・・・・・』
しかしここを気に入ってしまった以上は、ぱちゅりーの策に期待するしか無かった。
今日は急遽の引越しだったため、昼からずっと食事を摂っていない。
『みゃみゃ~おにゃかちゅいただどぉ~』
『うぅ~こまったんだどぉ・・・・ごはんさんはこーまかんといっしょにうまっちゃたんだどぉ・・・』
蓄えてあった食糧は洞窟の中に置き去りとなり、さくやとめーりんは2匹とも出払っていて不在。
おまけに子ふらんは気絶したままで、迂闊に側を離れて狩に出る訳にもいかない。
だからと言ってぱちゅりーに行かせでもしたら、間違い無く何処かで野たれ死ぬだろう。
『むきゅう~ふぅ~ふぅ~れみぃ・・・・』
床下でのびていたぱちゅりーが、子れみりゃの声で起きてきた。
疲労困憊ながらもなんとか床下から這い出てくる。
『・・・・・・・・・ほんとうにだいじょうぶだどぉ?れみぃにはしにそうにみえるんだどぉ?』
『も・・・・もんだいないわ・・ぜぇ~はぁ~』
『かわりにれみぃがいくどぉ・・・』
ぱちゅりーは喘ぎながら社の階段を登ろうとしたが、体力尽きた身体では登る事ままならない。
看かねたれみりゃが代わりに社に上がった、そこにあったのは祭壇に捧げ物として置かれた供物。
供えられてから日がたっているのか、少し干からびている蜜柑やさつま芋等が並んでいた。
『うぅ~すごいごちそうなんだどぉ~!でもこれはひとさんのごはんさんなんだどぉ・・・・』
『ふぅ~むっきゅ~それはもんだいないわ・・・・・
ひとさんは、おそとにおかれたごはんさんはぜったいにたべないから・・・』
大きな寺や神社に供えられた供物ならまだしも、村の小さな社に捧げられた供物は食べる事はほとんど無い。
仮に食べるとしても、捧げたその日のうちに回収してしまう。
『あしたぱちゅがひとさんにこうしょうにいくからそのときにあやまっておくわ。
だからきょうのところは、そのごはんさんをいただきましょう・・・・・』
『うぅ~わかったんだどぉ、でもあしたはれみぃもいっしょにいくんだどぉ!』
れみりゃは供物の中から、干からびた蜜柑を頂戴すると子れみりゃの前に置いてやる。
皮は干からびているが中の実はまだ水分をたっぷり含み、酸味と甘味の調和が素晴らしかった。
『うぅ~おじぇうのしゅ~ぱ~でなぁ~たいむにゃんだどぉ~む~ちゃむ~ちゃ・・・ちあわちぇ~~~~』
『いっぱいむ~しゃむ~しゃするんだどぉ・・・・』
余程餓えていたのか子れみりゃは、一心腐乱に蜜柑を貪り食べる。
しかしれみりゃとぱちゅりーは、気になる事があり食事を摂ろうとはしなかった。
子ふらんがまだ気絶したままで目を覚まさない、いくら衝撃を受けたとは言え大分時間がたっている。
2匹は口にこそしなかったが、流石にこれはまずいと内心気が気で無い。
『うぅ!しずかにするんだどぉ!だれかくるんだどぉ!』
外で何かがやってくる音に気がつき、すぐさまに子れみりゃとぱちゅりーを床下に避難させる。
そして自分は物陰に隠れ何者かを確認、引きずるような車輪の音だがそれほど大きくはない。
『うぅ!これはゆっくりが2ひきとすぃーのおとだどぉ!このおとは・・・』
夕闇の中で音だけで判断するれみりゃ、そしてこの足音には聞き覚えがある。
そうこれはれみりゃのよく知るあの2匹の音。
『さくやーーーーーーー』
『はい?ただいまもどりました。』
社の前にはさくやとめーりんが辿り着いていた、思わず従者の名を叫ぶれみりゃ。
いくら気丈に振舞えど、抱えるその不安を拭いきる事なぞ出来無い。
その不安が爆発してしまう。
『れみぃのおちびがぁぁぁ・・・・ふらんがあぶないんだどぉ・・・・・どうしていいかわからないんだどぉ・・・・』
『お・・・お・・・・おぜうさま?どうしたのです?』
さくやの顔を見て緊張の糸が切れてしまったのか、思わずさくやに泣きつくれみりゃ。
だが事情の説明も無くただ泣き崩れるれみりゃに、さくやもただオロオロするばかり。
『むきゅ!さくやがもどってきたの?むっきゅ?れみぃ!ないてるばあいじゃないわ!』
れみりゃの声に飛び出てきたぱちゅりー、れみりゃが泣いているには驚いたがそれどころでは無い。
さくやが引張っていた自分のすぃーを確認すると、れみりゃに声をかける。
『れみぃ!ないていてもふらんはなおらないわ!いまからぱちゅがひとさんのところにいってくるわ!
さくやとめーりんはこのごはんさんをすぐにおろして!』
『いまからですか?もうよるさんですしあすにされたら?』
『むっきゅ!だめよ!ふらんにはいますぐにでも、おれんじじゅーすさんがひつようなの!』
暗い夜道を進んでは狸や野犬等の獣に襲われる危険性がある、だがぱちゅりーはさくやの提案を一蹴してしまう。
オレンジージュースが何なのかはれみりゃ達は知らない、だがふらんに必要な物と言われては放ってはおけない。
『そのおれんじじゅーすさんでふらんはたすかるのかだどぉ?』
『むっきゅ!もちろんよ!おれんじじゅーすさんはゆっくりにとってばんのうなおくすりよ!だから・・・
むっきゅ?このこはだれかしら?』
めーりんが食料をすぃーから降ろすのを待ちきれず、ぱちゅりーは自ら降ろそうとすぃーに乗る。
そこで初めて、見知らぬ紅髪のゆっくりが乗っている事に気がついた。
『あぁ・・・・すみませんが、ついでにそのこもなおしてやっていただけませんか?』
『むっきゅ!わかったからはやくこれをのけてちょうだい!』
さくやは子ふらんのついでに、その紅髪のゆっくりの治療を頼む。
どうせ必要なのは同じオレンジジュース、二つ返事で了承するぱちゅりー。
紅髪のゆっくりを社の床下に移動させると、食料も次々と降ろされる。
『むきゅ?これは・・・・・さくやこのきのこさんをもらってもいいかしら?』
『ん?いいですよ、おなかでもすいたのかしら?』
『ちがうわ、このきのこさんはおかねさんのかわりにつかえるわ!』
さくやの集めた食料にあったのは茸の王様松茸、これとの交換ならば嫌がる人は少ないだろう。
もともとゆっくりと人では対等の交換は望めない、だがこれで対等以上の交換条件が揃った。
松茸を2本持つとぱちゅりーは、眼下に広がる人里へと下る。
『むきゅ・・・・いそがないと・・・・・』
すっかり陽も落ち辺りは真暗、街灯も少なく民家の明かりが目立つ。
ぱちゅりーはその中でも、目的のオレンジジュースが置いてありそうな商店を探す。
だが街暮らししかした事の無いぱちゅりーは、郊外の店舗は閉まるのが早い事を知らなかった。
『むきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!これはいったいどうなってるのぉ~~どこのおみせやさんもあいていないわぁ!』
思いもよらぬ事態にうろたえるぱちゅりー、だからと言って何もせずに帰る事は出来ない。
今のぱちゅりーに、2匹のゆっくりの命がかかっている。
『むきゅう・・・・どうしたらいいの・・・・・』
進退窮まったぱちゅりーが立ち止まったのは自動販売機の前、サンプルの中にオレンジジュースがあるのが見える。
しかしお金を持たないぱちゅりーに買えない事は承知してた、ただ何となく明るい場所を求めて留まっただけ。
だがその判断は、意図しないところでぱちゅりーに功を成す。
「あぁ?何かと思えばゆっくりか・・・」
商店が閉まって困るのは本来はその一帯に住む住人、当然喉が渇いて飲み物を欲しても売っているのは自動販売機だけ。
晩酌用のビールを切らしてしまい、仕方がなくここに買いにきた男性に出会う。
『むっきゅ!おにいさんおねがいがあるの・・・』
「飼ってくれってのなら断る!」
『ちがうわ!ぱちゅにおれんじじゅーすさんとこむぎこさんをうってほしいの!』
「売って欲しいって・・・・お前金持ってんのか?と言うかゆっくりのくせに銭の価値を理解してやがるのか!」
『ごめんなさい・・・ぱちゅはおかねさんはもっていないわ、でもこれとこうかんでおねがいできないかしら?』
「こ・・これは!」
ぱちゅりーは男性に松茸を1本だけ差し出しす、流石に松茸だけはどんな素人が見ても一目で判る。
恐る恐る松茸を手に取ると男性は、何度も首を縦に振って了承した。
だが常時小麦粉を携帯しているのは、特異な愛で派お兄さんぐらい。
「と・・・と・・・りあえずお前うちに来い!うちにあるだけくれてやる!あと・・あぁオレンジジュースか・・・・」
男性は持っていた千円札を、自動販売機に突っ込むとボタンを連打しだす。
ガッコンガッコンと景気良く落ちてくるオレンジジュース。
安売りの販売機だったので、10本ものオレンジジュースが取り出し口に詰まる。
「あ・・・・・詰まった・・・・」
『むきゅぅぅ・・・・おにいさんいそいでぇ~』
5本でも取り出し難いと言うのに、流石に10本となると出す事が出来ない。
男性は隙間から指と枝を突っ込み、ジュースを横にずらそうと四苦八苦する。
その横でぱちゅいりーがヤキモキしていた。
「お~し!何とか出来た!さて次はうちに行かないとな・・・・よし!じゃあうちに行こう。」
自販機から取り出すのに時間がかかり、男性の家に着いた時には9時を過ぎる。
抱えられて連れて来られたぱちゅりーは、子ふらんの容態が気になってしかたがない。
だからと言ってここで男性を怒らしては、折角のチャンスを失ってしまう。
『むきゅ・・・おにいさん?』
『あ?何?小麦粉ならすぐ用意するよ。」
『ぱちゅはふらんのためにいそがないといけないの・・・・・』
「ふらんって・・・・捕食種だろうが・・・・お前はどっちかと言うならその餌に入るんじゃ?あれ?お前飼いゆ?」
そこで初めて男性はぱちゅりーの金バッチに気がつく、そして何かしら事情があるのを察した。
通常種が捕食種を守ろうとする時点でただ事では無い、しかも飼いゆの最高峰である金バッチゆっくりならば尚更である。
「わかった、巣まで送ってやっからまずは事情を話せ!」
『むきゅ・・・・わかったわ・・・ぱちゅはね・・・・・』
ぱちゅりーは男性にこれまでの経緯を話す。
飼いゆとして暮らしていたぱちゅりーが浚われてこの山へやって来て、そこで出合ったれみりゃに共感した事。
れみりゃは群れの再興を目指しているが、住処が崩落してしまい子ふらんが怪我をした等を話す。
「ふ~ん・・・なるほどねぇ~じゃあとりあえず行くか」
「むっきゅ?いくってどこに?」
男性はぱちゅりーの話を聞き終えて最初の1言がこれだった、返事も待たずにぱちゅりーを持ち上げ抱える。
その手に持った袋の中には、先程購入したオレンジジュースと小麦粉が入いっていた。
「何処も何もその社に決まってるだろが、今からお前だけで帰ってどれだけ時間がかかると思ってんだ?」
『むきゅ・・・でも・・でも・・・・・・』
「あぁ?まだ何か困ってる事でもあるのか?」
『ごめんなさい・・・ぱちゅたちはかってにそこにおいてあったごはんさんをたべちゃったの・・・・・・』
ぱちゅりーは社に住む事も供え物を食べてしまった事も、まだ誰にも許可を取れてはいない。
今日の所はとりあえず薬が欲しかっただけで、許可を取るのは後回しにしていた。
「ご飯ってあのかっさかさの蜜柑とか芋かよ?あんなもん猿も喰わねぇよ!
畑荒らさなきゃ誰も文句なんかつけないから大丈夫だって・・・とりあえず時間が無いんだろ急ぐぞ!」
『むっきゅ、おにいさん・・・・』
「あぁ?何だ黙ってないと舌噛むぞ。」
『ありがとう・・・・』
「その台詞はそのふらんが助かってから言え、ゲームや漫画じゃないんだから死んだゆっくりは蘇らないぞ!」
男性は自転車の前カゴにぱちゅりーを入れ、山の入り口にある社に向かって走り出す。
流石に運動の苦手なぱちゅりーであっても、すぃーで移動してきただけあって少し遠い。
街灯の無いあぜ道は真っ暗で、それが逆に夜空の星を鮮やかに魅せる。
20分ほど走ると暗闇の中に、薄っすらと小さな屋根が木の間に見えた。
「あそこで間違いないな?」
『むっきゅ!まちがいないわ!』
自転車のライトに鳥居が照らされ、その下に2匹のゆっくりがこちらを伺っている。
れみりゃとめーりんが、帰りの遅いぱちゅりーを心配して待っていたのだ。
だが流石に、そこに人の姿を確認すると物陰に隠れる。
『れみぃ~おくすりをもらってきたわ~』
『う~?ぱちぇのこえだどぉ!』
ぱちゅりーの声に無事帰還した事を安堵するれみりゃ、すぐに物陰からぱちゅりーを迎えに出てくる。
だがぱちゅりーの側には人に姿があったので、警戒して近づいては行かない。
「まぁ・・・・なんだ・・・とりあえずそのふらんを連れて来い、まずは兎に角も看てみるから・・・・」
『むっきゅわかったわ、れみぃふらんをこのおにいさんにみせてあげて・・・あとあのこもいっしょにおねがい。』
『う?ひとさんになおしてもらうんだどぉ?』
『そうよ!ぱちゅたちにはできないことがひとさんにはできるのよ!いそいで!』
『わ・・・わかったんだどぉ!』
ぱちゅりーの言葉に従い、れみりゃは急ぎ社の床下で伏せる2匹を連れてくる。
未だ気を失ったままの2匹、赤髪のゆっくりは衰弱が原因と思われるがふらんは原因がわからない。
「どれ?ふ~ん・・・・・まぁとりあえずこいつから・・・・・・」
『こ・・・ぁ・・・・こあ」
「お!効いた効いた!」
男性は2匹をしげしげと眺めると、赤髪のゆっくりにオレンジジュースをキャップ1杯分だけかける。
すると赤髪のゆっくりはモゾモゾと動きだした。
「こいつはこれでOKだろう、後は少しずつオレンジジュースを飲ませてやれ。
絶対に一度に沢山やるなよ!身体が吸収し過ぎて舌が肥えるうえに、記憶まで糞に混じって出ちまうぞ!」
『むっきゅ!ゆっくりりかいしたわ!』
次に男性は子ふらんを手に乗せ顔をしかめた、特にこれといった外傷が見当たらないのだ。
身動き一つしない子ふらんだったが、その体温がまだ生きている事を証明している。
「まさかな・・・・・あ!これは酷いな・・・・・・・」
『むっきゅ!』
子ふらんのお帽子を取ると、そこには大きく陥没して頭部が割れる怪我があった。
中身の餡が割れ目から見えている。
「洩れちゃいないようだがかなりヤバイな、まぁ蓋しとけばいけるかも知れん。」
男性は用意していた小麦粉を取り出すと、それをオレンジジュースで練り始める。
凹んだ頭部を少し切り開き、そこに練った物を流し入れた。
再度蓋をして、上からオレンジジュースをかけて終了。
すると子ふらんがプルプルと少し震え、ずっと閉じていたその目を見開く。
『うぅ~おじぇうのいもうちょがおめめしゃんをあけちゃんだどぉ~』
子ふらん意識を取り戻した事に喜び、子れみりゃが側へと飛んできた。
抱きつく様に擦りあう姉妹、だが何か様子がおかしい。
『ううううううううううううううううううううううぐあう!』
『うぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・・い・・・・・・い・・・・・・・』
子ふらんが突然唸り咆哮を上げると、姉である子れみりゃに噛みつく。
そして姉を一心不乱に喰らう子ふらん、その姿は獣の如き殺気を帯びている。
あまりの事にあっけにとられ、れみりゃやぱちゅりーは子ふらんを止めるのが遅れてしまう。
我に帰った時には、子れみりゃ既に半身を喰われ虫の息。
「おい・・・・・あれ止めなくていいのか?」
『むっきゅ!むきゅうううううううう!ふらんなにしてるのぉぉぉぉぉぉぉ!』
『おちびちゃんがおちびちゃんをををををを?』
『だ・・・だ・・だめですいもうとさまぁぁぁ!』
さくやが中枢餡を止めて子ふらんを静止させるが、そこには既に息絶えた子れみりゃの姿。
その後も子ふらんは静止を解かれると、目に写った者相手かまわず飛び掛ってくる。
そこにはもうれみりゃもさくやさえも区別は無い、これでふらんの静止を解く訳にはいかなくなってしまう。
それを一部始終見ていた男性が、さくやのゆっくりを静止させる能力に気づく。
「おい・・そこの銀髪のゆっくり・・・・」
『ゆゅ?ぎんぱつ?それはさくやのことかしら?』
「あぁお前だよ。お前はどうやらゆっくりの動きを止めれるみたいだが、それは何匹でもいけるのか?」
『そうね・・・・ちかくにいればむれひとつぐらいならいけるとおもうわ。
でもこれでいもうとさまからはなれなくなってしまったわね・・・・』
「それは俺がなんとかしてやるから、その能力を生かして働いてみないか?
ここに住むのも俺が、自治会長に話しをつけてやるから。」
男性がさくやの能力と引き換えに、住む場所の提供を申し出る。
正直いってこれはれみりゃ達にとって、喉から手が出る程欲しかった話だった。
社に住む事が出来るうえに、中枢餡を損傷して狂ってしまった子ふらんをどうにかしてくれると言うのだから。
『むきゅ・・・おにいさん・・・・ふらんをどうするつもりかしら?まさかころさないわよね?』
だがぱちゅりーは、単純に人の言葉を鵜呑みにはしない。
万が一にも最悪の事態を想定する。
人との具体性の無い約束は、後でどんな罠が待っているか分からない。
「お?流石にお前は賢いな・・・・大丈夫だちゃんと医者に診せてやるから任せておけ。」
『むっきゅ・・・それだったらおねがいしたいわ・・・・もぅぱちゅたちではふらんをたすけられないもの・・・
れみぃどうかしら?ぱちゅはこのおにいさんのていあんをのむしかないとおもうの。』
ぱちゅりーは男性から、子ふらんを医者に診せるとの言質を貰う。
元々ここまでぱちゅりーを連れてきてくれた時点で、この男性が信用出来そうな気はしていた。
欲しかった約束は貰った、後は当主の許可を得るだけ。
『うぅ・・・・さくやになにをやらすきなんだどぉ?』
喉から手が出る程の条件だったが、男性がさくやに何をさせる気か判らない。
配下の者の安全が保障されていない話に、主のれみりゃが容易に乗る訳にはいかなかった。
「ん?ああ畑の監視官をしてもらえないかと考えてる」
『むっきゅ?はたけさんのかんしかん?』
『はたけってなんだどぉ?』
野生のゆっくりに畑の概念は無く、如何なる植物も自然に生えてくる物であり栽培すると言う知識は無い。
だが人の下によって、生まれ育まれきたぱちゅりーは理解出来る。
『むきゅ・・・・そうね・・・・・』
理解しているだけに説明に困るぱちゅりー、容易に野菜は生える場所と説明すれば誤解が生じる可能性がある。
かと言って育成過程等を難しく説明しても、れみりゃ達に理解して貰えない。
「畑ってのはお前らが子供を育てるみたいに、人が野菜を大事に育ててる場所だ。」
『ひとさんがおやさいさんをそだててるんだどぉ?かってにはえてくるんじゃないんだどぉ?』
「野菜は赤ゆの様に弱い植物なんだ、誰かが面倒をみてやらんと枯れちまうんだ。」
男性はれみりゃに、野菜は面倒をみないと育たないとだけ説明した。
種だの土壌がどうだのと説明しても、ゆっくりには理解出来ない事は分かっている。
『よくわからないんだどぉ・・・でもひとさんがめんどうをみているってのはわかったどぉ』
とりあえずは人が管理している場所で、そこで植物が育てられていると言う事は理解するれみりゃ。
ここまで理解出来れば、何故さくやが監視しなければならないかは推察出来る。
『つまりはゆっくりからはたけさんをまもればいいんだどぉ?』
「おぉ~察しがいいな!御名答だ!ゆっくりが畑を荒らしに来たら、ゆっくりの動きを止めて呼んでくれればいい。
後の駆除はこっちでやるからさ・・・・それに余った野菜もお前らにやる。」
畑の監視をすれば住居どころか、売れない野菜までくれると言う破格の条件が提示される。
だがこれにれみりゃは以外に反応を示した。
『おやさいさんはいらないんだどぉ!れみぃはこーまかんのあるじなんだどぉ!
ここにすませてもらうだけでじゅうぶんなんだどぉ!』
「ほぉ~ゆっくりが言うねぇ~いいねぇ~その誇り高き信念って奴は俺も嫌いじゃない。
とりあえず監視官の仕事はOKって事でいいな?後は俺に任せておけ。」
長としてのプライドかそれとも人への警戒か、れみりゃの誇りが食べ物の施しを拒む。
だがこれでさくやにやる畑の監視は認められた。
男性もれみりゃの長としての姿勢が気に入ったらしく、子ふらんを連れて暗闇の中を帰って行った。
『いもうとさまはだいじょうぶでしょうか・・・・・』
『もぅれみぃには、おにいさんにまかせるしかないんだどぉ・・・・・』
さくやとれみりゃは、その姿を見えなくなるまで見送って呟いた。
賽は投げられたのだ、後は流れに身を任すしかない。
『むっきゅ!わすれていたわ!めーりん!このこをなかにはこんでちょうだい!」
『じゃおおおおお!』
赤髪のゆっくりをめーりんに、社の床下へと運ばせるぱちゅりー。
続くように皆の床下へと入って行った。
社の床下には建築時の廃材だったのか藁や木屑が置かれ。
秋風の冷える夜でも暖かく、昼の疲れもあり皆ぐっすりと眠りにつく。
『むきゅ・・・・さぁのみなさい・・・・』
『ごくごく・・・・こぁ~』
しかしぱちゅりーは寝る事なく、紅髪のゆっくりの看病をする。
これから1晩中、少しずつオレンジジュースを与えなければならない。
量の加減の作業もあり、これはぱちゅりーにしか出来ない作業である。
ゆっくりにとって万能薬のオレンジジュースの唯一の欠点、それは大量に与え過ぎると口が肥えてしまう事。
ただでさえ体力の無いぱちゅりー種、しかも子ふらんの為に慣れない里をすぃーで走り回り疲れている。
『むきゅ・・・う・・ぅ・・・むきゅ!ねてはだめよ!このこのいのちにかかわるわ!』
必死に己を鼓舞しながら、眠気と戦い紅髪のゆっくりを看病するぱちゅりー。
混沌とし意識の焦点が合わず、ぼんやりながらもそんなぱちゅりーを見つめる紅髪のゆっくり。
『こ・・・あ・・・?』
現と幻の区別がつかぬ中、額に汗するぱちゅりーに今は亡き母の姿を思い描く。
夜がしらじむ頃には通常種にやられた腫れもひいていた。
『こぁ~こぁ?こあこあ!』
紅髪のゆっくりが目覚めた時には、怪我は癒え痛みはまったく感じられない。
そしてその横で疲れて眠るぱちゅりーの姿、夜明けまで奮闘し癒えたのを確認すると気絶するかの様に眠りにつく。
薄っすらと覚えている昨夜の情景を思い出す。
思わず感謝の気持ちを込め、眠っているぱちゅりーに頬を擦りつける。
『むにゅ・・むきゅ・・・・むっきゅ?きがついたのね・・・・・よかった・・・わ・・・・・』
その感触に目を覚ますぱちゅりー、すぐにその相手が紅髪のゆっくりである事に気がついた。
元気になった姿に安堵するが、すぐに疲労から眠気に襲われ混沌としながら眠りにつく。
それからぱちゅりーが目を覚ました時には、既に太陽は高く昇り時刻は昼を過ぎる。
『むきゅ~んん~?ぱちゅはなにをしていたのかしら?』
『こあ!こあこあ!』
紅髪のゆっくりが慌てて外に飛び出していく、そしてすぐにれみりゃを連れて戻ってきた。
れみりゃは、起きたばかりのぱちゅりーを床下の外へと連れ出す。
『ぱちぇありがとうなんだどぉ!おかげでりっぱなこーまかんができたんだどぉ!』
『むっきゅ?れみぃ?なにを・・・・・?まぶしくてみえないわ!』
寝起きのうえに徹夜だったぱちゅりーには、いきなりの光は眩しく何も見えない。
やがて目が光に慣れてくるにつれて、その目に写ったのは人影と紅い小屋の様な建物。
『むっきゅ?これは・・?』
「おー起きたか寝ぼすけ」
そこにいたのは、ぱちゅりーが昨夜出会った男性と見知らぬ男性が数人。
皆で社の裏に小屋を建て、さきほど紅く塗り終えた所である。
「ここに住めるように、自治会長から許可貰ってきてやったぞ。」
『むっきゅ?じゃあこうにんになったのね!」
「だが条件は話した通りだ、それもこいつと本ゆんの許可は出てるし問題ないな。」
男性は昨夜のうちに自治会長と話をつけてくれ、ここに住むどころか専用の家を作ってくれた。
子ふらんは昨夜のうちに、ゆっくりの餡医に預けられている。
交換条件だったさくやによる畑の監視、これはぱちゅりーが眠っている間に既に始められていた。
『さぁきょうこそはおやさいさんをひとりじめする、げすなじじぃからおやさいさんをてにいれるよ!』
『えいえいゆーーーーー!』
『はぁ・・・・・ばかばっか・・・・・』
「こ・・これは凄いな・・・・・糞饅頭共が木偶人形の様になったぞ!」
監視を始め僅か数分で初の襲撃があり、速攻でさくやの能力の有効性を見せる結果となった。
畑に侵入しようとした所をさくやによって静止され、そのまま固まる野生のゆっくり達。
男性達がそれを拾う様に集め一箇所に集める。
『ゆ?ゆゆゆ?どぼぢでこんなとこにいるのぉぉぉぉぉぉ?』
「はっはっは!馬鹿が騒いでやがる!」
『じじぃぃぃぃぃぃ!はやくここからだせぇぇぇぇぇぇぇぇ!』
「お前等は加工所送りだ!いや~良いゆっくりもいたもんだ!愉快愉快!」
さくやの能力により楽に、畑を荒らすゆっくりを集める事が可能となった。
こうして高い評価を得て、気を良くした自治会長の計らいでこの小屋を建てて貰えたのである。
「塗装をどうしようかと思ったんだが、こいつが五月蝿いから紅く塗っておいたぞ。
神社も同じ朱色だから、違和感が無くてちょうどいいしな。」
男性の指差す先に満面の笑顔のれみりゃが、建ったばかりの新こーまかんを眺めていた。
人の配下となるのはれみりゃにとっても思うところはあるが、それ以上に味方と考えるのならこれほど心強い存在は無い。
幸いにもここは山と人里を分ける場所にあり、山のゆっくりはここを通らなければ里には行けず。
畑はさくやが監視しているので隙は無いだろう。
『こーあこーあ!』
「むっきゅ・・・くすぐったいわよ・・・・あなたしゃべれないのね・・・・なまえはなんというのかしら?』
ぱちゅりーの看病により助かった紅髪のゆっくりは、話す事が出来ないようで「こぁこぁ」としか話さない。
それでもぱちゅりーに対する感謝を表そうと身体を擦り付け、親愛を込めて頬を舐めてくる。
「こあでいいじゃねぇか?さっきからこあこあ鳴いてるし。」
『むっきゅ!そうね!きょうからあなたはこあよ!こあゆっくりしていってね!』
「こーあ!こあこあ!」
こうしてれみりゃは、新たな仲間と居城となる場所を得る。
今後人との協定は、れみりゃに何をもたらす事となるのか・・・・
力が仲間を呼ぶのか仲間が力を呼ぶのか、れみりゃの群れ再興はここから今始まる。
おわり
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まさか続きを書こうとしてこんなに時間がかかるとは思いもしませんでした。
これも全部仕事が忙しくなったのが悪いんです・・・・・・
申し訳ありませんが、続きはかなり時間かかると思われます。
時間が無さ過ぎて全然纏まりません。
出来るだけ頑張ってみますので、どうぞお見捨てなきよう御願い致します。
ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/13854/
○○あきのSS感想はこちらへ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1275503703/
誤字・脱字等あれば勘弁して下さい
これまで書いた物
anko1218 ゆ虐ツアー
anko1232 ゆ虐ツアー お宅訪問編
anko1243 ゆヤンワーク
anko1495 ゆ虐にも補助金を
anko1785 ゆうかにゃんはアイドル
anko2265 『てんこふみふみ』
anko1237 デスラッチ01 雪原のまりさ
anko1250 デスラッチ02 まりさの思い出
anko1274 デスラッチ03 まりさとつむり
anko1282 デスラッチ04 まりさとおにいさん
anko1314 デスラッチ05 まりさとおちびちゃん
anko1337 デスラッチ06 まりさとリボン
anko1341 デスラッチ07 まりさと春
anko1711 デスラッチ08 まりさの子ぱちゅりー
anko1931 デスラッチ09 まりさの写真 (終)
anko1296 デスラッチ外伝01 まりさとまま
anko1505 デスラッチ外伝02 まりさとめぐりあい
anko2208 デスラッチ外伝03 まりさに出会うまで・・・・・
anko1276 ゆっくり種
anko1278 ゆっくり種2
anko1291 ゆっくり種3
anko1310 ゆっくり種4
anko1331 ゆっくり種5
anko1350 ゆっくり種6
anko1391 ゆっくり種7
anko1482 ゆっくり種8(終)
anko1362 ケーキ
anko1527 極上
anko1612 砂の世界
anko1768 永遠の命
anko1779 塗りゆ
anko1863 れみりあが愛したおちびちゃん
anko1872 疾風ゆっくリーガー
anko1942 ゆっくりキング
anko1969 ゆクライド
anko2032 夏だ!プールだ!まりさと遊ぼう!
anko2192 いっかのすえ
anko2237 ゆ出
anko2314 『とある秋の恵みの攻防戦』
anko2355 『思えばそこは幻想郷』
anko2406 『こーまの王 「賢者」』
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