シャアが来る(楽曲)

登録日:2025/04/24 Thu 09:05:02
更新日:2025/04/26 Sat 16:20:53NEW!
所要時間:約 4 分で読めます




大佐どいてください!邪魔です!

「シャアが来る」は、TV版『機動戦士ガンダム』(1stガンダム)の参入歌である。

作詞:井荻麟
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
唄:堀光一路


【概要】

そのタイトル通りシャア・アズナブルの事を歌った曲である。
ラテン調のアップテンポなBGMながらも、その内容はエースパイロットたるシャアに狙われた名もなき兵士の末路を語るというもの。
強い曲調はシャアという存在の強さをストレートに表現しているが、歌詞には何処か悲壮感がある。
誰かわからない兵士が自分が「ターゲット」と気付くも時既に遅し、「奴」に追い詰められていくのだ。
傷つき、血に塗れ、それでも敵を見るも命の灯火は尽きかけている。
だが自分だけで死ぬかよとシャアを「ターゲット」にするが…。

最後の歌詞もまた意味深であり、見る人の解釈に分かれる形となっている。


ストーリー仕立てになっている事も特徴的だが、特に耳に残るのが歌い出しからサビまで続く「シャア!」の連呼。
勿論シャアという男の名前を呼んでいるのだが、語感もあってか「シャー」と凄く早く動いている擬音にも聞こえてくる。

機動戦士ガンダムは「ロボットを兵器」「人間同士の戦い」「当時としてはリアルでシビアな戦争の描写」と色々革新的な要素が多かったが、それでも「子供向けロボットモチーフのテレビまんが」的な空気も残している。これとか。
OPの「翔べ!ガンダム」なんかがまさにそれだろう。
そういう意味ではキャラ名を連呼する「シャアが来る」も「子供向けテレビまんがの楽曲」である。
だがかっこよさの中に悲痛さもあると同時に、やっていることは単なる人殺しであることを直に表しつつも「傷ついたターゲット」とみなされた兵士にも矜持がある事も表現された名曲と言える。

この曲を歌った堀光一路は、オイルショックのせいで「歌う場所」が次々と消えていったこともあって、「シャアが来る」を以て歌手を引退した。
その後はバイクのカスタムペイントショップ「フリーダム ヴィンテージサイクルス」を開店し、現在も経営が続けられている。
シャアとはまた違う意味で数奇な人生を辿っている人物である。

2009年にはアメリカの歌手アンドリューW.K.にて「Here Comes Char」という英訳カバーがリリースされている。
シャアが来ると聞いて我慢できずカバー曲を歌ったアンドリューW.K.


【劇中での使用箇所】

さて冒頭で語った通りこの曲は「機動戦士ガンダム」劇中で使われた曲である。
さぞかしシャアが無双するようなシーンで流されたんだろうな…と普通なら思うだろうが、この曲が流れた第40話。
そこでは曲が流れて数秒、遠距離射撃で早速死にかけるシャアの姿が!
同行していたララァ・スンエルメスビットを一基犠牲にして庇うも、撃たれたシャアの反応は「…ん?」と状況を理解できてない様子であった。
ただこれだけなら射撃を試みたアムロ・レイとそれを察知したララァが異常過ぎただけと認識でき、ギリギリまだなんとかシャアの強さに陰りは見えていない。
しかしその後もシャアは最新鋭機のゲルググに乗りつつも、それ以上に強くなったガンダムに大苦戦。
挙げ句にはララァに「大佐どいてください!邪魔です!」「シャア!(呼び捨て)」とまで言われる始末であった。
これじゃあ「シャアが来る」じゃなくて「アムロが来る」「永遠にアムロ(には勝てない)」である。
スマートなライバルキャラでありながらネタキャラ扱いされがちなシャアだが、この一件もまさにその印象を感じさせる。なんでよりによってシャア史上ワースト級に情けない戦闘シーンで使ってしまったのか……。

ただ曲はアップテンポなので臨場感はあり、使う場面としては決して間違いではない。
歌詞を聞かなければ、何よりシャアのイメージソングでなければという前提があるが。

ゲームで使われることも稀であり、シャア用の戦闘曲としても「颯爽たるシャア」や「紅の機動兵器」の方が良く使われている。
一方で『スーパーロボット大戦A』では序盤にシャアが敵として登場するので、彼と対峙すると流れる。
また隠しで手に入るシャア専用ゲルググにクワトロ・バジーナを乗せても流れる。何故だろうね。
『連邦vsジオン』ではジオン軍でパイロット名をシャアにし、更にシャア専用機で出撃すると初戦時に流れる。
この曲をバックに無双するか、アニメ同様の末路を迎えるかはあなた次第。
なお、企画マンによると当初は収録予定はなかったがモデリング担当からのゴリ押しに近い強い要望で収録が決まったそうな…。
続編の『エゥーゴvsティターンズ』では当然ながら削除。よってクワトロ・バジーナでシャア専用機に乗せて出撃しても流れない。
…と思いきや『エゥーゴvsティターンズDX』のエゥーゴ/連邦軍Fルートのステージ9でララァが乗るエルメスと共にシャア専用ゲルググで乱入しその時に流れる。
更にオールスター路線になった『vsシリーズ』作でも度々収録されており、制作サイドに妙な愛され方をしている。

他には、パチンコではあるが初代が題材の「CRフィーバー機動戦士ガンダム」シリーズにて、この楽曲が大当たりラウンドで流れるとなんと保留連が確定(次の当たりがすぐ来る)という非常に嬉しい役を貰っている。
ラウンド中に流れるムービーも独自のものとなり、さらにラウンド終了時から当たりを引くまではリーチなどの演出は入らず即図柄が揃うという非常にシンプルなものとなっている。

【そして…】

「戦闘曲」として優秀なためか、この曲をアレンジしたBGM「戦場を疾風のように」が存在している。
しかし機動戦士ガンダム劇中では使用されることはなく、一部のガンダムマニアの間で隠れた名曲扱いでしかなかった。

だが46年後、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』にてアレンジされた「戦場を疾風のように」が使われた。
しかもシャアが最新鋭機を手に入れ連邦軍相手に無双するというシーンで。
その圧倒的な強さに「邪魔です!」なんて言う味方は絶対に現れないであろう。
こうして「シャアが来る」は形を変えながらも溜飲を下げた形となった。








追記・修正は自分のテーマソングを流しながらボコられた方がお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 機動戦士ガンダム
  • シャア・アズナブル
  • 堀光一路
  • シャアが来る
  • 処刑用BGM
  • 処刑用BGM(自分の)
  • 戦場を疾風のように
  • 連邦視点
  • BGM
  • シャア!シャア!シャア!
  • シリアスな笑い
  • マグネットコーティング
  • どうしてこうなった
  • 劇中歌
  • キャラソン
  • 渡辺岳夫
  • 松山祐士
  • 大佐どいてください!
  • 邪魔です!
  • 何故かなかなか立たなかった項目
最終更新:2025年04月26日 16:20