ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2959 天空の島ゆっくり
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ankoss
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『天空の島ゆっくり』 13KB
群れ 捕食種 現代 こういうネタはどのジャンルになるのかわからない
群れ 捕食種 現代 こういうネタはどのジャンルになるのかわからない
○
目の前には、空が広がっている。
ぱちゅりーは世界の端に立っていた。
ぱちゅりーは世界の端に立っていた。
「ぱちゅりー、またここにいたんだね」
ぱちゅりーが振り向くと、そこにはまりさがいた。
彼女らは幼いころから共に育った、大切な友人同士である。
彼女らは幼いころから共に育った、大切な友人同士である。
「ええ、せかいのはてはおもしろいわ」
世界の果て。
それはぱちゅりーが立っている、断崖絶壁のことだ。
彼女らは空に浮かぶ島に住み、群れを作って生きていた。
その島の端、崖となっている場所を彼女たちは“世界の果て”と呼んでいる。
それはぱちゅりーが立っている、断崖絶壁のことだ。
彼女らは空に浮かぶ島に住み、群れを作って生きていた。
その島の端、崖となっている場所を彼女たちは“世界の果て”と呼んでいる。
「まりさにはおそらしかみえないよ。そんなにおもしろいの?」
「おそらだけじゃないわ。ほかのしまさんもみえるのよ。このあいだはながれぼしさんもみたわ」
「ふうん。……あ、もしかしてあれ、ほかのしまさん?」
「ほんとうだわ!」
「おそらだけじゃないわ。ほかのしまさんもみえるのよ。このあいだはながれぼしさんもみたわ」
「ふうん。……あ、もしかしてあれ、ほかのしまさん?」
「ほんとうだわ!」
まりさの声で目を向けると、遥か彼方に島が見えた。
その島とすれ違うとき、風に乗って声が聞こえてくる。
ゆっくりしていってね、と。
その島とすれ違うとき、風に乗って声が聞こえてくる。
ゆっくりしていってね、と。
「まりさたちにむけてあいさつしてくれたのかな?」
「そうかもしれないし、むこうのしまさんでだれかがあいさつしあったのがきこえたのかもしれないわ」
「……ぱちゅりーのいうとおり、せかいのはてはおもしろいかもしれないね。まりさはちょっときょうみがわいてきたよ」
「それはうれしいわ。あした、かりがおわったらぱちゅりーはここにいる。また、いっしょにおそらをながめない?」
「そうだね。またあした、ここにこよう。……そうだった、まりさはぱちゅりーをむかえにきたんだよ。かえろう」
「そうかもしれないし、むこうのしまさんでだれかがあいさつしあったのがきこえたのかもしれないわ」
「……ぱちゅりーのいうとおり、せかいのはてはおもしろいかもしれないね。まりさはちょっときょうみがわいてきたよ」
「それはうれしいわ。あした、かりがおわったらぱちゅりーはここにいる。また、いっしょにおそらをながめない?」
「そうだね。またあした、ここにこよう。……そうだった、まりさはぱちゅりーをむかえにきたんだよ。かえろう」
また明日、“世界の果て”で。
そう約束して、彼女らは浮島の端を後にする。
その翌日、異変は起こった。
そう約束して、彼女らは浮島の端を後にする。
その翌日、異変は起こった。
「おまたせぱちゅりー。……どうしたの?ここはせかいのはてじゃないよ?」
森林の前に佇むぱちゅりーに、まりさが声をかける。
声に振り返らないぱちゅりーの顔をまりさが覗き込んだ。
ぱちゅりーの表情は、驚愕に満ちている。
声に振り返らないぱちゅりーの顔をまりさが覗き込んだ。
ぱちゅりーの表情は、驚愕に満ちている。
「どうしたの?おかおがゆっくりしてないよ?びっくりーしすぎてがんめんほうかいしてるよ?」
「あたりまえでしょう!みなさい、これを!みわたすかぎり、もりさんよ!」
「あたりまえでしょう!みなさい、これを!みわたすかぎり、もりさんよ!」
彼女らの目の前には、生い茂る木々があった。
木々の枝葉は日差しを細かく区切り、風に揺れて微かな音をたてている。
その光景を見て、まりさが口を開いた。
木々の枝葉は日差しを細かく区切り、風に揺れて微かな音をたてている。
その光景を見て、まりさが口を開いた。
「たしかにもりさんがもりもりはえてるけど、それがどうかしたの?せかいのはてでおそらをみるんでしょ?」
「あなたがそういうおやじさんじょーくをいうのはいつものことだからいいわ。……いい?ここがせかいのはてよ。だったところといったほうがいいわね」
「なにいってるの?もりさんがあるよ?」
「そうね、ぱちゅりーもさいしょはしんじられなかったわ。でも、ぱちゅりーがいまいるここは、いつものばしょなのよ。おしりのしっくりぐあいがおしえてくれるわ。ぱちゅりーがつけた、とくとうせきのしるしもあるしね」
「もしここが、せかいのはてだったところだとして。どうして、もりさんがあるの?」
「わからない。……とつぜんはえたとしか、いいようがないわ」
「あなたがそういうおやじさんじょーくをいうのはいつものことだからいいわ。……いい?ここがせかいのはてよ。だったところといったほうがいいわね」
「なにいってるの?もりさんがあるよ?」
「そうね、ぱちゅりーもさいしょはしんじられなかったわ。でも、ぱちゅりーがいまいるここは、いつものばしょなのよ。おしりのしっくりぐあいがおしえてくれるわ。ぱちゅりーがつけた、とくとうせきのしるしもあるしね」
「もしここが、せかいのはてだったところだとして。どうして、もりさんがあるの?」
「わからない。……とつぜんはえたとしか、いいようがないわ」
答えたぱちゅりーが前へと這ってゆく。
少し進んでもどかしくなったのか、ゆったりとしたペースで跳ね始めた。
その後ろ姿に、まりさが声をかける。
少し進んでもどかしくなったのか、ゆったりとしたペースで跳ね始めた。
その後ろ姿に、まりさが声をかける。
「どこいくの、ぱちゅりー!」
「もりさんをみてくるわ!このめでどうなってるかたしかめるのよ!」
「あぶないよ!まりさがまもってあげるから、いっしょにいこう!」
「ありがとう。さ、たんけんしましょ!」
「もりさんをみてくるわ!このめでどうなってるかたしかめるのよ!」
「あぶないよ!まりさがまもってあげるから、いっしょにいこう!」
「ありがとう。さ、たんけんしましょ!」
跳ねるまりさが追いつき、ぱちゅりーの跳ね幅に合わせて跳ぶ。
並走する彼女らが、森の中をゆく。
進む彼女らの前には、溢れるばかりの生命があった。
右を見ても、左を見ても、おいしそうな草花や虫ばかり。
突如現れたこの森は、幸せを生み出す恵みの森だった。
並走する彼女らが、森の中をゆく。
進む彼女らの前には、溢れるばかりの生命があった。
右を見ても、左を見ても、おいしそうな草花や虫ばかり。
突如現れたこの森は、幸せを生み出す恵みの森だった。
「これはすごいわ!むれにもどって、このばしょをみんなにおしえましょ!」
「すこしかりをして、はなさんとかむしさんとかをもっていこう!みんなにみせたら、きっとびっくりするよ!」
「いいわね!てわけしてさがしましょ!」
「すこしかりをして、はなさんとかむしさんとかをもっていこう!みんなにみせたら、きっとびっくりするよ!」
「いいわね!てわけしてさがしましょ!」
少し跳ね回るだけで、持ちきれないほどの食料が集まってゆく。
その成果に、二匹の頬がゆるむ。
その成果に、二匹の頬がゆるむ。
「ゆゆぅ~!このもりさん、すっごくゆっくりしてるよぉ~!」
「こんなにゆっくりしてるもりさん、はじめてだわ!かえってみんなをよんで、むらのみんなでかりをしましょ!」
「こんなにゆっくりしてるもりさん、はじめてだわ!かえってみんなをよんで、むらのみんなでかりをしましょ!」
食料でいっぱいの帽子をかぶり直すと、群れへと急ぐ。
草花生い茂る虫の楽園の存在を知り、群れはお祭り騒ぎとなった。
草花生い茂る虫の楽園の存在を知り、群れはお祭り騒ぎとなった。
●
───よしよし。これで食料の生産量は問題ないな。
電車の中で、背広姿の男が携帯電話をいじっている。
携帯電話の画面には、正方形の画像といくつかのステータスが表示されていた。
携帯電話の画面には、正方形の画像といくつかのステータスが表示されていた。
───これで、ゆっくり達が食料に困ることはないだろう。奮発して、レベルの高い生産強化アイテムを買ったからな。
“天空の島ゆっくり”、それが彼のプレイしているゲームの名前である。
近年出始めた、位置登録ゲームの一種だ。
プレイヤーは空に浮かぶ小島を管理して、ゆっくりの群れを繁栄させてゆくという内容となっている。
小島に食料や水を生産する施設を設置することで、ゆっくりが増えて群れを作ってゆく。
それだけでなく、初期に当たられた小島に土地を増やしてゆき、島を拡張してゆくことも可能だ。
だが、それはノーコストで行えるわけではない。
近年出始めた、位置登録ゲームの一種だ。
プレイヤーは空に浮かぶ小島を管理して、ゆっくりの群れを繁栄させてゆくという内容となっている。
小島に食料や水を生産する施設を設置することで、ゆっくりが増えて群れを作ってゆく。
それだけでなく、初期に当たられた小島に土地を増やしてゆき、島を拡張してゆくことも可能だ。
だが、それはノーコストで行えるわけではない。
───そろそろ着くな。着いたら位置登録しておこう。
位置登録ゲームでは、現在の位置情報を送信することが出来る。
そうして前に送信した位置情報と比べ、どれだけの距離を移動したかを算出できる。
その移動距離が、“ドスパワー”という仮想通貨として得られるシステムとなっている。
ドスパワーは現実世界での移動だけでなく、現在のゆっくりの数に応じた値が毎日決まった時間に得られる。
プレイヤーは得たドスパワーを使い、島の拡張を行ってゆく。
そうして前に送信した位置情報と比べ、どれだけの距離を移動したかを算出できる。
その移動距離が、“ドスパワー”という仮想通貨として得られるシステムとなっている。
ドスパワーは現実世界での移動だけでなく、現在のゆっくりの数に応じた値が毎日決まった時間に得られる。
プレイヤーは得たドスパワーを使い、島の拡張を行ってゆく。
───ん、アイテム星来てるな。なら、ゆゆこベースをつくって受け止めよう。来るのは二時間後か。
ゲーム内で時折降る流れ星は、時間が経てば島にぶつかり、土地や施設を破壊する。
しかし、流れ星の中には島を豊かにするアイテムが混じっていることがある。
これを回収すればアイテムを使う事だけでなく、アイテムは売買することも可能だ。
アイテムの購入資金としてドスパワーを使うというシステムになっている。
しかし、流れ星の中には島を豊かにするアイテムが混じっていることがある。
これを回収すればアイテムを使う事だけでなく、アイテムは売買することも可能だ。
アイテムの購入資金としてドスパワーを使うというシステムになっている。
───うし、降りるか。んじゃ、ゆっくりしていってねっと。
彼は島の画像を見てから、携帯電話をしまった。
彼の管理する島では、三千を越えるゆっくりが森の恵みでゆっくりしていることだろう。
彼の管理する島では、三千を越えるゆっくりが森の恵みでゆっくりしていることだろう。
●
天空の島ゆっくりは、位置登録ゲームというよりも、生態系構築システムの色が強い。
無論、多くの人はゆっくりが繁栄するようにはしている。
だが、それ以外の遊び方をしているものが居るのも、事実である。
無論、多くの人はゆっくりが繁栄するようにはしている。
だが、それ以外の遊び方をしているものが居るのも、事実である。
「おきゃーしゃん!おにゃかへっちゃー!」
「ごひゃんしゃんほちい!」
「ゆうぅ、ごめんねおちびちゃん。ごはんさんはぜんぜんないんだよ」
「ごひゃんしゃんほちい!」
「ゆうぅ、ごめんねおちびちゃん。ごはんさんはぜんぜんないんだよ」
ゆっくりの親子が飢えていた。
否、この親子だけではない。
島にいる全てのゆっくりが、飢えていた。
否、この親子だけではない。
島にいる全てのゆっくりが、飢えていた。
「まえはおなかいっぱいたべられたのに。……どうしてむしさんもおはなさんもでてきてくれないの?」
原因は増えすぎたせいだ。
島にある森は、千を越えるゆっくりの腹を満たすほどの力を有していなかった。
ただそれだけのことだが、ゆっくりにとっては島や森が意地悪をしているとしか見えないのだろう。
島にある森は、千を越えるゆっくりの腹を満たすほどの力を有していなかった。
ただそれだけのことだが、ゆっくりにとっては島や森が意地悪をしているとしか見えないのだろう。
「……ゆっくりただいま」
「おかえりなさい。どうだったの?」
「これしかとれなかったよ。やっぱり、むしさんもおはなさんもかくれんぼしてるよ」
「おかえりなさい。どうだったの?」
「これしかとれなかったよ。やっぱり、むしさんもおはなさんもかくれんぼしてるよ」
帰ってきた番が差し出したのは、僅かな食料のみ。
一家が満足できる量には、到底足りなかった。
一家が満足できる量には、到底足りなかった。
「やじゃあやじゃあ!もっとたべちゃい!」
「わがままいっちゃだめだよ!おとうさんはあぶないのをわかっててがんばってきてくれたんだよ!」
「ごめんねおちびちゃん。おとうさんがごはんさんをとってこれなくて。……でもどうしたんだろう?れみりゃもふえてきたし」
「わがままいっちゃだめだよ!おとうさんはあぶないのをわかっててがんばってきてくれたんだよ!」
「ごめんねおちびちゃん。おとうさんがごはんさんをとってこれなくて。……でもどうしたんだろう?れみりゃもふえてきたし」
彼女らが食料を集めるのは、居住区から遙か先にある場所だ。
そこにたどり着くには、多くの捕食種が住む森を抜ける必要があった。
だが、危険を犯しても僅かな食料しか得られない。
食料の少なさに、同族から奪うものや親子で喰い合うものもいた。
この島に住むゆっくり達は皆、心身をすり減らして生きている。
しかし、それが当てはまるのは食われる側だけではなかった。
そこにたどり着くには、多くの捕食種が住む森を抜ける必要があった。
だが、危険を犯しても僅かな食料しか得られない。
食料の少なさに、同族から奪うものや親子で喰い合うものもいた。
この島に住むゆっくり達は皆、心身をすり減らして生きている。
しかし、それが当てはまるのは食われる側だけではなかった。
「うー、どうしてごはんがでてこないんないんだどー」
「おなかすいたのかー」
「こぼねぇ~」
「おなかすいたのかー」
「こぼねぇ~」
捕食種の住む森でも、飢えるものしかいなかった。
こちらの理由も増え過ぎである。
島の敷地の七割を占める捕食種の森、そこに住む捕食種は多種多様で、数にすれば四千は軽く越える。
そんな大量の捕食種を満足させられるほど、この島にはゆっくりが生息していなかった。
こちらの理由も増え過ぎである。
島の敷地の七割を占める捕食種の森、そこに住む捕食種は多種多様で、数にすれば四千は軽く越える。
そんな大量の捕食種を満足させられるほど、この島にはゆっくりが生息していなかった。
「こぼねぇ~!」
「うー!れみりゃをたべるんじゃないんだどぅ!たすけてさくやぁー!」
「うー!れみりゃをたべるんじゃないんだどぅ!たすけてさくやぁー!」
あるゆゆこが、近場でへたりこんでいたれみりゃを喰らう。
こんなことは日常茶飯事だ。
同族食いなど珍しくもない。
こんなことは日常茶飯事だ。
同族食いなど珍しくもない。
「おちびちゃんをたべるしかないのかー」
「おきゃーしゃんやめてほしいのかー!いたい!いたいぃいいい!」
「おきゃーしゃんやめてほしいのかー!いたい!いたいぃいいい!」
親が子を、子が親を喰らうことなどよくあること。
そうして競争相手を減らしながら生き残り、森に入ってくる通常種を狙う。
この島では、通常種も捕食種も皆、平等に飢えていた。
そうして競争相手を減らしながら生き残り、森に入ってくる通常種を狙う。
この島では、通常種も捕食種も皆、平等に飢えていた。
───ってな具合になってるだろうな。捕食種の同族食いってのもオツなもんだろ。
本来デメリット施設である捕食種の群生地を建設し、自然に近い環境を作るプレイヤーもいる。
だが、この島を管理しているプレイヤーは、狙って大量の捕食種を飼っていた。
そして、少ない資源しか生み出さない生産施設と、それに縋って生きる通常種たち。
通常種は食料や水が僅かしかなく、数が増えない。
その通常種を遙かに上回る数の捕食種が、食料である通常種の少なさに飢えて苦しむ。
島全体が飢えに包まれている、餓鬼道の如き世界だった。
だが、この島を管理しているプレイヤーは、狙って大量の捕食種を飼っていた。
そして、少ない資源しか生み出さない生産施設と、それに縋って生きる通常種たち。
通常種は食料や水が僅かしかなく、数が増えない。
その通常種を遙かに上回る数の捕食種が、食料である通常種の少なさに飢えて苦しむ。
島全体が飢えに包まれている、餓鬼道の如き世界だった。
●
食料も水も足りて繁栄していても、それが必ず続くわけではない。
───整地しよう。今の島の形、気に入らないんだよね。
プレイヤーが取れる行動の中には、土地を均して施設を消したり、土地を崩して空白を作るというものもある。
当然、対象となった場所に住んでいたゆっくりや立てられた施設は、消滅する。
今回は、島の大半を選択して均されることになった。
画面上では一瞬で綺麗になるが、本来ならそこにはゆっくりが住んでいたはずである。
当然、対象となった場所に住んでいたゆっくりや立てられた施設は、消滅する。
今回は、島の大半を選択して均されることになった。
画面上では一瞬で綺麗になるが、本来ならそこにはゆっくりが住んでいたはずである。
「むきゅ?なんだかもりさんがへんよ?」
「たいへんだよー!わからないよー!」
「どうしたのちぇん!」
「もりさんがたおれてくるんだねー!わからないよー!」
「たいへんだよー!わからないよー!」
「どうしたのちぇん!」
「もりさんがたおれてくるんだねー!わからないよー!」
今まで住んでいた土地が歪み、崩れ、ゆっくりたちを押しつぶしてゆく。
───こっちは土地を壊そう。出っ張っててやだし。
今度は、プレイヤーが土地の破壊を選択する。
島には、異変が起こっていた。
島には、異変が起こっていた。
「ゆ?なんだかじめんさんがゆれてるよ?」
「ほんとだね?なにかあったのかな?」
「ほんとだね?なにかあったのかな?」
その言葉通り、森と地面が揺れている。
そして一拍置いて、大地が砕けた。
そして一拍置いて、大地が砕けた。
「「「「「おそらとんでるみたい!!!」」」」」
土と、岩と、木々と、百のゆっくりが落ちてゆく。
島に住んでいたほぼ全てのゆっくりが、断末魔の悲鳴をあげて潰れて、砕けて、落ちてゆく。
そのなかで、木々や大地と混ざったゆっくりは、何も無いまっさらな土地を形成した。
島に住んでいたほぼ全てのゆっくりが、断末魔の悲鳴をあげて潰れて、砕けて、落ちてゆく。
そのなかで、木々や大地と混ざったゆっくりは、何も無いまっさらな土地を形成した。
───このあたりに森を作って、こっちには川かな。居住区はこのあたりにまとめよう。
こうして、プレイヤーの都合により消えてゆくゆっくりもまた、存在しているのだ。
●
ゲームのシステムで苦しむゆっくりは、他にも居る。
例えば「使えば島の時間を一瞬で一定数進めることが出来る」という効果のアイテムがそうだ。
このアイテム、使えば流れ星や突発的な損害に対処出来ずに時間が過ぎる、という可能性が十分にある。
しかし、状況を整えてこのアイテムを使えば、被害を上回る利益やアイテムを得られることが分かっている。
そうした“稼ぎ”を狙うプレイヤーは、それなりの数がいた。
例えば「使えば島の時間を一瞬で一定数進めることが出来る」という効果のアイテムがそうだ。
このアイテム、使えば流れ星や突発的な損害に対処出来ずに時間が過ぎる、という可能性が十分にある。
しかし、状況を整えてこのアイテムを使えば、被害を上回る利益やアイテムを得られることが分かっている。
そうした“稼ぎ”を狙うプレイヤーは、それなりの数がいた。
───よし、このアイテム使って俺も稼いでみるか。掲示板に書かれたとおり準備したし、これで結構な儲けになるはずだ。
プレイヤーがアイテムを使うと、島の中では一瞬で時が過ぎる。
そんな加速する日常の中でゆっくりの目に写るのは、島に迫る数多の流れ星。
そんな加速する日常の中でゆっくりの目に写るのは、島に迫る数多の流れ星。
「あれみて!ながれぼしさんだよ!」
「ゆゆ~ん、きれいだね!……あれ?ながれぼしさん、こっちにきてるよ?」
「きのせいだよぉ~。そうだ、おかあさんからきいたことあるよ!ながれぼしさんがきえるまえにねがいごとすると、かなうんだっ」
飛来する流れ星が、島を砕いてゆく。
多くの草花や虫が生きる森を砕く。
潤いを与えてくれる川を砕く。
島の端にいた恋人たちを砕く。
群れの居住区を砕く。
星が島を砕いてゆく。
「ゆゆ~ん、きれいだね!……あれ?ながれぼしさん、こっちにきてるよ?」
「きのせいだよぉ~。そうだ、おかあさんからきいたことあるよ!ながれぼしさんがきえるまえにねがいごとすると、かなうんだっ」
飛来する流れ星が、島を砕いてゆく。
多くの草花や虫が生きる森を砕く。
潤いを与えてくれる川を砕く。
島の端にいた恋人たちを砕く。
群れの居住区を砕く。
星が島を砕いてゆく。
「わからないよぉおおお!どこににげればいいのぉおおお!」
「はなしはきかせてもらったわ!このしまはめつぼうするわ!」
「「「な、なんだっ」」」
「はなしはきかせてもらったわ!このしまはめつぼうするわ!」
「「「な、なんだっ」」」
慌てふためくゆっくりたちは、天変地異の前に消し飛んでゆく。
そうして残ったのは、一握りの土地とゆっくりだけだった。
こうした稼ぎ以外にも、増えたゆっくりを潰すという楽しみを得ているプレイヤーがいるのもまた、事実である。
無論、正規の楽しみ方とは違う。
だが、ゲーム内で動いているのは画像データや数値のみ。
咎められることは無かった。
そうして残ったのは、一握りの土地とゆっくりだけだった。
こうした稼ぎ以外にも、増えたゆっくりを潰すという楽しみを得ているプレイヤーがいるのもまた、事実である。
無論、正規の楽しみ方とは違う。
だが、ゲーム内で動いているのは画像データや数値のみ。
咎められることは無かった。
●
夜の巣穴にゆっくりの家族がいた。
島のゆっくりとして生をうけた両親の前には、鳥の巣ベッドで眠る可愛いわが子たちがいる。
島のゆっくりとして生をうけた両親の前には、鳥の巣ベッドで眠る可愛いわが子たちがいる。
「おちびちゃん、ゆっくりしてるね」
「かわいいよぉ。ずっとみてたいね」
「でも、あしたもやることがあるね。そろそろす~やす~やしよう」
「そうだね」
「かわいいよぉ。ずっとみてたいね」
「でも、あしたもやることがあるね。そろそろす~やす~やしよう」
「そうだね」
そうやって微笑みあう彼女らを、小さな揺れが襲う。
「ゆ?なにかな?」
呟きに答えたのか、巣穴の壁にひびが入った。
この島に生きるゆっくりの命は、薄氷の上に立つが如く。
この島に生きるゆっくりの命は、薄氷の上に立つが如く。
○
今回の題材は位置登録ゲーム「コロニーな生活☆PLUS」です。
これを題材にした理由は二つ。
一つは、「これをゆっくりに置き換えて、生態系構築ゲームの性質を持たせたら面白くなりそう」と考えたこと。
もう一つは今作中でも少し触ったのですが、資源不足の時の処理です。
ゲーム内で資源が住人の消費を超えると住人が不満を訴え、時間が経つと住人が減っていきます。
これは資源と消費のバランスが取れるまで続くのですが、その際の処理メッセージは「資源が少ないため住人が減りました」の一文。
単純な処理メッセージだったので以前は気にならなかったのですが、ゆ虐に足突っ込んだ後は「これ、後ろ暗い事が絶対ある」と思い始めました。
そうした考えからゲーム内のシステムをゆっくりに合うよう調整し、形にしたのが今回のお話です。
なお、「コロニーな生活☆PLUS」はゆっくりと何ら関係ないので、興味を持たれてプレイされる方は、良識の範囲内で遊んでください。
これを題材にした理由は二つ。
一つは、「これをゆっくりに置き換えて、生態系構築ゲームの性質を持たせたら面白くなりそう」と考えたこと。
もう一つは今作中でも少し触ったのですが、資源不足の時の処理です。
ゲーム内で資源が住人の消費を超えると住人が不満を訴え、時間が経つと住人が減っていきます。
これは資源と消費のバランスが取れるまで続くのですが、その際の処理メッセージは「資源が少ないため住人が減りました」の一文。
単純な処理メッセージだったので以前は気にならなかったのですが、ゆ虐に足突っ込んだ後は「これ、後ろ暗い事が絶対ある」と思い始めました。
そうした考えからゲーム内のシステムをゆっくりに合うよう調整し、形にしたのが今回のお話です。
なお、「コロニーな生活☆PLUS」はゆっくりと何ら関係ないので、興味を持たれてプレイされる方は、良識の範囲内で遊んでください。
スレで「人間に仕組まれた環境で、最終的にひどい目にあう」っていうネタが上がってて書いてみたいと思ってたけど、この話もそれにあたりそうではあります。
…運命が文字通り人間の手の中、ってのはいいんですけど、やっぱ少し違いますね。他の話でも考えますか。
…運命が文字通り人間の手の中、ってのはいいんですけど、やっぱ少し違いますね。他の話でも考えますか。
最後に、「anko2870 フレグランス・ストーム」の感想についてお返事を。
>赤糞のセリフは「ぶりぶりしていってね!」より「うんうんしていってね!」の方がそれらしかったかも。
という一文がありましたが、「ぶりぶりしていってね!」にした理由はちゃんとありまして。
壺の作品で「ゆっくりに液体下剤に浸したクッキーを与える」という話があり、その時にあった「ゆっくりぶりぶりしてきてね」という台詞の語感が気に入ったこと。
それと、行動指示の言葉として「うんうんして」より「ぶりぶりして」のほうがしっくりきたというのが理由です。
こちらのほうが、より下品ですしね。
>赤糞のセリフは「ぶりぶりしていってね!」より「うんうんしていってね!」の方がそれらしかったかも。
という一文がありましたが、「ぶりぶりしていってね!」にした理由はちゃんとありまして。
壺の作品で「ゆっくりに液体下剤に浸したクッキーを与える」という話があり、その時にあった「ゆっくりぶりぶりしてきてね」という台詞の語感が気に入ったこと。
それと、行動指示の言葉として「うんうんして」より「ぶりぶりして」のほうがしっくりきたというのが理由です。
こちらのほうが、より下品ですしね。
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